2013年 総評

2013年 次点

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このページは、2014年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案1 (インフィニタ・ストラーダ)

携帯機版クソゲーオブザイヤー2013は恐ろしい年であった。方向性の違う3つのクソゲーがぶつかり合い、そもそもクソゲーとはなにかという次元の争いにまで発展した。
見事大賞を勝ち取った「ホームタウンストーリー」はスレ住民をして「禁忌の邪神」と言わしめる古き悪しきHurtfulなゲームであり、その苦痛さは確かに大賞の器であると言えよう。
しかし、どれだけ金をドブに投げ捨てようとも、時間を無駄遣いしようとも、そして拷問のような苦痛を味わおうとも、スレ住民は学ばない。
こうしてまた、愚かな人間たちの1年が始まる。クソゲーオブザイヤー2014の幕開けである。

1989年、カルチャーブレーンは「超人ウルトラベースボール」をファミコンで発売した。
「秘打」と「魔球」のぶつかり合い。常識では考えられない人間離れした「ウルトラ技」を使って戦う「超人野球」が売りであり、シリーズ化もした(一部に)人気の作品である。
そして2014年3月13日。カルチャーブレーンは20年ぶりにこのシリーズの続編を発売した。
それがKOTY2014のトップバッター『超人ウルトラベースボール アクションカードバトル』(通称「超人」)である。

まずは今作の新要素「カードバトル」について触れよう。
投手には投法カード、打者は打法カードがそれぞれ5枚ずつ配られ、お互いはそれぞれ1枚を選択。5つの投球コースから1つを選んで勝負する。これを9回まで繰り返す。
投手は直球を選べばそのままの投球コース、変化球を選べば何マスかズレたコースとなる。打者は投手の持っているカードが分かるため、どのコースに飛んでくるかを予測する。
良いカードが無ければカードを選び「見送り」することで不要なカードを消費する、という戦術も可能だ。

このように一応戦略性はあるものの、結局は運ゲーである。
まずこのゲームにデッキ構築やカード収集といったTCG要素は一切ない。どんなカードが来るかは完全に運次第であり、それは本作の最大の売りである「ウルトラ技」も例外ではない。ウルトラ技は非常に強力で使えばほぼ勝ててしまうのだが、そのカードが来るかどうかもランダムであり、全く来ない時もあれば3連続で使える時もある。
またすべてのカードにレベルの概念が存在し、相手よりレベルが低いとヒットが凡打になったりする。選手の体調管理や成長、といった要素もほとんどないため、結局配られるカードの強さで全てが決まってしまうのだ。
その上カードを選んで、相手の行動を予測し、適切なコースを選んで結果を見て、またカードを選んで〜を9回まで繰り返すため、テンポが非常に悪い。守備が全自動でありBボタンでスキップすることすら出来るのは少しでもテンポを良くしようという開発者の温かい心配りであろう。
グラフィックは酷い、の一言である。PS初期か、あるいはDS初期の作品と比べても見劣りするほどだ。
選手はユニフォームが違うだけで全員同じ顔・同じ体格であり、売りであるウルトラ技もこのせいで全く迫力がない。例えば秘打「タイガー・ファング」は飛んで行ったボールをキャッチしたはずの野手がそのまま吹っ飛ばされ、フェンスに激突しボールを落としてしまう、というものなのだが、キャッチした野手がそのままの姿勢で真顔のままフェンスまで平行移動していく様子は迫力というよりシュールだ。
ストーリーもまた突っ込みどころ満載だ。主人公が通う「アルカトラズ野球スクール」が何故か絶海の孤島にあったり、途中の試合をすっ飛ばすダイジェスト展開がストーリー中に2回もあったり、そのダイジェスト展開にキャラ自身が突っ込んでみたりといったお寒いコントが終始展開される。
そして極めつけは主人公の新技習得の流れだ。前述した通りキャラクターの成長という要素はほとんどないのだが、実は主人公のみ一回だけ新しい技を覚える。が、それも監督に「使い古された魔球では他のゲームに勝てない」と指摘された主人公が「理屈は全く分からないけどなんか」新魔球を完成させる、というもので、ここまで寒いともう突っ込む気すら起こらない。
他にも紙説明書に書かれている操作が実際には出来なかったり、最高で基本6球団+エディット6球団の計12球団登場するのに球場は3つしかなかったりなどと細かい突っ込みどころには事欠かないが実に些細な問題である。
公式サイトには「野球の常識も物理法則の常識も、このゲームには通用“しなしな”い!」と書かれているが、どうやら2014年発売のゲームという常識も通用しなしないようだ。

「超人」発売から1週間後である3月20日、負けじとKOTYに乗り込んできたのは『ゲームセンターCX3丁目の有野』(通称「有野」)である。
「ゲームセンターCX」といえばよゐこの有野晋哉がレトロゲームで遊ぶCSの人気番組であり、今作は番組を元にしたゲームシリーズの第三作である。しかし番組10周年に発売を間に合わせようと開発元を変更してまで発売を強行した結果、出来あがったのは突出したクソ要素こそ少ないもののやればやるほどクソさが滲み出るスルメクソゲーであった。
本作のストーリーは、過去に飛ばされた上に記憶まで失ってしまった有野少年をレトロゲームをクリアして未来に返そう!というものである。メインとなるゲームにはそれぞれノルマが課せられており、ゲームのノルマを全て達成すれば章クリア、全8章をクリアすればエンディングだ。しかし、エンディングに至る道には無数のクソ要素が敷き詰められている。

例えば最初に登場する「マリオブラザーズ」風ゲーム「ルーミーと魔法のホウキ」は、敵の動きが複雑でしかも強いため、良いアイテムが出ることを祈りながら逃げ回って一匹ずつ倒していくという運ゲー。
3番目の「ドルアーガの塔」風ゲーム「ソーマの秘宝」は、主人公があまりに貧弱なため「ハイドモード」という強化状態を使わなければまともに進めないのに持続時間は短く回復時間は長いなど、とにかく時間がかかるストレスフルなゲーム。
ワープを使う事で一気に進めるのだが、クリアに必須なアイテムがあるフロアまで飛ばしてしまうため、ラスボスを倒したと思ったらアイテムがないので下階に強制送還される、という罠も存在。ワープなどという無粋な手段は使わずダンジョンを骨の髄まで遊びつくしてほしい、というスタッフの粋な計らいだろう。
7番目の「FF」風ゲーム「ブラッドオブドラゴン」はエンカウント率がやたら高いのに、「DQ」でいうところの「ルーラ」も「リレミト」も「トヘロス」も無く、攻撃は5回に1回は外れ、単調なストーリーに劣悪なUI、などなどと本作随一の出来栄え。昔のゲームの不便さや理不尽さまで見事に再現した名作である。
5番目の「ロックマン」風ゲーム「ザウルスボーイ」のようにそれなりに面白いゲームも存在するが、ほとんどはプレイしていると少しづつストレスがたまっていく駄ゲーかクソゲーである。
そして、「有野」のほうのストーリーを進めるためには前述した通りノルマを達成する必要があるのだが、ノルマ達成もこれまた面倒くさいものが多い。さらに前作ではごく普通に可能であったゲーム内ゲームプレイ中のリセットや攻略法・ノルマの確認などが出来なくなるなど、細かいUIも劣化。などと満遍なく細かいクソ要素が敷き詰められており、ゲームのつまらなさを助長している。

さて、ここまではゲーム性のクソさについて言及したが、それ以外のクソさについても述べよう。
一番の問題点は、「懐かしさ」が売りのゲームのはずなのに懐かしさの再現がまるで出来ていない、ということだ。
80年代のゲームのはずなのにやたら色鮮やかであったり、ゲーム&ウォッチのようなLCDゲームにも関らずキャラがその場で倒れこむというありえない描写があったり、などと製作者のレゲー知識の深さがうかがえる。
また「友達の家でゲームをやってる当時の感覚」ということで有野少年が隣から口出ししてくるが、記憶喪失による語彙力の低下を再現したのだろう、台詞の種類が少なく何度も同じことを喋る。
他にも番組ネタを前後の脈絡を無視して強引にねじ込んでみたり、などとクソ要素を挙げればキリがない。
一つ一つはさほどではないが、やればやるほどクソの味がにじみ出てくるスルメクソゲーっぷりに嘔吐者が続出。
こうして「超人」と「有野」という二つの「門番」が誕生したのであった。

4月22日、無限の彼方より『インフィニタ・ストラーダ』(通称「タダ」)が襲来した。
今作はソーシャルゲーム「無限のストラーダ」をコンシューマー版にしたものであり、KOTY初となる「基本プレイ無料」のソフトである。
数字の大小のみで勝負が決まる典型的なソーシャルゲームである原作とは違い、戦略性のある「デッキ構築型カードゲーム」を謳う本作であるが、ソーシャルゲームの理屈に強引に戦略性をねじ込んだ結果融合召喚されたのは「コイントス以下の何か」であった。

「タダ」をダウンロードしストーリーを始めたプレイヤーはおそろしく劣悪なゲームバランスの洗礼を受けることとなる。
本作ではカードの強さごとに☆1から☆5のレアリティが与えられ、☆5が最も強い。
だが☆4以上のカードはオンライン対戦の報酬か課金によってしか入手できず、無課金ではオンライン対戦をしない限り☆3以下のカードしか入手できないため、貧弱なカードのみでCPUの強力なカードたちと戦うことになる。
普通のTCGでは弱いカードだからといって強いカードに全く勝てないということは少ない。さまざまな戦術を駆使し弱いカードで強いカードを打ち破り勝利する、というのもTCGの醍醐味の一つである。しかしタダにはそのような一般常識は通用しない。
まずこのゲームは先攻が極端に有利だ。「カードは場に出したターン攻撃することもスキルを発動することもできない」といういわゆる「召喚酔い」の制度があり、どれだけ強力なスキルを持っていたとしても次の自分のターンまで生き残れなければ何も出来ずに退場となる。このゲームでは☆が1つ違うだけで強さが倍ぐらい変わるため、先攻を取られてCPUに☆4、☆5のカードを並べられた瞬間、こちらもカードを並べたところで次のターンには相手の総攻撃やスキルによって全滅するというスタイリッシュもぐら叩きが展開される。
追い打ちをかけるかの如くストーリー後半には「☆3以下の攻撃を半減・無効化」といった露骨な無課金者殺しのカードが当たり前のように登場するため、意地でも課金させようという意図がよく伝わってくる。

所詮は元ソシャゲ、勝利の資格を持つものは課金者とCPUのみなのか…?それはどうかな!
まずこのゲームには、デッキ枚数の上限はあれど下限はない。つまり、デッキ枚数を初期手札の枚数である6枚以下にすることによって望むカードを100%初手に揃えることができるのだ。遊戯王で言うならエクゾディア5種のみのデッキが組めるようなものである。
これを利用し、「自分を墓地に送り相手の場のカードを全て除去するカード」と「墓地のカードを回収するカード」の2枚のみで構築した「除去デッキ」を組む。除去耐性を持つカードは存在しないため、毎ターン除去&回収を繰り返すことで先攻を取りさえすれば確実に勝利できるのだ!この2枚は無課金でも入手できるため、除去デッキさえ組めば課金せずともオフラインモードを完全攻略できる。『インフィニタ・ストラーダ』とはイタリア語で「無限の道」と言う意味であるが、無限の道の行きつく先は「2」であった…。

対人戦ではバランスがさらに悪化する。前述したとおり本来カードは場に出たターンに何もできないのだが、なぜか対人戦においては「手札からスキルを即座に使用可能」という特別ルールが適用される。
これを利用し、「召喚酔いせず場に出て即攻撃可能だが弱い」カードとそれを全力で強化するカード5枚のみでデッキを組む。すると一切の抵抗を許さない1ターンキルが可能となり、先攻さえ取れば100%勝利できるという究極のデッキ「速攻デッキ」が完成するのである。なおこのデッキには課金限定カードが含まれるため無課金者が組むことは出来ない。課金者が無課金者より優位に立つのは当然であるが、このデッキを手にした課金者は一体誰と戦うのであろうか…。
またこれらと比べれば些細なことではあるが、カードのイラストもあまり褒められたものではない。エロティックなイラストが多く事実CERO:Dであるが、それ目当てにプレイする価値があるとは到底言い難い代物である。
このような世紀末どころかコイントスでもしたほうがまだマシなバランスによって、発売直後から過疎であったオンラインはスレで有志を募り、対戦報酬のカード目当てに即ギブアップを繰り返す「談合」の場になるという異様な事態に。
現在はそれすらも無く、カードの追加もわずか1ヶ月半で終了、短い生涯を終えた。

7月31日、ファミ通クロスレビュー4/6/4/4の計18点という低評価を引っ提げて『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』(通称「プリヤ」)がやってきた。
本作はTVアニメ 「Fate/kaleid linerプリズマ☆イリヤ」1期の後日譚を描いた作品であり、1期放送開始前に発表され1期終了後に発売する予定…だったのだがそれから延期を繰り返し、予定から10ヶ月遅れの2期放送中にようやく発売。
延期を繰り返すゲームはクソゲー率が高いという法則もあり一部から期待が集まっていた本作であったが、見事ゲー無という形でこれに応えた。

このゲームはイリヤをはじめとする魔法少女や英霊たちを操作して他の魔法少女や英霊と戦う対戦型3Dアクションゲームだ。火の玉やバリア、回復といった多様な効果を持つカードから10枚のカードを選んでデッキを組み、それらを駆使して戦う事が重要である。
制限時間内に相手のライフを0にすると勝利となり、制限時間が切れるか自分のライフが0となったりすると敗北となる。
しかしその制限時間はストーリーモードでは一律60秒とやたら短く、またバトルフィールドがやたら広いため敵を発見するだけで一苦労。その上戦闘開始の合図が無いためぼんやりしているといつの間にか始まってしまい、貴重な時間を浪費した上敵に先制されるという事態も起こってしまう。
敵を素早く見つけて始末できなければあっと言う間に時間切れになるため、速攻で敵を発見し、一気に火力を叩きこむ、ということが重要となる。そのためデッキはどうしても攻撃一辺倒のものになってしまい、折角のデッキ構築の楽しみも大幅減。

だがこの苛烈な時間制限よりもさらに恐ろしい敵がいる。それは味方だ。
英霊との戦いの際、味方の魔法少女がランダムで参戦し共闘してくれるのだが、なんと味方が英霊にトドメを刺すと敗北扱いになってしまうのである。
敵を素早く発見できて持てる最大限の火力を叩きこみ…という圧倒的優勢な展開の試合でも味方に最後の一撃をかすめ取られるだけですべて台無しになってしまうという理不尽さに思わずゲームをゴミ箱に叩きこみたくなる。

ところで本作は元がエロゲーであった「Fate/stay night」の派生作品であるためか、なんとCERO:Bにも関わらずイリヤその他魔法少女たちの裸が拝める。
カードの一種「クラスカード」は英霊の武器を使用できるという効果なのだが、HP30%以下で使用すると「夢幻召喚」となり姿までもが変化する。女性英霊の夢幻召喚の場合特に違和感なく変身できるのだが、問題は男性英霊の場合。
本作の夢幻召喚は首から下をすげかえる、という仕様だ。これだけならあくまでポリゴン作成の手間を省く工夫に過ぎず、「FE覚醒」など他作品でも見られる手法である。
しかし「プリヤ」のそれは敵キャラとして出てきた敵の首から下をそのまますげかえる、という手抜きっぷりであり、例えば獣化ランサーの場合は筋肉質な下半身の上に少女の首が乗っかる、という違和感満載仕様。
極めつけはバーサーカーであり、筋肉ムキムキで腰布一枚な半裸魔法少女たちの雄姿には腹筋崩壊すること間違いなしである。

ボリュームの薄さも見逃せない。本作は通常版で定価が税別6,000円と決して安いソフトではないが、選評主によるとなんと初見1周目が1時間弱でクリアできるという驚愕のボリューム。
マルチエンディングなので周回を行う必要があるが、カードが揃い環境が整う2周目以降は一周に30分もかからず、エンディングを回収してカードを収集し、4人全てのキャラをハードモードでクリアしても5時間程度で終わるというゲー無っぷりである。
他にもタッチパネルには完全非対応であり、カメラワークも劣悪と作りこみの甘さが目立つ。開発元のKADOKAWAには10ヶ月もの延期の間一体何をしていたのか是非教えていただきたいものだ。

では、今年度の大賞作品を発表しよう。携帯機版クソゲーオブザイヤー2014大賞の座に輝いたのは『インフィニタ・ストラーダ』である。
「超人」は2014年のフルプライス作品とは到底思えない低クオリティのゲームではあるが、別に遊べないわけでもない。事実本作からストーリー部分を削除し500円に値下げしたライト版は値段相応の出来であると評されている。
「有野」も同様に別に遊べないわけではない。確かにほとんどのミニゲームの質は悪いし、「ゲームセンターCX」の看板に泥を塗ったのは動かし難い事実であるが、中には「ザウルスボーイ」のようにそれなりによく出来たゲームもあり、これは立派なプラスの評価点である。
「プリヤ」はゲームとしては大変ストレスフルな代物で手抜き夢幻召喚の件といいとても原作愛があるとも思えないが、それでもキャラクターボイスや一枚絵などファングッズとして評価できる点も存在する。
そう、この3作品は一応褒められる点もあるのである。
しかし「タダ」は褒められる点が皆無だと言っても過言でもない。TCGとしても、ソーシャルゲームとしても、イラスト集としても落第である。
「時は金なり」という諺がある。時間はお金と同様貴重なものであり、無駄にしてはいけない、という戒めだ。
本作の評価点を挙げるとすれば、それはこの言葉の意味が身に沁みてわかる、という点だ。課金もせず自分の財布は全く痛んでいないのに、何故か損をしている気がする。その理由を考えることで「時は金なり」という諺を思い出し、その意味を実感できるのだ。
子供が夏休みを無駄に過ごしている、と思う事があったならば「タダ」をプレイさせると良い。時間の大切さをよく理解してくれることだろう。「タダ」は道徳教育に役立つゲームなのである。

クソゲーオブザイヤーの住人は実に愚かである。時間とお金を無駄にすることが分かっているクソゲーを喜々として購入し、プレイして虚無感を味わう。そしてスレで笑い飛ばし、中古屋に売り飛ばし、学習せずまた地雷を踏み抜きに行く。
世の中に「金をドブに捨てた」とか「金を返せ」と酷評されるクソゲーは数多く存在する。「超人」「有野」「プリヤ」もこの類だ。しかしこれらは金を払う価値は無いにせよ「無料なら少しやってみたい」と思わせる最低限の面白さは持っている。
しかし、「無料でもやりたくない」とまで言われるクソゲーは珍しい。「タダ」のゲーム性は「CPUにお前が先攻だ、と言われるよう祈る」程度のものでしかなく、これは最早ゲームとは呼べない。
2011年王者「対戦チンチロリン」は「このゲー無を買うぐらいなら100円ショップでサイコロと茶碗を買ったほうがマシ」と酷評されたが、「タダ」は何かを買う必要すらない。なにしろ「適当なコインを放り投げてキャッチし、表か裏かを確かめる」というただそれだけで「タダ」の奥深いゲーム性を体験できるのだ!、
しかしコイントスは表が出るか裏が出るかを決めるだけのゲームだが、コインを投げるのもそれをキャッチするのも自分である。しかし「タダ」は自分が先攻決めに介在することすらできず、全ては乱数のきまぐれに過ぎない。
地球上でもっとも単純なゲームであるコイントスにゲーム性で劣る、ある意味究極のゲー無である『インフィニタ・ストラーダ』こそ、大賞の器に相応しいと言えよう。

最後に見事王冠を勝ち取った開発元AMGエンタテイメントと発売元おふぃす5656の偉業を祝し、某TCGアニメ主人公の言葉を借りて次回作『インフィニタ・ストラーダ 華』へのエールを送り、総評の締めとしよう。
「おい、ゲーム売れよ」

総評案2 (インフィニタ・ストラーダ)

2013年度・三つ巴の戦いは、クソゲーとしての方向性の違いと実力の拮抗、各人の思惑から混迷を極めた。
やがてゲームの本質・存在意義が問われた議論は年明け7月まで続き、大賞『ホームタウンストーリー』さながらの「ハートフル(Hurtful)」な展開だった。

憎しみは何も生まないが、クソゲーを糧に芽吹く命はある。
携帯ゲーム版クソゲーオブザイヤー(KOTY)、2014年度の開幕である。

プロ野球が開幕戦を控える3月13日、KOTYの開幕投手は一足早くマウンドに立っていた。
3DS・カルチャーブレーン『超人ウルトラベースボール アクションカードバトル』(超人)。
魔球、秘打といった「ウルトラ技」をはじめとする人間離れの「超人野球」ができることで(一部に)人気のシリーズで、SFC以来20年ぶりの復活だ。

本作がタイトルに冠する「カードバトル」とは何か解説しよう。
打者のカードは打法、投手のカードは投法で分けられており、互いにカードを5枚持ち、5つの投球コースを選んで投打を行う。
打者は投手の手札と投球コースを見ることができるが、どのカード(ボール)を使うかは分からない。
対して投手は変化球のカードを選ぶことで、投球コースをズラすことができる。

しかし、駆け引きが生じるのは僅かである。
カードにはデッキ構築・カード収集の要素が一切無くランダムで配られるため、運の要素が圧倒的に強い。
勝負に出られずに「見送り」(捨て札)を繰り返すこともあれば、使えばほぼ勝てるウルトラ技が3連続で配られることもある。
そもそも「投げたボールを打ち返す」という単純なゲームにも関わらず、
一球一球いちいちカードとコースを選択する作業を9回まで繰り返させるのは、テンポが悪く飽きる。
それでいて、バットがボールに当たった後の守備は全自動、かつBボタンでスキップも可能。
カードバトルに専念させようとする、野球らしさを投げ捨てた心づかいが身に沁みる。

続いて、グラフィック・演出面について触れよう。
初代DSでも珍しいカックカクのローポリゴン、胴から足が生えたようなデフォルメ体型、選手は皆揃って同じ顔・体型という、球場内に広がる奇妙な光景が目を引く。
ウルトラ技も、野球モノ定番の「消える魔球」、七色の分身を作り出す「レインボール」、打ち返した球が着地すると爆発する「ビッグバン打法」など、
発想自体は悪くないのだが、選手同様に前時代感溢れるグラフィックのエフェクトが迫力を感じさせない。
球を取った野手をフェンスまで吹き飛ばす打法「タイガー・ファング」に至っては、野手が体を「く」の字に折り曲げたまま、スーッと平行移動していく有様。
6球団が登場するのに3球場しか無いというのが、もはや瑣末な問題に思えてしまう。

目標は三冠王と言わんばかりに、ストーリーも見逃せない。
主人公が所属しているのは、絶海の孤島にそのまま球場を建てた「アルカトラズ野球スクール」。
典型的な野球モノ風のあらすじとキャラクターデザインにも関わらず、何故「監獄島」の物騒な名前を付けているのか…と突っ込みたくなるのは序の口。
予選一回戦を突破したが、まだまだ強豪が控えている!といった引きをしつつ、次のシナリオでは予選突破後、チームメイトが対戦相手について回想するダイジェスト。
新魔球習得のイベントでも、「使い古された魔球で他のゲームに勝てると思うか!」「理屈は全く分からないけどなんか完成した俺の新魔球」といった台詞が飛び出す。
この他にも、「ダイジェストの予感」「今回台詞のなかったチームメイトに台詞はあるのか」など、
熱血スポ根が主流の野球モノとは一線を画す、薄ら寒いメタフィクションが盛り沢山だ。

おまけに1年も経たない11月5日には、ストーリーモードのみを廃止した「ライトバージョン」を約1/10である500円のダウンロード版として発売。
公式HPでも「ストーリーモードはパッケージ版でお楽しみください」と紹介しつつ、パッケージ版の価格などの情報を一切掲載しないあたり、何か思うところがあったのか。
「ゆめのすけプロジェクト」の名に反して変化球のように繰り出される「夢も希望もない」クソゲーは、これで「アウト」にしてほしいところだ。

1週間後の3月20日、次なる挑戦状を叩きつけてきたのは、3DS・バンダイナムコゲームス『ゲームセンターCX 3丁目の有野』(有野)。
『ゲームセンターCX』と言えば、よゐこの有野晋哉が「有野課長」に扮してレトロゲームに挑戦する様子などが受けて、10周年を迎えた長寿番組。
番組をモチーフにしたゲームも2作発売されており、10周年プロジェクトの一環として、本作がシリーズ3作目として発売された。
しかし、10周年に間に合わせようとしたためか、開発元がグレフに変わっただけでなく、有野課長が開発陣に無茶ぶりをする番組コーナーも無くなり、
2ヶ月の延期を経て迎えた発売日、ファンは不安と予想を下回る現実を見せ付けられていた。

まず操作性について触れると、「タッチオンリー」と「ボタンオンリー」の操作が混在しており、頻繁に持ち替えなければならない。
タイトル画面の「スタートボタンをおしてください」でボタンを押した直後、
ストーリー、オプションなどのメニュー選択では、早速タッチ操作に切り替わる。
ストーリーモードでも、アドベンチャーパートの会話はボタン操作、マップの移動や屋内でのゲーム選択はタッチ操作、本作のメインの「ゲームinゲーム」はボタン操作。
レトロゲームを題材にした作品で、操作性の悪さという現代的な問題に真っ先に直面するのは、既に何かがおかしいことを予感させてくれる。

改めて本作について解説すると、何故か80年代にタイムスリップして記憶喪失になっている「有野少年」と出会い、
記憶を取り戻すきっかけになるゲーム…「ゲームinゲーム」をクリアしていく、というストーリーになっている。
ゲームは80年代のそれのパロディ風で、アクション、シューティング、RPGなど、ジャンルも多種多様。
更にストーリー進行とは無関係に「10円ゲーム」なども遊ぶことができ、収録内容は非常に充実している。

しかし、それらはことごとく出来が悪い。
最初に遊ぶ「ルーミーと魔法のホウキ」一つを取っても、
ブロックを下からジャンプで崩して落とし穴を作り、敵を落とし穴へ誘い出し、
ボタンを押したまま敵の上を通過すると、ホウキで元に戻ったブロックに敵が埋まって倒せる……
要するに敵の倒し方が面倒になった「マリオブラザーズ」であり、見ての通り行動は隙だらけで、敵1匹を仕留めるだけでも一苦労。
ステージが進むと、敵の種類が増える、敵の動きが複雑になる、硬いブロックが出てくる、
敵が「操作を逆にする妨害攻撃」を仕掛けてくる、滑る床が登場するなど、プレイヤー殺しには余念が無い。
ゲームプレイ中に「ゲーム攻略法」「ノルマ」が確認できないという仕様が拍車をかける。

ゲームバランスの悪さに続いて目に付くのは、レトロ感の再現度の低さだ。
メダルを賭けてCPUとジャンケンするジャンケンマンもとい「ジャンケンダーEX」は、
ジャンケンの手によって本来LEDランプで表示しているはずの部分がズレているという、信じられない表示をしている。
SFCのFF・ドラクエ風RPG「Blood of Dragon」も、ドット絵ではない鮮やかにスキャンされた立ち絵が会話に挿入され、
「抜擢(ばってき)」などの漢字もふんだんに盛り込んだ、当時のスペックを超越したオーバーテクノロジーを見せ付ける。
80年代にも関わらず街中には現代的な美少女・萌えキャラクターの看板が並んでいるあたり、時間改変モノにでもしたかったのだろうか。

『ゲームセンターCX』のキャラゲーとして評価しようにも、ファンであればあるほど喜べない。
街中に登場する一般人は、子供から大人までほぼ全員がCXスタッフと同名であるが、
グラフィックは言われてみれば似ている・言われても分からないのどちらかであり、
番組内での持ちネタ・名言も、前後の流れを無視して「とりあえず言わせている」感が否めない。

エンディングに至っては、プレイヤーは前作『挑戦状2』内のゲーム「課長は名探偵」の主人公であり、
ゲーム内の有野課長と一緒に昼寝をしていたら、ゲームをしている夢を見ていたという、記憶喪失などの設定を捨てた夢オチ。
かと思いきや、スタッフロールが終わると、今度は「実写の」有野課長が目覚めるという意味不明なムービーが流れる。
本作で聞ける「3が2を超える事ってあるんかなー?」という台詞は自信の表れか、自虐ネタか。
「これ以上やったらゲーム嫌いになるよ」とは、まさに名言である。

こうして2本の「門番」が擁立されたのも束の間。1ヶ月後の4月22日、更なる新風が舞い込む。
PSVita・おふぃす5656『インフィニタ・ストラーダ』。
ゲーム本体を無料で配信し、ゲームを有利に進めるアイテムなどを有料販売するという、コンシューマではまだまだ珍しい「基本無料ゲーム」の1つ。
本作は対戦型カードゲーム、『遊戯王』『マジック:ザ・ギャザリング』などに代表される「トレーディングカードゲーム」であるのだが、
粗製乱造で恐れられる基本無料の本場、携帯電話ゲーム・ソーシャルゲーム業界の技術で作られた本作の実力は、KOTYでも十分に通用するものであった。

ターン開始時には「MP」が補充され、カードの配置(召喚)、配置後の追加効果「スキル」発動のために消費する。
カードゲームであるからには当然レアリティが存在し、本作では☆1〜5で表される。
ソーシャルゲームではよくあることだが、☆4・5のレアカードは課金・対戦報酬での入手に限定されており、
いわゆる「モンスター」「クリーチャー」のカードしか無いため、レアカードは一層強力な能力を持ち、性能には天と地の差がある。
その最高レアでもコスト8〜10・スキルコスト2〜3程度の消費に対し、ストーリーを進めるとMPが毎ターン10以上補充され、
コスト増加のデメリット・コスト管理のストレスから解放された、自由度の高いプレイが楽しめる。

「スキル発動から1〜2ターン敵の攻撃・スキル発動を禁止する」といったスキルを駆使すれば、序盤は低レアカードでも活躍できるが、
高レアカードは「攻撃禁止無効」「スキル発動禁止無効」という小学生のケンカのような耐性、
更には「☆3以下からの攻撃を無効・減衰する」という能力を持ったものが多く、低レアカードはルール段階で存在を許されていない。
ストーリー後半ではこういったレアカードが文字通り「壁」として立ちはだかり、是が非でも課金させようとする意地を見せる。
そして配置されたターンは攻撃もスキル発動もできない「召喚酔い」もある一方、相手ターン中に自分は何の行動もできない。
同程度の強さの相手には、後攻の召喚酔いしたカードを先攻が破壊される、先攻絶対有利のもぐら叩きが繰り広げられる。

先攻絶対有利を助長する本作最大の特徴は「デッキ下限なし」のルールだ。
デッキ上限20枚で初手6枚、デッキ切れによる敗北やペナルティは無し。理想的な手札が100%揃うイカサマ、「積み込み」が許容される異常が日常である。
「プレイヤーが直接攻撃されてライフを失う」「デッキの全てのカードを墓地に送られる」
2つの敗北条件が設定されているからといって、デッキ枚数を減らすことにデメリットはほとんど無い。
「自分を墓地に送る代わりに、相手の場を全て墓地に送る」という強力な除去スキルには「耐性」が存在せず、戦闘不要。
「墓地のカードを手札に戻す」回収スキルと組み合わせれば、除去を回収し続ける2枚だけのデッキで、一切の展開を許さず勝利可能だ。
どちらのカードも対戦報酬に含まれており、一応は無課金でも入手可能なのは、開発者の数少ない良心だろうか。

カードゲームの醍醐味である対人戦だが、こちらは「スキルを手札から発動可能」という追加ルールにより、更なる世紀末を呈している。
「召喚酔い」の効果を受けないカードは、攻撃力が高くなく、本来は戦力になりにくい。
しかし、そのカード以外を全て「攻撃力アップ」「MP補充」などのスキルで固めることで、「100%揃う初手6枚で召喚酔い無効の1ターンキル」が実現できることが判明。
「除去スキル」も手札から発動できるので、1ターンキルを自粛したところで「カードを先に出した方が除去されて負ける我慢比べ」にしかならない。
選評者・住人たちは、「山札5枚のエクゾディア」「即死コンボvs待ちガイル」、果ては「コイントス」に例え、恐怖した。

オンラインタイトルではあるが、ストーリーとカードの追加は全てアンロック式で、それが行われていたのも僅か1ヵ月半。
カードのエラッタ(下方修正)、使用枚数の制限措置などが取られることはおろか、
カエル顔・脳勃起も当たり前の古臭くいまいちかわいくないキャラクターが増える気配もなく、コレクションとしての価値も無かった。
インフィニ「タ」・ストラー「ダ」の後ろ2文字に『タダ』が隠されており、「タダでもやりたくない」と思わせる本作の通称になったのは、まさに運命だろう。

遅れて7月31日に召喚されたのは、3DS・角川ゲームス『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(プリヤ)』。
アダルトPCゲーム原作ながら、10周年を経てなお根強い人気を誇る『Fate/stay night』シリーズ。
そのスピンオフ作品として漫画連載を開始、アニメ化・ゲーム化へと至った本作であるが、予定から10ヶ月遅れのアニメ「2期」放送中にようやく発売。
低得点ほど信頼できると揶揄されるファミ通クロスレビューでも、角川グループの身内への情けも感じさせない「4/6/4/4」の低得点を記録。
その経緯から期待もとい危惧されていた本作は、他候補をなぎ倒そうとする「狂戦士(バーサーカー)」であった。

暴走して「黒化英霊」を生み出す「クラスカード」を回収するため、主人公・イリヤたち魔法少女が、時に共闘、時に乱戦を繰り広げる。
原作Fateのキャラクター要素を取り込みつつも、オーソドックスな魔法少女モノをゲーム化した本作は、
ロードからノーウェイトで戦闘が始まり、広大で起伏に富んだマップから敵を探し出し、一律60秒制限で決着を付けるという、ハイスピード3Dアクションだ。
カードを10枚まで選んで特殊行動を追加でき、攻撃・防御・補助・クラスカードの4種類に大分されているが、
索敵・蘇生・回復・バリアなど、一部の防御・補助以外は、攻撃系カードのガン積みが推奨される。
初見1周目でも1時間弱でクリアでき、マルチエンディングに優しいペラペラの。

「味方」の存在も忘れてはならない。
原作プリヤ同様、英霊戦で共闘してくれるのだが、味方が英霊にトドメを刺した場合は「敗北」する。
自分が何割削ろうが、コンボを叩き込んでいる最中だろうが、最後に一発掠められただけでダメなのだ。
味方もカードによる特殊攻撃を容赦なく行使し、参戦するかどうかもランダムであるため、厄介者以外の何でもない。

魔法少女がクラスカードの英霊の力を使い、武装を再現する「限定展開」、武装にとどまらない能力まで再現する「夢幻召喚」という原作プリヤのオリジナル要素がある。
黒化英霊と夢幻召喚の使用者によって、同じクラスカードを使っていても、
黒セイバー(オルタ)、白セイバー(リリィ)、青セイバー(いつもの)など、多種多様に変化するのも見所だ。
本作でもクラスカードは限定展開、HP低下時は夢幻召喚として区別されているのだが、本作の夢幻召喚は敵の体に自キャラの首を挿げ替えるだけである。
自キャラは魔法少女だが、敵には男性型のものもいるし、原作のように衣装のアレンジをすることもない。
結果、どうなるのか。
原作Fateには様々な事情でイリヤの性的描写がないが、本作では彼女も含め、魔法少女たちの裸体が惜しげもなく披露される。
腰布一枚で巌のような筋肉質の肉体を晒す巨人・バーサーカーに、魔法少女たちの首が付いているのだ。
「バーサーカーは、強いね」という原作Fateのイリヤの名台詞も、この「クソコラ」を前にしては台無しである。

以上、本年度の候補4作の中から大賞を受賞したのは――『インフィニタ・ストラーダ』である。

『超人』は、練りこみ不足ではあるが、多少なりと駆け引きの要素がある。
「ライトバージョン」の発売もあって、500円の価値は保障されているとも言っていい。
『有野』は、レトロゲームらしい理不尽さとして捉えればあながち間違いでもなく、
演出のちぐはぐさ、元ネタからの劣化やオリジナリティの無さに目を瞑れば面白いものもあり、ゲーム集としては十分に成立している。
『イリヤ』は、キャラクターボイスやイラストなどのファン向け要素は備えており、
「バーサーカーコラ」もインパクトはあるが、肉襦袢程度でグロテスクな表現などではなく、笑って許せる。

では『タダ』はどうか。
とにかく先攻を取るしかない・デッキ下限無しという基本ルールが破綻していて、金を払えば払うほどクソ、無料でもクソ。
大多数のプレイヤーは「クソだ、金は払わない」と思うはずであり、達成感や解放感も無く、どうやっても価値を見出すことはできない。
無料なのにオブザイヤーなのか。否、無料でも意義が無いからこそ、オブザイヤーなのだ。

「コイントス」は、コインを投げるのも、掴むのも、表裏に賭けるのも、人の力と意思が介在するゲームである。
しかし『タダ』は、先攻をコンピューター、あるいは天に祈るしかない、正真正銘の運ゲー。
2011年度大賞『対戦チンチロリン』は「100円ショップでサイコロと茶碗を買った方が安くて面白い」と言われたが、
ショップに行く必要さえ無い「コイントス」にも劣りかねない『タダ』こそ、本年度の大賞に相応しい、究極の無価値・虚無と言えよう。

最後に、バージョンアップを予定している『タダ』改め『インフィニタ・ストラーダ華』への期待を込めて、
トレーディングカードを題材にしたアニメの主人公の言葉を借りて、KOTYを締めくくろう。

「おい、ゲームさせろよ」