昨年は今年の据え置き機クソゲートレンドを先取りしたかのごとく薄いゲームが乱立する中、
PCゲーム界からのバグだらけ凶悪作品、「戦極姫」が据え置き携帯ともに大賞に輝いた。
今年はいったい、どんなジャンルのクソゲーが出てくるのだろうか・・・。
そんな期待混じりの不安は、3月の初めあたりから不安が現実となっていく。
3月11日、1本目は思わぬところからやってきた。
DS「RPGツクールDS」である。
このゲームは誰でも手軽に自分オリジナルのRPGを作れる、というのが人気のシリーズである。
実にコンシューマー機では6年ぶりの登場となった。
しかしその6年の間、何があったのだろうか、帰ってきたツクールは散々な出来となっていた。
まず仕様。
魔法に属性という概念が存在しなかったり、敵に状態異常に対しての耐性を作れなかったり、
更には魔法攻撃力、防御力すらない。効く、効かないも当然使えない。
ステータスが上下するイベント、アイテムも作れない。
この段階でRPGの基礎中の基礎が失われているような気もするが、問題は容量にもある。
6年前に発売されたGBA版の実質半分の容量しか使えない。
ダウンロードプレイ用のRPGを作るなら、町1個、ダンジョン1個で容量は枯渇する。
こんな時代にスーファミレベルにも満たない容量のゲームを作らされるハメとなる。
素材のクオリティは非常に高いのだが、全く生かせない容量では、それも意味を成さない。
バグも多い。
とにかく数あり、説明しづらいものもあるので詳しくは割愛するが、中には再現性100%のものや危険なものまである。
これでは思い通りのRPGが作れない、期待はずれかつタイトルに反するクソゲーであった。
そこから3ヶ月後の6月24日、昨年の覇者、システムソフト・アルファーがまたしてもクソゲーを放り込んでくる。
PSP「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」である。
このゲーム、キーレスポンスが悪い、敵の思考が長い、グラフィックが重い、システムが全体的に不親切など、
この段階でパーフェクトにクソな要素しか存在していないわけだが、バグの多さもパーフェクトであった。
マイ部隊というオリジナル部隊を編成して使用できるのだが、敵として出てきたり、ほぼ使えない状態となっている。
また、あらゆるタイミングでフリーズするため、キャンペーンはほぼクリア不可能となってしまっている。
極めつけは、謎の名無し部隊が出現し、それを調べるとPSP自体の電源が落ち、場合によってはPSPが壊れる。
まさに(特に最後のものは)パーフェクトなバグの山と言ってもいいだろう。
このゲームを機に、もうひとつの大戦略が日の目を浴びる。
2月25日発売のDS「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」である。
発売当初も話題となっていたが、7月以降になりもう一度話題となった。
名のとおり一触即発・ゲームバランス崩壊のバグだらけで、相変わらず操作性やシステムも最悪である。
当然のごとく相手の思考時間はPSP以上である。
フリーズやバグも当然のように完備しており、ストレスしかたまらないゲーム仕様だ。
更に、ルート分岐判定が分岐後にもう一度行われるため、無限ループに突入してしまい、クリアできなくなる。
このエンドレスエイト状態を抜け出すには、降伏(通称土下座外交)が必要不可欠なものになってしまっている。
そこまで現代を再現する必要があったのだろうか。
この2本は、システムソフトアルファーが何ら改善されてないことを知らしめる2本であった。
なお、昨年KOTY大賞戦極姫の続編戦極姫2PSP版は、バグが殆ど治っており、足掛け3年でようやく遊べる普通のゲームになったことを追記しておく。
このあたりで選評が届き、注目を浴びたのがもう一つの2月25日発売DS「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」。
こちらはトレーディングカードが元になっており、これがゲーム化されたものだ。
もともとゲームブック自体前2作が非常に不評だったのだが、3作目となる今作はそれ以上に酷い出来となっていた。
そもそもこのゲーム、ほとんどゲームブックではない。文章を読み進めていく、ノベルゲーのようなものだ。
しかもそのノベルゲー部分のシステムですら10年前のレベルと評される始末。
バグも酷く、いないはずのキャラの立ち絵がいたり、立ち絵同士干渉して表示がおかしくなったり。
ヒロイン6人中3人には、声と文章の同期が取れていない、いわゆる音ズレが発生する。
しかも最後まで治らない。
最終的にプロモーションカードのオマケ扱いされる始末だったが、そのカードも一般販売されることになり、
完全におまけですら無くなってしまった作品であった。
7月15日。
携帯機KOTYは夏にもクソゲーの登場が多いが、今年はとてつもないものがやってくることとなる。
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
いわゆるブロック崩しでバグもなく、ロードも速くシステム面は完ぺきだ。
ただこのゲームのクソな点、それは「理不尽さ」に凝縮されていた。
まずボールの挙動がおかしい。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点は絶妙なパドルの遅さと相まって、非道なまでに理不尽さを醸し出している。
そしてこのゲーム、ステージがとにかく理不尽なのだ。
ブロック崩しなのに砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から大量の弾が降ってきたり、動きまわるターゲット(球を撃つ)に50発ボールを当てたり、
暗闇の中砲台(破壊不能破壊不能なブロックに守られてる)から弾が降ってきたり。
極めつけは当たると方向が変わる矢印ブロック6つをすべて一定の方向に揃える、というもの。
砲台(破壊不能なブロックに守られてる)も完備されており、先述の挙動と相まって理不尽さは極限値に。
「完全に運ゲー」と言われることもあるが、運だけではない。
最高のテクニックと完璧なまでの運、これが揃わないとクリア出来ないのだ。
果てには有用アイテムが出るまでリセットというブロック崩しに似つかわしくない乱数調整まがいのことをさせられることも。
ちなみに先述の矢印ブロックを揃えるステージではアイテムは一切出現しない。
この地獄を抜けたものに対するご褒美、すなわちスタッフロールなど存在しない。
イラストも全部発表済みのものであるので、楽しみもない。キャラゲーとしての価値は一切無いと言ってもいい。
ここに来て、まさかの「超難易度理不尽ゲー」が名乗りをあげた今年のKOTY。
ここからスレは一時的に休戦状態にはいる。
3ヶ月たち10月になり、にわかに話題となったのは10月7日発売、DS「天下一★戦国LOVERS DS」である。
こちらは携帯ゲームからの移植であるが、なんと5040円のフルプライスでありながらDS版は携帯版の体験版であったのだ。
話がラストまで収録されているのは9人中2人のみ。他は携帯で一から課金しなければならない。
恋愛ADVなのに、ロードという概念が存在しない、スキップが遅い、オートセーブというADVのシステムを覆しかねないシステム。
シナリオも微妙であり、いつ主人公を好きになったかが殆ど語られなかったり、寝取られたり、ボイスが少なかったり。
まさに続きはWebでならぬ続きは携帯版で、であり、それなのに5040円というフルプライス価格はもはや薄いを通り越し悪質である。
12月。
今年は据え置き機に年末の魔物は襲来しなかった。
しかし、携帯機には年末の魔物がさも当然のごとく今年も襲来してきたのである。
12月16日に2本のゲームが発売された。
まずはDS「どんだけスポーツ101」である。
これはDSで101種類のスポーツが楽しめるという、なんだかテーマだけでにわかに地雷臭を漂わせる作品であった。
ファミ通レビューも18点、しかもレビュアーの一人が3点をつけた。
まず101種類のスポーツだが、どマイナーな種目も多数ある。そりゃあ101種目もあるのだから当然といえば当然だが。
しかしそのマイナースポーツの数々に説明が殆ど無い。説明になっていない説明もある。
操作方法も被りが多数生じており、やりごたえもない。
ルールや物理法則無視まである始末だ。そもそもの競技内容が違うものまである。
101個ものスポーツ、全てがつまらないゲームであり、0を101個合わせても所詮は0であることを証明してくれた。
もうひとつはDS「プーペガールDS2」である。
こちらは昨年1作目が発売されたが、こちらはただの作業ゲーであった。
しかし今作は作業にバグを引っさげて登場してきたのである。
なお、こちらは2種類のバージョン違いがあり、入手アイテムに違いがあるのだが、両方買っても入手できるのはどちらか一方なのであしからず。
まず地味にロードが長く、画像も頻繁に乱れる。地味に操作性も悪い。
きせかえ画面で顔が潰れてホラーゲームもびっくりのグロ画像になることも。
このゲームはお金=リボンを集めて、服を買うゲームなのだが、
リボンがもらえるはずのファッションショーに出てもリボンがもらえない。その後のゲーム進行まで狂う。
このせいで後半は上昇し続ける物価に対して収入が見合わず、ひもじい生活を強いられることになる。
極めつけはプレイ22時間後に起こる。
突然、リボンが減っているのだ。減るリボン数は15536リボン。
マイナスになるとゲームが進行不可能になる。
再現性100%、まさに恐怖のバグである。
解決策として公式からリボンがもらえるコードが配布されているが、使えないという報告もある。
このゲームは発売時期と相まって、何も悪くないお子様や女の子を巻き込んだ。
今年はノミネート8作品という、昨年よりも多い大波乱となった携帯機KOTY。
しかも「バグ」「高難度」「糞仕様」「理不尽」「薄い」といった、様々なジャンルのクソゲーが登場した。
それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。
受賞理由としては、高難易度かつ理不尽という、悪意しか感じないステージ構成の1点に凝縮される。
これだけで全てのゲームをなぎ倒す、まさにストロングスタイルである。
他にも2本の大戦略、プーペガールDS2による四つ巴の戦いが繰り広げられたが、
どれもベクトルが違うクソという中、難易度という一点のみで勝負したのが評価された。
無論、次点7本も最高峰のクソゲーであることは言うまでもない。
今年は、夏の魔物と年末の魔物両方が襲来した年となった。
来年こそは、魔物及びクソゲーが登場しないことを祈りたい。
また、2月にはニンテンドー3DSが発売される。
こちらから、新機軸のクソゲーが登場しないことをこれもまた祈りたい。
最後に、発売元のドラスに、言葉を添えて、今年のKOTYを締めくくることとする。
「ブロックの前に、プレイヤーのハートをクラッシュさせて、どうするんですか?」
2009年に訪れたエロゲーからの黒船「戦極姫(システムソフト・アルファー)」によって
持たされた混乱も冷めやまぬ2010年はまさに幕末の様相を呈していた。
まず、2009年大賞決定の直後現れたのは「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜
(システムソフト・アルファー)」である。
またSSαかと、満場一致で突っ込みが入った本作だが、UI及びシステムが不親切極まり
なく検証は困難を極めた。
揚陸艦から港以外の陸地に部隊を揚陸させる方法が分かるまで、数カ月もの時間を要したと
いう事実一つでも、どれだけ不親切か分かるだろう。
そのほか、同じマスに入っている部隊は必ず一番上の部隊のみ表示されるため、カーソルを
合わせないと下にどんな部隊がいるのか分からない。マップ上で見ることができる
簡易ユニットデータでは、武装の射程・弾数・タイプしか分からずどれに何が効くか
丸暗記するしかない。表示されているタイプも「全E」等意味不明なものが多く、軍事関係に
詳しい人間でも意味が分からず首をひねるありさまだった。
また、空母から艦載機を出撃させるには港に止まっていなければならなかったり、ソート
した後に選択するとソート前にそこにあった部隊が選択されたり、特定条件の補充でフリーズ
したりするという謎がプレイヤーに襲いかかる。
そうでなくてもAIが遅すぎスタート直後は1陣営1分前後かかり、最大5陣営5分かかる。
作ったカップラーメンが伸びるレベルだ。
更に、「崩壊しているのは、軍事バランスではなくて、作った奴の精神だ」と言いたくなる
システムは、シナリオまで浸食する。
シナリオ中のいくつかに分岐チェックがあるが、その分岐条件を満たすと、分岐シナリオに
突入する。問題なのは、分岐シナリオ開始後にも分岐チェックがあるので、ちゃんとシナリオを
こなしていると再びチェックで分岐シナリオの頭に戻り、延々同じシナリオを繰り返させら
れるのだ。
それを回避するには、分岐後にすべてのフラグを回避するために友好度を下げるしかない。
つまりそれは、戦闘開始した直後に降伏して終わらせ負けまくることである。
「土下座外交」と呼ばれたこの戦略でしかクリアできない。戦略シミュレーションをやって
いるのに戦ったらクリアできないなんてバカな話があるだろうか。
このほか、「一部の勢力はほうっておいても勝てる」等、ゲームとしての根本から成立していない
としか言いようがない。
そして間髪入れず6月に「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜(システムソフト・アルファー)」が
投入される。
もう、いい加減にしてくれという叫びも届かず、再び大戦略である。
カーソルの移動にすらローディングが入り、小窓で確認するのも億劫という、情報の多い
シミュレーションゲームでは致命的なUI。いつでもどこでも起こるフリーズ。1勢力数分と
いう思考時間の遅さ完備というSSα仕様を搭載。
戦闘機などの大きなカテゴライズで一緒ならアイコンも一緒という仕様は敵味方入り混じると
わけがわからなくなる。自軍だけならまだいいが、敵部隊までそれなので大変つらい。
また、大量のバグも完備。
特に本作の特徴である好きなユニットを集めてを編成し、オリジナル部隊として各マップを
転戦して鍛えていける「マイ部隊」は、自軍として設置したはずなのに敵として出てくる時がある。
もしそれが首都で、マイ部隊が占領可能だったら、戦闘フェイズはもう終了しているので次の
瞬間に首都が陥落してしまい負けてしまうこともあり得る。
突然現れる謎の部隊は敵化したマイ部隊だけではない。味方の生産施設に名無しの部隊が
配置されることもある。これもトラップで、何だろうと確認した瞬間にゲームが落ちる地雷部
隊なのだ。選択したら落ちるので、攻撃して排除することもできず指をくわえてみているしか
ない。
また、クリア時一部隊内の残ユニット数が次のユニット上限になるというバグも存在する。
つまり、最初最大ユニット数が10の部隊が残ユニット数1の状態でクリアすると、次のマップの
最大ユニット数は1になってしまうというバグがあり、敵首都目前で回復タイムに入ると
いうよくわからない戦略を要求される。
回復して、首都を落としても安心はできない。
ステージクリア時に持ち越せる部隊は100部隊までなのだ。しかも、ソート機能などという
ものは搭載されていないうえ、一度選ぶとキャンセルできない。間違った部隊を選択したら
最後、育てに育てた精鋭部隊を捨てなければならないわけだ。
携帯ゲームの「隙間時間をつぶす」という根本から否定し、もはや何と戦っているか分から
なくなる怪作である。
以上の二つは、シミュレーションというカテゴリと説明不足もあり、実際の兵器を知って
ないと分からないところなどバグか仕様か分からないところも多く現時点でも問題を洗い
出せたとは言えない。
また、SSαにクソゲー界は席巻されるのか。
そんな流れに反発するように、7月にシンプル方向に特化したゲームが発売される。
「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!(ドラス)」だ。
ハローキティと聞いて女児向けかと思いきや、大きなお友達向きなイラストレーターにキティラーを
描かせたという、どちらかといえばオタク向けな作品で、やっていることはブロック崩しである。
このゲームにはバグらしいバグは現時点では見つかっていない。
一部、バーやブロック、そして敵に当たった球がとんでもない角度で落ちてくることがあるが、
角に当たった時の挙動としては許せないわけではない。
しかし、それらが許せなくなるほど難易度が高いとしたらどうだろう。
バーの移動速度が遅くこれらのイレギュラーに対処できないのだ。
そして、悪意に満ちた面構成。前半はそうでもないが、後半は作者の悪意が見えてくる。ひたすら
小さなブロックが敷き詰められていたり、硬いブロックをバーの目の前に並んでいるなんて
当たり前。砲弾が飛び交う中、動き回る敵に50発当てろとか、一度当たると回転するブロック
6個を指定された向きに揃える、暗闇の中で弾幕をよけながらブロック崩し(もちろん敵弾は
暗闇の中では光らない)等の鬼畜ステージが待っている。
この鬼畜さゆえに、スレ内では「覇王鬼帝」や「HELL o' 鬼帝」等と呼ばれ、AAが作られ
今では携帯KOTYスレのマスコットの座を手に入れている。
しかし、クリアできないわけではない。
このゲームではアイテムがよく出てくる。そのアイテムの出方次第では難易度がぐっと下がる
ときがある。貫通弾や1upがうまく出まくってくれれば、だいぶ楽になる。
それでも、「ここでわざと死んで、球の位置を調整する」などというテクニックを多用しなければ
ならないあたり、鬼畜としか言えないが、それでもクリアできる。
逆にマイナスアイテムも多く、それらをとれば移動がさらに遅くなったり、バーが信じられない
ほど短くなりワンミスがほぼ確定する。
早い話、運ゲーである。
先ほどの回転するブロックを並べる面など、リセットを繰り返してある程度揃えなくてはクリア
できない。
普通は「運の要素があってもテクニックがあればクリアできるようになっている」のがゲーム
のはずだが、これは「運とテクニックの両方がないとクリアできないようになっている」のである。
理不尽な難易度。それがこのハローキティといっしょであり、そういう意味では昔ファミコンで
よくあった従来の意味でのクソゲーに近いかもしれない。
しかし、このハローキティといっしょにはもう一つ罠がある。
苦労してクリアしてもあまりうれしくないのである。
大きなお友達向けなのだからクリアしたらムフフな絵が拝めると思うかもしれない。しかし、
このゲームで使用されている絵はすべて既出であり、ホームページで公開されている(もちろん
ムフフではない)。エンディングはおろかスタッフロールすらない。そして、PSP用のテーマも
PSNストアにて各50円で売られている。
このゲームをやって得られるものは何もないといっても過言ではないのだ。
また前記の大戦略とは違い、手軽にクソゲーを楽しめるということもあって一部で妙な流行が
あったことも特筆すべきだろう。
そうしてプレイした誰もがクソゲーと確認しているのに、なぜか他人に勧め、勧められた
ほうも何故か購入していく様は、まさに鬼帝の文字にふさわしい物としか言いようがない。
そして、8月に入るとスレにひと時の平和が訪れる。
もちろんスレ内では何人もの人間がハローキティの魔力に吸い込まれていったり、大戦略DSで
揚陸艦の使い方がやっと判明したりというトピックがなかったわけではないが、新しいKOTY級の
クソゲーが現れることはなく、有力視されていた前回二冠王覇者「戦極姫2〜百華、戦乱辰風の
如く〜(システムソフト・アルファ)」も「バグとかあるけどSSαにしてはまとも」という
評価で選評が上がることはなかった。
そして、この三本の中のどれかだろうという空気が支配的で、12月も半分が過ぎたころ、やっぱり
魔物は現れた。
「どんだけスポーツ101(スターフィッシュ・エスディ)」と「プーペガールDS2(アルヴィオン)」
である。
まず、どんだけスポーツ101であるが、タイトルからして嫌な予感しかしないが一言で言うと
一本のゲームを101倍に薄めたミニゲーム集である。何故こんなに入れなければならなかった
のか疑問に残る。
しかもスポーツの選択画面は、左右にスライドさせて選ぶのだが、3つまでしか表示できない
のだ。この時点でクソゲーをつかまされたと分かるシステムも珍しい。
そしてゲーム内容はすべて微妙でどうしてそうなったのか分からないものばかり。
特に、難易度調整がおかしいものが多く、「操作性が悪いのに相手が弱くて勝てた」という
間違った方向でゲームバランスがとられていて、やりがいとか面白さとは無縁の存在になって
いる。
更に、ゲームも対象のスポーツを理解しているのか謎なものも多く、敵もいないし味方もいない
孤独な「カーリング」や、トスだけで成立する「バレーボール」。コースのひび割れを避ける
「スケルトン」などミニゲームに落とし込むにしてももう少しやりようがあっただろうと思う
ものばかりである。
中には、CPUがサーブをクロスに打たない「テニス」等、ルールを知っていると逆に戸惑うもの
まであり、ユーザーは現実世界とのかい離に悩むことになる。
またGoogle先生に聞かないと存在するかどうか判断できないような超マイナースポーツも多く、
そんなものまで超ルールを適応されると元のスポーツがどんなものかもわからなくなる。
101個もゲームがあるので「次こそは遊べるゲームかもしれない」とついやってしまうが、
そのすべては裏切られる。
アカギという麻雀漫画で「焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」という
セリフがあるが、このゲームはまさにそれで、毎回騙され次もたぶんダメだろうと思いながらも、
「もしかしたら」という希望で身を焼き続けることになる。
もちろん、このゲームはそんな浅はかな希望にすがるとどうなるかということを教えてくれる
わけだ。
最後のトリとなったプーペガールは、ゲームジャンルとしては女児から大人の女性まで幅広
く遊べる着せ替えゲームで、可愛い服さえ着せることができて、その衣装で自己主張できれば
一定の評価が得られるはずのジャンルである。
しかし、このゲームはデバックをしたとかしていないかというより、まだプログラミング中
だったのではないかと思わせる出来である。
着替え画面で拡大するとフリーズ、拡大しなくてもポリゴンが崩れることがあり、つけたはずの
アクセサリーがつかなかったり、UIが不親切だったりする。
それだけならまだしも、ROMカートリッジにも関わらずロードが多発し、一定期間ごとに開催される
はずのファッションショーが一度きりで以後開催されなかったり、報酬が0リボン(リボンと
いうのは、このゲームでの仮想通貨)になってしまったりする。極めつけは22時間プレイ報酬で、
何を間違ったのか-15536リボンがもらえる。
つまり、22時間遊ぶと15536リボンも消費してしまうのだ。その結果、所有リボン数がマイナスに
なった状態で外に出るとフリーズする。
これはプレイ報酬なので100%発生するだけでなく、画面にも「-15536リボン」と表示されて
いるので22時間プレイしなくても分かる。明らかにデバッグしていない。
このバグは前記のファッションショー開催バグと相まって、このゲームは常に金銭難に悩む
ことになる。
メーカーはバグの対策として「おとしだま」等の明らかに後日公開してユーザーサービスする
つもりだったコードを大量に公開して金銭難対策を行ったが、問題の根本的はファッション
ショー開催バグであり、それらの問題の解決できない以上、リボン不足は解消されるわけがなく、
焼け石に水としか言いようがない。
この金銭難に対応するには、プレイヤーはひたすら自分のスナップショットをとり、わずかな
リボンを稼ぎ続けるしかないのだが、スナップショットは着替えなくてもいいため、ひたすら
同じ服の写真を撮るという、もはやお着替えソフトでもなんでもない別の何かと化して
しまっている。
また、このプーペガールはもともとPC上で動くブラウザゲームであり、PCとの連動したイベントも
存在する。
ゲームを進行させDSで表示されるコードをPC版プーペガールで入力すると、それに対応した
衣装がもらえる。
しかも、このプーペガールDS2は某ポケモンのように「ピンク」と「ミント」の2種類が存在し、
PC版でもらえる衣装も2種類存在する。
となれば、2つとも購入し、両方ともゲットしようという人間も出てくるだろう。
ところが、このコードはDSの個体番号からのみ生成され、「ピンク」と「ミント」の識別が
入っていない。結果、2本ソフトを持っていても、もらえるのはどちらか一方の服だけなのだ。
この対処法として「もう一台DSを用意してください」とメーカーから発表され、本スレは阿鼻
叫喚と呪詛の声で埋め尽くされた。
また、この時使用されているフォントが悪く、大文字の「I(アイ)」と小文字の「l(エル)」の
区別がつかず、複数回入力することになったわけだが、ある本スレ住人の「私、lが5つある
んだけど、どうすればいいの?」というセリフが笑いを誘った。
以上が本年の流れである。
本年は例年以上にハイレベルで、バグゲー、高難易度ゲー、超うす味ゲーと幅広く、選考は
難しかった。
正直、どれが大賞をとっても皆が納得するであろうほど、何処に出しても恥ずかしいひどい
ものが揃っている。
しかし、選ばなくてはならない。
非常に難しい選考を重ねた結果、見事2010年のクソゲーオブザイヤーに輝いた作品は、
「プーペガールDS2」である。
両大戦略と同系列のバグゲーだが、大戦略はシミュレーションという大量のデータを扱う
ゲームであり、やはりデバッグが難しい部分にバグが発生している。
しかし、プーペガールは比較的単純な着せ替えゲームであり、基本的な部分さえちゃんと
作れば誰も文句は言わないはずのものにも関わらず、両大戦略に勝るとも劣らないバグを発生
させたるという離れ業をやったことが第一の理由だ。
隠れているバグだけでなく、画面を見るだけでプログラムが間違っているのが分かり、それを
プログラマに伝えれば三十秒で直せそうな問題が放置されている。ここまでひどいバグは今の
ところ他にはない。
また、それらのバグの多くがゲームシステムに直結しているいうのも評価された。
ファッションショー等のリボン入手手段がバグを生み、着替えるメリットすら失ってしまっている
それは、腕前判定器というゲームの根本を否定していて、ハローキティやどんだけスポーツと
比べても一段下がると判断した。
さらにプレイ特典のPC版との連携問題や、ROMなのに長いロード時間という離れ業もやってのけ、
下手したらどんだけスポーツより薄くなるはずの、手軽なお着替えソフトでここまで問題を
詰め込めたことは特筆に値する。
以上が選考理由となる。
もちろん、今年のノミネート作はこのハイレベルな年にあってどれも大賞にしても惜しくない
出来栄えで正直、他の候補作を切るのは断腸の思いだった。
しかし、この5つの中で、唯一ゲーム内に存在するはずのプレイサイクルが壊れていることが、
他のゲームに対し一歩リードさせる結果となった。
振り返ってみれば、今年はどこかゲームを出し急いだ一年だったのではないかと思う。
大戦略ももう少し待てば、戦極姫2程度には動いたかもしれない。マニュアルをちゃんと充実
できたかもしれない。ハローキティもゲームバランスを調整することもできただろうし、新しい
イラストを描くくらいできたかもしれない。どんだけスポーツは作りこむ時間は増やせただろうし、
大賞作プーペガールで画面を一通りチェックしてみる暇くらいできただろう。
しかし、どこもそれができなかった。
不況と言われる昨今、立ち止まったら倒れてしまう恐怖心と戦ってゲームを作っているのかも
しれない。しかし、企業はそんなときほど誰かが立ち止まり、時には冷静に周りを見る姿勢が
求められているのではないだろうか。
最後に、日本で一番有名な先生、金八先生の言葉を送り、総評を締めくくりたい。
「正しいという字は「一つ」「止まる」と書きます。「どうか一つ止まって判断できる人に
なって下さい」