2016年 次点

総評案1 (太平洋の嵐 ~皇国の興廃ここにあり、1942戦艦大和反攻の號砲~)

KOTY2016携帯 総評案その1(2.1)

2015年のKOTYはさまざまな方向からの暴力の年であった。全方位から押し寄せるクソゲーの中、住民は必死に生き延び、そしてその戦いを最後まで見届けた。
最後に残ったのはバンダイナムコからの殺人兵器「機動戦士ガンダム バトルフォートレス」だった。
エラーでプレイできない。という新たな、そして哲学的な境地を持ったガンダムの前に誰もがひれ伏すしかなかった。

クソゲーたちの戦いで荒廃と化した大地の上で、2015年のクソゲー同士の戦いを最後まで見届けた住民の誰もが思ったであろう疑問。「クソゲーとは何なのであろうか。」そんな哲学的な疑問に対し直球に答えるかのように2016年"やつら"はやってきたのだった。

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結論から言おう。2016年はある意味「過去の最強クラスのクソゲーの頂上決戦の年」であった。"やつら"の攻撃によりスレは草が1本も生えない焦土と化した。
だが、あの日までは選評は1つしか来ず それはこれまでの据え置き部門で惜しくも逃した作品だった。
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2月5日。それは音も立てず静かにやってきた。時空を越えた亡者。アクワイア プレゼンツ『Wizardry 囚われし亡霊の街』(以下、完全亡霊)である。
完全亡霊は2011年KOTY据え置き機部門大賞を『誤当地』と
最後まで争ったPS3の同名作(以下、亡霊)をPSVITAに移植した作品である。

据え置きの亡霊は古典RPGの金字塔である「ウィザードリィ(Wiz)」シリーズの再興を掲げて制作された作品だった。が、「ゲームバランスが腐り切っている」など多数の問題点で据え置き2011年度大賞の謝当地に対して最後まで戦い続けた逸材である。

「移植により良くなるのではないのか」そんな希望を持った声が聞かれたが残念ながらそんな事はなく、クソさそのままに移植されている。

それでは、完全亡霊の問題点を見ていこう。
本作はダンジョンに潜りひたすら敵を倒しアイテムを集める「ハック・アンド・スラッシュ」というジャンルのゲームである。しかし、セーブバグ以外敵を倒せず結果アイテムも集められないという本末転倒な出来になっている。

・処理落ちしまくり最終的にはフリーズする。
・説明書が仕事をしていない。
・ストレスの溜まる仕様が多い
・ゲームバランスがかなり悪い

最後まで付きまとってくるこれらの仕様でも十分な問題だが、これは完全亡霊の最初に見せる一面に過ぎない。完全亡霊の最大は最終盤にあったのだ。
それは最終ダンジョン「グラハム迷宮8層」からのバランスの完全崩壊である。一つ前のダンジョンでも「魔法無効エリアで前衛でも2発で倒される睡眠状態異常つき通常攻撃をしてくる雑魚敵が5匹+その他3匹」を倒さないと先に進めないという腐ったバランスだったが、擬似的なボスと見なせることもあり8層に比べれば余り大きな問題にはならない。8層はそれに目をつぶれるほど問題なのだ。
一体どの様な物なのか。

8層ではこちらが作成できる最速のキャラを用意しても先手を取られ、状態異常魔法でパーティ全員が行動不能にされ、一人ずつ順に殺されるのはもはや当たり前の光景となる。全体即死魔法1回でパーティが全滅することも珍しくない。というプレイヤー側に対して世紀末なゲームバランスとなっている。

対抗する方法はないのか。実は対抗する方法は2つある。
1つ目はレベル上げである。
実はレベルを上げることでほんの僅かだが耐性が上がることが判明している。LV150程度では目に見える違いはないが、LV200程度になると効果を感じられる様になってくるだろう。副産物として申し訳ない程度にHPも上がる。
だが状態異常、気絶は耐性という概念がないのかレベルを上げても確率は変化しない。

結局、レベル上げの意味はないのか。意味はある。
レベルを上げれば敵の逃走率が上がるため、万が一敵に不意打ちをかけられても敵が逃げて生き残りやすくなる。また、こちらの逃走成功確率も上がるため、逃げ続ければクリア自体は出来る。そう、レベルを上げれば戦闘を回避しやすくなるのだ。ちなみにDLCとしてエンカウント無効アイテムも存在するため購入すれば出来アイテム運のない人も安心である。
ラスボスは弱く少し育成すれば倒せるためこのアイテムの入手はほぼクリアと同義である。

課金したくない場合やアイテム運のない場合はどうすればいいのか。その答えが2つ目の対抗する方法、「祈り、耐える」である。
祈るは簡単である。相手の攻撃がミスしたり逃走できる様に祈るのだ。
上記のレベル上げはバグめいた裏技っても1人約8時間、正攻法なら数十~数百時間掛かる。クリアし救われる事を信じて祈り耐えるしかないのだ。

移植前の様々な問題もほとんどそのまま放置されている様だ。


完全亡霊の圧倒的霊圧の力により我々はなす術も倒れていった...

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完全亡霊の霊圧の前に焦土と化すスレ。
ほぼそのままの移植作品ということもあり、スレからそっと避難する人、叫び死んでゆく人、勇敢に突撃し散る人...
亡霊の選評者も 「選評をもっとよくするため、アイテムの検証をしてくる 」という様な事を言い残し不完全な選評のまま亡霊の霊圧の中消えていった。

スレはこれまでにない壊滅状態に陥っていた。

だが、この時KOTYの住民にトドメを刺し全滅させるため "あの会社"から"やつ"が霧を発生させながらやってきていることを住民たちは薄々気がついていた...

※※※

そしていよいよ12月22日。今日のその時がやってきたのだった...

"やつ"の上陸である
やってきたのは今年も終わるという12月22日。
何度も発売延期を繰り返した中の上陸である。
なんだあの霧は。

ゆっくりと迫る霧...すでに完全亡霊によりダメージを受けた住民たちは なすすべもなくまた一人、また一人と霧の中に消えていった。

霧で全容が全く見えない...なんだこれは。
その正体はクソゲーを送り出し続けるあのクソゲーメーカーと称するべき、システム・ソフト・アルファー(通称SSα)がVITAに送るゲー霧シリーズ、太平洋の嵐の最新作「太平洋の嵐~皇国の興廃ここにあり、1942 戦艦大和反攻の號砲~」(以下 嵐1942)である。

※※※

と、ここまで書いたが 嵐1942についてわかっていることはあまりにも少なかった。

答えは簡単。亡霊によって傷付いた住民たちほぼ全員が嵐1942によって発生された霧の中に消えてしまったからだ。

数人が断片的な情報を持って戻ってきたがあまりにも断片的な情報であった。

「SSαトップページでの扱いから、おそらく(2012年度据え置きの大賞を受賞した)PS3版の「リメイク」に近い扱いと思われる。」、「「攻撃」について知りたいならチュートリアルを最初から
「輸送」について復習したいならこれまた最初からという糞仕様 」、「初期の戦況が全く把握できない、数回やり直して投げました」、「苦痛」、「VITAを起動するのが億劫になった。」

改善要素として
「一応、チュートリアルが実装されていた」というのが挙げられていたがこの濃霧の中では全く意味がなさないだろう。

そして彼らは消えていった。
プレイメモを1枚残して、誰も嵐からは生還し選評を書く者はいなかった...
濃霧による最強の護身の完成である。
通常は選評の無いものは総評で扱わないが、間違いなくここで扱うべきクソゲーという点と大量の霧による住民全滅。と、特筆すべき作品だったため選評が出なかったため"KOTY失格"として特例でここに記録する。

はずだった。
総評案も出てきた7月初旬霧の中から1人の勇者が帰還したのだ。

それでは一人勇者によって暴かれた霧の全貌を見ていこう。

嵐1942の問題点は大きく分けて2つある。
1つ目は相変わらずの「作業ゲー」である。
いくつか例を挙げよう。

本作は第二次世界対戦の日米の戦いを体験するシュミレーションゲームである。
シナリオ毎に決められた数の根拠地を占拠した状態で規定ターンを過ぎれば勝ちとなる。
本シリーズの特徴として、資源の管理による兵站維持戦略が重要な要素となっている。
だが、他のシュミレーションゲームと比べるととにかくやるべき事が多く作業ゲーと化している。

各地における作戦の立案と指揮、各拠点に必要な資源、兵器のマネジメント、必要な兵器の開発指揮、戦闘の指揮などといった、分担すべき事柄を全て指揮官として一人でやらなければならない。
特に重要な位置を占める輸送はその中でも苦痛要素が多い。
積載容量の如何に拘らず、輸送船1隻につき1種類の資源、人員しか載せられないという謎ルールもある。
また輸送するたびに、前作にあった、全て手動で計算する仕様があるのでいちいち手で計算しなければならない。
手軽にできるのがウリの携帯ゲーム機でこの仕様は致命的であろう。
作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業作業。
プレイする者は狂って行く...
これは戦争がとてつもなく大変なことを我々に知らせるためだろうか...

2つ目は「相変わらずの謎・苦痛 仕様」である。以下のリストから苦痛さのハーモニーを感じていただければ幸いである。

・プレイ中ずっとつきまとう相変わらず操作しづらく延滞の発生するUI
・キャンセル時のカーソルリセット
・攻撃命令をキャンセルできない
・リスト送りがいやらしい
・検索がしづらい
・通知が不親切
・初代PS並みのグラフィック
・敵の輸送がおかしい(輸送艦無しで輸送)
・取説にない意味のわからない数値がある
・一部生産の仕様が謎
・バグで敵の根拠地に停泊中の艦船の積載物を操作することができる。艦載機を降ろしたり資源を全部船に載せたりやりたい放題できる

一応、システムセーブやカーソルの仕様、3D表示の撤廃など、様々な変更が行われているようだが根本的な問題は何も解決されていない。

ちなみに追加されたチュートリアルでタップをすると高確率でフリーズする。

これら苦痛の霧により選評者でさえも完全クリアをすることはできなかった。

※※※

こうして完全亡霊・嵐1942の2つの最強の霊圧と霧により携帯は草も生えない、壊滅状態となってしまった。

それでは困難を極めた携帯スレの2016年大賞を発表しよう。
「太平洋の嵐~皇国の興廃ここにあり、1942 戦艦大和反攻の號砲~」である。

理由は2つ。
1つ目は我々を壊滅状態に追い込んだ恐るべきパワー力である。
あの圧倒的パワーの霧の前では誰もがただ呆然と消えていくしかなかった。そのパワー力は歴代の大賞とも互角。いや、互角以上に渡り合えるだろう。

2つ目は、クリア者が出なかったことである。
完全亡霊はなんとかクリア者が出た。しかし前述の通り嵐1942は苦痛の霧により誰もクリア者がでなかった。クリアできるゲームとクリアできないゲーム。どちらがゲーム失格かと言われると後者に手が上がるだろう。

2016年度の携帯KOTY総評は以上である。
冒頭に述べた通り、本年度は"過去の最強クラスのクソゲーの頂上決戦の年"であった。
総評の発表に8ヶ月もかかる異例の事態からもこの苦悩を察していただければ幸いである。

選評が1つ。不完全な選評が1つ。

我々は負けた。

この事実は我々の心に重くのしかかる。だからこそ、この雑草1つも生えなくなった戦場で生き残ってしまった私たちは残された敗者として、歴史を紡ぎつつけなければならない。あやまちは繰り返してはならないのだから…。

特に嵐はシリーズ最新作が2017年に発売されると発表されている。
我々は次こそは負けないと心に誓い、2016年の仮面ライダーである仮面ライダーエグゼイドのセリフを借り、この言葉を送る。

「次こそは、ノーコンティニューでクリア...したいな!」