2016年総評が完成しました。(2017/10/10)

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2011年 総評    

日本列島と日本社会に激震が走った2011年。
それでも人の世にクソゲーが絶えることはなく、よって今年も2011年携帯機版クソゲーオブザイヤー(以下「KOTY」)は無事開催された。
まずはノミネートの2作を紹介したい。

一作目は、2月3日にPSストアのPSP用ダウンロード専売として発売された、
「対戦チンチロリン」(発売:クロスロード、開発:ベストメディア)である。
チンチロリンと言えば、「お椀の中に3個のサイコロを振り、親と子の間で出目の強弱で金を取り合う」というギャンブルであって、
技量が介在しないほぼ「運次第」のゲームであることと、サイコロとお椀さえあれば遊べる手軽さが特徴である。
にもかかわらず、本作は480円とはいえ、これをわざわざ携帯ゲーム機であるPSPでゲーム化したものであり、
当初から「宝くじをゲーム化して何が楽しいんだ?」「100円ショップでお椀とサイコロを買って遊べばいいのでは?」
などと、本作の存在意義そのものを否定する意見が呈されていた。

しかし、本作はわざわざゲーム機を使いながら、
内容は本来のチンチロリンの再現すらできていないという画期的な出来栄えであった。
すなわち、チンチロリンではお椀の外にサイコロが出てしまうと負け(ションベン)になるが、
これを再現すべく本作でもサイコロを投げる力ゲージをボタンで止める仕様である。
が、ゲージを適切にコントロールしても、一定の確率でションベンになる運ゲー仕様となっている。
元々運ゲーとはいえ、せめてサイコロの出目で勝負させてもらいたいものである。
また、サイコロの出目の挙動を不審に思った有志の検証により、
サイコロの2と5が出る確率は2/8、他の目(1346)が出る確率は1/8であるという事実が明らかになり、
チンチロリン賭博が登場する某漫画の「四五六賽」にあやかって「二五賽」と名付けられスレ住人に好評を博した。
単純なサイコロの乱数すらまともに作れていない本作には驚きを禁じ得ない。

その他、 BGMは1種類で効果音はなし、ルールのカスタマイズ不可、親の順番は必ず1Pからなどといった手抜き仕様や、
CPUがせこい賭け方をして勝負を長引かせてくるといったストレスのたまる仕様など、
低価格ソフトにしてもどうかと思われる仕様も完備されていた本作は、
480円という低価格ながら、「存在意義自体が皆無」という点が多くの支持を集め、堂々のKOTYノミネートとなった。


二作目のノミネート作品は、9月29日に発売されたPSP用ソフト「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 3nd Impact」
(発売:バンダイナムコゲームス、開発:グラスホッパーマニファクチュア)である。

 本作は、アニメ映画を題材にしたリズムアクションである。
リズムアクションといえば、流れる音楽のリズムに乗りながら、ゲーム画面に表示されるオブジェクトに合わせてタイミング良くボタン入力をするというのが通例であるが、
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」×「リズムアクション」=「アンノウン・シンクロアクション」というキャッチコピーに謳われる通り、
本作の出来は、リズムアクションとして未知の領域に踏み込んだものであった。
 すなわち、本作は、複数のゲームモードのうち、多くのモードでは、色調や画面の明滅、凝ったオブジェクトの表示等のために、
全体として譜面が見づらくミスが誘発されて、ストレスが溜まるものになっている。
一方で、曲とオブジェクトが微妙にずれているために、曲にシンクロしてリズムに乗るより、目押しした方が安定したり、
果ては、リズムの取りにくさから「むしろ音を消した方がクリアしやすい」といわれるモードまであるなど、
既存のリズムアクションの要素を否定する出来であったのである。
楽曲選択画面でプレビュー音楽が流れない、ムービー鑑賞モードがない、ノーマルのクリアだけなら2時間で終わるボリュームなど、
リズムアクションとしての本作は全くの失敗作と言わざるを得ない。

 もっとも、本作はいわゆるキャラゲーで、しかも約15年前の原作アニメ以来、
ゲーム化にはおいてはろくな作品に恵まれなかった「エヴァンゲリオン」のキャラゲーであり、
しかも同作品では初めてのジャンルとなる「リズムアクション」であったわけだから、
ある程度のキャラ要素が含まれていれば「駄目なキャラゲー」で済まされた可能性もあった。
しかしながら、本作はキャラゲーとしての要素も全く不十分であった。
すなわち、ゲーム画面後ろに流れるムービーは一部を除き劇場版アニメの使いまわしであり、
またそもそもオートプレイモードやムービー観賞モードがないのでじっくり見ることはできない。
また、高得点クリアで観賞できるようになるギャラリーは、
クオリティがいまひとつのイラストや、棒立ちのポリゴン絵、キャラ弁画像などからなるが、
ポリゴン絵には左右を反転させてコピペされたと思しき手抜き絵があったり、
キャラ弁画像に至っては、そもそもどんな需要があるのか不明である上に、使われている食材にもぱっと見不明なものが多数あり、
しまいには、エヴァファンをしても何を表現したキャラ弁なのか不明の物まであったりするなど
ご褒美というにはお粗末にすぎるものであった。
なお、ギャラリーに主人公のシンジ君を描いたものはない。

リズムアクションとして失敗作である上に、キャラゲーとしても一線を越えてしまった本作は、
2011年2作目のKOTYノミネート作品となった。


さて、ノミネート2作の発表が終わったところで、2011年携帯機版KOTYを発表することとしたい。

栄えある2011年携帯機版KOTYに輝いたのは、「対戦チンチロリン」である。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 3nd Impact」は、6280円(通常版)という価格にもかかわらず、
リズムアクションの部分が壊滅的であること、キャラゲーとしても出来が悪いことは評価されたものの、
一部遊べないでもない部分があること、インターフェースや画面構成は原作風の凝ったものであり、録り下ろしのボイスが入る次回予告シーンがあるなど、
それなりにファン向けに価値がある部分もあったのに対して、
チンチロリンは、480円という低価格ながら、
「そもそもゲーム化の意味がないチンチロリンのゲーム化」と「二五賽」の合わせ技により、
「無価値」を体現した点が高く評価され、大賞受賞となった。

6作品がノミネートされた2009年、7作がノミネートされ大賞選考が難航した2010年に比べ、
2011年携帯機版KOTYは2作のノミネートに留まった。
2012年以降もクソゲーの数は控えめのまま、意欲的な作品の多数発売される携帯ゲーム機業界であることを願いたいものである。
最後に、見事に大賞を受賞した「対戦チンチロリン」の関係者に以下の言葉を送って2011年携帯機版KOTYの締めくくりとしたい。

「二の五の言わずに仕事してください!」