節電がブームとなっている昨今、今年の携帯KOTYは文字数を節約し、エコな総評を書かせていただく。
早速だが今年の携帯機KOTY、大賞作品を紹介するとしよう。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 3nd Impact」である。
このゲーム、9月29日にバンダイナムコゲームスから発売されたリズムアクション、所謂音ゲーである。
収録曲数30曲。ただし同じ曲のアレンジが内半分近くを占める。
音ゲーとしてはある程度成立していてそれなりに面白い使徒セッション以外は、
目押し&アナログパッド微調整必須で、「音を消したほうがスコアが伸びる」とまで言われるCall of Fourteen、
判断しづらい&判断速度が速すぎるAT、何故かつまらなくハードで謎弱体化するHEX、
とにかく赤くてバーが見えないNumber5/Beastie Girl、もはや音ゲーというより目押しアクションなTeardrop、
要は見づらい、わかりづらい、音ゲーとしてのゲーム性が薄いと3拍子揃っての音ゲー否定である。
ちなみにハードクリアまでだいたい4〜6時間。ソフトの値段は6280円。DL版も一緒である。
キャラゲーとして大切な(というかこれさえ良ければ他が悪くても許されるレベルの)ギャラリーも、公式とは思えないお粗末なものだ。
まずなぜギャラリーの3分の1ほど(そもそも18枚しかないが)をキャラ弁画像が占めているのだろうか。
しかもクオリティもキャラ選も微妙、ペンペン以外は総じて謎の食材が大量に存在していたり、キャラクターにもお弁当にも失礼なレベルである。
他のギャラリーはというと、徹底的なレイびいきだったり(1枚除いてクオリティは微妙)、並べただけ感満載のエヴァ画像。
キャラゲーのギャラリーとしての価値も、2枚ほどを除いてほぼ皆無である。正直エヴァ機体の方はpixivで検索したほうがいい画像は多い。
基本クソゲーが多いエヴァゲーだが、こちらは3年前次点に入ったぷちえヴぁを超え、ゲームがおまけでも不要なものとなってしまった。
実際ゲーム以外のスペシャルBOXの中身の評価はそれなりに高いのがなんとも言えない。
一番最初に大賞を紹介したのは、今年KOTYに値するクソゲーが、2本しかないからだ。
次に紹介するのは、今年の次点となった1本のクソゲーである。
2月3日発売、ベストメディア制作、PSP(Network専売)「対戦チンチロリン」である。
まずこのタイトルを聞いて、「チンチロリンをゲームでやる意味があるの?」と思った方、ご名答である。
実際問題、480円するこのゲームを買うより、その金で100均に行き、茶碗とサイコロを買ったほうが大変安上がりである。
持ち点が4人中3人0になるまで終わらない、しかもCPUの内2人は初期5000点持ちで、毎回300程度しか賭けない。(一応一人は後半大金で賭けに出ることもある)
効果音なし。ゲーム中のBGMは全1種類。現実のほうはサイコロの音がするというのに。
ちなみにサイコロの各々の出目の確率は(1,3,4,6)=それぞれ8分の1、(2,5)=それぞれ8分の2である。
2か5の出る確率が他の4つのどれかが出る確率より倍高いのである。まさかのカイジびっくりイカサマサイコロである。
ゲームの存在意義がないとは、まさにこのことだろう。
ドブに捨てる金額が480円で済むので、惜しくも大賞とはならなかったが。
さて、2本の紹介が終わった所で、まとめに入るとしよう。
今年は携帯機群雄割拠だった昨年と違い、とても平和な1年となった。
携帯機新機種が2種類も出たにもかかわらず、その2つからはクソゲーはなかった。
果たして、どのメーカーもクソゲーを作ってはいけない、と思っているのであろうか。
来年はクソゲーが出ない年で、ぜひあってほしいものである。
最後に一言添えて、今年のKOTYを、手短に締めるとしよう。
「2009年がKOTYの序、2010年が破なら、2011年は休である」
※以下の文章はご自由にお使い下さい。
日本国が激動に揺れた2011年、そんな大変な年でも世間の片隅でどうでも良い祭典はひっそり開催されていた。クソゲーオブザイヤー2011である。
まずスレを賑わせたのは、ベストメディア発売クロスロード開発の『対戦チンチロリン』である。
PSPダウンロード専用販売のこのゲーム、480円という安価でありながら見事にスレ住人を唸らせるポテンシャルを秘めていた。
サイコロ3つを茶碗の中に投げて数を競い合うというギャンブルのゲーム化だが、
親の順番が1Pからで固定、CPUの賭け方が明らかにおかしい、サイコロが一度止まると他のサイコロがぶつかっても微動だにしない、
等々香ばしい要素満載であった。
数少ないゲーム性であるサイコロの投入角度と強さもおざなりで、
完璧なタイミングでもサイコロが茶碗をはみ出して負けになる、全然ダメなタイミングでも茶碗内に収まるという運ゲー仕様は、
完全な勝利など約束されない博打の恐ろしさを表現しているのだろうか。
極めつけはサイコロの出目が偏っていて、「2」と「5」が他よりも出やすいと購入者の検証で判明した。
ギャンブルの根本を完全に否定した乱数調整ミスは、普通にサイコロと茶碗を買ってきたほうが面白いのではないかと言わしめる程であった。
続いて話題になったのは、バンダイナムコ発売グラスホッパーマニファクチュア開発の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 3nd Impact』であった。
劇場版エヴァンゲリオン題材のリズムゲーで、
「信頼と実績のキャラゲー」「クソゲーであるのが当然という気風のエヴァゲー」という不利を乗り越えて堂々のノミネートである。
音ゲーの肝である譜面の出来は評価出来るものの、ゲーム内容が単調かつ判定が微妙である残念な完成度であった。
また、「消音にした方が攻略に向いている」とまで言われてしまうステージが存在し、音ゲーそのものを否定しているのも頼もしい。
クリアのご褒美であるグラフィックも全体的にお粗末で、
「キャラ弁」と名付けられた絵はエヴァンゲリオンファンですら何を表しているのか首を捻るようなもので、まさに抽象画の世界まで感じさせてもらえる。
なお、ダウンロード版販売価格とUMD版販売価格が同一であるという史上初の快挙を成し遂げたのがこのゲームであるということを付記しておく。
少数精鋭二作品だが、以上が本年のノミネート作である。では2011年携帯ゲーム板クソゲーオブザイヤーの大賞を発表しよう。
見事に栄冠を勝ち取ったのは『対戦チンチロリン』である。
低価格ゲームというハンデは抱えていたものの、前述した通り「わざわざ購入する意味が全く無い」という存在理由を完璧に否定しているのが高く評価された。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 3nd Impact』はフルプライスでコストパフォーマンス最悪ではあったが、楽曲アレンジが良い等若干褒める部分があった。
それに対して「褒める部分が存在しない」「なんでわざわざプログラムした」「てか、そもそもプログラムをミスしているだろ」と言われた『対戦チンチロリン』に僅かではあるが分があった。
振り返ってみれば、未曾有の大震災、所謂ライト層の携帯電話ゲームへの移行と厳しい局面に晒されたゲーム業界を反映するかのような不作の年であった。
だがしかし、荒れた畑にも存在そのものが否定される強力なクソゲーが誕生し、「クソゲーなんて生まれない方が良い」という言葉が今年も虚しく響き渡る事となってしまった。
最後にチンチロリンといえばこの人、「賭博破戒録カイジ」の主人公伊藤カイジの言葉を借りてこの総評を締めくくりたい。
誰かが泣かなきゃならないのがクソゲーっ・・・!