2012年。
わずか二本のタイトルで大賞選びが行われた前年度、その少なさから携帯ゲームにおけるクソゲーはいよいよ枯渇したのかと危ぶまれた。
しかし一年を終えてみれば、そんな不安は些細な事であったと言えよう。
なぜならば、海の向こう、据置、はてには過去からと時空を超えて四方八方から魑魅魍魎が押し寄せ、
かつて無いほどのレベルの瘴気にスレ住人達はあてられる事になった。
年末に突如起きた選評ラッシュは昨年の据置版の様相を呈し、前年度の静けさが嘘だったかのような賑わいを見せた。
では、発売順にそれぞれの候補を紹介しよう:
まず先鋒に、『パシャットバシット〜Whack A Friend〜』(略:「パシャット」/アイシーエムジャパン)。
2月1日にDSiウェア専用ソフトで200ポイントで配信されたこのゲームは、DSi(または3DS)本体のカメラを使い、
撮影した顔を用いてモグラ叩きをするという内容。
タッチスクリーンで下画面に表示される的を叩いていくだけのシンプルなゲームだが、
プレイした者に昨年の覇者『対戦チンチロリン』に匹敵し「ゲー無」としての究極の到達点とまで言わしめたいわく付きの一本である。
サブタイトルを和訳すると「友人叩き」となり、この時点で制作者のセンスが鈍く輝く。
上画面に表示されるデフォルトのイラストが画面を直接叩き割りたくなるぐらい酷く、収録されているのはこの一枚のみ。
写真機能を使えば別の映像に変えられるが、保存できるのも一枚のみ。 DSi本体から引っぱりだす事すらできない。
モグラ叩きとしても問題を抱えており、3x3マスの穴からはかならず一体ずつしか的は出ず、最高でも2つ同時にしか表示されない。
フェイントも偽物も無く延々と「出たらタッチ」を繰り返す反射運動となるため、
「的以外をタッチする」というミスは意図的にやらなければ発生せず、 四回ミスして「クリア」扱いになるまでゲームは終わらない。
何十分と続くこの無意味な作業は「ゴールの見えないマラソン」「精神的シャトルラン」とまで言われる。
多少のスピードアップ以外に上画面の顔がすこしずつ変化するも、公式がいう「ユニークな視覚効果」とは裏腹に、
イボや絆創膏などがランダムに配置され、不快感を一気に加速させる。場合によっては蓮コラ並に気持ち悪い配置となるため、
金を払ってシャトルランをしグロ画像を見せられるという最悪の罰ゲームが待ち受けている。
これだけの苦労の末にハイスコアを出しても、写真撮影をするだけでスコアが全て消えるというトドメが残されている。
この事は説明書には記載されておらず、代わりに「ミスは3回まで」と誤記が挿入されている。
しかし真に無へと帰す瞬間は、このゲームの改善版がItunesストアで無料で配信されている事に気付いた時だろう。
金も時間も友情も努力も全てを無にしてしまうこのゲー無は、200ポイントでも安易に手を出さない方がいい。
続いて5月24日、夏祭りシーズン直前。
2006年据置KOTYの次点に輝いた『縁日の達人』(バンダイナムコゲームス)が6年の沈黙を破り、
装いも新たに3DSの機能をふんだんに使った『みんなの縁日』 (略:「縁日」)として帰ってきた 。
しかしその実態は、異なるゲームデザインでありながら同じぐらいつまらないゲー無集であった。
縁日を題材とした7つのミニゲームとおまけ、それにちなんだ景品を集める図鑑。
一見豪華そうに思えるが、いつぞやのおせち騒動を想起させるぐらいに中身がスカスカなのである。
ミニゲームのうち、まともに遊べるのは2つぐらいであり、残り5つは遊びと呼べるかすらも怪しい。
「射的」と「輪投げ」はプレイヤーの周囲に浮遊する景品をジャイロ機能を使って入手するのが目的となるが、
背景は3DSのカメラ機能で撮った映像のため、縁日の雰囲気は微塵も感じられない。
「ヨーヨー釣り」と「金魚すくい」では糸が切れたりポイが破れる事もないので、残される記録に対しても達成感がまるで無い。
マーカーに合わせて本体をただ上下すればいいだけで何の面白みもなく、金魚すくいにいたっては魚群探知機を眺めている気分になる。
それぞれのゲームで得られる景品で楽しませようとする工夫は感じられるものの、 元のゲームがただの単純作業では入手する喜びは皆無と言っていい。
極めつけは最後のミニゲームであり、なんと3DS本体をぐるぐる回して作る「かき氷」が楽しめる
・・・わけでもなく、自ら画面を回転させることで映像がとてつもなく見づらくなり、
適当にシロップをかけたあとに「これは本当にゲームなのか」と思わず本体の蓋を閉めたくなる。
この5本には明確なゴールもないため、プレイヤー自身がわざわざ終了ボタンを押さなければならない虚しさまで味わうことになる。
まともな2つのミニゲームも、景品をコンプすればすぐに飽きてしまう内容となっている。
上記のミニゲームよりまだマシと感じてしまう「新幹線ゲーム」を除けば、おまけも同様にしょぼい。
「お面」はカメラの映像にカツラやヒゲをくっつけるだけの合成アプリ、「万華鏡」はカメラ映像を万華鏡化するだけ、
塗れる範囲が固定された自由度のない「砂絵」、なぜかある「プラネタリウム」など、存在価値があるのかさえよくわからないものも。
「お札交換」では図鑑をコンプするために3DSのゲームコインを景品と交換できるが、これによってミニゲームをプレイする意義がさらに無くなる。
あえて褒めるとすれば「おみくじ」に登場する巫女さんが可愛い事ぐらいだろうか。
こうして6年ぶりに表舞台に舞い戻ってきた『みんなの縁日』だが、3DSの機能を間違った形で使って余計に悪化していると言われる始末。
同じ金額を使うなら、みんなで縁日に行った方がいいと結論づけられる事に。
そして6月14日、かつて修羅の国から『戦国姫』が突如急襲してきたことから「黒船」と呼ばれたが、
今度は北米市場からのリアル黒船『ヘビーファイア ザ・チョーズン・フュー』(略:「重火」/ハムスター) が襲来した。
移動が全て固定され、決まったシーンで一人称視点での射撃を行うレールシューティング形式の本作。
同ジャンルに『タイムクライシス』などの名作が挙げられる一方で、
『デスクリムゾン』という妖怪が存在していた事からも決して安心してはならない。
強制的に顔写真を撮られるセーブスロットを作成すると、いかつい兵士のイラストがメイン画面で出迎えてくる。
この時点でオプション項目がない事に気付くべきなのかもしれないが、
「キャンペーン」を選択した直後から始まる中学生のラクガキかと思うくらいチープな紙芝居に、プレイヤーは度肝を抜かれる。
ストーリーも粗雑で、どこかのアジトで大怪我をした後に南米でのゲリラ掃討を命じられ、そして唐突に人質救出にアフリカに飛ばされる。
核弾頭がある武器庫を爆破したり、人質がいる宮殿を空爆したりと、エリート部隊の仕事とは思えないことを平然とやってのける。
3Dのグラフィックも初代バーチャコップ並であり、 スキップ不可のムービーの後に戦闘が始まる頃には BGMが全く無い事に気付く。
正確には1ステージだけ音楽が付いているのだがメイン画面と全く同じ物であり、この曲はEDでも使い回され、今時珍しい全1曲収録という事が判明する。
敵のモーションもお粗末であり、中には欽ちゃん走りで画面を駆け抜ける兵士まで登場する。
敵の種類も一部例外を除けば、全員色違いの同じものしかいなく、スタッフロールも手動でページをめくる等、あらゆる点で演出がおかしい。
しかし、本当の問題はシューティング部分にある。
まず、回復アイテムがない。そしてチェックポイントもない。
よって一度でもライフを5つ失えば最初からやり直さなければならなく、ステージが長けば長くなるほどに難易度が激増する。
ところが、ステージ1がいきなり8分もあるのに対し中盤以降に3分程度のものがあったりとバラつきがひどい。
弾丸を当ててくる敵の頭上に表示される「!」マークからの被ダメージまでの間隔も、表示直後に命中させたり、 撃たずにどこかへと走り去ったりもする。
終盤では画面上に10人近い敵が表示されることもあり、とても一人では対処しきれない場面もある。
そのため終盤の難易度は異様に高く、最強の武器を持ってしてもちょっとの油断でリスタートするハメになる。
また、警告マークが画面から見切れる、移動シーンで撃たずに素通りすると敵が消えるなど、調整不足も数え上げればキリがない。
武器はハンドガンか連射系のどちらか1丁しか持ち運べず、狙撃銃や銃座を使うシーンは限定されるため自由には切り替えられない。
また武器の耐久ゲージが下がると弾詰まりを起こしやすくなり、
突然画面に「弾詰まりを解消するため両手で持ち水平に動かしてください」とデカデカと表示されプレイを中断してくる。
回避するためには修理費が必要となるが、新しい武器を購入する妨げとなる。
システム面でも問題はある。「キャンペーン」は一度クリアすればデータを消さない限り二度とプレイできない、
「スコア」は3つのセーブデータの最高得点しか表示せず、そもそも画面上に得点が表記されるので「スコア」自体いらないなど、
明らかに不要な項目が存在している。タッチスクリーンでしか銃の照準は操作できず、オプションもないため操作変更もできない。
こうしたゲームそのもののダメさ加減をさらに悪化させているのが、本作のローカライズである。
元々DL専用ソフトだったものをカートリッジ化しているのだが、5ドルから5,000円近くまで値上げしている理由にはならないだろう。
付属された紙の説明書も1Pしかなく、内蔵版も警告文と会社紹介を除けばわずか5Pでボーナスポイントなど説明不足な部分も否めない。
たった1ページしかない日本の公式HPからは、開発元のHPにあったトレイラーは削除され極力ゲーム内容を見せない努力が見られる。
ゲームの仕様から販売方法まで、あらゆる方向で絶大な火力を維持しながら突撃してきたその姿は勇ましくもあり、
バグに頼らないストロングスタイルは黒船としての実力を存分に見せつけたのであった。
そして10月25日。冬の足音が近づく中、再び時期外れなタイミングでとあるゲームがKOTYの舞台に戻ってくる。
その名も「Piaキャロットへようこそ!!4 〜夏の記憶〜」(略:「Pia4」/PIACCI)。
通常版と謳いながらも限定版がなかったXbox360版とは異なり、今度は限定版と同時発売された本作ではあるが、
元々KOTYの次点に選ばれるほどのゲームを移植しただけなので、結局は同じレベルのクソゲーでしかない事があっさり判明する。
本作はPC(エロゲー)、Xbox360とPSPのマルチで移植された恋愛ゲーム。
大まかな物語は、「Piaキャロット」というファミレスで一か月間働き、8人のヒロインと仲良くなるという「恋愛シュミレーション(原文ママ)」。
まず、プレイヤーの分身である主人公の性格が非常に鬱陶しく、思考パターンにも問題がある。
ストーカー行為ともとれる犯罪ギリギリのことをやらかす一方、それによってヒロインと恋仲になるというとんでもないシナリオ展開がある。
こういったとんでも展開はほとんどのルートで存在し、その原因の一つとして挙げられるのが PC版からの単純なエロ要素の削除だ。
何の埋め合わせもなくPC版から絡みシーンを削除したためか前後の脈絡がなく、 「同僚と格闘ゲームをしていたら彼女になった」
「いつのまにか従姉妹を妊娠させている」 「気付いたら実妹と肉体関係を結んでいた」などの超展開もある。
しかしこれも、単にライトユーザー向け移植による弊害だけでは片付けられない。
各シナリオも元から掘り下げが不十分であり、主人公の存在が空気化したり、 恋愛ゲームで使い古された手法を乱発する等、つまらなさに拍車をかける。
さらに何度もキャラ設定をイベント毎に更新しては無視し、一貫性のない主人公の設定もその鬱陶しさを増幅させている。
怪我で断念した陸上を再開すると宣言しながらも一向に何もしない主人公の姿勢は「走る走る詐欺」と呼ばれ、プレイヤー達のストレスを存分に加速させた。
また、システム面でもプレイヤーをたびたび苛つかせる仕様がプレイ環境を悪化させる。
入りたてのバイトがなぜかいきなり人事権を行使できるが、仕事の内容によってパラメーターが変化する育成SLGとなっている。
が、パラメーターによって途中のシナリオが変化することもなく、それが影響するのはエンディング分岐のみとなっている。
体調がゼロになるとゲームオーバーとなるが、最初に二回休んでおけばあとは何の問題もなくなるため、
足りない所を上げる仕事を適当に選ぶだけという単純作業に早変わりする。
仕事による各ヒロインの固有イベントも異様に少なく、なかには無いものさえいる。
一方で特定の日に同じ部署にいないと強制バッドエンドに突入するキャラもいるが、
こちらはノーヒントとまさかの鬼畜仕様であり、セーブ&ロードまでもが必須となってくる。
さらにちょっとでもパラメーターが足らなければヒロインと密接な仲でもゲームオーバー直行なため、
肉体関係を持った実妹相手に「この一か月間仕事以外の記憶が無い」と言い放ちながら去っていく主人公の姿も拝める。
その一方で、当作品の最後の砦とも言うべきグラフィックまでもがあっさり匙を投げる。
作画の崩壊はあちらこちらで散見し、 プレイしたものに「テキストウインドの上はなるべく見ない方がいい」と言わしめる惨状となっている。
ヒラメのように顔が変形したキャラクターのみならず背景にまで不自然さが目立ち、競技場の中から木が生えていたり、
コピペや修正跡などの手抜きが素人でもわかるレベルで残されている。
相も変わらず全方位にクソをぶちまける結果となった本作ではあるが、バグが追加さたXbox360版からの移植に伴っていくつかの改善点はある。
バックログやスキップの仕様変更やインターフェースの全体的な見直し、バグの除去といった点は素直にいい仕事をしていると言えるかもしれない。
だが、そもそも存在自体がバグではないかと思われるシナリオとキャラクターが100%そのままの時点で、結局は重度のクソゲーでしかない。
いくら綺麗に装っても中身が相変わらずならば当然需要もほとんどないに等しく、あまりにも無駄な移植だったと言わざるを得ない。
あるいは、クソゲーの頂点を目指すためだけに舞い戻ってきたのではないかとさえ思えてくる。
こうして2012年度の4強が一同に年末に出そろったわけだが、長い期間それぞれの選評がとどかなった。
なぜならば携帯ゲームにおいて2つの大事件が巻き起こってしまい、
半年以上もの間当スレッドの機能が麻痺し避難所まで設けられる事態にまで発展したからだ。
その原因の一つが、『Newラブプラス』が巻き起こしたバグ騒動。
数多くの不具合を抱えたままプレイヤー達の手に渡り、 多くのシリーズファンらを阿鼻叫喚の地獄にたたき落とした。
しかし、3DS本体がまさかのパッチ対応可能になったため事態は急変し、二回のパッチを経て致命的なバグの除去、
インターフェースの改善などの対応が取られ、騒動は概ね収拾される。
その一方で、今度はPSVitaで発売された『シェルノサージュ 〜失われた星へ捧ぐ詩〜』がバグ騒動を引き起こし、
上記の一件と相まって騒動を拡大する。
パッチが配布されては新たなバグが発生する事態に陥ったが、プレイ環境による発生率の差にあまりにも開きがあり、
再現性の不確定さからクソ要素としての扱いには慎重にならざるを得なくなった。
そして度重なるパッチ配布によってゲーム単体の重大なバグはそこそこ落ち着きを見せ、
後に出そろった4強と比較すると騒ぎの割にはさほどの事でもなかったと判断される。
しかし、この2作が巻き起こした騒動のおかげでほぼ一年間、大賞候補となりえる選評が到着する事はなかったのも事実である。
そしてこの大騒動を巻き起こした2タイトルを前にして、当スレッドを一瞬にして炎の海に変えてしまった『ヘビーファイア ザ・チョーズン・フュー』。
「引き立て役ごくろう」とあざ笑うかのように話題をかっさらっていったその堂々っぷりを讃え、2012年携帯版KOTY大賞の栄冠を送りたい。
『重火』を大賞に推す理由は、やはりその全方向に圧倒的な火力でクソを撃ち込む姿勢にあるだろう。
まずグラフィックにおいては、総合的な酷さでは『Pia4』も十分張り合えるのだが、
『重火』の紙芝居のクォリティは抜群に低く、こと背景においてはもはや手抜きなんてレベルをとうに超えている。
気持ち悪さでいえば『パシャット』に軍配が上がる所だが、写真機能を使えばとりあえず別のもの差し替えられるあたり、
そもそもデータ保存時以外は何の役にも立っていない『重火』の写真撮影もここぞとばかりに鈍く輝く。
BGMでは『パシャット』でさえメイン画面とゲーム画面で二種類とある以上、 『重火』の1曲収録はもはや擁護不可能なレベルである。
単純作業という点では、『重火』では敵以外は基本的に動かないため、「動いたものを撃てばいい」という『パシャット』『縁日』同様の反射運動に陥り爽快感が失われる。
しかし、所々で敵と見分けの付かない味方が出てきては誤射を誘発するあたり、余計なものを『パシャット』からぶんどってきたのではないかとさえ思えてくる。
また同じ3DS作品として比べた場合、間違った方向でとはいえジャイロ機能や写真機能を使おうとする努力が伺える『縁日』に対し、
プレイヤーに「邪魔なだけ」と言われた弾詰まりやプロフ写真ぐらいでしか本体機能を使えてない『重火』。
いったい3DSに何をしに来たのかと思わず問いたくなる。
成長要素としての武器の収拾や改造も、もっとも効率がよく安全に行う方法が「ステージ1を何度も繰り返す」という苦行そのものであり、
ゴールが見えている分『縁日』や『パシャット』よりもマシかもしれないが、 成長しきった最強武器でもクリアできないかもしれないという絶望感は異常としか言えない。
そしてクリアできたとしても、投げっ放しなEDを見せられた上にストーリーが二度と見れなくなるため、
それまでの努力が無駄になる「ゲー無」としての素質も垣間みれる。
移植作品としてみた場合、『Pia4』は治すべき所を全く治していないが、インターフェース等での改善点が見られる。
一方で『重火』は、Wiiware版からの「2P削除」「武器削除」「ゲームバランス崩壊」「操作性悪化」「グラフィックの劣化」「どうでもいいシナリオ追加」と、
移植としてやってはいけないお手本を次から次へとやらかしている。
プロモーションの仕方でも、公式HPを1Pしか用意しない手抜きはともかく、
一応はニンテンドーeshopでプレイ映像が見えるので回避する手だてがある『パシャット』に対し、
開発元まで飛ばなければPVすら見られない点も見逃せないだろう。
特に『縁日』『パシャット』『Pia4』と仕様通りの素材をCMに使っているのに対し、
「ゲーム中に存在しないBGMを使う」、「画面を小さく表示して粗を隠す」、
「映像を加速させる」などのせこい手を使っているのはさすがとしか言えない。
それに付随してローカライズによる「読みづらいフォントの日本語訳」、「10倍値上げ」とさらなる疾走も見せてくれる。
バグ以外は全てがクソという清々しいまでのその姿は、歴代の覇者達にも引けを取らない風格を存分に見せつけてくれた。
誰もが予期しなかった海外からの襲撃は、停滞する日本のゲーム業界に「これがクソゲーだ!」と思い出させに来たのだろうか。
何はともあれ、据置版同様にクソゲー界に新たな風を吹かせた当作品は、2012年最強のクソゲーの名に恥じない健闘ぶりを披露し、
洋ゲーという新たな道を我々に示してくれたのである。
本年度の携帯板におけるKOTYは混迷そのものであったと言えよう。
大物タイトルでも焦って販売すれば話題作入りするリスクを露呈する一方で、パッチ等の対応を柔軟に検証するべきとの反省を促す形となった。
しかしその裏では、注目されていた2010年度覇者『覇王鬼帝』の続編がまさかの良ゲー化という、 まさに前回の反省を活かした形でのカムバックを見せてくれた。
かと思えば、昨年の据置での扱いを全く顧みずほとんどそのままの形で携帯板に来場した『Pia4』や、
6年前とは全く違う方向で自爆する『みんなの縁日』など、反省の方向音痴を見せてしまう困ったちゃんがいたのも事実。
2012年はスレ内外ともども、「反省」とは一体なんなのかを痛いほど考えさせられる一年となった
・・・が「そんな事よりクソゲーしようぜ」と全く空気を読まずに乱入し、
瞬く間にスレを火の海へと変えてしまった『ヘビーファイア』の火力はやはり圧倒的だったと言えるだろう。
据置、携帯双方で洋ゲーという新しい旋風を巻き起きしたその実績(禍根)はあまりにも大きく、
ローカライズ作品への道を開拓したことは今後のクソゲーへの希望となるかもしれない。
少なくとも、次回作『シャッタード・スピア』が早くも悪化した姿を見せているあたり、こちらは反省する気はさらさら無いようである。
最後に、「ヘビーファイア・ザ・チョーズン・フュー」のある兵士の言葉を拝借し、本年度の締めとさせて頂こう。
「このゲームの面白い場所はどこだ?」