2013年 次点
概要
名称 | みんなでオートレース3D | |
ジャンル | アクションレースシミュレーション |
対応機種 | ニンテンドー3DS |
発売元 | インターグロー |
開発元 | 株式会社IGプロジェクト |
発売日 | 2013年3月7日 |
価格 | 6,090円(税込) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
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要点
競輪・オートレースを管轄する公益財団法人「JKA」監修のレースゲームで、公式サイトによれば、史上初のオートレースを題材にしたゲームソフトである。
- 日本全国にある6箇所のオートレース場と、オートレースモールの通販でのみ限定販売されたソフト。
- 度々延期を繰り返しており、2011年夏→11年12月15日→12年6月→12年夏→12年9月→13年3月7日と、都合2年弱延びで発売された。
- 後に全国のゲオでも取り扱われるようになり、誰でも容易にプレイできるようになっ(てしまっ)た
- 「スーパースター王座決定戦」での優勝を目指すレーサーモードがメインで、おまけ的にレースの予想を行う予想師モードもある。
- 「スーパースター王座決定戦」とは、年末にその年のチャンピオンを決める最高峰の大会。オートレース界の有馬記念などと例えられる。
- 最小限の内容で最大限の苦痛を与える作業ゲー無。パッケージソフトとしてはかつてないほどの薄っぺらい内容となっているが、それでもクリアするのが困難と言わしめた一品。
レースゲームとして
- レース中の操作は、コーナーで「L」と「A」ボタンを交互に押すだけ。
- レース中はアクセルやハンドルなどの操作は一切できず、自動で走るバイクのコーナリングでの「突っ込み」と「立ち直り」をコントロールするだけ。
- コーナリング中に表示されているメーターとカウントを目安に、タイミング良く「L」と「A」を交互に長押しするのみとなっている。
- 判定は「Excellent」「Good」「Bad」、ボタンを押すタイミングが早すぎた場合は「Too fast」遅すぎた場合は「Too late」と表示され「Bad」が確定する。
- 「レースゲームというよりむしろ音ゲー」「マリオカートのロケットスタートを延々やらされる状態」などと例えられている。
- 実際の競走車にブレーキは付いていないので、ブレーキは存在しないがそこに問題はない。キーの配置が「L」と「A」なのは競走車のハンドルの形状を模したものである。
- レースの難易度が高くなると、メーターの表示が消失する。
- つまりカウントだけでボタンを押すことになり、勘だけを頼りにベストタイミングを計らなければならない。
- コーナリング中は何回もこのボタン押しが要求され、1レースにつき数十回はやらなければならないので神経がすり減らされる。
- 最終目標である王座決定戦での優勝を果たすまでには、十数回は上記のレースをクリアする必要がある。
- オートレースを再現する演出も駄目
- カメラが微妙に下を向いた視点で固定されているため、画面の大部分を灰色のアスファルトが占める。
- その上を走るレーサーも、当たり前ではあるが全身スーツなので色ぐらいしか違いがない。
- 実況ボイスが付いているが、パターンは少なくさっさと枯渇する上に、レース状況を間違えるミスも報告されている。
- 排煙や3DSの立体視といった辛うじての演出はあるが、それも特段褒められるほどの出来ではない。
- カスタマイズ要素が少なく、考える必要もほとんどない
- レースでの操作があまりにも単純すぎるため、基本的に「より高いパーツを買えばいい」ということになる。
- ただし高いパーツになるほど使える回数が制限されるので、使い勝手も非常に悪い。
- 重要レースは最高級パーツでないとまず勝利不可能。そのために資金を温存することが必要だが、それを戦略と呼んでいいものかどうか…
- カスタマイズ画面を開く度に車体名の変更画面が毎回開くため、とても鬱陶しい。
- 出走前には3つの作戦(「スピード勝負」「コーナーで勝負」「インで粘る」)が選択できるが、ベストアンサーがカスタマイズ画面で表示されるので自分で考える必要は無い。
- エンディングを迎えるための条件が理不尽
- 王座決定戦へ出場するためには、該当する月に開催される大会で全て優勝するか自らのランクを上げる必要がある。
- ただしレース選択が一切出来ないため、一度でも優勝を逃すと次の機会までに開催される小さな大会に全て出場しなければならない。
- オートセーブなのに大会中は本体の電源を切ったりリセットすると強制的にリタイア扱いになるため、やり直しが一切きかない。
- 言い換えれば、一年に一度の王座決定戦で敗北するともう一度一年分全てのレースをやり直しということである。
- 特殊なイベント等の演出が皆無
- 大会で優勝しても、優勝賞金に「優勝おめでとう」の文字が添えられたしょぼいグラフィックが表示されるだけ。
- ついに王座決定戦で優勝しゲームクリアしても、特別なエンディングは一切ない。
- 普通の大会で優勝した場合とまったく同じしょぼい「優勝おめでとう」グラフィックが表示された後、そのままスタッフロールが流れてゲーム終了。
- スタッフロールは、黒一色の画面に白文字で名前が流れるだけの最低限レベル。
- サブキャラがレースの途中でアドバイスを出す傍ら、互いの情報を小出しにするが何らかのイベントが発生する事は一切無い。
- 実在するレーサーのアバターも同様に登場するが、「気をつけて運転しろよ」などの一言アドバイス以外に何もしない。
- そもそもLとAボタンを交互に押すだけのゲームで、アドバイスが必要なのかが疑問。
- 史上最高クラスの実力を持つ現役レーサーの高橋貢や元SMAPとして知られる森且行などの有名レーサーも含め、一通りの選手が登場するのは救いか。
予想師モード
- 現在実際に行われているレースのデータを受信して、それをキャラクターが予想してくれるモード。
- 選手の成績も受信してそこから判断してくれるほか、レーサーモードと共有の資金を使ってゲーム内で賭けを行うこともできるなど、予想ソフトとしてはまあ良い出来。
- 同じインターグローから似た競馬の予想ソフトが1000円で出ており、そちらのノウハウもあるのだろう。逆に言えば、1000円分しか元が取れないのだが。
- ただし、実際のレースが開催される当日にしか仮想車券は買えず、レースの模様が3Dで再現されるわけでもない
- ただネットにつないで当たりはずれを見るだけ。
- レースが開催されていない日は以前のレース結果と今後の日程を見る事ぐらいしかできない。
- 作中の選手(実在の選手+オリジナル選手)を自由に選んで戦わせることで予想を行うモードもある。
- ただしレーサーモードの演出を使い回しているので臨場感は無く、レースを必ず見なければいけないのでテンポも悪い。
- 仮想レースで予想を当ててもレーサーモードの資金は増えない仕様
選評
選評案その1
2011年12月、PSVITAモンスターハンター3G等、注目のソフトやハードが並ぶ年末商戦にとある無名のオリジナルソフトが参戦する…はずだった。それから複数回の延期を繰り返し2013年3月、一年と数ヶ月の時を経て発売されたソフトがこの「みんなでオートレース3D」である。
発売直前に各所のオートレース場とオートレースモールの通販での限定販売という、オートレースファン以外を無視した男らしい売り方が発表され少し話題になった。
本作にはレーサーモードと予想士モードの二つがあり、レーサーモードはレーサーとしてSGレース制覇を狙い、予想士モードは実際に行われているレースにゲーム内通貨を賭けて予想するというモードである。
まずレーサーモードから解説していく。
レーサーモードで使用するのはAボタンとLボタンのみ。アナログパッドで自機操作だったりボタン押しっぱなしでアクセルをかける等、複雑な操作を必要としない単純過ぎる操作性である。
コーナーに突入した際メーターとカウントが現れ、タイミングよくボタンを押すことで有利になり、逆にタイミングがズレると不利になる。
レース中はAボタンLボタンAボタンLボタンをただひたすら繰り返すだけ。例えるならマリオカートのロケットダッシュを延々やらされる状態だ。
スリップ等のハプニング要素もないので寄せてきたライバルを避ける為のパッド操作や追い抜くのに連打といった単調さを埋めるQTEすらもない。
操作が簡潔ならば演出に期待したいものだが、オートレースという競技の都合上、画面の八割を味気ないアスファルト舗装のコースが占め、視点変更もないので非常に退屈な絵が続く。レース場による変化も乏しい。
立体視による奥行きや排煙の演出は悪くはないが、タイヤすら回らない貧弱なグラフィックはとても褒められない出来である。実況もあるが言葉のパターンが少なく何回かレースを行えばだいたいの台詞が聴ける。
イベントと呼べるものもなく、オリジナルキャラが大して役に立たない一言を呟いたり実在の選手達が一行で分かるオートレース豆知識を言うくらいで、ライバルとの決戦や友情、恋愛や日常等は一切なく、ただひたすらレースをして上位を目指すだけである。
余談だが、元SMAPであり今も第一線で活躍する森君こと森且行選手もちゃんといる。
レーサーモードには自機をカスタマイズできる要素もあるが値段が高いものほど全ての能力が高い(使用回数有り)という設定なので勝てないのならとりあえず高いパーツを付ければよく、カスタマイズの楽しみがあまりない。
そもそも中盤辺りまでは目押しに慣れれば無改造(一番弱い状態)でも簡単に一位になれる。その代わりなのか後半は強敵が増えてくるので高いパーツを買う為どれだけ資金を温存出来るかが勝負になってくる。
最初から最後、王座決定戦で優勝するまでひたすらAボタンLボタンAボタンLボタンを押すだけ…無事SGレースを制覇してもこれと言ったご褒美やイベントもなくスタッフロールに突入する。
もう一つのモードである予想士モードについて解説する。
これは先程説明した通り実際のレースのデータを受信することで本格的なギャンブルごっこを楽しめるモードだ。
仮想通貨とは言え賭け事なので熱くなるモードなのだが、それはこのゲームではなく実際のオートレースが楽しいのであって、別にこのゲームを使わなくてもいいんじゃないかという疑問もつきまとう。
しかしそうちょくちょくレース場に足を運べない人やお金を浪費したくないけど公営ギャンブルを体感したい人に取っては便利な機能なのかもしれない。恐らくこれが本作の良点と言える部分だろう。値段に見合っているモードかは微妙だが。
本作はひたすらに薄い。予想師モードも結局は現実のレースに頼っているだけで、ゲーム単体としては吹くだけで消えてしまいそうな程儚い。
いくらオートレースだからと言って開発のブレーキまで外すのはどうか、そう思えてならない。
選評案その2
「みんなでオートレース」は日本のオートレースを題材にした初のゲーム。
アクションレースシミレーションと謳われているが、「アクション」「レース」の二単語を入れてもよいものかと疑うほど薄い内容である。
まずボタン操作であるが、レース中は「L」と「A」ボタン以外は一切使用しない。
コーナーに突入した際に車体をコントロールするための「突っ込み」と「立ち上がり」を制御するために、
表示されたメーターとカウントに合わせてタイミング良く指示されたボタンを長押しするだけである。
ゲーム中では離すタイミングも大事と言われるがそんなことは全くなく、メーターが振り切れるまで押していても問題はない。
どのレースも全く同じようにA>L>A>Lをタイミング良く繰り返すだけなので、さっそくレース要素の欠片も感じられなくなる。
むしろリズムゲームではないかとさえ錯覚する。
当ゲームの最終目標は、年に数回開催されるSGスーパースター王座決定戦で優勝することになる。
そこに至るには、各レース(G2、G1)で好成績を出し自らのランクを上げるか、
あるいは該当する月の各レースで優勝し続け、最終的にSGに出場する事が条件となる。
大きな大会になれば当然出場するレーサーの平均ランクは上昇し、それにともなってゲームの難易度も飛躍的にアップするが、
その難易度の調整とは、言葉を失うほどの見事な手抜きである。
先ほども紹介したように、レース中はメーターとカウントに従ってALを交互に押せばよいのだが、
ランクが上がるとメーターの表示が無くなり、フェードアウトするカウントだけを頼りにタイミングを計らなければならなくなる。
つまりは「勘」で押せ、ということである。
メーターありでも判定はかなり厳しく、メモリ一つでもずれればあっさり「BAD」扱いされる
(判定は「Excellent」「Good」「BAD」のいずれか)。
メーター無しではどれぐらい早すぎたり遅すぎたりしたのかが判断できず、一度外しだすとどんなに距離を開けていようともあっさり後続に抜かされてしまう。
そして極めつけにはこのボタン入力は1レースにつき数十回も要求され、プレイヤーの神経を激しく摩耗させていく。
このような仕様はオートレースの緊張感を再現していると言えなくもないが、
あまりにも単純すぎる操作のせいでゲームとしての楽しさは微塵も感じられない。
さらにはレースの期間選択もできないので、年に一回の大会を敗退すると翌年になるまで全てのレースを消化していかなければならなくなる。
そのため重要な大会では上記の仕様と相まって、胃が痛くなるほど無駄な緊張感を味わいながらプレイするハメになる。
ちなみにレース中に本体の電源を切るとリタイア扱いになるため、救済措置なんてものは一切無いといっていい。
難易度の高いレースで少しでも勝率を上げるためには頻繁にカスタマイズ画面を開く事になる。
というのも、天候によってタイヤの種類を変更する必要があるため、レース前に車体を調整しなければならない。
しかしこのメニューを開く度に車体の名称変更ウィンドウが開かれ、いちいち閉じなければならない。
加えてメニューのボタンも小さく押しにくい上に、全てタッチペン操作で行わなければならず、
いちいちペンを取り出すという非常に煩わしい思いをさせられる(スライドパッド/十時キーでの操作は不可)。
カスタマイズ自体も上記の単純すぎる操作のせいで「とりあえず高いものを買えばいい」だけであり、資金さえ稼げていれば何の問題ない。
加えてレース前に選択できる3つの作戦もこのカスタマイズ画面でベストアンサーが表示されるので、特に悩む必要すらない。
結果的にこのカスタマイズさえただの面倒くさい作業に成り果てている。
こうしたレースを盛り上げる要素があれば幾ばくかは報われそうなものであるが、
ダッシュのエフェクトやブレーキの煙等をはじめ、どれも見栄えがいいとは言い切れない。
加えて車体のできも決していいわけではなく、カスタマイズでいくらペイントしようともレース中に反映されることはない。
男女別の実況音声も収録されて入るもののパターンは少なく、数レースで枯渇する。
しかも、目の前に先頭車両がいるにもかかわらず「引き離して独走状態」と言ったり、
背番号を間違える等の演出ミスも所々はさんでくる。
どの大会で優勝しても優勝賞金が表示されて「おめでとう」の文字が表示されるだけであり、
サブキャラの祝杯や特別なイベントも発生しない。
念願のSG杯を優勝しても、賞金表示の後に画面が真っ黒になり、そのままスタッフロールが流れてゲームが終了する。
レースで神経をすり減らしカスタマイズでストレスを溜めた上でクリアしても、この仕打ちである。
楽しむ要素が全くといっていいほどなく、ただただ苦しむためだけの要素を的確に詰めこんだ内容は脱帽ものである。
これほどの薄っぺらい内容で的確にプレイヤーの神経に攻撃を仕掛けてくるゲームもそうそうないだろう。