対戦チンチロリン
名称 | 対戦チンチロリン | |
ジャンル | ダイスゲーム |
対応機種 | PSP |
発売元 | ベストメディア |
開発元 | クロスロード |
発売日 | 2011年2月3日 |
価格 | 480円(税込) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
要点
ダウンロード専売ソフトで、『対戦シリーズ』の第5弾。
サイコロの博打、チンチロリンをPSPで格安にプレイできるとの売り込みだが…
- 説明書にはチンチロのルールが書いてあるだけで、このゲームのシステムについて全く触れられていない。
- 具体的には「サイコロの投入する向きを決める」と「サイコロを投入する力を決める」について全く触れられていない。
- そもそも上記の「投げる方向」と「力調整」の存在意義が分からない。
- どんな投げかたしても出目の確率は変わらんだろうに、これのせいでプレイがダラダラしたものになる。
- 対人戦だと、他のプレイヤーが全員飛ぶ(持ち点5000を全て失う)までゲームが終了しない。
- 例えば4人対戦でやった場合、他の3人が飛ぶまで終われない。本来短い時間の暇つぶしで遊ぶ物ではないのかと・・・。
- 親の順番が最初プレイヤーから変動しない。2人対戦でも4人対戦でも1Pが親スタート固定。
- パス(飛ばしたり、他の人に譲ったり)が出来ないルールのせいで、ある程度賭け方が決まってしまう。
- 本来ションベン(椀からサイコロが飛び出て負けが確定すること)を防ぐ為の投入ゲージだが、全く意味を成していない。
- ゲージの目安となる場所(ゲージがその部分だけ青い)で止めてもションベンする。
- かといってゲージ最弱・最強で止めてもションベンしない時はしない。
- つまりションベンを確実に防ぐ方法はない。低い確率だがどんな状況でも負けることがある。
- AIはCPUの2Pと3Pはショボ(小額)賭けで、4Pだけアホみたいに賭けてくる。
- 2P⇒チキン野朗。何があっても300~500しか賭けない。持ち点が500点を切ると100しか賭けないこともある。
- 3P⇒一番まともなAI。序盤はショボ賭けだが、点を稼いだりゲーム終盤になるとガッツリ賭ける。
- 4P⇒破滅型AI。最初から最後まで持ち点の半分の2500を賭けたり、全額賭けをガンガンやる。
- しかもパワー最強で投げたりカーソルを茶碗の外側に合わせてサイコロを投げ捨てたりするため、ションベン率が3人の中で一番高い。
- サイコロの挙動にも問題があり、最初の3つ転がってる時はいいが、1個目2個目と出目が確定すると、本当にそれで固定されてしまう。
- まだ回ってる3つ目が1個目2個目にぶつかっても、1個目2個目のサイコロ出目は変動しない。
- ゲーム紹介画面にはシゴロ(賽の目が456の出目)のような強出目で雷が落ちるようなモーションが入っているが、紙芝居のように背景に映るだけ。
- 効果音は一切無し。ゲーム自体のBGMすら全1種類なのだから無理もないが。
- チンチロリンというゲーム自体に変化が少ないから、ケータイアプリの麻雀等に比べて圧倒的にプレイする要素がない。
- 購入者曰く、「これをPSPを回してやったり4人PSP抱えてやるぐらいなら、サイコロ3つと茶碗抱えて現実で行えばいいと思う。」
- チンチロリンを扱ったゲームは過去に例がないわけではないが(例:『SIMPLE2000シリーズvol.2 THE パーティーゲーム』)、
そういった場合でも数あるミニゲームのひとつなどとして入っているのが通例であり、チンチロリン単品で約500円などという価格設定は明らかに高い。
- スレ住民の検証により、「1,3,4,6」の出る確率がそれぞれ1/8、「2,5」の出る確率が2/8になっていると判明。 ←参考二五賽
- もはやカイ二乗検定とかで調べるまでもない問題、完全運勝負のギャンブルゲームとして根底から破綻している。
内部仕様は分からないが(リークでもされない限り分かるわけがないのだが)、普通は6種類の結果が出る乱数を用意するところを8種類の結果の出る乱数を用意して7,8番目がでたらやり直すのではなくそれぞれ2,5に割り当てたのだろうと思われる。
ここでスレ住民がやっているカイ二乗検定に関してはこちらのサイトがわかりやすい。
選評
総評が完成し、震災の影響で多くのゲームが発売延期の決定が決まった3月末…一月前にPSストアでダウンロード発売されたとあるゲームがポツリと話題に登った。
ベストメディアから発売された「対戦」シリーズ第五弾「対戦 チンチロリン」である。チンチロリンがPSPを用いて3Dで遊べ、CPU3人と戦う1人プレイと最大4人で遊べる対戦モードが存在する。
480円と低価格で発売されたものの、まず「チンチロリンのゲーム化はどの購買層を狙ったのか?」という意見がある。
チンチロリンとは、茶碗に3つのサイコロを振ってその出目で競う、といったものなのだが、当然このサイコロの出目にプレイヤーの技量・技術・やりこみといった要素は存在しない。
チンチロリンは、例えばある一人が強い出目をだしたら他の人はサイコロを振ることなく負けが確定してしまう、といったものからこのゲーム自体、金銭を賭けて遊ぶことによってその楽しさが分かるものなのである。
どこまで行ってもただの運ゲーでしかない本作品を見て「宝くじをゲーム化して誰が得するんだ?」という例を出した住民もいた。
次にゲーム本編についてみていこう。
チンチロリンには「ションベン」と呼ばれるものがあり、サイコロが茶碗の外に出てしまうことで自身の負けが確定してしまう。それを防ぐ為に、サイコロ投入の向きを決めるカーソルと強さを決定するゲージが存在する。
しかし、カーソルの移動速度は非常に遅く(端から端までの移動させる為に約5秒かかる)、ゲージに関してプレイヤーはともかくCPUがゲージを溜める様子まで1回づつ表示される。そのため、カーソルを動かすことは殆どなく、淡々とゲージ溜め続けることとなる。
次に、チンチロリンでは親(BJ等でいう胴元)を4人で回していくのだが、1Pスタートとなっており、シャッフル等は行われない。
しかも親は、ションベン・ヒフミ(サイコロの目が1.2.3と出てしまうこと。出たら賭けた額の倍を支払わなくてはいけない)・目無し(自分の番で3回サイコロを振れるのだが、3回とも出目が出なかったこと、ポーカーでいうブタ)・一の目を出すまで次の人に親が回らない親落ちルールしか採用していない。(注:現実のルールだと、親が望めば親番を次の人に回すことが出来る「アライ」のルールが存在する。)
サイコロの挙動は一度目が確定したら、他のサイコロがぶつかっても出目が変化しない上に、稀に最後一個のサイコロが回り続けることがあり、長いときには4~5秒ほど一つのサイコロが回り続ける。
CPUの挙動にも問題があり、2Pに存在するCPUは何があっても初期持ち点5000のうち300程度しか賭けない。
3Pはそこそこ普通なのだが4Pが特に酷く、自爆上等の賭け方(5000のうちしょっぱなから2500賭け)や強さゲージをマックスまで溜めてサイコロを投げつけたり、挙句の果てにはカーソルを茶碗の外に合わせて投げ捨てたりとかなり崩壊気味。
この4Pの働きによっては早くゲームが終るが、基本的に前述した要素が重なり合い、試合が非常に単調かつダラダラしたものとなっている。「長いときには一試合に40分を必要とした」という報告もあがったほどだ。
やり込み要素は、CPU戦終了時に持ち点と順位に合わせてポイントをもらえ、そのポイントが溜まると、初心者⇒初級者⇒中級者⇒上級者⇒神級()とあがっていき、級が変わると使えるサイコロの色と茶碗の柄を変えられる。
しかし、このポイントが今どれ位たまっているか、を確認する方法はゲーム終了時しかなく、そのポイントもかなり溜まりにくい。
ポイントを最大まで溜めたご褒美要素は無く、神級に到達しても新しいサイコロと茶碗の解禁のメッセージが流れるだけで、その最後の柄もサイコロは「エヴァ初号機カラー」茶碗は「迷彩色」と特にオリジナリティーや奇抜さは無く、虚無感を得ることができるだろう。
ここまでのことから、このチンチロリンのゲーム性は、「プレイヤーを長く楽しませるか」、というよりは「プレイヤーを如何に拘束するか」、という点を主眼においているとしか思えない作りとなっている。
最後にこのゲームが「チンチロリンの対戦ツール」として崩壊している部分を述べる。
前述したサイコロを投げるゲージだがこれはションベンを防ぐ為のもので、ゲージにもどれくらいで投げたらよいか、という目安がありその部分が青く塗られている。
だが、そのゲージが全く機能しておらず、その青いゲージの部分で投げても低確率でションベン、つまりサイコロが外へ飛び出てしまう。
元来ションベンとは注意してサイコロを振れば防げるものであるが、このゲームでは運次第で確定的な負けを喰らってしまうことがある。
次に最も大きな問題として、サイコロの出目も機能しておらず、明らかに乱数がおかしい。プレイ中に「ゾロ目が2と5しか出ない」と、そのおかしさに気付き、実際に検証した。
すると約800回程投げて、1.3.4.6が約100回、2.5が約200回という結果が出てしまい、2.5の出る確率が1.3.4.6の出るの倍ほどあることが判明した。
これらのことから、本来防げるはずである事象が低確率で発生し理不尽な負けを喰らい、またサイコロの出目のみを扱うはずのゲームにもかかわらず、そのサイコロの出目の乱数すら上手く作れていない。
サイコロ3つと茶碗を100円ショップで買えば200円で済むところを480円出してこのゲームを購入する行為自体にも疑問が残り、チンチロとしてのゲーム性すら崩壊しているこのゲームはまさに「何がしたかったのか?」と問いを投げかけたくなる。
低価格・低予算・低品質と3つ揃った、まさにKOTYのピンゾロといえるだろう。