2010年総評1(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!)

昨年は今年の据え置き機クソゲートレンドを先取りしたかのごとく薄いゲームが乱立する中、
PCゲーム界からのバグだらけ凶悪作品、「戦極姫」が据え置き携帯ともに大賞に輝いた。
今年はいったい、どんなジャンルのクソゲーが出てくるのだろうか・・・。
そんな期待混じりの不安は、3月の初めあたりから不安が現実となっていく。


3月11日、1本目は思わぬところからやってきた。
DS「RPGツクールDS」である。
このゲームは誰でも手軽に自分オリジナルのRPGを作れる、というのが人気のシリーズである。
実にコンシューマー機では6年ぶりの登場となった。
しかしその6年の間、何があったのだろうか、帰ってきたツクールは散々な出来となっていた。

まず仕様。
魔法に属性という概念が存在しなかったり、敵に状態異常に対しての耐性を作れなかったり、
更には魔法攻撃力、防御力すらない。効く、効かないも当然使えない。
ステータスが上下するイベント、アイテムも作れない。
この段階でRPGの基礎中の基礎が失われているような気もするが、問題は容量にもある。
6年前に発売されたGBA版の実質半分の容量しか使えない。
ダウンロードプレイ用のRPGを作るなら、町1個、ダンジョン1個で容量は枯渇する。
こんな時代にファミコンレベルにも満たない容量のゲームを作らされるハメとなる。
素材のクオリティは非常に高いのだが、全く生かせない容量では、それも意味を成さない。

バグも多い。
とにかく数あり、説明しづらいものもあるので詳しくは割愛するが、中には再現性100%のものや危険なものまである。

これでは思い通りのRPGが作れない、期待はずれかつタイトルに反するクソゲーであった。

そこから3ヶ月後の6月24日、昨年の覇者、システムソフト・アルファーがまたしてもクソゲーを放り込んでくる。
PSP「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」である。
このゲーム、キーレスポンスが悪い、敵の思考が長い、グラフィックが重い、システムが全体的に不親切など、
この段階でパーフェクトにクソな要素しか存在していないわけだが、バグの多さもパーフェクトであった。

マイ部隊というオリジナル部隊を編成して使用できるのだが、敵として出てきたり、ほぼ使えない状態となっている。
また、あらゆるタイミングでフリーズするため、キャンペーンはほぼクリア不可能となってしまっている。
極めつけは、謎の名無し部隊が出現し、それを調べるとPSP自体の電源が落ち、場合によってはPSPが壊れる。
まさに(特に最後のものは)パーフェクトなバグの山と言ってもいいだろう。

このゲームを機に、もうひとつの大戦略が日の目を浴びる。
2月25日発売のDS「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」である。
発売当初も話題となっていたが、7月以降になりもう一度話題となった。
名のとおり一触即発・ゲームバランス崩壊のバグだらけで、相変わらず操作性やシステムも最悪である。
当然のごとく相手の思考時間はPSP以上である。

フリーズやバグも当然のように完備しており、ストレスしかたまらないゲーム仕様だ。

更に、ルート分岐判定が分岐後にもう一度行われるため、無限ループに突入してしまい、クリアできなくなる。
このエンドレスエイト状態を抜け出すには、降伏(通称土下座外交)が必要不可欠なものになってしまっている。
そこまで現代を再現する必要があったのだろうか。

この2本は、システムソフトアルファーが何ら改善されてないことを知らしめる2本であった。
なお、昨年KOTY大賞戦極姫の続編戦極姫2PSP版は、バグが殆ど治っており、足掛け3年でようやく遊べる普通のゲームになったことを追記しておく。


このあたりで選評が届き、注目を浴びたのがもう一つの2月25日発売DS「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」。
こちらはトレーディングカードが元になっており、これがゲーム化されたものだ。
もともとゲームブック自体前2作が非常に不評だったのだが、3作目となる今作はそれ以上に酷い出来となっていた。

そもそもこのゲーム、ほとんどゲームブックではない。文章を読み進めていく、ノベルゲーのようなものだ。
しかもそのノベルゲー部分のシステムですら10年前のレベルと評される始末。
バグも酷く、いないはずのキャラの立ち絵がいたり、立ち絵同士干渉して表示がおかしくなったり。
ヒロイン6人中3人には、声と文章の同期が取れていない、いわゆる音ズレが発生する。
しかも最後まで治らない。

最終的にプロモーションカードのオマケ扱いされる始末だったが、そのカードも一般販売されることになり、
完全におまけですら無くなってしまった作品であった。


7月15日。
携帯機KOTYは夏にもクソゲーの登場が多いが、今年はとてつもないものがやってくることとなる。
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
いわゆるブロック崩しでバグもなく、ロードも速くシステム面は完ぺきだ。
ただこのゲームのクソな点、それは「理不尽さ」に凝縮されていた。

まずボールの挙動がおかしい。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点は絶妙なパドルの遅さと相まって、非道なまでに理不尽さを醸し出している。

そしてこのゲーム、ステージがとにかく理不尽なのだ。
ブロック崩しなのに砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から大量の弾が降ってきたり、動きまわるターゲット(球を撃つ)に50発ボールを当てたり、
暗闇の中砲台(破壊不能破壊不能なブロックに守られてる)から弾が降ってきたり。
極めつけは当たると方向が変わる矢印ブロック6つをすべて一定の方向に揃える、というもの。
砲台(破壊不能なブロックに守られてる)も完備されており、先述の挙動と相まって理不尽さは極限値に。
「完全に運ゲー」と言われることもあるが、運だけではない。
最高のテクニックと完璧なまでの運、これが揃わないとクリア出来ないのだ。
果てには有用アイテムが出るまでリセットというブロック崩しに似つかわしくない乱数調整まがいのことをさせられることも。
ちなみに先述の矢印ブロックを揃えるステージではアイテムは一切出現しない。

この地獄を抜けたものに対するご褒美、すなわちスタッフロールなど存在しない。
イラストも全部発表済みのものであるので、楽しみもない。キャラゲーとしての価値は一切無いと言ってもいい。

ここに来て、まさかの「超難易度理不尽ゲー」が名乗りをあげた今年のKOTY。
ここからスレは一時的に休戦状態にはいる。

3ヶ月たち10月になり、にわかに話題となったのは10月7日発売、DS「天下一★戦国LOVERS DS」である。
こちらは携帯ゲームからの移植であるが、なんと5040円のフルプライスでありながらDS版は携帯版の体験版であったのだ。

話がラストまで収録されているのは9人中2人のみ。他は携帯で一から課金しなければならない。
恋愛ADVなのに、ロードという概念が存在しない、スキップが遅い、オートセーブというADVのシステムを覆しかねないシステム。
シナリオも微妙であり、いつ主人公を好きになったかが殆ど語られなかったり、寝取られたり、ボイスが少なかったり。

まさに続きはWebでならぬ続きは携帯版で、であり、それなのに5040円というフルプライス価格はもはや薄いを通り越し悪質である。

12月。
今年は据え置き機に年末の魔物は襲来しなかった。
しかし、携帯機には年末の魔物がさも当然のごとく今年も襲来してきたのである。

12月16日に2本のゲームが発売された。
まずはDS「どんだけスポーツ101」である。
これはDSで101種類のスポーツが楽しめるという、なんだかテーマだけでにわかに地雷臭を漂わせる作品であった。
ファミ通レビューも18点、しかもレビュアーの一人が3点をつけた。

まず101種類のスポーツだが、どマイナーな種目も多数ある。そりゃあ101種目もあるのだから当然といえば当然だが。
しかしそのマイナースポーツの数々に説明が殆ど無い。説明になっていない説明もある。
操作方法も被りが多数生じており、やりごたえもない。
ルールや物理法則無視まである始末だ。そもそもの競技内容が違うものまである。

101個ものスポーツ、全てがつまらないゲームであり、0を101個合わせても所詮は0であることを証明してくれた。

もうひとつはDS「プーペガールDS2」である。
こちらは昨年1作目が発売されたが、こちらはただの作業ゲーであった。
しかし今作は作業にバグを引っさげて登場してきたのである。
なお、こちらは2種類のバージョン違いがあり、入手アイテムに違いがあるのだが、両方買っても入手できるのはどちらか一方なのであしからず。

まず地味にロードが長く、画像も頻繁に乱れる。地味に操作性も悪い。
きせかえ画面で顔が潰れてホラーゲームもびっくりのグロ画像になることも。

このゲームはお金=リボンを集めて、服を買うゲームなのだが、
リボンがもらえるはずのファッションショーに出てもリボンがもらえない。その後のゲーム進行まで狂う。
このせいで後半は上昇し続ける物価に対して収入が見合わず、ひもじい生活を強いられることになる。

極めつけはプレイ22時間後に起こる。
突然、リボンが減っているのだ。減るリボン数は15536リボン。
マイナスになるとゲームが進行不可能になる。
再現性100%、まさに恐怖のバグである。
解決策として公式からリボンがもらえるコードが配布されているが、使えないという報告もある。

このゲームは発売時期と相まって、何も悪くないお子様や女の子を巻き込んだ。


今年はノミネート8作品という、昨年よりも多い大波乱となった携帯機KOTY。
しかも「バグ」「高難度」「糞仕様」「理不尽」「薄い」といった、様々なジャンルのクソゲーが登場した。

それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。
受賞理由としては、高難易度かつ理不尽という、悪意しか感じないステージ構成の1点に凝縮される。
これだけで全てのゲームをなぎ倒す、まさにストロングスタイルである。
他にも2本の大戦略、プーペガールDS2による四つ巴の戦いが繰り広げられたが、
どれもベクトルが違うクソという中、難易度という一点のみで勝負したのが評価された。
無論、次点7本も最高峰のクソゲーであることは言うまでもない。

今年は、夏の魔物と年末の魔物両方が襲来した年となった。
来年こそは、魔物及びクソゲーが登場しないことを祈りたい。
また、2月にはニンテンドー3DSが発売される。
こちらから、新機軸のクソゲーが登場しないことをこれもまた祈りたい。

最後に、発売元のドラスに、言葉を添えて、今年のKOTYを締めくくることとする。

「ブロックの前に、プレイヤーのハートをクラッシュさせて、どうするんですか?」