2010年 総評
2010年 総評合成
2010年 総評案(断片)

2010年総評案1(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

総評1のひと  ◆7AXXJBnGYg

昨年は今年の据え置き機クソゲートレンドを先取りしたかのごとく薄いゲームが乱立する中、
PCゲーム界からのバグだらけ凶悪作品、「戦極姫」が据え置き携帯ともに大賞に輝いた。
今年はいったい、どんなジャンルのクソゲーが出てくるのだろうか・・・。
そんな期待混じりの不安は、3月の初めあたりから不安が現実となっていく。


3月11日、1本目は思わぬところからやってきた。
DS「RPGツクールDS」である。
このゲームは誰でも手軽に自分オリジナルのRPGを作れる、というのが人気のシリーズである。
実にコンシューマー機では6年ぶりの登場となった。
しかしその6年の間、何があったのだろうか、帰ってきたツクールは散々な出来となっていた。

まず仕様。
魔法に属性という概念が存在しなかったり、敵に状態異常に対しての耐性を作れなかったり、
更には魔法攻撃力、防御力すらない。効く、効かないも当然使えない。
ステータスが上下するイベント、アイテムも作れない。
この段階でRPGの基礎中の基礎が失われているような気もするが、問題は容量にもある。
FULL版ですら6年前に発売されたGBA版の実質半分の容量しか使えない。
ダウンロードプレイ用のRPGを作るなら、町1個、ダンジョン1個で容量は枯渇する。
こんな時代にスーファミレベルにも満たない容量のゲームを作らされるハメとなる。
素材のクオリティは非常に高いのだが、全く生かせない容量では、それも意味を成さない。

バグも多い。
とにかく数あり、説明しづらいものもあるので詳しくは割愛するが、中には再現性100%のフリーズや危険なものまである。

これでは思い通りのRPGが作れない、期待はずれかつタイトルに反するゲームであった。

そこから3ヶ月後の6月24日、昨年の覇者、システムソフト・アルファーがまたしてもクソゲーを放り込んでくる。
PSP「大戦略PERFECT~戦場の覇者~」である。
このゲーム、キーレスポンスが悪い、敵の思考が長い、グラフィックが重い、システムが全体的に不親切など、
この段階でパーフェクトにクソな要素しか存在していないわけだが、バグの多さもパーフェクトであった。

マイ部隊というオリジナル部隊を編成して使用できるのだが、敵として出てきたり、ほぼ使えない状態となっている。
また、あらゆるタイミングでフリーズするため、キャンペーンはほぼクリア不可能となってしまっている。
極めつけは、謎の名無し部隊が出現し、それを調べるとPSP自体の電源が落ちてしまう、恐怖のバグ。
まさにパーフェクトなバグの山と言ってもいいだろう。

このゲームを機に、もうひとつの大戦略が日の目を浴びる。
2月25日発売のDS「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」である。
発売当初も話題となっていたが、7月以降になりもう一度話題となった。
こちらも名のとおり一触即発・ゲームバランス崩壊のバグだらけで、相変わらず操作性やシステムも最悪である。
当然のごとく相手の思考時間はPSP以上である。

フリーズやバグも当然のように完備しており、ストレスしかたまらないゲーム仕様だ。

更に、ルート分岐判定が分岐後にもう一度行われるため、無限ループに突入してしまい、クリアできなくなってしまう。
このエンドレスエイト状態を抜け出すには、降伏(通称土下座外交)を行い友好度を調節することが事実上必要不可欠なものになってしまっている。
そこまで現代を再現する必要があったのだろうか。

この2本は、システムソフトアルファーが何ら改善されてないことを知らしめる2本であった。
なお、昨年KOTY大賞戦極姫の続編戦極姫2PSP版は、バグが殆ど治っており、SSαが足掛け3年でようやく遊べる普通のゲームにしたことを追記しておく。


このあたりで選評が届き、注目を浴びたのがもう一つの2月25日発売DS「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」。
こちらはトレーディングカードが元になっており、これがゲーム化されたものだ。
もともとゲームブック自体前2作が非常に不評だったのだが、3作目となる今作はそれ以上に酷い出来となっていた。

そもそもこのゲーム、もはやゲームブックではない。文章を読み進めていく、ノベルゲーのようなものだ。
しかもそのノベルゲー部分のシステムですら10年前のレベルと評される始末。
バグも酷く、いないはずのキャラの立ち絵が表示されたり、立ち絵同士干渉して表示がおかしくなったりする。
ヒロイン6人中3人には、声と文章の同期が取れていない、いわゆる音ズレが発生する。
しかも最後まで直らない。

最終的にプロモーションカードのオマケ扱いされる始末だったが、そのカードも一般販売されることになり、
完全におまけですら無くなってしまった作品であった。


7月15日。
携帯機KOTYは夏にもクソゲーの登場が多いが、今年はとてつもないものがやってくることとなる。
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
いわゆるブロック崩しでバグもなく、ロードも速くシステム面は完ぺきだ。
ただこのゲームのクソな点、それは「理不尽さ」に凝縮されていた。

まずブロック崩しとしての挙動がおかしい。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点は絶妙なパドルの遅さと慣性に相まって、非道なまでに理不尽さを醸し出している。

そしてこのゲーム、ステージがとにかく理不尽なのだ。
前半はまだ普通のブロック崩し。後半は気が狂ったブロック崩し(なのかどうかも甚だ疑問だが)になっている。
ブロック崩しなのに砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から大量の弾が降ってきたり、動きまわるターゲット(球を撃つ)に50発ボールを当てたり、
暗闇の中砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から弾が降ってきたり。
極めつけは当たると方向が変わる矢印ブロック6つをすべて一定の方向に揃える、というもの。
先述の破壊不能砲台も完備されており、挙動と相まって理不尽さは極限値に。
「完全に運ゲー」と言われることもあるが、運だけではない。
最高のテクニックと完璧なまでの運、これが揃わないとクリア出来ないのだ。
果てには有用アイテムが出るまでリセットというブロック崩しに似つかわしくない乱数調整まがいのことをさせられることも。
なお、当然アイテムにはマイナスアイテムも含まれており、取ってしまうとほぼ1ミス確定である。
ちなみに先述の矢印ブロックを揃えるステージではアイテムは一切出現しない。

この地獄を抜けたものに対するご褒美、すなわちスタッフロールなど存在しない。
イラストも全部発表済みのものであるので、楽しみもない。キャラゲーとしての価値は殆ど無いと言ってもいい。

ここに来て、まさかの「超難易度理不尽ゲー」が名乗りをあげた今年のKOTY。
ここからスレは一時的に休戦状態にはいる。

3ヶ月たち10月になり、にわかに話題となったのは10月7日発売、DS「天下一★戦国LOVERS DS」である。
こちらは携帯ゲームからの移植であるが、なんとこのソフトは5040円のフルプライスでありながら携帯版の体験版とも言える内容であったのだ。

話がラストまで収録されているのは9人中2人のみ。他は携帯で一から課金しなければならない。
恋愛ADVなのに、ロードという概念が存在しない、スキップが遅い、オートセーブというADVのシステムを覆しかねないシステム。
シナリオも微妙であり、いつ主人公を好きになったかが殆ど語られなかったり、寝取られたり、ボイスが少なかったり。

まさに続きはWebでならぬ続きは携帯版で、であり、それなのに5040円というフルプライス価格はもはや薄いを通り越し悪質であった。

12月。
今年は据え置き機に年末の魔物は襲来しなかった。
しかし、携帯機には年末の魔物がさも当然のごとく今年も襲来してきたのである。

12月16日に2本のゲームが発売された。
まずはDS「どんだけスポーツ101」である。
これはDSで101種類のスポーツが楽しめるという、なんだかテーマだけでにわかに地雷臭を漂わせる作品であった。
ファミ通レビューも18点、しかもレビュアーの一人が3点をつけた。

まず101種類のスポーツだが、どマイナーな種目も多数ある。そりゃあ101種目もあるのだから当然といえば当然だが。
しかしそのマイナースポーツの数々に説明が殆ど無い。説明になっていない説明もある。
操作方法も被りが多数生じており、やりごたえもない。
ルールや物理法則無視まである始末だ。そもそもの競技内容が違うものまである。

101個ものスポーツ、全てがつまらないゲームであり、0を101個合わせても所詮は0であることを証明してくれた。

もうひとつはDS「プーペガールDS2」である。
こちらは昨年1作目が発売されたが、こちらはただの作業ゲーであった。
しかし今作は作業にバグを引っさげて登場してきたのである。
なお、こちらは2種類のバージョン違いがあり、入手アイテムに違いがあるのだが、両方買っても入手できるのはどちらか一方なのであしからず。

まず地味にロードが長く、画像も頻繁に乱れる。地味に操作性も悪い。
きせかえ画面で顔が潰れてホラーゲームもびっくりのグロ画像になることも。

このゲームはお金=リボンを集めて、服を買ってコーディネートするゲームなのだが、
リボンがもらえるはずのファッションショーに出てもリボンがもらえない。その後は開催すらされない。
このせいで後半は上昇し続ける物価に対して収入が見合わず、ひもじい生活を強いられることになる。


極めつけはプレイ22時間後に起こる。
ある日突然、リボンが減っているのだ。減るリボン数は15536リボン。
マイナスになるとゲームが進行不可能になってしまう。
発動率100%、まさに恐怖のバグである。
解決策として公式からリボンがもらえるコードが配布されているが、使えないという報告もある。


このゲームは発売時期と相まって、何も悪くないお子様や女の子を巻き込んだ。


今年はノミネート8作品という、昨年よりも多い大波乱となった携帯機KOTY。
しかも「バグ」「仕様」「理不尽」「薄い」といった、様々なジャンルのクソゲーが登場する、荒れたものとなった。

それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
受賞理由としては、高難易度かつ理不尽という、悪意しか感じない構成の1点に凝縮される。
尋常ならざるテクニックと運が合わさらないとクリア出来ない、それほどまでに。
他高難易度ゲームと違い、難易度のバランスがなっておらず、理不尽さによる高難易度であることも大きい。
バグだらけや不親切システムといったような他作品と違い、このゲームはシステムもバグの無さも非常に良好である。
しかしその点がこの「理不尽的高難易度」を更に際立たせ、リトライの容易さから中毒になってしまう者までいるほどである。
そしてこの「理不尽さ」は、今年の他のゲームにはない、圧倒的な強さと存在感を放っている。これが頂点たる所以であろう。
数キロバイトの基礎プログラムがベースであるブロック崩しから、ここまで理不尽な作品が出ることも恐ろしい。
他にも2本の大戦略、プーペガールDS2による四つ巴の戦いが繰り広げられたが、
どれもベクトルが違う最大限のクソという中、バグもないのに先述の「理不尽」という1点のみでプレイヤーの意欲を完全に削ぎ落とす姿勢が評価された。
もはや笑える域の理不尽さだが、それは他のバグなどでクソゲーと称されるゲームの哀しみと怒りを大幅に超えるものがある。
この笑いという要素は、最大限のクソを発揮したゲームにのみ付いてくる勲章である。
ここでの「笑い」は、世に言う「呆れ笑い」の更に上の言わば「諦め笑い」である。
哀しみは怒りに昇華し、そして怒りは笑いへと昇華する。
怒りを超越し、笑えてくるクソゲー、これこそ真のクソゲーなのではないのだろうか。
無論、次点7本も今年最高峰のクソゲーであることは言うまでもない。

今年は、夏の魔物と年末の魔物両方が襲来した年となった。
来年こそは、魔物及びクソゲーが登場しないことを祈りたい。
また、2月にはニンテンドー3DS、年末にはNGPが発売される。
こちらから、新機軸のクソゲーが登場しないことをこれもまた祈りたい。

最後に、発売元のドラスに、言葉を添えて、今年のKOTYを締めくくることとする。

「ブロックの前に、プレイヤーのハートをクラッシュさせて、どうするんですか?」

2010年総評案1.5(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

総評1のひと  ◆7AXXJBnGYg

昨年は今年の据え置き機クソゲートレンドを先取りしたかのごとく薄いゲームが乱立する中、
PCゲーム界からのバグだらけ凶悪作品、「戦極姫」が据え置き携帯ともに大賞に輝いた。
今年はいったい、どんなジャンルのクソゲーが出てくるのだろうか・・・。
そんな言葉は予想の真上を行ってしまうほど、今年は混沌としたものとなった。


しかし最初は緩やかな幕開けであった。
3月になり、現代大戦略DSとRPGツクールDSが話題となるが、
前者はクリアが困難で選評が来ず(後述)、後者は当時は話題になったものののちに放り込まれたクソの大群に飲み込まれてしまった。


2010年も半年が過ぎた6月24日、昨年の覇者、システムソフト・アルファーがついに今年1発目のクソゲーを放り込んでくる。
PSP「大戦略PERFECT~戦場の覇者~」である。
このゲーム、キーレスポンスが悪い、敵の思考が長い、グラフィックが重い、システムが全体的に不親切など、インターフェースは非常に悪い。
が、さすがパーフェクト、さらにパーフェクトなクソの山を魅せつけてくれた。

また、このゲームにはパーフェクトなバグも完備している。
マイ部隊というオリジナル部隊を作れるのだが、なぜか作った自分の部隊は敵となって攻撃を仕掛けてくる。
これが頻繁に発生するので、どこがマイなのかも分からないようなものになってしまっている。
フリーズはあらゆる場所で発生し、キャンペーンモードなどはほぼクリア不能なシロモノになっている。
クリア不能な原因が「ほぼフリーズのみ」なのだから驚きだ。
極めつけは、謎の名無し部隊が出現し、それを調べるとPSP自体の電源が落ちてしまう、恐怖のバグ。
強制シャットダウンのようなものなので、最悪本体にも支障をきたしてしまう。
まさにパーフェクトなバグの山と言ってもいいだろう。


このゲームを機に、もうひとつの大戦略が日の目を浴びる。
2月25日発売のDS「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」である。
名のとおり一触即発・ゲームバランス崩壊のバグだらけで、相変わらず操作性やシステムも最悪である。
当然のごとく相手の思考時間はPSP以上である。

フリーズやバグも当然のように完備しており、ストレスしかたまらないゲーム仕様だ。

更に、ルート分岐判定が分岐後にもう一度行われるため、無限ループに突入してしまい、クリアできなくなってしまう。
このエンドレスエイト状態を抜け出すには、降伏(通称土下座外交)を行い友好度を調節することが事実上必要不可欠なものになってしまっている。
そこまで現代を再現する必要があったのだろうか。

このゲームの総評が来なかった理由は、先述の無限ループによりクリアが出来なかったため、である。
そこまで大戦略はクリアさせたくないのだろうか。それとも、「現代にクリアという終わりなどない」と現代の人間に伝えたいのだろうか。
そう思わせる2本の大戦略であった。


この2本は、システムソフトアルファーが何ら改善されてないことを知らしめる2本であった。
なお、昨年KOTY大賞戦極姫の続編戦極姫2PSP版は、バグが殆ど治っており、足掛け3年でようやく遊べる普通のゲームになったことを追記しておく。


このあたりで選評が届き、注目を浴びたのがもう一つの2月25日発売DS「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」。
こちらはトレーディングカードが元になっており、これがゲーム化されたものだ。
もともとゲームブック自体前2作が非常に不評だったのだが、3作目となる今作はそれ以上に酷い出来となっていた。

そもそもこのゲーム、もはやゲームブックではない。文章を読み進めていく、ノベルゲーのようなものだ。
しかもそのノベルゲー部分のシステムですら10年前のレベルと評される始末。
バグも酷く、いないはずのキャラの立ち絵が表示されたり、立ち絵同士干渉して表示がおかしくなったりする。
ヒロイン6人中3人には、声と文章の同期が取れていない、いわゆる音ズレが発生する。
しかも最後まで直らない。

最終的にプロモーションカードのオマケ扱いされる始末だったが、そのカードも一般販売されることになり、
完全におまけですら無くなってしまった作品であった。


7月15日。
携帯機KOTYは夏にもクソゲーの登場が多いが、今年はとてつもないものがやってくることとなる。
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
いわゆるブロック崩しでバグもなく、ロードも速くシステム面は完ぺきだ。
ただこのゲームのクソな点、それは「理不尽さ」に凝縮されていた。

なお、このゲームはタイトルにハローキティとあるように、いわゆるキャラゲー的な要素もあるにはあるのだが、
ご褒美イラストは全て公開済みの作品であったり、PSNで50円で買えたり(こちらのほうが良質)と、キャラゲー要素はこの時点でほぼ消えてしまっている。
この状態で更に、ブロック崩しが恐ろしい物になっていること、そこがこのゲーム最大の怖さである。

まずボールの挙動がおかしく、落下地点の予測が非常に困難になっている。。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。(なお、これは説明書にも画像があり、仕様のようだ)
物理法則的には強ち間違ってはいないのだが、ブロック崩しとしては完全に間違えている。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点は絶妙なパドルの遅さと慣性と相まって、非道なまでに理不尽さを醸し出している。

そしてこの挙動と相まって更に非道さが見えるのがステージ構成である。
前半はまだ普通のブロック崩し。後半は気が狂ったブロック崩し(なのかどうかも甚だ疑問だが)になっている。
ブロック崩しなのに砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から大量の弾が降ってきたり、動きまわるターゲット(球を撃つ)に50発ボールを当てたり、
暗闇の中砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から弾が降ってきたり。
極めつけは当たると方向が変わる矢印ブロック6つをすべて一定の方向に揃える、というもの。
砲台(破壊不能なブロックに守られてる)も完備されており、先述の挙動と相まって理不尽さは極限値に。
果てには有用アイテムが出るまでリセットというブロック崩しに似つかわしくない乱数調整まがいのことをさせられることも。
なお、当然アイテムにはマイナスアイテムも含まれており、取ってしまうとほぼ1ミス確定である。
ちなみに先述の矢印ブロックを揃えるステージではアイテムは一切出現しない。

ここまで酷いと、「ブロック崩し」というジャンル自体を問いたくなる、そんな出来であった。

ここに来て、まさかの「超難易度理不尽ゲー」が名乗りをあげた今年のKOTY。
ここからスレは一時的に休戦状態にはいる。

3ヶ月たち10月になり、にわかに話題となったのは10月7日発売、DS「天下一★戦国LOVERS DS」である。
こちらは携帯ゲームからの移植であるが、なんとこのソフトは5040円のフルプライスでありながら携帯版の体験版とも言える内容であったのだ。
なお、操作性も忠実に携帯版を移植しており、なぜDSで出したのだろうか、と疑問が浮かぶ。

話がラストまで収録されているのは9人中2人のみ。他は携帯で一から課金しなければならない。
恋愛ADVなのに、ロードという概念が存在しない、スキップが遅い、オートセーブというADVのシステムを覆しかねないシステム。
シナリオも微妙であり、いつ主人公を好きになったかが殆ど語られなかったり、寝取られたり、ボイスが少なかったり。
なお、寝取らないと特定のキャラが攻略できないというのも恋愛ADVとしては複雑なものだ。

まさに続きはWebでならぬ続きは携帯版で、であり、それなのに5040円というフルプライス価格はもはや薄いを通り越し悪質であった。

12月。
今年は据え置き機に年末の魔物は襲来しなかった。
しかし、携帯機には年末の魔物がさも当然のごとく今年も襲来してきたのである。

12月16日に2本のゲームが発売された。
まずはDS「どんだけスポーツ101」である。
これはDSで101種類のスポーツが楽しめるという、なんだかテーマだけでにわかに地雷臭を漂わせる作品であった。
ファミ通レビューも18点、しかもレビュアーの一人が3点をつけた。

まず101種類のスポーツだが、どマイナーな種目も多数ある。そりゃあ101種目もあるのだから当然といえば当然だが。
ちなみに101種類を選ぶセレクト画面はipodのジャケットシステムのようなもの(の劣化)になっており、非常に選びづらい。
しかしそのマイナースポーツの数々に説明が殆ど無い。説明になっていない説明もある。
操作方法も被りが多数生じており、やりごたえもない。単調なタッチペン遊びを繰り返すだけである。
ルールや物理法則無視まである始末だ。そもそもの競技内容が違うものまである。

101個ものスポーツ、全てがつまらないゲームであり、0を101個合わせても所詮は0であることを証明してくれた。

もうひとつはDS「プーペガールDS2」である。
こちらは昨年1作目が発売されたが、こちらはただの作業ゲーであった。
しかし今作は作業にバグを引っさげて登場してきたのである。
なお、こちらは2種類のバージョン違いがあり、入手アイテムに違いがあるのだが、両方買っても入手できるのはどちらか一方なのであしからず。

まず地味にロードが長く、画像も頻繁に乱れる。地味に操作性も悪い。
きせかえ画面で顔が潰れてホラーゲームもびっくりのグロ画像になることも。当然のようにフリーズもある。
6000点あるアイテムを集めても、残せるスナップショットは30枚。どこの時代だろうか。

このゲームはお金=リボンを集めて、服を買ってコーディネートするゲームなのだが、
リボンがもらえるはずのファッションショーに出てもリボンがもらえない。その後は開催すらされない。
このせいで後半は上昇し続ける物価に対して収入が見合わず、ひもじい生活を強いられることになる。

極めつけはプレイ22時間後に起こる。
ある日突然、リボンが減っているのだ。減るリボン数は15536リボン。
マイナスになるとゲームが進行不可能になってしまう。
再現性100%、まさに恐怖のバグである。
解決策として公式からリボンがもらえるコードが配布されているが、使えないという報告もある。

このゲームは発売時期と相まって、何も悪くないお子様や女の子を巻き込んだ。


今年はノミネート7作品という、昨年よりも多い大波乱となった携帯機KOTY。
しかも「バグ」「仕様」「理不尽」「薄い」といった、様々なジャンルのクソゲーが登場する、荒れたものとなった。

それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
受賞理由としては、悪意しか感じないゲーム構成、この1点に尽きる。
調整を間違えたばかりに、バグもないのにクソゲーの頂点へ転落してしまった点も非常に大きい。
なぜ作った、この言葉が似合うクソゲーもそうそうない。
プレイするものは理不尽さに哀しみ、怒り、最終的には乾いた諦め笑いを浮かべる。これは他6本にはない唯一の要素だ。
クソゲーにある怒りを超え、笑いにまで昇華させる作品は、今後200年は出てもらいたくないものである。

今年は大賞争いが困難を極め、特に鬼帝(キティ)、大戦略PERFECT、プーペガールDS2による3本の争いは、混沌を巻き起こした。
全てがゲームとして崩壊している3本の中で、プレイヤーの意欲を「理不尽さ」のみで全て削り落とす鬼帝が、一歩前に出た形となった。
ブロック崩しという基礎は数KBのプログラムである定番ジャンルから、どうしてここまでクソが出来上がってしまうのか。不思議でやまない。

言うまでもないが、他6本も最高峰のクソゲーである。そこは間違えないでもらいたい。

今年は、夏の魔物と年末の魔物両方が襲来した年となった。
来年こそは、魔物及びクソゲーが登場しないことを祈りたい。
また、2月にはニンテンドー3DS、年末にはNGPが発売される。
こちらから、新機軸のクソゲーが登場しないことをこれもまた祈りたい。

最後に、発売元のドラスに、言葉を添えて、今年のKOTYを締めくくることとする。

「HELLo!KOTY!」

2010年総評案2(プーペガールDS2)

総評2の人 ◆ij4W6jf8pvAY

2009年に訪れたエロゲーからの黒船「戦極姫(システムソフト・アルファー)」
によって持たされた混乱も冷めやまぬ2010年はまさに幕末の様相を呈していた。

まず、2009年大賞決定直後現れたのは「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~
(システムソフト・アルファー)」である。
大戦略シリーズと言えば古参ゲーマーの間では知らぬ者はいないほど有名な
冷戦時代~現代を題材とした戦略シミュレーションゲームなのだが、その辺は前年覇者。
抜かりはなかった。

まずAIが遅すぎ最大5分近くプレイヤーは放置される。
UI周りではカーソルを合わせないと下にどんな部隊がいるのか分からず、
簡易ユニットデータなどの情報は意味不明なものが多く丸暗記するしかない。
ソートしても選択するとソート前にそこにあった部隊が選択され、特定条件の補充で
フリーズする。
更に、空母や揚陸艦が港以外の場所で部隊を展開する方法が分からない。
数ヵ月後、揚陸艦から部隊を揚陸させる方法が判明したが、結局、港以外の場所から
空母の艦載機が飛び立つことはなかった。

突っ込みどころ満載のシステムだがシナリオも負けてはいない。
シナリオ中に分岐チェックがあり、ある国との友好度が高いと、分岐シナリオへ突入する。
しかし、何故か分岐シナリオ中にもチェックがあり、友好度がそのままだと
再び分岐シナリオの頭に戻りエンドレスにシナリオが続くのだ。
ループから抜けるには、分岐後に降伏し続け、全てのフラグを破棄するしかない。
戦略シミュレーションなのに戦ったらクリアできない土下座ゲー。
それがこの現代大戦略DSなのだ。

続いて6月。またもやSSαから大戦略シリーズの新作、「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~
(システムソフト・アルファー)」が投入される。

小窓を開くだけでなくカーソル移動にすらローディングが入るUI。
どこでも起こるフリーズ。思考時間1勢力数分というSSα仕様をパーフェクトに進化させた作品だ。
この作品は何もかもが信用できない。
自分でユニット編成できる「マイ部隊」は自軍として設置したはずなのに敵として出てくる時があり、
占領可能なマイ部隊を首都に置いた直後に裏切られ首都陥落で負けたりする。
PSP本体の動作も信用できず、味方の生産施設に名無しの部隊が配置されるがあり、
この部隊を確認した瞬間に電源が落ちる。

また、クリア時一部隊内の残ユニット数が次のユニット上限になるというバグも存在し、
敵首都目前で回復タイムに入らなければならない。
回復して、首都を落としても安心できない。
ステージクリア時に持ち越せる部隊は100部隊までだが、ソート機能は搭載されていないうえ、
一度選ぶとキャンセルできない。
ゲームは基本的に高難易度だが、ミニマップでは兵器カスタムでゲームバランス無視の超兵器を生産でき、
キャンペーンではプレイヤー変更で敵側の操作も可能。
そのためプライドさえ捨てれば、比較的簡単にゲームを進める事はできるが、
もはや敵と戦っているのか仕様と戦っているのか己と戦っているのか分からなくなる怪作だ。

そんな大物二体が暴れまわる中、7月に一本のゲームが発売される。
「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!(ドラス)」だ。

キティと聞いて女児向けかと思いきや、大きなお友達向けのイラストレーターにキティラーを描かせた、
どちらかといえばオタク向け作品で、ジャンルとしてはブロック崩しに分類される。

この作品の恐ろしいところは、その難易度である。
砲弾が飛び交う中、動き回る敵に50発当てる面、砲弾の間隔が自機のサイズより狭い面、
一度当たると回転するブロック6個を指定された向きに揃える面、
暗闇の中で見えない弾幕をよけなければならない面等の鬼畜ステージが待っている。
その上、敵やブロックの角に当たると球がとんでもない角度で落ちてくることがあり、
バーは滑るうえ微妙に遅い。
普通に考えればクリアできる人間はほとんどいない鬼畜ゲーである。

しかし、このゲームの特徴はその鬼畜さだけではなく、ブロックを壊すと現れるアイテムにもある。
良くも悪くもアイテムが強すぎるのだ。
貫通や1Upが出まくれば、いくつかの難関も難易度が激減し、バー縮小やバー速度低下の
アイテムに当たってしまえば、ほぼワンミスが確定する。
普通は「運の要素があってもテクニックがあればクリアできる」ようになっているのが
ゲームのはずだが、これは「運とテクニックの両方がないとクリアできない」ようになっている。

この鬼畜さゆえに、スレ内では「覇王鬼帝」や「HELL o' 鬼帝」と呼ばれ恐れられた。

また手軽にクソゲーを楽しめるということもあって一部で妙な流行があったことも特筆すべきだろう。
プレイした誰もがクソゲーと認識しているのに、なぜか購入していく様は、一種のカルト宗教のようであり、
まさに帝王の名にふさわしいとしか言いようがない。

そして、8月に入るとスレにひと時の平穏が訪れる。
もちろんスレ内では何人もの人間がキティの魔力に吸い込まれていったり、
大戦略DSで揚陸艦の使い方がやっと判明したりとトピックがなかったわけではないが、
新しいクソゲーが現れることはなく、スレは平和を満喫する。
だが、12月も半分が過ぎ、もうノミネートはないだろうと思い始めたころ、
やはり魔物は現れた。
「どんだけスポーツ101(スターフィッシュ・エスディ)」と「プーペガールDS2(アルヴィオン)」である。

タイトルからして嫌な予感しかしないどんだけスポーツだが、一言で言うと101種類もの
スポーツをミニゲームで楽しめるゲーム集ということになっている。
言いかえれば、一本の低予算ゲームを101倍に薄めて作ったミニゲームの寄せ集めだ。

そう。このゲームはとにかく薄い。

敵も味方もいない孤独な「カーリング」、トスだけの「バレーボール」、
ひび割れを避ける「スケルトン」等ミニゲームに落とし込むにしても、
もう少しやりようがあっただろうと思うものばかりである。
難易度調整がおかしいものが多く、「操作性が悪いのに相手が弱くて勝てた」という
間違った方向でゲームバランスがとられていて、やりがいとは無縁の存在になっている。

101個もゲームがあるので「次こそは遊べるゲームかもしれない」とついやってしまうが、
その全ては裏切られる。
アカギという漫画で「焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」という台詞があるが、
このゲームはまさにそれで、プレイした人間は次もたぶんダメだろうと思いながらも、
「もしかしたら」という希望で身を焼き続けた。
もちろん、全てのゲームをクリアしたところで、このゲームに希望なんてない。

大トリとなったプーペガールは、女の子から大人の女性まで幅広く遊べる着せ替えゲームで、
可愛い服さえ着せられ、その衣装で自己主張できれば一定の評価が得られるはずのゲームである。

しかし、その内容は、まだプログラミング中だったのではないかと思わせる出来で、
着替え画面で拡大するとフリーズ。拡大しなくてもキャラが崩れグロ画像と化し、
付けたはずのアクセサリーが付かなかったりする。
UIが不親切で着せ替えるのも一苦労。レシピ保存機能を兼ねたスナップショットは30個までで、
新しいスナップショットを撮ると強制的に古いものが消されてしまうので
お気に入りの着こなしを残しておけない。

そして、この作品の報酬はとにかく少ない。
着替えをして街を歩き、すれ違ったキャラからステキと言ってもらえると、後日リボンが溜まるシステムなのだが、
後半の高価な服を買うには1000回近くステキと言ってもらわなくてはならない。
着替えフラグはアクセサリー一つ付け替えれば成立するので、ステキと言ってもらうのは比較的簡単だが、
ROMカートリッジにも関わらず何故かロードが多発し、数をこなさなくてはならない様は
「スライムしか出ないドラクエ」に例えられ、本スレでは「ステキ集めの苦行」と恐れられた。

さらにこの金銭難に追い打ちをかけるように22時間プレイ報酬で-15536リボンもらえる。
まるで小学生が「マイナス一個あーげた」と言うような勢いで15536リボン奪われてしまい、
リボン数がマイナスになった状態で外に出るとフリーズする。
これは100%発生するだけでなく、画面にも「-15536リボン」と表示されているので
22時間プレイしなくても分かる。
メーカーは対策として「おとしだま」等の明らかに後日公開するつもりだったコードを大量に公開したが、
コード認識部分に問題があるらしくコードを受け付けないプレイヤーが続出した。

その他、発生率は低いが、約束を実行しないと進まないのに友達が約束をすっぽかすバグも報告されていて、
気づかずにセーブした場合、初期化してやり直すしかない。

また、やっていないのに有人対戦数が上がっている等、カウンターすらまともに動かない有様で、
スレでは見てないところでDSをやらないと約束した子供を叱ってしまった親などの報告がされていた。

作業としか言いようがないゲームバランス、低レベルなバグの数々。両者が融合し、
オールラウンドにクソな本作は魔物の名に恥じない作品と言うしかない。

以上が本年の流れである。
戦ってはいけない土下座ゲー、何もかも信用できない怪作、鬼畜にして運ゲーの帝王、
希望のない101のゲーム、そして、低賃金でプレイヤーを作業させる魔物。
本年は例年以上にハイレベルで、選考は難しかった。
正直、どれが大賞をとっても皆が納得するくらい、ひどいものが揃っている。
非常に難しい選考を重ねた結果、見事2010年クソゲーオブザイヤーに輝いた作品は、
「プーペガールDS2」である。

このゲームが選ばれた最大の理由は、その製品レベルの低さである。

本作はお着替えシールに出来ることが出来ていない。
本来お着替えゲームというのは、シールのように画像の重ね合わせさえ出来れば、
一定の評価が得られるジャンルなのだが、それすらできていないというのは驚愕に値する。

数々の問題は、プログラミング中の仮組段階のような挙動で、
カウンターすらまともに動かせられないのは素晴らしいの一言だ。

また、ゲームバランスも基本コンセプトの時点で大きく間違っていて、ひたすら同じ服の写真を撮り、
アクセサリー一つ付け替えては街を歩きまくることを要求するそれは、
本作をお着替えソフトではない別の何かへと変貌させてしまっている。

以上の点が評価され、他の候補作品よりわずかに押し上げる結果となった。

もちろん、今年のノミネート作はどれも大賞に推したくなるような出来で、
正直、他の候補作を切るのは断腸の思いだった。
しかし、両大戦略は悪く見積もってもα版クラスの製品レベルには達しており、
カウンターすらまともに動かないプーペよりは完成度が高い。
薄いどんだけスポーツもステキを集めるため街を徘徊し続けるよりはゲームを楽しめる。
プーペと同じように別のゲームになってしまっていると言われるキティだが、
キティはあくまで別「ゲーム」なのに対し、プーペのそれは「ゲーム」ではなく、
「作業」となっているところが問題とされた。
つまり、そこにプレイヤーの腕が介在する余地がない。
運の要素が強いもののかなりのテクニックが必須で、クリアできれば自慢できるキティに比べ、
いくら進めても暇だったことしか誇れないプーペのほうが一歩劣ると判断された。

以上の点で、非常に僅差ではあるがプーペガールが2010年のクソゲーオブザイヤーにふさわしいと判断した。

振り返ってみれば、2010年は激動の一年だった。
新年の時点で前年の覇者SSαが発売ラッシュを仕掛けてくることがわかっていて、
例年なら「去年ほどのクソゲーは生まれないのではないか」という不安から始まるKOTYが
「今年もSSαに取られるのか」という危惧で始まるという異常事態からスタートした。

しかし、蓋を開けてみれば実際にSSαから強力なソフトが複数出たものの、ハローキティ、
どんだけスポーツ、そしてプーペガールという強力なソフトたちが駆け付け、
互角以上の戦いを見せてくれた。
これらを見ると、世の中にクソゲーの種は尽きることがないのだと悪い意味で胸が熱くなるのを感じた。

最後に、今回受賞したプーペガールDS2に次の言葉を送り、締めくくりたい。
「残念。PoupeegirlはPoopgirlになってしまった」

注)Poopには以下の意味があるので好きな意味を選んでください
1:ふん、うんち
2:まぬけ、馬鹿
3:(人が)疲れる;(約束などを)すっぽかす;(機械などが)止まる(+out)
4:情報、実情、内幕

2010年総評案3(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

総評3 ◆sOPFlbwxwpYK
以下の文章はどう扱おうと自由です。
ただし、ここへの上書きはご遠慮下さい。

2010年ワールドカップ南アフリカ大会で日本代表チームの奮闘により、列島が熱狂に包まれた。
だが光あるところに闇もまたある。クソゲーのチャンピオンを決定する戦いが、ひっそりと世間の片隅で行われていた。
携帯ゲーム板クソゲーオブザイヤー2010の開幕である。

それでは早速、厳しい選考を勝ち残ってきた代表達を紹介しよう。
まず選評が届き候補に名乗り出たのは、ドラスが販売した「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。
一見女児向けのゲームかと勘違いしてしまいそうだが、
キティちゃんを愛する超キティラーと呼ばれる女性キャラクターを人気イラストレーター達に描いてもらう、
「ハローキティといっしょ!」という企画の一環で、
どちらかと言えば大きいお友達向けのブロック崩しゲームである。
萌え絵を見てもらうだけで良かったはずだったこのゲーム、予想外にぶっ飛んでいた。

ボールがブロックに斜めに当たったのに垂直に落下してくる、
パドルの端でボールを拾ったはずなのに下へ落っこちてミスになる、
という物理法則的には正解だが、ブロック崩し的には不正解の斬新な仕様である。
ボールの挙動が予測しづらいのに加え、パドルの移動が遅い上に慣性が付き難易度がやたらと高い。

ステージ構成もかなり力が入っていて、
常人では反応できない速度でボールを跳ね返す反射ブロックが配置される、
その反射ブロックがパドルの真上に配置される、
弾幕を張る砲台ブロックが存在して最早シューティングゲーム、
ボールとパドル周辺以外が暗闇で隠される、
もちろん敵弾も隠される、
という風に色々と間違った仕掛けでプレイヤーを殺す気満々である。
最難関ステージに至っては「乱数調整をしてようやく一筋の光が見えてくる」と報告されるほどの鬼畜難易度で、
どうやらこのキティさん手加減というものを全く知らないらしい。
これらの事からKOTYスレでは、「鬼帝」もしくは「鬼帝さん」という素敵なニックネームで呼び親しまれる事となった。
また、大きいお友達が求めるイラストは全て既出な上に、
ゲーム内で貰える絵よりも汎用性の高いものが、PSストアにて1枚50円で購入可能であると付記しておく。

続いて選評が届いたのは、昨年の王者システムソフト・アルファーが放つシミュレーションゲーム「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊」である。
発売自体は鬼帝さんよりも半年近く早かったのだが、
バグによりシナリオが無限ループしてクリア不能となり、選評が遅れたという曰く付きの作品であった。
上級プレイヤーがなんとか突破方法を発見して、こうしてノミネートに漕ぎ着けた。
これだけでも充分な要素であるが、インターフェースの劣悪さやバグの多さも酷い。
敵側思考時間も最大5分と、セガサターン時代を彷彿させる。
ユニットを全く動かさなくてもクリアが可能なステージも存在し、
崩壊しているのは軍事バランスではなく、ゲームそのものだったのではないかと声を大にして言いたい。

そして、SSαの連撃「大戦略PERFECT ~戦場の覇者」の選評が届く。
インターフェースや敵思考時間はDS版と同じく劣悪。
そしてこちらもバグが多い。突然発生するフリーズは当たり前。
マイ部隊というプレイヤーオリジナル部隊が敵として登場したり、
脈絡も無く自国生産施設に謎の部隊が出現したり、
それを確認しようとするとPSPの電源が落ちたり、
とにかく進行に関わるバグが盛り沢山である。
再びKOTYの覇者になるべく、パーフェクトなクソゲーを送り込んで来たということなのだろうか。

クソゲーオブザイヤーでは年末に魔物が潜む。
使い古された言い回しではあるが、今年もやはり魔物が我々を待ち構えていた。それも2匹も。
1匹目はファミ通クロスレビューにて5・6・4・3計18点という素晴らしい低得点を叩き出した、
スターフィッシュ・エスディ販売の「どんだけスポーツ101」である。

海外ゲームのローカライズ版であるこの作品、
世界のスポーツ101種類を1本のソフトに集めたゲームだ。
101種類もあるという事で、メジャーなものから、
Google先生に聞かないと分からないマイナースポーツ、
これがスポーツなのかと小一時間問い詰めたくなるようなものまで幅広く網羅している。
問題は101種類どれもが携帯アプリゲームの出来損ないレベルで、
どれもが果てしなく面白くないという事であった。
その上、スポーツのルール無視や物理法則の無視も割と平然と行われる。
種目を選ぶインターフェースも悪く、ゲームルールの説明もいい加減な場合がありイライラが増幅される。
兎にも角にもつまらない、それが101個も揃ってまさに数の暴力。
小さいクソをどんだけ積み重ねても、結局は大きいクソの塊にしかならないという好例であろう。

もう1匹の魔物はアルヴィオンが開発販売の「プーペガールDS2」であった。
女性向けファッション着せ替えSNS「プーペガール」のDS版の第二弾。
前作はスレで名前すら出なかったが、残念ながらこうしてノミネート作として名を連ねた。
ゲーム内通貨のリボンを貰えるはずのファッションショーに出場しても全く貰えない、
一定期間ごとに開催されるはずのファッションショーが1回しか行われない、
22時間プレイしたご褒美が何故かリボン-15536、
それでリボンのトータルがマイナスになってしまったら事実上進行不能。
その他にも数えきれない程のバグが発覚し、作品本スレでは怨嗟の声が響き渡った。
メーカー側も流石に上記22時間バグには機敏に対応。リボンを大量に貰えるパスワードを公開した。
しかし、一部ユーザーは正しく入力してもエラーとなってリボンを全て獲得しきれず、残念ながら完璧な救済措置とはならなかった。
早急な対応は良かったものの、何ともお粗末な顛末を披露してくれた。

以上5本のソフトがクソゲー頂上決戦へ出場する代表選手に選ばれた。
どの作品もそれぞれが違うベクトルに突出していて丙丁付け難く、大賞選出は非常に困難を極めた。
中でもあまりの難易度にブロック崩しというジャンルとして崩壊している「鬼帝」、
数多のバグともっさりUIで戦略SLGとして崩壊している「大戦略PERFECT」、
バグのせいで収支バランスが壊れて着せ替えゲームとしての根本が崩壊している「プーペガール」、
これら3作品は最後の最後まで互角の戦いを繰り広げた。
度重なる議論の末に大賞へ選ばれたのは、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。

ブロック崩しゲームはビデオゲーム黎明期から既に確立されている歴史ある定番ジャンルで、
今やフリーゲームとして制作される事もある。
昨今の普通のゲームはMB~GBの容量を扱うのに対して、ブロック崩しは数KBから作成可能というジャンルで、高度な設計やプログラムは要求されない。
単純故に失敗しづらいはずなのに、「最高のテクニック」と「最高の幸運」を同時に要求される凶悪無比なクソゲーへ転落してしまった点が、
他作品よりも頭一つ抜けていると判断された。
同年に生まれてしまった作品同士の不幸な定め、非常に些細な差ではあるがこのように大賞が選定された。

振り返ってみれば、実力伯仲でハイレベルであった本年のクソゲーオブザイヤー。
狂った難易度の「ハローキティ」、相も変わらずSSαクオリティ炸裂の「両大戦略」、
小さいクソをこれでもかと詰め込んだ「どんだけスポーツ」、テストプレイをしたのかも疑わしい「プーペガール」、
ゲーム市場の主流が携帯ゲーム機に移ったと言われるようになって久しいが、それを象徴するような百花繚乱の様相を呈した。

最後に、長く続くブロック崩しゲームの歴史に「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」という腐った金字塔を打ち立てたドラスへこの言葉を贈って、クソゲーオブイヤー2010を締め括りたい。

Hello!KOTY!

2010年総評案4(プーペガールDS2)

総評4の人 ◆dybIMvianSX1

今となっては考えづらいことだが、2010年のクソゲーは不作となるのではないかと
予測されていた時期があった。その結果がどうであったか。驚愕すべき死屍累々たる地獄絵図を見よ。
詳細は選評に譲るとして、ここでは大まかな流れのみを記述することとしたい。

昨年のW受賞の衝撃も未だ覚めぬ2月25日、思えばこの時点で波乱の一端が既に始まっていたのだった。
その昨年の覇者たるSSαは早くも第二の刺客を放っていたのだ
(1月21日に発売された先の刺客「真・戦国天下統一~群雄たちの争乱~」は駄作どまりであり、
ここではとりあげない)。
DS「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」(システムソフト・アルファー)である。
なるほど適切なサブタイトルであると言わねばならぬ。番狂わせの余地はもはやなく、プレイヤーの
介在すら必要とせず決着が着くまでにこの世界における軍事バランスは崩壊しきっているのだから。
だが崩壊していたのはそれだけではなかった。
何が、と仔細にリストアップする必要があるだろうか?たった一言で済む。すなわち”全て”と。
とはいえ、そのブラックホールがごとき闇の深さははいかばかりか。報告の断片は届けども、
この深淵を覗いた生還者の具体的な証言が得られるのはしばらく後のこととなり、結果として
久しくなかった平穏の予感がスレを覆うのである。
むろんそのような甘い幻想はいずれ無残に打ち殺されることとなるのではあるが。

同日には、同じくDSの
「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」(ブロッコリー)もまた姿を現していた。
往年の人気TCGシリーズに材をとった(とは、実のところ正確な表現とは言いがたい。
理由は後述の通り)メディアミックス作品であるがやはりというか連綿と連なる
黒歴史に新たな頁を記す結果に終わった。
ゲームブックを標榜しつつ中身はノベルゲーム、その大きな構成要素であるところの
立ち絵、声をバグが彩る。タイトルを冠したメインテーマからしてクラシック曲の引用と
きては力の入れようが知れるというものだ。
とはいえ、購入者の関心は主に同梱カードに向けられており、”ゲーム”それ自体は
付属品に過ぎないのである。むしろゲームとしてというより、かの邪神モッコスの系譜に
連なるものとして解釈されるべきなのかもしれぬ。当初通常版が存在せず、のちにひっそりと発売という
点では異なるのだが(すなわち、”存在しないほうが喜ばれる”というわけだ。本年のクソゲーシーンにおいて
この要素はこののちもさまざまの形で幾度も現れることとなる。本体同梱版がAmazon専売、キャラゲーの意味を
成さないキャラ要素、苦痛にしかならない101種のボリュームと順調に悪化を重ね、ついには”本体”すらも
崩壊した怪物の出現――)


6月24にはSSαが新たな刺客を繰り出した。
PSP「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~(システムソフト・アルファー)」である。
彼らの目指す戦場がどこか、言わねばわからぬスレ民がいようか?総じて劣悪な
システム周りに鬼ロード・思考時間、バグは当然の如く完備。売りとされた新要素は
仕様とバグの両面で使い物にならないとくる。
さらには現実とも違えばゲーム的な嘘としてもおかしい各兵器の仕様。
歴戦の勇士たちでさえ一部操作法の解明に数ヶ月を要したというから相当なものだ。
もちろん別売り説明書など出るわけもないし、仮に出たからと言って少しも奥深くない
本作にとってそれがどうしたというのだ。
加えて異常なまでの読み込み回数がドライブの寿命を容赦なく削り、強制終了バグがハードに止めを刺す。
覇王に先んじて覇者を名乗ったのは冗談でもなんでもないと知らしめる恐怖の一本と呼ばねばならかった。

上半期にして既にこれだけの暴風雨が吹き荒れていたのであるが、大戦略に挑む果敢なるサルベージャーたちの
悲鳴は漏れ聞こえつつもこれら水面下の地獄絵図は長い間広く知られることがなくスレ民は、台風の目の中
3月11日発売のDS「RPGツクールDS」(エンターブレイン)がノミネートに相応しいか否かの議論を続けていたのである。
ツクールについてだが、ジャンルの特異性もあって結論は出ず、当時募集されていた作品コンテストの結果を待って
判定を下すこととなったのであるが、コンテストの成否が議論の俎上に上がることはついになかった。
来るべき地獄の使者がすべてを吹き飛ばしたのだから。


7月15日、今年も恐怖の帝王が降臨された。すなわち覇王鬼帝、地獄王鬼帝の異名をとる
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」(ドラス)陛下……いや、ここは時流に乗って閣下とお呼びしよう。
ハローキティとあるからには女児向けかと思われる向きもあるだろう。だがここで題材となっているのはキティそのものではなく、
キティファンである”大きなお友達”の女性――キティラーであることをお断りしておく。
人気イラストレーターたちの手になる美少女キャラを擁する企画「ハローキティといっしょ!」の
第一作として放たれたかの君は、だが明らかにゲームを超越したネオ生命体であらせられたのだった。
ブロック崩しという、古典的なゲームでありながら基本的な挙動がまず異様な振る舞いをお見せであった。
不可解なボールの反射と亀の歩みよりも遅いパドルの化学反応に不快指数は最初からクライマックス、
普通に遊べる前半はまだしも終盤に至って、丸い地球の住人のロースペックで対処できる領域を
逸脱した超難度ステージの数々がプレイヤーを待ち受ける。詳しくは選評を見ていただきたいが、
その難度の上げ方たるや、”〇〇ブロックをひたすら敷き詰める”といった稚拙な物ばかり。
諸氏の中にステージエディット機能のあるゲームで自分の作ったステージを友人に遊ばせた経験が
おありの方はいるだろうか。どんなステージを作ったか覚えておいでか?閣下が提示されたのはまさにそれなのだ。
ゲームはハード。よくも言ったものだ。よもや「ぼくのかんがえたむずかしいすてーじ」に
まともな解法があるとは読者諸氏もお思いではないだろう。高確率で発生する詰みシチュエーションの前に
頼るものは運のほかなく、また無間地獄を楽しめと言わんばかりにリトライ等のシステム周りばかりは快適であった。
ようやくクリアした末に下賜されるご褒美CGはといえば、既に公開済みのものが各キャラに一枚づつ。
さらには同じものが一枚50円の良心価格でPSP用の壁紙として販売されている。
ご褒美単体のほうが桁違いに安いものを褒美と呼べるのか?その深遠なる根源的問いかけがスレ民の心に突き刺さった。
スタッフロールもなく、あとはただエンドレスモードだけが待つこのゲームに終わりはない。
FC時代にはよくあったことだが、ただ絶望だけが臣下のゴールなのだ。
だが狂気とは時に人を強くひきつけるもの。多くのスレ民が憑かれたように
何の見返りもないことを十分に知りながら自ら陛下に膝を折ったことを付記しておく。
当初誰に向けて作られたものやらさっぱりわからなかった本作ではあるが、ここへきて「クソゲー需要」とでも
呼ぶべき奇妙な立ち位置を確立するに至ったのである。
失礼な物言いになるが、たとえ本作がブロック崩し、あるいはキャラゲーとして良作であったとしてどれほどの価値があっただろう。
本作が無価値?いいやとんでもない。本来持つはずだった小さな存在価値と引き換えに、
鬼帝陛下はより大きな価値を勝ち取られたのだ。
いまやクソゲーであることこそが陛下が陛下たる所以、大いなる存在価値でありまたアイデンティティである。
これは本年の他候補には到底成し得なかった、いや歴代KOTY候補作にさえ稀な快挙であり、
ある意味で本作はクソゲーの中のクソゲーとさえ言えるのかもしれない。


そしてかの有名な予言においても、大王が前兆に過ぎなかったことを思い出していただきたい。
11年を経た2010年のクソゲー界においても火星の王子、あるいは何かを間違えたユートピアが容赦なく牙を剥くのである。

大戦略はじめ、それまで報告のなかった上記作品たちの選評が次々届き始めたのもこの時期である。
鬼帝閣下の話題に沸きつつも埋もれたクソゲーたちが続々発掘される中、新たなクソゲーの報がもたらされたのは10月7日。
DS「天下一★戦国LOVERS DS」(ロケットカンパニー)である。
修羅の国・乙女の国に続いて携帯電話の国からの尖兵がついに来襲した瞬間であり、
ゲーム機作品とは次元の違うそのクオリティを存分に見せつけることとなった。
近年のかの帝国の覇道を見るにこのタイプのクソゲーが増えてくるだろうことは十分に予想される。
今後のクソゲー界の動向を占う上でも重要な一本といえよう。それでは肝心の内容はどうか?
女性向け恋愛ゲームの「忠実な」移植――とはいうものの9人の攻略キャラのうち最終シナリオまで
収録されているのが二人だけということもあり、事実上の体験版である。
ちなみに価格は5,040円(税込)、7,140円(税込)の限定版も存在する。
シナリオが完全でないのなら、では何が忠実なのか?いうまでもなくシステム周りである。
携帯ゲーム本編へ誘導する意図がある都合、変に快適にするわけにはいかなかったのであろうことは推察できるが、
わざわざDSで携帯電話並みのインターフェイスを体験する苦痛はいかばかりか。
完全オートセーブの選択肢ありノベルゲーというだけでもその凶悪さはご理解いただけるだろう。
だがシステムの劣悪さ、シナリオの出来がよくないのはかえって評価点といえるかもしれない。
プレイ済みの部分をも二重課金されながら、本編をやってみようという気になることはまずないだろうから。


12月16日……この日こそを運命の日と言わねばならぬ。
恐怖の帝王の存在が予言した年末の魔物がとうとうやってきたのだ。それも二体。

まずDS「どんだけスポーツ101」(スターフィッシュ・エスディ)。
改変の必要すらなく蔑称として機能するタイトルもどうかと思うが、実に的確なのだから仕方ない。
具体的な内容について言及する必要はあるまい。想像を少しも外れるものではないその内容は、
塵も積もればとはよくも言ったもの、101本のクソゲーで苦痛も百倍いやそれ以上の新たな無間地獄の
誕生であったとだけ述べるに留める。
なにより恐ろしいのは、本作が既発売海外作品のローカライズであるということである。
いったい発売元は何を思ってクソゲーであるとわかっている(わからないはずがあろうか?)これを輸入したのだ?
売れると思ったのか?そもこの売る気のないタイトルは何なのだ?
よもや洋ゲー信者にかのスタージョンの法則の一端を突きつけるためというわけではあるまい。
永遠に解けない謎がまたひとつ地球に生まれた。



そしてDS「プーペガールDS2」(アルヴィオン)である。
同名のアバター着せ替え機能を売りにしたSNSのDS版第二弾、昨年同時期に発売された前作はせいぜいが駄作どまりであったが、
今年もやってきたそれは遥かに進化を遂げていた。無論、負の方向に。
さて本作は着せ替えゲームである(擬似SNSについては機能していないため割愛する)。貯めたお金で衣装を購入し、コーディネイトに応じて
入ってくるお金でさらに高価くて可愛いお洋服を買う。そうして物欲とおしゃれ欲を満足させるゲームである。
実際序盤は何をしてもお金がもらえる。着替えたといっては25、初めて○○をしたといっては500といった具合に。
そして、子供向けだからというわけでもあるまいが、餓鬼道がここから始まる。そうした初物特典が尽きてくるのと
連動するように服のお値段は急激なインフレを始めるのだ。さらには主要な収入源かつゲーム要素となる
はずであったファッションショーがバグで機能しないため収入は激減の一途をたどり、内容はただ作業的な
着せ替えのみと化す。雀の涙ほどではあっても収入を得るためには、最新30件のみが保存されるスナップショットを
ひたすら撮りつづけねばならないため気に入った写真を残しておくことも出来ない。ワイヤレス通信プレイでは
それなりの収入を確保できるのだが、よもやそれがSNSの再現というわけではあるまい。そうして泥水を啜るような苦労の末には、
プレイ時間ボーナスと称して大金を没収されるのだ。
本来ボーナスであったものがオーバーフローバグで大幅なマイナスに変貌した結果であり、またこれは
フリーズのトリガーともなった。果ては着せ替えアバターそのものまでがバグり、ホラーゲームさながらの様相を呈する始末。

ところで、2バージョン発売された本作であるが、バージョンによって初回特典および連動特典として配布される
原作用衣装が異なるとされている。そして、ここへきて本体ともいえる特典にも問題が発生した。
品質は別として、初回特典の入手については問題ない。だが作中でコードを入手できる連動特典についてはそうでなかった。
なにしろ入手条件自体が不明確である。5種類あるそれらを満たすための労力についてはもはや記述する必要を感じない。
そうしてようやく入手したコードを使用すると、同時に購入したバージョンの記入を要求される。
そう、発行されるコードは完全に本体のみに依存しており、すなわちバージョンの情報を含んでいないのだ。
意味するところについて言及の必要はあるまい。
この問題に対し、”双方の特典が欲しければ(ソフトではなく)ハードを二つ買え”等の迷言を経てメーカーサイドは
全コードの配布に踏み切ったのであるが、それを救済と取るか購入者に唾する行為と取るかは各人に任せたい。


以上が今年の候補作となる。
ノベルゲーム、さらに遡ってブロック崩しといわば枯れたジャンルにもかかわらず
システムレヴェルで破綻を見せるアクエリアンエイジ、鬼帝閣下、戦国LOVERS。
バグこそないもののひたすら物量と内容そのものの稚拙さで押すどんだけスポーツ。
バグの乱れ撃ちがコンセプトの中心を見事に射抜くプーペ。
あれは容量が足りないこれはバグでつかえないそれは実装していない、と、台所の包丁の喩えを具現化したが如きツクール。
お馴染みと化してインパクトこそは薄いが、覚悟完了した人間さえあっさりと下す両大戦略も見逃せない。
”例年なら文句なく大賞”とはここ数年毎年のようにいくつものクソゲーに対して言われることではあるが、
やはり今年も――いや、今年こそはと言わねばならぬ。素人裸足の完成度を誇るクソゲーが熾烈な底辺争いを
繰り広げ、選考は困難を極めたのである。激しい議論の末に最後に残ったのは以下の四本。

まず注目が集まったのは鬼帝閣下であった。バグは特になく、インターフェイス面も良好と言っていい。
にもかかわらずあの完成度である。悪意ある調整といった評価も多く見られたがそうではないだろう。
敷き詰め、弾幕、暗闇その他もろもろ、難度の上げ方の発想自体が素人のそれなのだ。
調整の壊れようではプーペも負けてはいない。ソロプレイで収入がほとんど得られないのはメーカー発表に
よると”仕様”とのことだがどう見ても(一部については原因まで推測できるのだから)バグとしか
思われないためここでは一旦除外しよう。だがそれでもなお収支バランスは崩壊しきっているという
ほかないのである。件のマイナスボーナスにしてもそもそもは、一律ボーナスで物価高騰に対処しようと
いう安易な姿勢ゆえのものだ。
豊富なバグが主に取り沙汰されるプーペであるが、バグ抜きでもバランスの崩壊という観点で十分鬼帝閣下と
戦える素材であると判定して差し支えあるまい。
そこへ先程は保留したバグが加点される。数少ない収入源をことごとく潰し、ようやく買った衣装を着れば
立ち絵が崩壊。収集・着せ替えというメインコンセプト二点を見事に破壊せしめているのだ。良作ならざるもの、
商品ならざるものであったプーペは今こそ言われなければならないだろう。ゲームならざるものともなった、と。
異様な反射角を擁すれどもブロック崩しを全否定するにはかろうじて至らず、ゲームの枠内に踏みとどまることに
成功した鬼帝閣下とくらべ、よりクソゲーであるといえよう。

では、もはや無双の必要すらない低難度とユニットの機能不全を擁する両大戦略と比べてどうなのか、という声もあるだろう。
確かにゲームと呼ぶのはいささか憚られるまでに崩壊したこの二作もまた、最後のステージに上がるに相応しい。
であればその問には次の点をもって答えよう。すなわち、プーペにおいて唯一の評価点とも言える洋服デザインである。
本来ならクソゲー度を低からしめるそれは、しかし本作においてはそうでない。
いかにも物欲をそそるそれらがどれほどの高嶺にあるか、これ以上繰り返すこともないだろう。
誰がゲームの中でまでウインドウショッピングを楽しみたいものか。全てが見た目通りのクソである大戦略に対し
美点こそがクソ要素と呼ぶほかないこのことをもって、プーペの勝ちと判断するものである。

理由は以上だ。「プーペガールDS2」を2010年の大賞としたい。
これ以上付け加えることは何も無いが、最後にプーペ――”人形”にちなんだ
一首を添えて2010年のクソゲーオブザイヤーを締め括ることとしよう。

『石塊の高嶺に掲げよ錦旗 襤褸を纏へり人形われは』

2010年総評案4.5(プーペガールDS2)

総評4の人 ◆dybIMvianSX1
総評案4をベースにして他評からいくつかの文章をお借りしました。

今となっては考えづらいことだが、2010年のクソゲーは不作となるのではないかと予測されていた時期があった。
その結果がどうであったか。驚愕すべき死屍累々たる地獄絵図を見よ。
詳細は選評に譲るとして、ここでは大まかな流れのみを記述することとしたい。

昨年のW受賞の衝撃も未だ覚めぬ2月25日、思えばこの時点で波乱の一端が既に始まっていたのだった。
その昨年の覇者たるSSαは早くも第二の刺客を放っていたのだ
(1月21日に発売された先の刺客「真・戦国天下統一~群雄たちの争乱~」は駄作どまりであり、
ここではとりあげない)。
DS「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」(システムソフト・アルファー)である。
なるほど適切なサブタイトルであると言わねばならぬ。番狂わせの余地はもはやなく、プレイヤーの
介在すら必要とせず決着が着くまでにこの世界における軍事バランスは崩壊しきっているのだから。
だが崩壊していたのはそれだけではなかった。
何が、と仔細にリストアップする必要があるだろうか?たった一言で済む。すなわち”全て”と。
バグによりシナリオが無限ループし、クリア不能なため選評が遅れたという曰く付きの作品であり、
深淵に沈むその実体は現代どころか云十年前で時が止まったかのような代物なのだった。
無限ループバグを回避しクリアするためには、戦闘開始直後に即降伏する「土下座外交」が事実上必要不可欠など、
SLGの根幹を成す「戦略」がメタ的に要求されるため、本作が軍事バランスよりもゲームとして
崩壊していることがよく分かる。
上記バグのみでもノミネートに足る逸材であるが、もちろん他にも進行を妨げるバグを数多く搭載し、
インターフェースも劣悪で敵の思考時間がやたら長いと隙はなく、前年王者の貫禄を見せ付けた。
とはいえ、そのブラックホールがごとき闇の深さははいかばかりか。報告の断片は届けども、
生還者の具体的な証言が得られるのはしばらく後のこととなり、結果として久しくなかった平穏の予感がスレを覆うのである。
むろんそのような甘い幻想はいずれ無残に打ち殺されることとなるのではあるが。

同日には、同じくDSの
「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」(ブロッコリー)もまた姿を現していた。
往年の人気TCGシリーズに材をとった(とは、実のところ正確な表現とは言いがたい。
理由は後述の通り)メディアミックス作品であるがやはりというか連綿と連なる
黒歴史に新たな頁を記す結果に終わった。
ゲームブックを標榜しつつ中身はノベルゲーム、その大きな構成要素であるところの
立ち絵、声をバグが彩る。タイトルを冠したメインテーマからしてクラシック曲の引用と
きては力の入れようが知れるというものだ。
とはいえ、購入者の関心は主に同梱カードに向けられており、”ゲーム”それ自体は
付属品に過ぎないのである。むしろゲームとしてというより、かの邪神モッコスの系譜に
連なるものとして解釈されるべきなのかもしれぬ。当初通常版が存在せず、のちにひっそりと発売という
点では異なるのだが(すなわち、”存在しないほうが喜ばれる”というわけだ。本年のクソゲーシーンにおいて
この要素はこののちもさまざまの形で幾度も現れることとなる。キャラゲーの意味を
成さないキャラ要素、苦痛にしかならない101種のボリュームと順調に悪化を重ね、ついには”本体”すらも
破綻した怪物の出現――)


6月24にはSSαが新たな刺客を繰り出した。
PSP「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~(システムソフト・アルファー)」である。
彼らの目指す戦場がどこか、言わねばわからぬスレ民がいようか?総じて劣悪な
システム周りに鬼ロード・思考時間、バグは当然の如く完備。売りとされた新要素は
仕様とバグの両面で使い物にならないとくる。
さらには現実とも違えばゲーム的な嘘としてもおかしい各兵器の仕様。
歴戦の勇士たちでさえ一部操作法の解明に数ヶ月を要したというから相当なものだ。
もちろん別売り説明書など出るわけもないし、仮に出たからと言って少しも奥深くない
本作にとってそれがどうしたというのだ。
では当然のように存在するバグ達を、簡単にだが紹介していこう。
まずは、ステージをクリアしたらフリーズ、他にも敵ターンが終わったらフリーズ、部隊の戦闘が終わったらフリーズ、
果てはただボタンを押しっぱなしにしたらフリーズ、つまりありとあらゆる場面でフリーズする危険性がある。
また、この作品にはマイ部隊というプレイヤーオリジナル部隊を編成する機能があるのだが、
部隊が損耗したままクリアすると現在値が最大値に上書きされたり、別の時には自国内で敵となってみたり、
そのままセーブすると取り返しが付かなかったりと、ひたすらバグの温床となっており、運用するだけでトラブル続きである。
他にも、自国生産設備に無名ユニットが発生してスペースを圧迫することがあり、
ましてやその無名ユニットに触れようものなら、PSP本体を巻き込み電源が落ちてしまう。
とにかく些細な物から進行に関わる物、心臓に悪い物までバグのオンパレードで、「ただプレイする」ことすらままならない。
覇王に先んじて覇者を名乗ったのは冗談でもなんでもないと知らしめる恐怖の一本と呼ばねばならかった。

上半期にして既にこれだけの暴風雨が吹き荒れていたのである。だが大戦略に挑む果敢なるサルベージャーたちの
悲鳴は漏れ聞こえつつもこれら水面下の地獄絵図は長い間広く知られることがなくスレ民は、台風の目の中
3月11日発売のDS「RPGツクールDS」(エンターブレイン)がノミネートに相応しいか否かの議論を続けていたのである。
ツクールについてだが、ジャンルの特異性もあって結論は出ず、当時募集されていた作品コンテストの結果を待って
判定を下すこととなったのであるが、コンテストの成否が議論の俎上に上がることはついになかった。
来るべき地獄の使者がすべてを吹き飛ばしたのだから。

そう7月15日、今年も恐怖の帝王が降臨されたのである。大戦略はじめ、それまで報告のなかった
上記作品たちの選評が次々届き始めたのも同時期であり、2010年クソゲーオブザイヤー真の始まりを
告げるかのごとく、候補作のプログラマーたちがハローワールドを学ぶ際に誤って打ったであろうフレーズが
ここに響き渡った瞬間であった。

”Hello!KOTY!”!!

恐怖の帝王、すなわち仔猫の皮を被った鬼帝。その名こそは覇王鬼帝、地獄王鬼帝の異名をとる
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」(ドラス)陛下……いや、ここは時流に乗って閣下とお呼びしよう。
ハローキティとあるからには女児向けかと思われる向きもあるだろう。だがここで題材となっているのは
キティそのものではなく、キティファンである”大きなお友達”の女性――キティラーであり、
人気イラストレーターたちの手になる美少女キャラを擁する企画「ハローキティといっしょ!」の第一弾である。
だがかの君の有り様は明らかにゲームを超越したネオ生命体であらせられたのだった。
帝王に相応しく、その得物はただの一点。即ち”理不尽”。
ブロック崩しという、古典的なゲームでありながら基本的な挙動がまず異様な振る舞いをお見せであった。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点、また絶妙なパドルの遅さと慣性・終盤に登場する弾幕・凶悪なクリア条件も相まって
不快指数は最初からクライマックス、終盤に至っては丸い地球の住人のロースペックで対処できる領域を
軽々と逸脱した超難度ステージの数々がプレイヤーを待ち受ける。詳しくは選評を見ていただきたいが、
その難度の上げ方たるや、”〇〇ブロックをひたすら敷き詰める”といった稚拙な物ばかり。
諸氏の中にステージエディット機能のあるゲームで自分の作ったステージを友人に遊ばせた経験が
おありの方はいるだろうか。どんなステージを作ったか覚えておいでか?閣下が提示されたのはまさにそれなのだ。
ゲームはハード。よくも言ったものだ。よもや「ぼくのかんがえたむずかしいすてーじ」に
まともな解法があるとは読者諸氏もお思いではないだろう。高確率で発生する詰みシチュエーションの前に
頼るものは運のほかなく、また無間地獄を楽しめと言わんばかりにリトライ等のシステム周りばかりは快適であった。
ようやくクリアした末に下賜されるご褒美CGはといえば、既に公開済みのものが各キャラに一枚づつ。
さらには同じものが一枚50円の良心価格でPSP用の壁紙として販売されている。
ご褒美単体のほうが桁違いに安いものを褒美と呼べるのか?その深遠なる根源的問いかけがスレ民の心に突き刺さった。
スタッフロールもなく、あとはただエンドレスモードだけが待つこのゲームに終わりはない。
FC時代にはよくあったことだが、ただ絶望だけが臣下のゴールなのだ。
だが狂気とは時に人を強くひきつけるもの。多くのスレ民が憑かれたように
何の見返りもないことを十分に知りながら自ら陛下に膝を折ったことを付記しておく。
当初誰に向けて作られたものやらさっぱりわからなかった本作ではあるが、ここへきて「クソゲー需要」とでも
呼ぶべき奇妙な立ち位置を確立するに至ったのである。
失礼な物言いになるが、たとえ本作がブロック崩し、あるいはキャラゲーとして良作であったとしてどれほどの価値があっただろう。
本作が無価値?いいやとんでもない。本来持つはずだった小さな存在価値と引き換えに、
鬼帝陛下はより大きな価値を勝ち取られたのだ。
いまやクソゲーであることこそが陛下が陛下たる所以、大いなる存在価値でありまたアイデンティティである。
これは本年の他候補には到底成し得なかった、いや歴代KOTY候補作にさえ稀な快挙であり、
ある意味で本作はクソゲーの中のクソゲーとさえ言えるのかもしれない。

そしてかの有名な予言においても、大王が前兆に過ぎなかったことを思い出していただきたい。
11年を経た2010年のクソゲー界においても火星の王子、あるいは何かを間違えたユートピアが容赦なく牙を剥くのである。


鬼帝閣下の話題に沸きつつも埋もれたクソゲーたちが続々発掘される中、新たなクソゲーの報がもたらされたのは10月7日。
DS「天下一★戦国LOVERS DS」(ロケットカンパニー)である。
修羅の国・乙女の国に続いて携帯電話の国からの尖兵がついに来襲した瞬間であり、
ゲーム機作品とは次元の違うそのクオリティを存分に見せつけることとなった。
近年のかの帝国の覇道を見るにこのタイプのクソゲーが増えてくるだろうことは十分に予想される。
今後のクソゲー界の動向を占う上でも重要な一本といえよう。それでは肝心の内容はどうか?
女性向け恋愛ゲームの「忠実な」移植――とはいうものの9人の攻略キャラのうち最終シナリオまで
収録されているのが二人だけということもあり、事実上の体験版である。
ちなみに価格は5,040円(税込)、7,140円(税込)の限定版も存在する。
シナリオが完全でないのなら、では何が忠実なのか?いうまでもなくシステム周りである。
携帯ゲーム本編へ誘導する意図がある都合、変に快適にするわけにはいかなかったのであろうことは推察できるが、
わざわざDSで携帯電話並みのインターフェイスを体験する苦痛はいかばかりか。
完全オートセーブの選択肢ありノベルゲーというだけでもその凶悪さはご理解いただけるだろう。
だがシステムの劣悪さ、シナリオの出来がよくないのはかえって評価点といえるかもしれない。
プレイ済みの部分をも二重課金されながら、本編をやってみようという気になることはまずないだろうから。


12月16日……この日こそを運命の日と言わねばならぬ。
恐怖の帝王の存在が予言した年末の魔物がとうとうやってきたのだ。それも二体。

まずDS「どんだけスポーツ101」(スターフィッシュ・エスディ)。
改変の必要すらなく蔑称として機能するタイトルもどうかと思うが、実に的確なのだから仕方ない。
マイナースポーツを取り入れるのはいいが、再現する意思すら感じられない携帯アプリゲームの出来損ないレベル、
スポーツのルールや物理法則もどこ吹く風といった具合だ。
想像してみていただきたい。それが101種。
その想像は寸分の互いもなく精確であろう。塵も積もればとはよくも言ったもの、101本のクソゲーで
苦痛も百倍いやそれ以上の無間地獄がここにあった。
なにより恐ろしいのは、本作が既発売海外作品のローカライズであるということである。
いったい発売元は何を思ってクソゲーであるとわかっている(わからないはずがあろうか?)これを輸入したのだ?
売れると思ったのか?そもこの売る気のないタイトルは何なのだ?
よもや洋ゲー信者にかのスタージョンの法則の一端を突きつけるためというわけではあるまい。
永遠に解けない謎がまたひとつ地球に生まれた。



そしてDS「プーペガールDS2」(アルヴィオン)である。
同名のアバター着せ替え機能を売りにしたSNSのDS版第二弾、昨年同時期に発売された前作はせいぜいが駄作どまりであったが、
今年もやってきたそれは遥かに進化を遂げていた。無論、負の方向に。
さて本作は着せ替えゲームである(擬似SNSについては機能していないため割愛する)。貯めたお金で衣装を購入し、コーディネイトに応じて
入ってくるお金でさらに高価くて可愛いお洋服を買う。そうして物欲とおしゃれ欲を満足させるゲームである。
実際序盤は何をしてもお金がもらえる。着替えたといっては25、初めて○○をしたといっては500といった具合に。
そして、子供向けだからというわけでもあるまいが、餓鬼道がここから始まる。そうした初物特典が尽きてくるのと
連動するように服のお値段は急激なインフレを始めるのだ。さらには主要な収入源かつゲーム要素となる
はずであったファッションショーがバグで機能しないため収入は激減の一途をたどり、内容はただ作業的な
着せ替えのみと化す。雀の涙ほどではあっても収入を得るためには、最新30件のみが保存されるスナップショットを
ひたすら撮りつづけねばならないため気に入った写真を残しておくことも出来ない。ワイヤレス通信プレイでは
それなりの収入を確保できるのだが、よもやそれがSNSの再現というわけではあるまい。そうして泥水を啜るような苦労の末には、
プレイ時間ボーナスと称して大金を没収されるのだ。
本来ボーナスであったものがオーバーフローバグで大幅なマイナスに変貌した結果であり、またこれは
フリーズのトリガーともなった。果ては着せ替えアバターそのものまでがバグり、ホラーゲームさながらの様相を呈する始末。
プーペというよりはプー屁、もしくはPoopの名こそが相応しい内容であった。

ところで、2バージョン発売された本作であるが、バージョンによって初回特典および連動特典として配布される
原作用衣装が異なるとされている。そして、ここへきて本体ともいえる特典にも問題が発生した。
品質は別として、初回特典の入手については問題ない。だが作中でコードを入手できる連動特典についてはそうでなかった。
なにしろ入手条件自体が不明確である。5種類あるそれらを満たすための労力についてはもはや記述する必要を感じない。
そうしてようやく入手したコードを使用すると、同時に購入したバージョンの記入を要求される。
そう、発行されるコードは完全に本体のみに依存しており、すなわちバージョンの情報を含んでいないのだ。
意味するところについて言及の必要はあるまい。
この問題に対し、”双方の特典が欲しければ(ソフトではなく)ハードを二つ買え”等の迷言を経てメーカーサイドは
全コードの配布に踏み切ったのであるが、それを救済と取るか購入者に唾する行為と取るかは各人に任せたい。


以上が今年の候補作となる。
プログラム、ゲームバランス、コンセプト、果ては企業態度。
とにかくもあちらこちらそなたこなたの崩壊が目立つ一年であった。
ノベルゲーム、さらに遡ってブロック崩しといわば枯れたジャンルにもかかわらず
システムレヴェルで破綻を見せるアクエリアンエイジ、鬼帝閣下、戦国LOVERS。
バグこそないもののひたすら物量と内容そのものの稚拙さで押すどんだけスポーツ。
バグの乱れ撃ちがコンセプトの中心を見事に射抜くプーペ。
お馴染みと化してインパクトこそは薄いが、覚悟完了した人間さえあっさりと下す両大戦略も見逃せない。
”例年なら文句なく大賞”とはここ数年毎年のようにいくつものクソゲーに対して言われることではあるが、
やはり今年も――いや、今年こそはと言わねばならぬ。素人裸足の完成度を誇るクソゲーが熾烈な底辺争いを
繰り広げ、選考は困難を極めたのである。激しい議論の末に最後に残ったのは以下の四本。

まず注目が集まったのは鬼帝閣下であった。バグは特になく、インターフェイス面も良好と言っていい。
にもかかわらずあの完成度である。悪意ある調整といった評価も多く見られたが悪ノリといった方が正確だろう。
敷き詰め、弾幕、暗闇その他もろもろ、難度の上げ方の発想自体が素人のそれなのだ。
調整の壊れようではプーペも負けてはいない。ソロプレイで収入がほとんど得られないのはメーカー発表に
よると”仕様”とのことだがどう見ても(一部については原因まで推測できるのだから)バグとしか
思われないためここでは一旦除外しよう。だがそれでもなお収支バランスは崩壊しきっているという
ほかないのである。件のマイナスボーナスにしてもそもそもは、一律ボーナスで物価高騰に対処しようと
いう安易な姿勢ゆえのものだ。
豊富なバグが主に取り沙汰されるプーペであるが、バグ抜きでもバランスの崩壊という観点で十分鬼帝閣下と
戦える素材であると判定して差し支えあるまい。
そこへ先程は保留したバグが加点される。数少ない収入源をことごとく潰し、ようやく買った衣装を着れば
立ち絵が崩壊。収集・着せ替えというメインコンセプト二点を見事に破壊せしめているのだ。良作ならざるもの、
商品ならざるものであったプーペは今こそ言われなければならないだろう。ゲームならざるものともなった、と。
異様な反射角を擁すれどもブロック崩しを全否定するにはかろうじて至らず、ゲームの枠内に踏みとどまることに
成功した鬼帝閣下とくらべ、よりクソゲーであるといえよう。

では、もはや無双の必要すらない低難度とユニットの機能不全を擁する両大戦略と比べてはどうなのか。
確かにゲームと呼ぶのはいささか憚られるまでに崩壊したこの二作もまた、最後のステージに上がるに相応しい。
であればその問には次の点をもって答えよう。すなわち、プーペにおいて唯一の評価点とも言える洋服デザインである。
本来ならクソゲー度を低からしめるそれは、しかし本作においてはそうでない。
いかにも物欲をそそるそれらがどれほどの高嶺にあるか、これ以上繰り返すこともないだろう。
誰がゲームの中でまでウインドウショッピングを楽しみたいものか。全てが見た目通りのクソである大戦略に対し
美点こそがクソ要素と呼ぶほかないこのことをもって、プーペの勝ちと判断するものである。


理由は以上だ。バグ・バランス・コンセプト・企業態度。全てにおいて崩壊を見せ、
さらには評価点すらも自ら破壊してしまった「プーペガールDS2」に2010年の大賞を贈りたい。
最後にナーサリーライムの替え歌を添えて2010年のクソゲーオブザイヤーを締め括ることとしよう。

クリスマスの八日目に
あのひとが私にくれたのは
八本のクソゲーと
七回のループ
六枚の同じ立ち絵に
五度のフリーズ
四基の砲台
三通の請求書
二つの塵の山
それと一度ではとても済まない数々の怒号

2010年総評案5(プーペガールDS2)

総評5の人  ◆QID910Dxuk

2009年の携帯版KOTYは修羅の国からの侵攻により決着を迎えた。
だがそれは這い寄る混沌の始まりを告げる幕開けでしかなかった…。

2010年でまず大きな話題となったのはまさかのツクールシリーズから、最新作「RPGツクールDS」である。
技の属性がない、状態異常に対しての耐性が設定できない、変数が使えない、転職ができないなど、
発売前から不安要素の塊であったが実際は想像以上の代物だった。
魔法攻撃力、魔法防御力を設定できない、レベルと特技習得が不可逆、加えてバグの山…しかしそれらより大きな問題があった。
とにかく制作に使えるデータ容量が不足しているのだ。フルで作ればGBA版の半分程度の密度にはできるのだが、
近作の目玉であるダウンロードプレイ用に作ろうとすればあっという間に容量が埋まっていき、街やダンジョンをひとつ作るだけで限界になってしまう。
数々の設定不可の仕様と合わせて、ソードマスターヤマトでも量産しろと言わんばかりの内容にシリーズ愛好者らはあきれ果てた。

春が過ぎ、魔物の季節である夏の頭、6月にそれは現れた。昨年の王者SSαより送り込まれた戦略SLG「大戦略PERFECT~戦場の覇者~」。
その中身はKOTYという戦場の覇者たらんとする意気込みに溢れるパーフェクトな出来映えであった。
まず編に全編に渡って最悪のキーレスポンスと長く且つ頻発するロード時間、数分は余裕な敵ターンの長考、
ユニット情報を見るのにも一苦労するシステム設計といった部分でプレイヤーの時間と精神をゴリゴリ削ってくる。
SSαお得意のバグも勿論大量に存在し、ありとあらゆる場面でフリーズが発生。
ボタンを押しっぱなしにしたり連打しているとフリーズの確率が上がるという、先述のイラつかせる仕様とのしたたかな連携攻撃となっている。
プレイヤーが好きに編成できる「マイ部隊」が敵陣にいることなどよくある光景。
極めつけは突如出現する謎の味方部隊を調べようとするとPSP本体の電源が強制的に落ちてしまうという恐怖のブービートラップ。
戦意喪失を促す精神攻撃、圧倒的バグの物量戦、心臓部を直接狙う内部工作、とまさに完璧な戦術を見せつけた。

それにつられるかのようにクソの全貌が明らかになった「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」も見逃せない。またSSαである。
戦闘の前にプレイヤーの心が一触即発な出来であることは、選評がまとまるまで半年近くを要した事実でも明らかだろう。
不親切な説明書やシステム、操作性の悪さなどは当たり前と言わんばかりに網羅しており敵ターンの長考とフリーズも完備。
戦闘画面が意味不明だがそれ以前にユニット情報が理解不能、空母や揚陸艦からは港からでしか出撃できないなどいろいろおかしいので些細なこと。
自信があると公言しているシナリオもお粗末なものばかりで軍事バランスどころかゲームそのものが崩壊している有様だった。

さらに真夏の中、陽炎の如く出現した不気味な影がひとつ。通称鬼帝こと「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」がドラスより発売された。
タイトルにキティとあるがこのゲームにでてくるキャラは「キティラー」と呼ばれる女の子のことで、著名な萌え絵師が多数参加しデザインしている。
サンリオの企画でこのゲームもそのうちの一つなのだが、「見た目はキュートだけどゲームはハード!?」という煽り以上の鬼畜っぷりを発揮してしまった。
ジャンルはタイトル通りブロック崩しなのだが…難易度が想像を絶する理不尽さだったのだ。
パドルの動作が異常に重く、ボールに追いつけないことなど序の口。おそらく一番プレイヤーを苦しませるのがボールの奇天烈な挙動で、
斜めにブロックに当てたのに直下方向に反射したりパドルの側面にぶつかって下に落ちたり散々である。
ステージ構成も陰湿。当たるとミスになる弾を発射する砲台ブロック、プレイヤーの反応を超える速度をボールに与える加速ブロックが特に厄介。
また、ステージが暗闇だったりパドルが円形になったり特殊な状況での操作も余儀なくされる。時にはこれらが複数組み合わさってプレイヤーに襲い掛かる。
一番難易度が高いといわれているステージにいたっては乱数調整も視野に入れなくてはならないほどの運ゲーであるが、それに加えて
このゲーム専用のテクニックまで要求されてはたまったものではない。崩したのはブロックではなく「ブロック崩し」というジャンルそのものだったのだ。
やっとの思いでクリアしても得られるのは使いまわしのイラスト。同じテーマが50円でDL販売されているため価値は無いにも等しい。
おまけにスタッフロールは存在しないのでこのゲームを作ったのが誰かもわからない。

後に選評が届き評価されたTCG原作の版権ものゲームブック、「アクエリアンエイジ」はゲームブックですらないまさかのジャンル詐欺。
ただのADVなのだがこれまた酷くスチールの表示が狂ったり、音ズレしたり、再現性の高いデータ消失バグがあったりと至れり尽くせり。
デバックなどろくにしていない体制がみえみえである。当然シナリオはお察し。
秋に発売された乙女ゲー「天下一★戦国LOVERS DS」も詐欺のテイストを醸し出していた。
携帯アプリからの移植ADVなのだが、凄まじく遅いスキップ速度、オートセーブという極悪仕様の上にキングクリムゾンなシナリオ、
あげく登場人物の9人中2人しか攻略できず、残りは携帯アプリで課金しろというまさかの有料体験版。
両ソフトとも開発費を回収できればいいという昨今のゲーム開発にありがちな志向が顕著な例だろう。

そんな腐った考えを究極にまで体現しようという猛者が年末の魔物として降臨した。その名は「プーペガールDS2」。
所謂「着せ替えゲーム」で、アバターに服を着せたり街に出て服を買ったりするのが基本のゲームだが、
そんなもの楽しませてなるものかとばかりにバグとフリーズのファッションショーが待ち受けていた。
特に酷いのが22時間バグ。服の購入にはお金の代わりにリボンというものを使うのだがゲーム開始から22時間が経過すると
問答無用で-15536される再現100%の凶悪さ。所持リボン数がマイナスの状態で外出するとフリーズ、という進行不能状態に陥る。
抜け出す方法や公式HPでのフォローもあるが完全ではなく、ネットをやらないお子様には敷居が高い。
着せ替え中にグラフィックがグロ画像さながらに変容するという冗談抜きで女児涙目のバグもある。細かいバグを挙げていけばキリがない。
続編であること、クリスマスシーズンに投入されたことから被害者の数は相当数だと思われる。
メインターゲットである女性や幼い子供を狙い打ちにした悪質さにスレ住人も心を痛めた。

同じ日に発売された海外からのローカライズソフト、「どんだけスポーツ101 」も無視できない一品だ。
その滑稽なタイトルとファミ通レビューで3点をつけられる前評判から既に地雷臭が漂ってくる。
内容は世界の101種類のスポーツが一つのソフトで遊べるというものだがどれも無料ゲーム以下のレベルで一様につまらない。
タッチペン操作も単調、操作方法が判り難かったり操作しなくてもクリアできたりやる気が感じられないものばかり。
中にはルールを歪めていたり明らかに物理法則を無視しているものまであるので資料としての価値もないだろう。
クソがいくら集まろうがクソでしかないということを再確認させてくれた。

次々と襲来する個性豊かなクソゲー達を相手に大賞選考は難儀を極めスレは紛糾した。
いったいどれが大賞にふさわしく、そしてふさわしくないのか…。
特に有力だったのは「大戦略PERFECT」「鬼帝」「プーペ」の三者。
しかし、大戦略は戦略SLGの取っ付きづらさとゲーム進行が困難な点で逆に評価の幅を狭めてしまった。
最終的には鬼帝とプーペでの一騎打ちの形となり、壮絶な議論が交わされ続けた。

それでは大賞を発表しよう。この不毛な激闘を制したのは…「プーペガールDS2」である。

鬼帝は往年のクソゲーを思い出させるような「笑える理不尽ゲー」というカリスマ性が人気を博した。
バグもロード時間もない基本設計の快適さ、キャラの可愛さに反した悪意あるステージ構成というギャップも他にはない魅力であった。
後腐れなくネタにでき、爽やかな笑いをもたらす姿はスレ内外を問わず多大な存在感を示した。
しかし、インターフェイスの完成度の高さがここにきてマイナスポイントとなってしまった。
一方プーペはバグと企業問題という、鬼帝とは真逆の陰険な様相だった。
また、それらが目立ってはいるが根本的なゲーム性が破綻している点が、最終的な決め手となったのだ。
上がり続ける物価に財政難。リボンを稼ぐために着せ替えの作業プレイをするハメになる。
その着せ替えもインターフェイスの不親切さ、タッチ操作のやり難さでイラつかせる。
DSソフトにもかかわらず長いロード時間、とシステム仕様の時点でおかしく、前述のバグ、フリーズと合わせて着せ替え楽しむどころではなかった。
説明書には4週間に1度あると書かれているファッションショーが実は一度きりでリボンも得られない、というスタッフ曰く「説明書の誤記」。
重要視されていた購入特典データの不具合、パスコード誤認識といったところでもユーザーを混乱させ、全方面で後味の悪さを見せつけた。

KOTYスレを選考と推敲の無間地獄へといたらしめた両者の争いはこの先も語り継がれることだろう。
振り返れば2010年携帯版KOTYは大賞級の作品がズラリとならぶ盛況、競争に敗れた者達も普段なら即受賞でおかしくない逸材ばかりであった。
小康状態だった同年の据え置き版と比べると、主戦場が携帯機に移りつつあるゲーム市場の変遷を暗示しているかのように見える。
ゲームある所クソゲーあり…来年からはさらなる激戦が展開されることを思わせる一年であった。
最後に、プーペガールDS2をこの世に産み堕としたアルヴィオンに次の言葉を送って2010年を締めくくりたい。

『ファッションの前にゲームのデザインセンスをどうにかしろ』

2010年総評案6(プーペガールDS2)

6 ◆Al9Q9ESTEOfO

戦極姫という黒船が大賞を獲得した2009年であったが、2010年はまさに幕末の乱世の争いとでも言うべき大騒乱であった。

まず2月に先陣を切って登場したのは「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」(ブロッコリー)である。
メーカー側はゲームブックと称しているが、どこからどうみてもノベルゲーという本作。しかし実際にはノベルゲーの最低水準すら越えていなかった。
システム面を見れば、セーブ箇所は3つ、同期の取れていないボイス、立ち絵や背景のミスなどテストプレイで気付くようなレベルの問題ばかり。
ギャラリーを見た後ゲームを再開するとフリーズ、という問題に対して『ギャラリー閲覧後にDS再起動』を推奨する公式見解には開いた口が塞がらない。
そのためゲーム本体は、特典として付くプロモカードのおまけ扱いされていたが、そのカードも一般販売されてしまい、立つ瀬がない。
結局購入者は乱丁本を掴まされたのだった。

3月には長い歴史のあるツクールシリーズの新作「RPGツクールDS」(エンターブレイン)が参戦。
携帯機としては7年ぶりの新作という事で期待した人も多かったが、次々と購入者を戦闘不能に陥らせるとは誰が思ったであろうか。
まずRPGで無くてはならない魔法属性・耐性の概念は無く、状態異常の設定もできない。ラスボスに麻痺や毒がバンバン効いてしまうのだ。
また、転職システムが無いにもかかわらず職業は16種類あるという宝の持ち腐れも困り物である。
しかしこれだけでは収まらず、容量問題という第二の障壁が襲い掛かってきた。
公式サイトでコンテストが開催されるにあたって『DPサイズによる作品』という条件があったのだが、このサイズでは城と町とダンジョンを1つずつ作り、それに各BGMを使うだけでいっぱいいっぱい。
一方フルサイズで作ろうと思っても、GBA版より容量は2倍に上がったが燃費が4倍になっており、コスト削減に右往左往する羽目になる。
とどめを刺すかのように、初日から発覚した多くのバグとフリーズが鎮座する有様。
このためプレーヤーはデフォルトで制限プレイを要求される上に、戦々恐々としながらRPG製作をすることになる。
素材やBGMが高評価なだけに、システムが長所を打ち消してしまった典型例といえよう。

次々と現れる大賞候補に対し、前年度チャンピオンが重い腰を上げた。
そう、あのシステムソフト・アルファー(以下SSα)による「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~」である。
戦極姫で何も学ばなかったのか、相変わらずバグ満載であったのは言うまでもない。
「マイ部隊」という好きなユニットを選んで編成するカスタマイズ要素があるものの、そのマイ部隊がたびたび敵として配置される事は序の口。
ステージクリア時・戦闘終了時など、ありとあらゆる時にフリーズを起こすため、対戦よりも緊迫感があるという本末転倒の事態に。
延々と続く敵の大長考や、キーレスポンスの悪さ、頻繁に起こる読み込みのせいでゲームのテンポも悪い。
いつの間にか自国の生産施設に謎の名無しユニットが現れるイリュージョンも見逃せない。
ゲームもメーカーも覇者ではなく敗者そのものである。

同じくSSαから2月に発売された「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」がここにきて評価される。
このタイムラグの根底には、ユニットの配置が説明されてなかったり、画面に表示されるデータが不親切だったり、クリアしても先のシナリオに進めないなどといった事が原因である。
本編も相変わらず問題だらけで、まずチュートリアルに10時間という長さがお出迎え。
さらに選択肢の分岐ミスによって発生する無限ループ、港以外からは艦載機が出撃できない空母、おざなりなシナリオなど残念な部分が多く、加えて大盛りのバグというSSαクオリティによって全てが崩壊していた。

そんな中、バグではなくゲームの中身で勝負する意欲作も現れた。
7月に発売された「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」(ドラス)である。
本作はブロック崩しという、ゲーム黎明期からある熟成されたジャンルだが、もはやKOTYに安全なジャンルなど存在しなかった。
パッケージには複数のイラストレーターによって描かれたハローキティファンのキャラクターが散りばめられており、一見キャラゲーの雰囲気を感じるが、蓋を開けてみれば無理ゲーとも呼べる程の難易度が待ち構えていた。
プレイしてまず気になるのが不自然な挙動をするボールとパドルの動きである。
実はブロックの角に丸みがついているらしく、ボールが角に当たると予測のつかない軌道を描く。
もちろん即座に対応できればまだいいのだが、パドルには慣性が働いているため普通のブロック崩しのつもりで操作するとミスを連発してしまう。
用意されたステージも『指定されたコンボを決めろ』『ボールとパドルの周囲以外真っ暗(時々全体が明るくなるが一瞬)』『画面を動き回るボスに50発当てろ』『ボールが当たる毎に90度回転する矢印を揃えろ』などブロック崩しのセオリーを根底から覆すステージばかり。
その上、各ステージの後半には当たるとワンミスの弾を撃ってくるブロックが幾つも配置されており、プレーヤーの集中力を削っていく。
こんな斜め下の発想を実現させたステージ設計には『ブロック崩しをしていたらいつの間にか弾幕シューティングをプレイしていた』という証言まで出るほど。
これだけの難コースをクリアしても貰えるCGは公式サイトで公開済み、しかもスタッフロールすら無い。
BGMは通常時と残機なし時の2種類のみという、123もあるコース数と全く釣り合っていない。
これといったバグが無いにもかかわらず理不尽な難易度のみで立ち回る本作に『HELL o' キティ』『覇王鬼帝』という異名が付いたのも頷ける。
リトライのしやすさやステージ開始時にライフ全回復してくれるために、鬼帝という蟻地獄にハマっていく住人が多かったのが印象深い。

10月に発売された「天下一★戦国LOVERS DS」(ロケットカンパニー)もクソ度ではかなりのもの。
もともとケータイ向けアプリからDSへの移植作という異色の本作を端的に表現するなら『フルプライスの体験版』だろう。
攻略可能キャラは9人いるのだが、そのうち完結編までたどり着けるのはたったの2人。他のキャラは携帯サイトで読めるが、また一から課金をしなければいけない。
これまでも未完成商法という悪質な商売はあったが、これはもはや詐欺同然と言えよう。
更にオートセーブという不必要な機能のせいで前の選択肢に戻ることはできないなど、恋愛ADVとして見ても未完成の出来である。

乱世を象徴する2010年。
この時点で既に大賞級の作品がずらりと並ぶ中、魔物が這い出る12月に更に2体も牙を剥いてきた。

まず1体目は「どんだけスポーツ101」(スターフィッシュ・エスディ)。
ファミ通クロスレビュアーのひとりが3点(計18点)を付けた事で注目された本作。
101種類のスポーツが遊べるという謳い文句だが、その中には日本に競技人口がいるのかすら分からないマイナースポーツが含まれているにも関わらず、ろくなルール説明は無し。
またシステム周りも不親切で、いざ遊ぼうと思っても101種類のスポーツが横一直線に並んでおり、スキップ機能も無いので延々と探していかなければならない。
肝心のスポーツも、本来あるべき競技の体をなしていないものが多く、操作を簡略化しようとした弊害が見て取れる。
やり投げの槍が水平に飛んでいく様を公式PVで紹介している度胸だけは、スポーツ選手並みの強心臓と言うべきか。

そして2体目は思わぬところからやってきた。それは「プーペガールDS2」(アルヴィオン)である。
これはさまざまな衣服やアクセサリーの着せ替えゲームであり、クソゲーとは程遠い作品のように思えたが、内容はオシャレ要素皆無の魔窟だった。
着せ替えアイテムは作品内の通貨であるリボンで購入できるのだが、これが非常に貯まりにくい。
大きな収入源となるファッションショーは定期的に発生するはずが1度しか開催されず、得られる報酬も0リボン。タダ働きもいいところである。
さらに追い討ちをかけるのが、プレイ時間が22時間を経過すると強制的に15536リボンをマイナスされるというご褒美。
しかも所持金がマイナスのまま外に出るとフリーズする。
これを回避するには、スナップショットなどで得られるわずかなリボンをちまちま貯める必要があり、のんきに服を購入している暇は無い。
流石にこのリボンマイナスバグに公式サイトは対応し、もともと隠し要素として用意したであろう追加リボンが貰えるパスワードが公開された。
しかしこれは本質的なバグ解消では無い上に、パスワードが認識されないなどの報告もあり、より不信感を募らせる結果になった。
本来メインである着せ替えも、服の組み合わせによって画面内のキャラがバグったり、キャラを拡大すると画面がブラックアウトしてフリーズするなど、罪の無い子供達にトラウマを植え付けかねない。
せっかく幾多のバグを避けてコーディネートをしても、それをスナップショット機能で残せるのは30枚。一方でアイテム数が6000点もあるので、到底足りる枚数ではない事は明らかである。
しかもスナップショットは問答無用で古い順に削除され、お気に入りのショットを残しておく事は出来ないなど、どこまでいっても問題だらけだった。

こうしてハイレベルな大賞候補争いは、その名の通り鬼のような難易度で襲い掛かる鬼帝、バグの権化ともいえるSSαの大戦略、金策に走る姿が地下王国を彷彿とさせるプーペに絞られた。
しかし、これら三闘神はクソ要素のベクトルが大きく異なるため、大賞決定に至るまでには困難を極めた。
そんな大激戦を勝ち抜いた2010年の大賞を発表しよう。その作品とは「プーペガールDS2」(アルヴィオン)である。
骨の折れるリボン稼ぎに加え、着せ替えゲームなのに着せ替えで問題が起こったり、気に入った服のコーディネートを残しておけないなど、他の作品と比べるとゲームの根幹部分に重大な欠陥が目立つ。
さらに、リボンがマイナスされるバグに対応したら今度は別の問題を引き起こすなどの負のスパイラルにより追加点が入る。
購入層もクソゲーという概念が無い人が比較的多く、発売日が12月16日という事もあり、クリスマス・お年玉のプレゼントとして買ってしまったがために泣かされた親子には手を合わせるしかない。
これらシステム、バグ、内容、インパクトなど全方位クソゲーという隙の無さが決め手となった。

大戦略もバグの多さでプーペガールと並び立つなど健闘したものの、オシャレアイテムを入手する所から労力を要するプーペに対し、ユニットの生産がプーペほど酷くはない点が涙を呑む事と相成った。
また、大戦略という敷居の高さやSSα+戦略SLGという地雷アピールなどもここで仇となった。
一方鬼帝もバグ無しでほぼ対等に渡り合うなど力をいかんなく発揮したが、序盤部分は遊べる事や容易にリトライができること、また各コースのタイムアタックという申し訳程度のやりこみ要素の存在が僅かの差となった。
しかし裏を返せばプーペという異次元の魔物がいたからこそ、このような写真判定レベルまでもつれ込んだのであり、両作品とも大賞に匹敵する出来であったことは言うまでもない。
発売から1ヶ月後にはオプーナの改変AAが作られスレッドのマスコットとして愛された数少ないクソゲーだろう。

振り返ってみれば、2010年はクソゲーが生まれ続けた一年だった。
大賞のプーペと最後まで競り合った鬼帝、昨年に続けてクソゲーを排出したSSαの大戦略2本、RPGの基礎部分から崩れているツクール、下手な鉄砲を撃ち続けたどんだけ、ノベルゲーム未満のアクエリや戦国LOVERS…語り尽くすには総評では足りないほど。
僅か1年の間にこれだけの猛者が現れたこの奇跡は後世語り継がれるであろう。
最後に、着せ替えゲームと魔物の融合を果たしてしまったプーペガールDS2に、この言葉を捧げて2010年クソゲーオブザイヤーを閉じたい。

「こんなオシャレ魔女はいやだ」

2010年総評案7(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

総評7の人  ◆5Xx18Gzdaw

業界新規参入のフリューが「三銃士」と呼ばれる薄いクソゲーを送り込んだ中、
修羅の国からの進行によるバグまみれの作品「戦極姫」が三銃士を倒し大賞に輝き終了した2009年。
修羅の国からの刺客より焦土と化したスレは更なる地獄へ落ちていく事になる・・・
KOTY2010携帯版の開幕である。

2010年の先行を取ったのは「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」である。
アクエリアンエイジとは古参の萌え系トレーディングカードゲームなのだが本作はブロッコリーの「ゲームブックDS」シリーズの第三弾である。
しかしこのシリーズ二弾まで絶不評であり、本作も三度目の正直とはならず二度あることは三度あるとなってしまった。
どう見ても普通のアドベンチャーゲームなのにゲームブックと名乗っており、シナリオも面白くなく、セーブ&ロードやスキップ機能も使いにくいとシステム面は10年前レベルと言われるぐらい劣悪。
バグも多くそれも背景の指定ミスやいないはずのキャラが表示される、盛り上がる場面での音ズレ等一度プレイすればわかるだろと思うレベルである。
この出来の為、TCG原作のクソゲーによくある「カードのおまけ」扱いとなってしまった。
だが後に付属カードの一般パックでの再録が決まってしまったため、その立場すら失い無価値となってしまった。

前年度王者SSαによるKOTY二連覇への戦略であるSLG作品の「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」。
この作品は前述のアクエリアンエイジと発売日が同じ2/25なのだがバグ等により検証が遅れ選評が届いたのが七カ月後であった。
カーソルの動きが遅く、だからといってタッチペンを使えば暴発すると操作性が悪く
ソート機能が使いにくいなどとインターフェースは最悪。
CPUの思考時間はプレイヤー以外に5陣営あるのに各一分以上かかり大戦略の暇つぶしに何かすることを探さなければならない。
説明不足のため表示されている攻撃タイプの意味やユニットの配置方法がわからない
バグの代名詞であるフリーズを始めとした様々なバグも完備。
目玉要素である内政は整備工場を強化してもセーブロードで元に戻ってしまう。
検証が遅れる原因となった無限ループバグを回避するために戦闘開始直後に即降伏する「土下座外交」と呼ばれる物をしないといけない。
戦略シュミレーションなのにまともに戦うことすらできない本作は軍事バランスよりもゲームとして崩壊していた。

前年度の修羅の国に続き乙女の国からも刺客が現れた。
ロケットカンパニーによる「天下一★戦国LOVERS DS」である。
本作は携帯アプリが元のアドベンチャーゲーム。
だが本作は攻略キャラ9人の内2人までしか完結編は入っておらず、残りのキャラは「続きは携帯版で!(有料)」となる。
ストーリーも全10章あるが1章辺り5分で読み終えることができ、プレイヤー置いてきぼりでストーリーが進んでいく。
特定のキャラを攻略するにはあるキャラを踏み台にして寝取られENDを狙うしかない。
章の終了時にシナリオの進行状態を評価して教えてくれるが、オートセーブされてしまい章セレクトもないのでほとんど意味がない。
操作性や仕様はDSの利点を捨ててまで移植前の携帯アプリ版を再現すると言う無駄な移植度の高さには感心するしかない。
フルプライスで携帯アプリ版の有料体験版とは「薄い」の一言で済まされる問題ではないだろう。

低得点には信頼と実績のあるファミ通のクロスレビューで一人が3点を付けた合計18点を叩きだし、
発売前から存在感をアピールしたゲームがあった。
スターフィッシュ・エスディによる「どんだけスポーツ101」である。
本作は前述のレビュー結果に加え、発売が年末である事、
101種類のスポーツを楽しめると言うコンセプトであり「見えてる地雷」として期待されていた。
101種類もあるので当然マイナーなスポーツもあるのだがルール説明がない。
スポーツの選択画面も101種類のスポーツを1列に並べそれをタッチパネルでスライドして選ぶという何も考えてないインターフェース。
ゲーム部分も出来が悪く、ひたすら単調なものや操作が他のスポーツと被っているものばかりである。
物理法則を無視してるものもあり、この手のゲームではやってはいけないルールまで間違えてるものまである有り様である。
101個集めても1にすらならない本作はファミ通の低得点レビューの信頼を上げるだけのために存在したようなものであった。

ここまでが奈落の底へ到達したスレにやってきた者たちである。
しかし奈落の底に穴を掘ってしまった3作により大賞選考は大きく荒れる事となった・・・。

一つ目はSSαによるKOTY二連覇の戦略の詰めとして送り出された「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~」である。
本作はPCで発売された大戦略パーフェクト系の移植作である。
しかし戦極姫の前科があるSSαではまともな移植はできなかった。
読み込みが悪い、キーレスポンスが悪い、システム関連は不親切、敵の思考時間は長いとプレイヤーをイライラさせるクソ要素はしっかり抑えている。
SSαお得意のバグも大量に盛り込まれており、フリーズはあらゆるタイミングで頻発。
目玉要素であるマイ部隊は何故か敵に配置されてしまい、それにより様々なバグを引き起こし使いものにならない。
これらの多発するバグによりキャンペーンモードはほぼクリア不可能と言われてる始末である。
更にはPSPの電源を落としてしまうバグもあり本体が壊れたと言う報告も有り、物理的な面でもプレイヤーにダメージを与えてくる。
このようにKOTYの覇者となるべく送り込まれたパーフェクトなクソでありSSαの底力を見せつけた出来であった。

バグといえば二つ目であるアルヴィオンによる「プーペガールDS2」も負けてはいない。
本作はアバター着せ替えゲームなのだがその着せ替えを楽しむこと自体が茨の道となっている。
中盤以降は収入に対して高価なアイテムばかりが並び思うようにアイテムを買うことができないのだが、そこにバグが追い打ちをかける。
後半の収入源として設定されているであろうファッションショーに出ても収入がゼロで、定期的に開かれるはずなのに一回きりしか発生しない。
プレイ時間が22時間を越すと大幅に所持金を持って行かれてしまうバグもあり、これにより所持金がマイナスになった状態で外に出るとフリーズする。
このバグの救済のためか「おとしだま 5000リボン」「まいぞうきん 7777リボン」等の時期を見て公表する気だったと思われるパスワード達が一気に公式ブログで公表された。
だが、このパスワードも受け付けてくれない事があると救済策にすらバグがある有り様である。
数々のバグを乗り越え着せ替えを楽しもうとしても再びバグが立ちふさがる。
画像が乱れてアバターががグロ画像になってしまったり、フリーズまである。
ゲームとは直接関係ないが本作は2バージョン発売であり、
プーペガールのPCサイトで使えるアイテムがもらえるコードがそれぞれのバージョンにある。
だがこれにも不具合があり、現在は救済策が出たがDS本体が2台なければ2つとも入手することができなかった。
この他にも細かいバグも多々あり終始バグに悩まされるバグの塊とも言うべきものになっている。
この作品は12月に現れ年末の魔物として猛威を奮いターゲット層である何も知らない女の子を苦しめたのは悪夢としか言いようがない。

そして三つ目は2010年の大賞であり毎年恒例の夏の怪物として現れた。
ただこの作品は上記の二作品と違いバグはない。存在自体がバグと言えるぐらい意味がわからず、そして理不尽なのである。
ドラスによる「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」である。
本作は古くから存在するブロック崩しでありクソゲーにはなりにくい所謂「安牌」である。
この法則は毎年破られてきてるので「安牌」という言葉は死語なのかもしれない。
「ハローキティといっしょ」とは、“「超キティラー」と呼ばれるキティを愛してやまない女の子たち”を様々なイラストレーターが描いていくというサンリオウェーブの新プロジェクト。
なので大きなお友達向けなのだがクリア後に入手できるイラストは各絵師(全12人)につき最大2枚であり書き下ろしはなく、
全てPlaystation Networkから1枚50円で同じ画像が壁紙としてダウンロード可能である。
なのでキャラゲーとしてはやる気が感じられないためキャラゲーとしては崩壊している。
ではブロック崩しとして見てはどうか?
反射がおかしくブロックの角にぶつかったボールが垂直に落ちてきたりバーの横で撃ち返したボールが下に跳ね返って行く等、
普通のブロック崩しではあり得ない挙動が連発。
とはいえブロックの角にぶつかったからと言って先ほどの挙動をするとも限らず普通に跳ね返ってくる時もある。
わからないほどのわずかなズレでボールの挙動が大きく変わってしまう。
読めないボールの動きに終始振り回されることになる。
このボールの挙動はバグかと思えば説明書ではバーの端で弾くと下に跳ね返っていくことが説明されている辺り仕様のようである。
そしてバーの操作性も悪く慣性がついてるためか操作しにくく、移動も遅く前述のイレギュラーに気付いても対処できない。
これらの極悪仕様に慣れたとしても更なる関門が立ちはだかる。理不尽なまでに難易度が高いステージ構成である。
「3回当てると壊せるブロックや当てるとボールが一定時間加速するブロックがバーの手前に設置されていたりステージいっぱいに配置されている」
「敵ブロックから出てくるバーに当たるとミスになる弾を出すの弾と一緒にボールが落ちて問答無用でミス」なんてのは良くある事である。
酷いステージになると「バーとボールとアイテムの回り以外見えないのに敵ブロックに砲撃される」
「敵ブロックがステージいっぱいに配置されており弾の回避が困難なステージ」「敵ブロックの砲撃を避けながら当てると不規則な方向にボールを跳ね返すボスにボールを50回当てる」
「壊せない敵ブロックの砲撃を避けながら一回当てると90度回転する矢印ブロックを6つ指定された方向に揃える」等の楽しませる気がないどころか悪意しか感じないステージばかりである。
前述のボールの挙動も合わさりプレイヤーの腕ではどうしようもない事も多く「貫通を引くゲーム」「ブロック崩しの姿をしたマインドシーカー」と言われるような運頼みのゲームとなってしまう。
このように製作者のズレによりブロック崩しとしても崩壊しており4,200円(DL版は3,200円)払ってまで遊ぶものではないだろう。

この作品が他二作と差をつける事となったのは根本からして間違っていた事である。
大戦略は不親切な点があれどSLGのしての形は整っているし、自らのバランス調整を放棄してユーザーに設定させるという要素もある。
バグによって崩壊してしまっているが根本は間違ってはいない。
プーペガール2は金銭面のバランスに難があるが、着せ替えゲームとしての要素はできているし服やアクセサリーの評価は悪くない。
こっちもバグによってとんでもないものになってしまっているが着せ替えゲームとしての根本は間違っていない。
それに対しキティはキャラゲーなのに新規絵を一切用意せず、ブロック崩しとしても成立しておらずユーザーのやりたい事を何一つ満たしていない。
過剰なまでに高い難易度を逆手にとってマゾゲーとしてみてもパターンを構築できず運頼みになってしまい、
最終的には運ゲーになってしまいマゾゲーとしても成立していない。
高難易度と理不尽は違うという良い見本でもある。
「キャラゲー」「ブロック崩し」としての両面で崩壊しており無理矢理「マゾゲー」として見ても駄目であり、存在価値と存在意味がわからないものとなってしまっている。
キャラゲーとしてもブロック崩しの難易度調整にしてもスタッフの認識のズレから根本が狂ってしまっている。
他二作もクソゲーとしては決して劣ってはいないが、バグがなく仕様通りに完成されているのにバグがあるかのような狂っていため他二作と差をつけて大賞に輝く事になった。

振り返ってみれば2010年はSLGや恋愛ゲームからブロック崩しや着せ替えゲームまで様々なジャンルの作品があった。
クソ要素のベクトルも「薄い」「理不尽」「詐欺」「バグ」「手抜き」と様々で1年中ネタが尽きることも無く大豊作な1年であった。
しかし、2011年は次世代機が発売する事もあり、クソゲーが多く出た事に不安を残していった事も確かである。
失敗があるからこそ成功が生まれるのであるのでこれらのクソゲーが無駄ではなかったと信じたい。

最後に大賞を受賞した「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」の発売元であり、
パチスロ機のシミュレータを得意としているドラスに次の言葉を送り締めくくりたい。

「パチスロには運要素は必要ですけど、ブロック崩しには運要素はいらないのですよ?」

2010年総評案8(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

総評8の者  ◆3wb.qVq8Rw

2009年、「戦極姫」という修羅の国からの刺客により、焦土と化したKOTY。
しかし、荒廃した土地であるからこそ、それはより強靭な作物の温床となる。
2010年のクソゲー市場には、そうした「突き抜けた」作品が数多く芽吹くこととなった。

その先鋭となったのは、2月にブロッコリーより発売された「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」である。
その内情は、ゲームブックとは名ばかりなノベルゲーで、
使い辛い機能が多く不親切、シナリオも面白さを感じさせないというものであり、
テストプレイの有無を疑わせる数々のバグも備えた、正に特典カードのおまけ状態であった。
この作品は、今年度現れた他の候補作と比べると見劣りするものの、
2010年KOTYの端緒を飾るには相応しく、同時に
「近年のクソゲーはやはりバグに彩られるのか」という危惧を抱かせることとなった。

前年度の覇者、「戦極姫」の兄弟とも言える作品も登場し、プレイヤーを苦しめる。
システムソフトアルファーより、それぞれ3月・6月に発売された、
「現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~」、及び「大戦略PERFECT ~戦場の覇者~」という名の2つの戦略シミュレーションゲームである。
「戦国姫」と同じ遺伝子を持つ、これらの作品にも強烈なバグが存在した。
「現代大戦略DS」では、進行したはずのシナリオが分岐を起こし、再び開始時に戻る無限ループを引き起こしてクリアを困難にさせる。
それに輪を掛けて酷いのが「大戦略PERFECT」であり、
自分好みのユニットで編成されるはずの通称「マイ部隊」は敵側に出現、
味方として使用「できた」場合でも、損害を受けたユニットの補充がされないという有様。
ゲーム自体がフリーズする頻度も高く、
果ては名無しの部隊が自国とPSPの電源を陥落させる、とあっては最早クリアできたものではない。
バグを抜きにしても、カーソルの移動・敵勢力の思考に過剰に時間を要することに加え、
「現代大戦略DS」は空母が役に立たない・ユニットの配置方法や数値の説明がされていない、
「大戦略PERFECT」では、先述の「マイ部隊」に自作の兵器を持たせられない・同種の兵器のアイコンが全て同じで見分けがつかない、
と、各種システム面が不備・不親切極まりない仕上がりとなっている。
SLGの根幹を成すはずの「戦略」が、プレイすること自体に要求された、これらの作品は正に禁断の果実であった。

昨今勢力を拡大している、携帯電話向けアプリからの移植恋愛AVGも登場する。
10月にロケットカンパニーが発売した「天下一★戦国LOVERS DS」である。
本作は乙女ゲームであり、イラストには一定の評価がされているが、
肝心要の恋愛部分が「最後までシナリオが収録されているのが2人」という、
携帯アプリの体験版としか言い様のない仕上がりであり、かの有名な
墨俣一夜城も霞むほどの、完全版商法を地で行くソフトであった。
「続きは携帯で!」…残された7人の武将のファンは、果たしてこれで納得したのであろうか。

年末になると、市場には低品質なクソゲーが頻出するが、2010年のKOTYでも、強力な「魔物」が従者を引き連れ、スレ住人の下に降臨することとなる。
その従者とは、スターフィッシュ・エスディより12月に発売された
「どんだけスポーツ101」である。
世界各国、101種類ものスポーツが遊べるという触れ込みだが、
101種類のリストは一列横並びであり選択が面倒、という不親切設計となっており、また操作の説明も不十分。
肝心のゲーム内容も、異なったゲーム性を持つはずのスポーツ同士のルールが似通っていたり、
元のスポーツの再現が不十分であったりと、明らかに個性の付け方を間違っている。
正に「量より質」という言葉を思い起こさせるゲームであると言える。

そして「どんだけスポーツ101」が生を受けた日と同日、その従者に連れられる形で、
アルヴィオンの「プーペガールDS2」という魔物が出現する。
アバターを着飾る、ウェブサービスのゲームのDS版である本作は2バージョンが発売され、おしゃれを楽しむ層の需要に応えるべく製作されたソフトであると言える。
しかし、実際はあばたをバグで着飾った、容赦ない搾取のソフトであった。
ソフトを楽しむための基本である、通貨に当たる「リボン」の入手。この部分が大きな問題点を抱えている。
本来リボンの稼ぎ所となるはずのファッションショーは、最初に一度開催されると以降実施されず、あまつさえ報酬リボンも0。
無論キャラクターがショーで過失を犯した訳ではなく、ゲームの「仕様」である、としか言い様がない。
着せ替えに微細なリボンを得るより道が無くなるが、そこに追い討ちを掛けるのが、ゲーム内で獲得できるリボンのボーナスである。
これにはあいことばを入力することで一定量のリボンを獲得できるパスワードと、
アイテム購入数などプレイ内容に応じてリボンを得られる実績制度の2種類がある。
その実績の中に、ゲームを22時間プレイ、という条件があるが、
それを満たすと何と16000近いリボンがマイナスされる、という凄まじいバグがある。
もう一方のボーナスであるパスワードでリボンを補おうとしても、使用していないパスワードを「すでにとうろくされています」と言って撥ね付けてくることがあり、理不尽さは留まる所を知らない。
ちなみに、総リボン数がマイナスとなった状態で家の外に出ようとすると、ご丁寧にもフリーズする。
肝心のおしゃれ部分も、アイテムが可愛らしいことは評価されているものの、
システム面において、アイテムの同時表示数が少ない、アイテムを身に付けると他のアイテムが消える、
顔のグラフィックが乱れる、など到底満足できる仕上がりではない。
このソフトはSNSのおまけである、と割り切る道もあるだろう。
しかしこの最後の希望も、2種類のソフトそれぞれで得られるはずの2種類のウェブ特典が、同一DSだと1種類しか得られない、という不備により薄れてしまう。
後に2種類の特典を得られる様対応されたものの、特典のためにDSを2台用意したプレイヤーの思いは測り知れない。
端から端までことごとく負の要素で埋め尽くされた、「プーペガールDS2」は正に「魔物」の名に恥じぬソフトである。

この様に、2010年は数多くの低品質なクソゲーが排出された。
特に「大戦略PERFECT」及び「プーペガールDS2」は群を抜いており、
クソゲーの底辺決戦を争うことに申し分ない作品である。
しかし、前年の黒船襲来によって、荒野と化した2010年KOTYである。
KOTYを手中にせん、とする「覇者」・「魔物」の2候補の前に、
「覇王」「鬼帝」とまで畏れられた存在が立ちはだかったのである…。

それでは今年度の大賞を紹介する。
列島を後に襲う猛暑がその片鱗を見せ始めた7月、ドラスよりあるゲームが発売された。
このソフト、他の候補作とは異なり、バグらしいバグは殆ど無く、ロードも快適。
強いて他の候補作との共通点を挙げるとすれば、「プーペガールDS2」と同じく可愛らしい少女が登場すること、
「大戦略PERFECT」の様に、敵の砲弾による攻撃がプレイヤーを邪魔して来ることぐらいである。
このゲームがどうしてクソゲー、更にはKOTYの大賞作品となりうるのであろうか?
…このゲームの名は「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」
…そう、このゲームは、パドルと呼ばれる棒状の自機を操り、ボールを弾く、「ブロック崩し」のゲームである。
ブロック崩しで砲弾の攻撃を受ける―これが何を意味しているか。
―このゲームが大賞を受賞した理由はただ1つ。
他に類を見ない、その天井知らずの高難易度である。
ステージには多種多様な仕掛けがあり、基本ステージ数は120にも上る。
つぼみにボールを当て花を咲かせるというステージや、ボールの周囲以外が暗闇に包まれたステージ、など様々な個性的な工夫が凝らされており、一見するとプレイヤーを飽きさせない設計となっている。
しかし、実際はステージの多くが、飽きる以前に息を吐くことさえできない意匠となっている。
「中々壊せないブロックばかりがずらりと並んだステージ」というのはまだしも、
「途中で壁に当てることなく、ブロックにボールを当て続けるステージ」において、
配置されているブロック全てが一度ボールを当てると壊れる普通のブロックである、
などというのはそれだけで気が滅入るものである。
そこに現れるのが砲弾による攻撃である。
パドルに当たるとミスとなるこの砲弾、ステージによっては複数の砲台から次々と打ち出されてくる。
ならばと砲台自体をボールで狙おうにも、先述の中々壊せないブロックや、一切壊せないただの壁に砲台が守られているステージではそれも叶わない。
加えて先の暗闇ステージでは、闇に紛れて発射された砲弾がボールの光に照らされ、
パドルの間際に現れて初めて気付く、という絶望的な状況が発生する。
レベルが高いとされているステージには全てこの砲台が設置されており、
プレイヤーの精神力を根こそぎ奪い取ることとなる。

高難度なステージこそ技術の見せ所、と考えるプレイヤーもいるだろう。
しかし、「鬼帝」と称されるこのゲームにその様な単純な考えは通用しない。
プレイヤーが唯一干渉できるパドルは動きが妙に遅く、停止しようとしても少し滑る。
そこに容赦なく砲弾の雨が降り注ぐのであるから、ミスなくボールを弾くだけでも困難を極める。ブロックとパドルの間隔が近いステージでは一層顕著である。
目一杯パドルを動かし、パドルの端が何とかボールに追いついた…と思ったら、
ボールが下に弾かれて落ちて行く…という、僅かな光から絶望の淵への逆落としも頻発する。
斜めにブロックにぶつかったボールが垂直落下してくる可能性もあり、落下位置の予測は容易ではない。
ブロック崩しではよくあるボールの動作ではあるが、…これは果たしてブロック崩しなのだろうか。
プレイヤーに残された伝はアイテムの存在であり、
事実ブロックを貫通する様になるアイテムを獲得できれば、ステージの難易度は自ずと下がる。
それでも良いアイテムが手に入るかどうかは運次第であり、
運が悪いと、「パドルの移動速度が下がる」というアイテムを手に入れてしまい、ほぼ確実にミスとなる。
そしてこの運要素が最大限に発揮されたのが最終ステージである。
ここには矢印ブロックが存在し、ボールを当てることで90°ずつ回転する。
このブロックを全て指定の向きに揃えればクリアとなるのだが、
一度矢印を合わせても、そこにボールが当たると再び90°回転し、やり直しとなる。
丸みを帯びた矢印ブロックにぶつかって乱反射したボールが、
向きを揃えていた他の矢印ブロックを次々と襲う、という光景は地獄絵図そのもの。
最終ステージにはこの矢印ブロックが6つ存在する上、アイテムは一切存在しない。
忘れてはならないのが砲台であり、壊せない壁に守られた4基の砲台が怒涛の砲撃を浴びせてくる。
クリア出来るかどうかはひたすら運次第…もう一度訊く、これは本当にブロック崩しなのだろうか。

このゲームをキャラゲーとして楽しむ可能性も残されている。
このゲームには「超キティラー」と呼ばれる、キティをこよなく愛する少女たちが10人登場する。
そしてキャラ1人ごとの12ステージをクリアすると、ご褒美として
そのキャラのイラストを獲得できる。
しかしこのイラスト、全て他所で公開済みであることに加え、
PSネットワークストアでより良質な物を1枚50円で手に入れることができる。
つまりこのゲームにはキャラゲーとしての生き方も残されてはいないのである。
その他細かい部分を見ても、オプションはBGMとSEの調整だけ、
プレイ中のBGMはわずか2種類、
120ステージクリア後に登場する、3種類のEXステージもランダム配置のエンドレス…、
と、随所に物足りなさを感じさせる。
ゲームをクリアしても、その先にはエンディングはなく、
様々な苦悶をその身に受けた、幾多のプレイヤーの屍が横たわっているだけである。
超キティラーが愛してやまなかった物…それは決して「鬼帝」などでは無かったはずである。

こうして、無間地獄が顕現した、とでも言うべき様相を呈した
「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」が今年度のクソゲーオブザイヤーを受賞した。
序盤こそブロック崩しゲームとして認識出来るものの、後半になるとプレイヤーは、
恐怖のステージの数々によって何度もクリアに失敗し、その度に何度もプレイを再開、
そしてまた力及ばず、ついには乱数調整を始める…
これでは只の作業、或いは修行である。
評価できる点であったはずのロードの快適さも、プレイヤーを幾度となくこの苦難へと追いやり続ける、
悪魔の手先となってしまうのである。
「キティ」にはバグが殆ど無い、という特徴もあるが、忘れないで欲しい、
ゲームにはバグが無いことが求められるのであり、バグが無いことは決して
評価されるべき点ではあり得ないのである。
他の2作も救いようのない出来の悪さを誇っているが、
「ブロック崩しのような何か」「着せ替えゲームもどき」と表現しても過言ではない「キティ」「プーペガール」と比べ、
まともなクリアが不可能であるとはいえ、まだ「戦略シミュレーション」としての形を保っていた「大戦略PERFECT」は先ず後れをとることとなった。
「キティ」と「プーペガール」の決戦は、両者ともにゲーム性が完膚無きまでに破壊されていたために熾烈を極めたが、
崩壊しながらも、「可愛らしいアイテムを眺める」「SNSのおまけ」という側面に辛うじて光を見出すことができる、さながら暗黒星雲である「プーペガール」に対し、
最後の側面である「キャラゲー」としての道すらも、既存・ソフトなしでも入手できるご褒美イラストに埋め尽くされ、残されたのが渇いた笑いのみ、という「キティ」は最早ブラックホールであり、「キティ」が「プーペガール」を僅差でかわす形となった。
そしてその渇いた笑いすらも、KOTYスレ住人の笑いの種に変え、
ついには鬼帝をスレのマスコットにまでのし上げたこの作品は、
本来ならば憎まれるクソゲーに取り憑かれた、「超クソラー」たちの祭典である、
KOTYの大賞として最も相応しい作品である、と言えるだろう。

今年度のKOTYを振り返ると、最低品質のクソゲーが跳梁跋扈した、粒ぞろいの年であったと感じられる。
ノミネート作のジャンルも、戦略シミュレーション・恋愛アドベンチャー・
着せ替えゲーム・ブロック崩し…など多岐にわたり、クソゲーの土壌が大いに潤う豊作の年であった。
こうなると翌年の不作が危惧されるが、そこは逆境から生まれるクソゲーである。
来年度も、それまでとは一線を画する様なクソゲーが登場することを危惧…いや期待しよう。

それでは最後に、見事今年度の大賞を受賞した鬼帝閣下にお言葉を頂き、
今年度のKOTYを締めくくることとする。

「よくぞスレを1年間楽しんでくれた。 褒美として地獄への招待状をやる。」

2010年総評案9(大戦略PERFECT ~戦場の覇者~)

総評9 ◆tWKsZ/ktLw
規制ヽ(`Д´)ノ2/22:19:35に更新。
大賞理由を変更しました。

2009年KOTY覇者『戦極姫』は、新時代のクソゲーと呼ぶにふさわしいものであった。
エロゲー界からの「黒船」として現れた同ゲームは前代未聞のバグを大量に従え、既存のクソゲーとは異彩な輝きを誇っていた。
クソゲーがどこから生まれるかは誰にもわからない。そう改めて教訓を残した年であったと言えよう。
しかし、これが今年のKOTYの流れをも汲む…そう我々が気付くのは、まだ先の事となる。

まず最初に話題となったのは『ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period』である。
カードゲーム「アクエリアンエイジ」を題材にした自称ゲームブック(中身は普通のアドベンチャーゲーム)だが、内容はお粗末なものであった。
会話が終わっても日付が変わるまで消えないキャラ立ち絵、声と文章が盛大にズレたまま終了するエンディング。
CGモードを閲覧するだけでメニュー画面が消滅しセーブ&ロード不能になるバグも完備。
特典のプロモーションカードすら後に再販が決まったため、ファンの心にもピリオドが打たれることとなった。

これに続けと、昨年度覇者を送り出したシステムソフト・アルファーも、今年もKOTYの座を狙うかの如く爆弾を投下する。
DSより発売された『現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~』である。
現代兵器による戦争を題材にした戦略シミュレーションであり、古参ゲーマーにはおなじみの大戦略シリーズだが、
今回の『現代大戦略DS』は、20年前で時が止まってしまったかのような貫禄のデキであった。
表示も操作性も褒める部分が何一つ無い劣悪なインターフェースに、1ターンに最大5分かかるAIの思考時間。
メインシナリオでは、普通に進めていると突然別のルートに飛ばされ、あげくそのまま初期のシナリオに逆戻りして無限ループになってしまう。
通常プレイではクリア不可能と言われ、唯一残された攻略法がひたすら頭を下げて友好度を調節する「土下座外交」という嘆かわしいものである。
もはや軍事バランスどころか、ゲーム内容全てが崩壊していた。

さらに6月にも、PSPより発売された『大戦略PERFECT ~戦場の覇者~』がノミネートとなった。
たった数ヶ月の間でDS版より高性能の爆弾を連続投下する非情さは、さすがシステムソフト・アルファーといったところか。
説明のない意味不明なインターフェースや敵の思考時間の異常な長さは、悲しいかな毎度のことで驚きに値せず、
カーソルを動かすだけで約1秒のローディングが入り、ラグで非常に操作しにくいという劣悪なキーレスポンスが光る。
そんな事あるごとに重い処理が入るためか、ボタン押しっぱなしだけでフリーズする危険すらある。
さらに別にステージクリア時、敵ターン終了時、戦闘終了時…など、あらゆるタイミングでフリーズが起こるので油断ならない。
加えて、突然名無しのユニットが戦場に現れることがあるが、これを選択するとPSPの電源が落ちてしまうので注意が必要だ。
また、本作にもPSP新作としての売りがいくつかあるが、それすら自らのバグで崩壊させ、意味を無くしてしまっている。
愛用する機体を登録できる「マイ部隊」は、そのマイ部隊がなぜか敵に配置されることが「よく」あるので、使用すると逆に不利になってしまう。
部隊を持ち越して進むキャンペーンモードも本作の売りの一つだが、多発するバグ・フリーズにより実質クリア困難。
「クソゲー界の爆撃機」による容赦のない連続爆撃により、多くのSLGファンが白旗を揚げた。

手抜き仕様、バグ、SSα、と順当とも言える作品がノミネートされていく中、夏に全く違うアプローチによる魔物、いや「鬼」が現れた。
『ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!』(通称「鬼帝」)である。
「ハローキティといっしょ!」とは、多くの(その方面に)有名なイラストレーターを採用し、
それぞれにキティ好きの女の子を描いてもらう、というサンリオウェーブの新企画である。
しかし本作は、そのかわいらしいブロックくずしという見た目とは裏腹の、悪魔のような難易度により話題となった。
ブロックに斜めにぶつかったボールが垂直に落ちてくる、
パドルの端にボールが当たるとそのまま跳ね返って下に落ちる等、ブロックくずしの基本すら成り立っておらず、
ステージ終盤では上空の複数の砲台から防御不能の弾丸が放たれ、悪意剥き出しのステージ構成によりどうやっても反応不可、反射不可な状況が多発。
あるキャラの最終ステージではボールを当てると回転する矢印ブロック6つすべての向きを正しく揃えなくてはならず、
そのあまりに理不尽な難易度から積み上げてもすぐ崩れる「賽の河原」と揶揄される。
そして運良く全ステージをクリアしても、スタッフロールすら無い上にご褒美CGは既出絵であり、単体がPlaystationStoreに50円で売られている。
キティちゃんが好きな子供も絵が目当ての大きなお友達も買う価値を見出せない、まさに「誰得」を体現した本作だが、
フリーズのような目立ったバグは少なく、「仕様通りに仕上がっている(と思われる)のにクソ」という珍しいスタイルであったためか、
KOTYスレでは魅入られて購入する者が続出した。

10月には『天下一★戦国LOVERS DS』にも白羽の矢が立った。
昨年の『戦極姫』がエロゲー界からの刺客ならば、こちらは乙女ゲー界からの刺客と言えるだろう。
ADVの基本部分では、セーブがあるのにロード機能がなく、章セレクトや回想モードすらない。
さらにフルプライスで販売された本作には、攻略キャラ9人の内、完結編まで収録されているのはたったの2人。
その話の続きを読むためには、以前から運営されている携帯サイトに改めて「1章から」課金しなければならないのだ。
「DSのソフトが携帯サイトの有料体験版」という斬新な商法は、KOTYスレに衝撃を与えた。

そして2010年度も年末。佳境に入り、KOTYは『大戦略DS』に『大戦略PERFECT』と『鬼帝』での三つ巴になるだろうと予測されていた。
しかし、これに待ったをかけるかの如く、そして「昨年の教訓」にならうかの如く…全く違う方向から2体の「魔物」が現れたのだ。

まず1体目の魔物は『どんだけスポーツ101』だ。
海外ソフトのローカライズであり、タイトル通り101種類のスポーツゲームを楽しめることが謳い文句になっているが、
できもしないのに101種類も用意しようとして自壊したのか、実際はどれも出来損ないのミニゲームの寄せ集めであった。
面白いと言えるミニゲームが1つも無く、マイナーなスポーツは実際のスポーツと全く関係ないルールで遊ばされ、
違うスポーツでも背景と操作対象を差し替えただけで操作方法が同じ、使い回しのゲームが多く存在する。
その101種類が真横一直線に並んでおり、1つ1つスライドしなければ目的のスポーツが遊べないインターフェースの悪さも際立つ。
どんだけローカライズしたかったんだよ、こんなゲーム。と疑問は尽きない。

そして2体目の魔物は、おしゃれアイテムによる「きせかえ」を楽しむゲーム『プーペガールDS2』である。
2バージョンに分けて発売された本作は子供・女性向けのゲームであり、一般のゲーマーからは縁遠いゲームであるが、
発売日から大量のバグが報告され、購入者から悲鳴の声が続出した。
バージョン毎に違う特典がある、と販促をかけたにも関わらず、
それら2つを同じDS本体で起動すると全く同じ特典コードが生成されるというお粗末なバグに始まり、
メインの着せ替え部分は、特定の組み合わせで乱れた気持ち悪い画像になったり、
拡大で暗転してフリーズ、一部アイテムが反映されなかったり行方不明になったりと散々なデキ。
「9時から12時へ時間経過するはずが、21時になっていた」
「ワイヤレスコンテストに出場しておらず出場回数の履歴も0回なのに、何故か優勝回数が3回になっていた」と細かいバグも多数。
また、服を買うためのお金の役割を果たす「リボン」は、稼ぐ手段が限られているのに店には高額アイテムがズラリと並ぶいびつなバランス。
そもそもこのリボンを稼ぐための救済措置は複数用意されているのだが、
その救済措置がバグによって機能停止、または逆に牙を向いてくる、という恐ろしい状態になっているのだ。
高額報酬を狙えるはずのファッションショーは、初日に開催されて以来バグで音沙汰無しとなり、その初回分すらバグで報酬は0リボン。
プレイ時間によるボーナスも存在するが、22時間プレイによるボーナスはなぜか「マイナス」15536リボン。
このバグで所持リボンがマイナスになったまま外に出ようとするとフリーズする。
開発・販売のアルヴィオンは、このフリーズ対策としてリボンが獲得できる隠しパスワードを先行公開したが、それすら一部が入力済みとして無効になる始末。
つまり延々と小銭稼ぎとバグまみれの着せ替えを繰り返すしかなく、購入者をして「無の修行のようだ、悟りが開けそう」と新たな境地を開拓するに至った。

ストレスフルな仕様だらけ、かつ相も変わらずバグだらけでフリーズも頻発するSLG『大戦略PERFECT』、
ブロックくずしの常識を悪い意味で打ち破り、挑戦者を地獄送りにしていったブロックくずし『鬼帝』、
普段ゲームに手を出さない層すら巻き込むクソを年末に送り出したきせかえゲーム『プーペDS2』。
KOTY受賞候補として残った3作品は、それぞれ全く異なるジャンルであったこともあり、
受賞理由の全く異なる総評が大量に届き、最終決定が大混乱するという、携帯ゲーム板では例年にない事態に発展した。
住人達が頭を抱えたのは、これら3作品が全く異なるクソでありながら、中身ではいずれも共通したクソ要素を抱えていたためだ。
「基本仕様からクソ」。どいつもこいつも根っから腐ってやがる・・・と顔を覆いたくなり、
「通常プレイ困難」。フリーズ、鬼畜仕様、リボンバグは、いずれもまっとうに歩くプレイヤーを真顔で蹴り飛ばし、
「クリアすら困難」。エベレスト登頂どころか、底なし沼の底に行け!と言わんばかり。
比較しようとすればするほど、全く異なる方向に伸びた矢印が「実は同じ長さだったのではないか」という結論に近づいていき、
選考開始から1ヶ月が経過しても話が進展せず、大賞決定は各陣営の根気で決まるのでは?とすら囁かれた。

それでは、今年の大賞を発表しよう。『大戦略PERFECT ~戦場の覇者~』である。
クソゲーにも種類がある。時には笑い飛ばせるクソゲーあり、時にはただ絶望しかないクソゲーあり。
そしてこの『大戦略PERFECT』は「本当に手を出すべきでないクソゲー」である。
『鬼帝』の悪意を持ったステージの数々は、一部動画サイトでは逆に「鬼畜ゲー」として注目され、プレイ動画を映えさせた。
また『プーペDS2』は、22時間バグによるマイナスを最初から実績一覧に表示させていたり、きせかえバグではホラーかのような歪んだ画像が出現する。
これらはKOTYスレでも話題になりやすい「見えやすいクソ要素」であり、外部でもネタにされやすい。

しかし『大戦略PERFECT』は、全体を通じて「冗談の通じないクソ」であることがクソゲーとしての価値を高める結果となった。
クソ要素がロード、フリーズ、バグであるが、どれもただただ不便で不快でしかないため、ゲーム内でも外部でも有効利用が難しい。
戦略シミュレーションとして成り立っているか怪しいレベルで、また独自要素すら自ら潰しているために、通常プレイでも楽しめずネタにすらならない。
さらにこれを後押しするのが、頻繁なローディングによるUMDドライブ回りっぱなしと、名無しの部隊を選択するとPSPの電源が落ちるバグ。
『キャンペーンクリア後の生還部隊を確認していたと思ったらフリーズして、PSPがヤバイ音を立てた』という報告もあった。
昨今ではKOTYの知名度ばかりが拡散し、大賞候補ならば逆にネタになるだろうと自らクソゲーに手を出す初級ハンターも増加してきているが、
『大戦略PERFECT』はおすすめできない。本作は、クソゲーであるという前提を持ってプレイしても「笑いに昇華できる要素が全く無い」からだ。
KOTYスレでも特攻報告は少なかったが、それはハンターですら「手を出す価値が無い」と判断し、また危険性を住民が嗅ぎとっていたからと言えよう。

2010年携帯ゲー板KOTYは「クソゲー戦国時代」と呼べる、様々な特徴を持つゲームが多数ノミネートされた。
特に大賞候補の4本は、どれも全く異なる方向を向いていながら各方面で突出したクソであり、
戦国時代の武将にそれぞれファンがいるように、今年のクソゲー達は「七色の尖ったクソ」であり、各方面で存在感を強く滲ませていた。
笑顔の覇王『鬼帝』は、タイトルや見た目とのギャップ、ファミコン時代のクソゲーのようなそのネタ性から人気を博し、
携帯ゲーKOTYスレでは「やるオプーナ」に変わるマスコットキャラとして、スレ内での地位を確立した。
仕事を選ばないことに定評のあるキティちゃんだが、クソゲー界で愛されることになってしまったのは不幸としか言いようがない。
一方で『プーペDS2』は、クリスマス商戦を狙って子供に全力で未完成品を投げつけておきながら、
年明け前には苦情電話に応対するためのアルバイトを募集するなど、KOTYスレに炎上の話題を投下し続けた。
「宣伝になるから」と、PS3で『マリシアス』を低価格で配信したことにより評判を上げていたアルヴィオンだったが、
『プーペガールDS2』によってその粋のある宣伝が台無しになってしまったことは間違いない。

それでは最後に、ここまで読んでもまだ「KOTY大賞をプレイしたい」という方々に、以下の忠告を贈ることによって2010年携帯ゲー板KOTYを締めくくることにしよう。

「あなた・・・『覚悟して来てる人』・・・ですよね?」