2012年 次点
概要
名称 | パシャットバシット~Whack A Friend~ | |
ジャンル | アクション |
対応機種 | DSiウェア |
発売元 | アイシーエムジャパン |
開発元 | アイシーエムジャパン |
発売日 | 2012年2月1日 |
価格 | DSiポイント 200ポイント |
プレイ人数 | 1人 |
DSiダウンロード専用ソフト。いわゆるモグラ叩きゲームである。
ニンテンドーDSi、ニンテンドー3DSのカメラ機能とタッチスクリーンを使ったシンプルな「もぐらたたき」ゲームです。
カメラで撮影した対象を、「もぐらたたき」のターゲットにすることができます。
「もぐらたたき」同様、シンプルなルールと直感的なゲームプレイで誰でも楽しむことができます。
たたかれたターゲットには、ユニークな視覚効果が追加されます。
要点
- 200ポイント(200円)で購入できるモグラ叩きゲーム。モグラの代わりに、設定した「顔」を的にして叩くというもの。
- サブタイトルの「Whack a Friend」は、モグラ叩きの英訳「Whack a Mole」を捩ったもの。つまり、和訳すると「友人叩き」となる。
コンセプト面
- DSiウェアでは最安値ラインの低価格ではあるが、そもそも単なるモグラ叩きが有料という時点でバカバカしい。
- それに見合ったアイデアなり特殊なシステムが搭載されていればいいのだが、実際は「モグラの代わりに人の顔をブッ叩く」というセンスも発想も劣悪なもの。
- 後述のように写真を設定することができるが、そうなると必然的にタイトルにもある通り家族や友人、知人の顔を叩くことになるわけで、少々悪趣味が過ぎる。
- やや余談ではあるが「Whack」とはやや強い意味の言葉で、「殴打」「強打」などと訳される単語である。
ゲーム面
- モグラ叩きとして最低限のことしかできていない
- 3×3の四角形に配置された9つの穴から順次ターゲットが出現するのだが、そのパターンは最初から最後まで固定されている。
- 必ず1体ずつしか登場せず、最大でも2体までしか画面に表示されない。
- 偽物やフェイント等も皆無であるため、「出たらタッチ」をただただ繰り返すだけの反射運動に終止徹底することに。
- ミスは「時間内にターゲットを叩けなかった」と「ターゲットのいない穴を叩く」の二通りある。
- 上記の出現パターンのせいで、「ターゲットのいない穴を叩く」のは意図的にやらないとまず発生しない。
- 序盤の出現速度がかなり遅く、「時間内にターゲットを叩けない」のも一定のレベルに達しなければなかなか誘発せず、ゲームを終わらせるのにもかなりの時間がかかる模様。
- ミス4回でゲームオーバーとなるが、ゲーム終了時には「クリア」と表示される。ミスが重なって終わったのにクリアはないだろう…
- 出現パターンの少なさとミスの仕様により、異様なほど単調で長ったらしい反復作業が延々と繰り返される。
- ループし続けるBGMも相まって、ミスし続けるまでなかなか抜け出せない謎の中毒性があるとのこと。
- 曰く:「ゴールの見えないマラソン」「精神的シャトルラン」とのこと。
- まとめると、作業ゲーの鏡ともいえる内容であり、ある意味その究極の到達点。「ゲー無」の極み。
グラフィック、演出関連
- デフォルトで用意されている男性のイラストがかなりひどい
- 公式スクリーンショットにも掲載されているが、思わず画面をブン殴りたくなる出来。
- モグラ叩きの的にすることを想定してわざとそうしたのかもしれないが、こんな気持ち悪い顔の人間がワラワラと出てくればたとえ叩こうが不快極まりない。
- おまけに後述の理由で、常に上画面に大写しで表示されている。嫌がらせか。
- ソフト内に、これ以外の設定できるイラストは一切用意されていない。
- 幸い、タイトルに「パシャット」とあることからも分かる通り、DSi(もしくは3DS)のカメラ機能を使うことで自由に画像を撮った写真に差し替えることができる。
- ただし、保存できる枚数は一枚だけ。DSi(3DS)内部から持ってきた写真を使用することもできず、このゲームで撮った写真しか使えない。
- 点数を加算していくと、殴られたことを表すためか、上画面に大写しになっている男のイラスト(または写真)に演出が加わる。
- 公式では「ユニークな視覚効果が追加」されるとのことだが…
- 実際はイボや絆創膏、青あざ、イモリなどがランダムで配置されるだけであり、非常に気持ち悪い。
- 配置の仕方によっては、蓮コラ並にひどいことになる。人にもよるだろうが、本気で生理的嫌悪を感じかねない気持ち悪さ。
- 配置されるペースも非常に遅いため、上画面の惨状に気付くのがゲームスピードがかなり速まっているタイミングとかぶることに。
- 上記の気持ち悪いイラストと合わせて、「金払って軽いグロ画像見せられる」という冗談じゃない事態が起きうる。
- あまりにもゲームが単純すぎるため、コンボのカウント数がほとんど無意味な状態に
- 下段の穴に微妙にかぶっているため、むしろ邪魔になる。
- しかも、最大コンボ数と現在のコンボの表記がかぶっている。
- 現在のレベル:左上、点数:右上、ミス数:左下、コンボ数:右下という、あまりにバラバラで見やすさもへったくれもない表示。
システム関連
- スタート画面に、「スタート」と「ヘルプ」(説明書)しかない
- 説明書には「ミス3回でゲームオーバー(実際は4回)」と誤記まで完備。
- 写真を変える度に、ハイスコアがリセットされる
- 新しい写真を撮った際には前の写真を消す確認が表示されるが、点数については特に警告はない。
- 説明書にもこのことは記載されておらず、プレイヤーのうっかりミスで消えたというレベルを遥かに超えている。
- 好きな写真を使ってモグラ叩きが出来るという目玉機能でありながら、使用すればそれまでの苦労が全て消失するという理不尽仕様。
その他
- スタッフロールがない
- よって、このゲームの制作に関わった開発陣を知る事が出来ない。
- iTunesストアで無料配信中。DSiウェア200ポイントとは何だったのか…
- 無料のはずのアプリ版ではなぜかレベル選択が可能であり、作業度は一気にマシになっている。
- さらにコンボの表示も改善されているので、結局のところ有料版の仕様の方がひどいという有様。
選評
選評案その1
2012年2月1日。DSiウェアのラインナップに小さな爆弾が一つ仕掛けられた。その名も『パシャットバシット~Whack A Friend~』。
アイシーエムジャパンが送り込んだ小さな刺客は、200ポイントの低価格とは思えないほど高威力の地雷であった。
イライラと虚しさを延々と味わいながらプレイヤーが行き着く先には、全てが徒労に終わる絶望しか残されていなかった。
このゲームは単純なモグラたたきである。3×3マスの9つの穴から次々と出てくるターゲットをタッチしていくという実にシンプルな作品だ。
写真を撮る事で被写体の顔をターゲットに貼付けるという機能も搭載されている。ではなぜこのような低価格かつ単純な内容でプレイヤーが苦しめられるのか?
まず最初にプレイヤーが出くわすのがデフォルトに設定されてあるイラストである。真ん中分けの金髪の男性が、完成された福笑いの形相で我々を出迎えてくれる。
DSiウェアの購入画面でも確認できるものだが、よもやこれ以外のイラストが全く収録されていないとは誰が想像するだろうか。
しかもこの顔、ずっと上画面に表示されている。このふざけた顔とご対面し続けながら、それが貼付けられたターゲットを下画面で延々とタッチしなければならない。
和訳したサブタイトル「友達をぶっ叩こう」からも伝わってくるように、制作者のぶっとんだセンスが輝く。
オプションすらないメイン画面からスタートを選ぶと、早速ゲーム開始である。上記でも書かれているように、ひたすら9つの穴から飛び出てくるターゲットをタッチしていく。
タッチする事で点数が加算され、連続で成功する事でコンボが増えていく。一定数のタッチに成功するとレベルが上がっていき、ターゲットの出現スピードが加速し難易度が上がっていく。
加速自体はかなりゆっくり加算されているようであり、人によってはレベル間における差はしばらく感じられないかもしれないが、10レベルごとにそこそこのスピードアップは期待できる。
このように説明すれば普通のモグラたたきのように感じられるかもしれないが、その実態は異なっている。
まず出現するターゲットは、最大2体だけである。しかも同じタイミングに登場するのではなく、一体が顔を出してからしばらく間をあけて次のものが出てくる。
偽のターゲットやフェイントモーションも皆無なため、何も考えずにひたすら叩く単調な作業になる。
スピードが上がっていくとはいえ、プレイヤーがミスをするまで延々と同じことを繰り返し続けるのである。
そしてそのミスであるが、「時間内にターゲットを叩けなかった」と「ターゲットのいない穴を叩く」の二つで加算される。ミス4回でゲームオーバーとなり、ミスを回復する手段はない。
ところが上記のようにターゲットの出現パターンに「騙し」がないため、反射的に叩いていけばいいだけなので後者のミスがほとんど起こりえない。
途中でゲームを終了したい時に意図的に起こす以外ではまず遭遇しないだろう。
それでは前者の方はどうかというと、そもそもレベルが一定数を超えるまではターゲットのスピードが遅いため、こちらのミスもなかなか発生しないのである。
プレイヤーによってはまちまちだろうが、そこそこのスピードに達するレベル40~50までには30分ほどかかる。
しかし、序盤の速度は恐ろしく遅く、次のターゲットが出てくるまでに時間がかかり、かなりイライラさせられる。
かと思えば、終盤では恐ろしいまでのペースのターゲットが出現し、息をつく間もない間隔で連打するハメになる。
フェイントが一切ないターゲットの出現パターンとミスの仕様が合わさり、恐ろしいまでに単調なゲームが出来上がっているのである。
その様子はさながらゴールの見えないマラソンである。
集中力が切れてゲームオーバーになった頃には、体を動かさないシャトルランをさせられた気分になっている
しかし、これだけの苦痛を和らげるための仕様が、このゲームには存在していないわけではない。
例えばBGMはレベルの上昇によってテンポが速くなり緊張感が増していく。
と、このように書けばイメージは良さそうなものだが、短いループで流れる上に1曲しかないため、気休め程度にもならない。
最終的には機械的に連打しているためほとんど耳に入ってこない有様である。
むしろ、プレイを延々と続けさせ途中離脱させないための装置ではないかと後から疑いたくなる始末である。
コンボの加算も気力を維持するのに一役買っているようにも考えられるが、反射的に叩き続ける作業においてはただ虚しく数字が増えていくだけであり、
これといった爽快感もえられない。ミスをすればリセットされるので、その時点で気にしなくもなる。
そして下の3つの穴と微妙にかぶっているため、微妙に邪魔である。
また一定のポイントを得ると上記画面の顔に様々なエフェクトが追加されていき、DSiウェアの説明によれば「ユニークな視聴効果」になるとある。
だが、実際はピンクのイボや青あざや絆創膏、イモリやトカゲや切り傷などがランダムで配置されていき非常に気持ち悪いビジュアルになる。
時には蓮コラのような仕上がりになり、プレイする人によっては生理的悪寒を覚える可能性もある。
配置されるペースも非常に遅く、高レベル時にその気持ち悪さに気付くこととなり、レベルアップを告げるわずかな休憩時間がグロテスクな画像の鑑賞タイムへと変わる。
写真機能も最低限のものしかなく、保存できるのは1枚だけとなっている。当然DSi(あるいは3DS)本体に保存されている写真を引っ張り出してくる事は出来ない。
そのため、サブタイトルの通り友達を被写体にするためには、相手の顔を叩き続けて気持ち悪いエフェクトを貼りまくるゲーム内で撮る必要がある。
喧嘩の元にならないよう、注意する必要があるだろう。
だが、最大の問題点はこの写真機能にある。1枚しか保存できないため、新しく写真を登録するためには前の写真を消す必要がある。
その点はゲーム画面の確認でも注意してくれるのだが、あろうことか、セーブされているスコアまでもが全て消えるのである。
がんばって高得点/最高コンボを叩き出せたとしても、写真を変えただけで全て白紙に戻るのである。
しかもこの事については説明書にすら一切記載されていない。
うっかりミスどころか、トラップ以外の何ものでもない(これが仕様なのかバグなのかは不明)
その説明書も200ポイントのものらしく非常にあっさりしているが、使わないボタンの位置確認などどうでもいい情報が記載され、
あげくに説明書の使い方が記載されている説明書の方が充実しているぐらいである。
さらには「ミス3回でゲームオーバー(実際は4回)」と誤記まで完備という始末。ここまで来ると、もはや200ポイントの価値すらあるのか疑問である。
淡々と下画面を叩き続ける作業を延々と繰り返し、あげくに目玉要素の写真機能使ったとたんに消される記録。
そしてそれを全く言及しない説明書。無心に連打し続けた先に待ち受ける点数のリセットという地雷。
苦行の末に時間とポイントを失ったことに気付いた時の虚脱感。
これらの要素をこれほど手軽に味わえるゲームはそうそうないだろう。
200ポイントですら高すぎると感じさせられるこの作品は、ゲー無の極地へと誘う悟り用のソフトなのかもしれない。
精神的シャトルランを終え解脱へと到達したプレイヤーは次のように考え、ネットをさまよう事だろう:
「で、開発スタッフの名前はどこにある?」
選評案その2
・はじめに
本稿は、2月1日にアイシーエムジャパンからDSi向けとして発売された『パシャットバシット~Whack A Friend~』を、今年度のクソゲーオブザイヤーに推すものである。
・概要
まず、パシャットバシットというゲームを簡潔に表現するならば、いわゆる「もぐら叩き」である。
特に説明は必要ないと思うが、穴から顔を出すターゲットを叩くというルールの、単純ながら奥深いジャンルだ。
また、これにカメラ機能を付けることで、撮影した対象を叩くことができるという付加価値を持たせている。
撮影した画像は上画面とターゲットに表示され、上画面にはゲームが進むと「ユニークな視覚効果」が追加されていく。
なお副題を直訳すると「友人叩き」となるが、もし友人に知られたら a friend に留まらない深い関係(溝とも言う)を築くことができるだろう。
・その問題点
さて早速だが、本作の代表的な問題点を簡単に挙げていく。
まず致命的な問題は、もぐら叩きというジャンルのゲームとして、圧倒的につまらないところだ。
ジャンルの原点である「モグラ退治」から40年近く経ってなお、それと比べることすらおこがましいほどの製品で金を稼ぐ姿勢は、尊敬に値する。
二つ目は、写真機能周りの画像や視覚効果が悉く不快なことである。
ストレス解消のはずが逆に全力でストレスを押し付けるそのセンスは、もはや賞賛せざるを得ない。
最後の問題は、上記のような問題を乗り越えプレイして、なお立ちはだかるシステムに関わる欠陥だ。
まともに機能していない「もぐら叩き」と「視覚効果」という二大要素だが、本作のシステムはこれらの相乗効果すら自ら投げ捨てている。
これらを踏まえ、以下に作品としての要点とこれら問題点についての検証を記す。
・ルールなどについて
では手始めに、パシャットバシットの主なルールや仕様を説明していく。
このゲームは、3x3個の穴から一つずつ出てくるターゲットをタッチペンで叩くという、シンプルなルールのもぐら叩きである。
ステージや背景、ターゲットや画像のバリエーションなどの軟派なものは存在せず、上画面とターゲットを撮影画像にできるのみ。
ゲームをどれだけ進めても代わり映えはなく、上画面に「ユニークな視覚効果」が追加され、BGMが加速するだけ、という漢らしい仕様となっている。
ターゲット出現もレベル毎に一定のリズムで、二つ以上同時に出たりフェイントをかますなどの卑怯な真似は一切してこない。
いちおう場に二つのターゲットが配置される状況もありうるが、だからといって出た順番で叩くという他に選択肢はない。
完全に「ターゲットが出たら叩く」という単純作業の繰り返しである。
なお終了条件はライフ制で、「4回」ミスをすると「クリア」と表示されてゲームは終了となる。
説明書(メニューのヘルプから飛べる)にはミス「3回」で「ゲームオーバー」と書いてあるが、もはやどこの何がミスなのかも分からない。
ターゲットの見逃しだけでなく、ターゲットのいない所へのお手つきもミスとしてカウントされるが、触れなければどうという事もない。
ライフの回復方法はないものの時間制限もないため、多少の腕があれば永遠のように感じるほど長くゲームを続けることができる。
また、規定回数ターゲットを叩くとレベルが上がって、ターゲットの出る早さと回数が上がる。(レベル毎の回数は現レベル値+5回)
レベルが上がるたびに「レベル ** → ようい → スタート!」と表示が出て間が空くが、ちょっとした休憩だと思えばなんともない。
ミスなく叩き続けるとコンボになるが、なぜか最初の9打は無視されて10打目から1,2,3…とカウントされていく。
コンボによって一打ごとの獲得点数が上昇するため、合計点数はコンボ数に応じて加速度的に増える。(ターゲット毎の基礎点10+コンボ数)
普通にミスをするような速度になってから、序盤を含んだ分のコンボ数を超えるのは難しいため、高得点を狙うならノーミスでどこまで行けるかが勝負。
そもそもたった3回しかミスできないため常時コンボが基本で、得点が最大コンボ数とほぼ同じ指標にしかならないが、そんなことはどうでもいいだろう。
ついでに言うと、なぜか現コンボ数と最大コンボ数の表示が重なっているが、多くの場面で二つの値はイコールであり、気にするようなことではない。
・ゲームバランス
これまでの情報から分かる問題はおよそ序の口で、本作最大の問題点はゲームバランスに面白さの欠片も感じられない点だ。
この作品において、ゲームとして最低限度の難しさがあると思われるのは、おおよそレベル50前後からだ。
しかし多少ミスが出る程度の、何も考えることがないもぐら叩きとしてはやり応えのある速度まで到達すると、あっという間に4ミスで終了(クリア)となる。
(もちろん「最低限難しい」「やり応えがある」からといって、それが面白さと全くつながっていないことも補足しておく。)
さらに先に述べたレベル50でさえ到達するまで実測25分かかり、しかもその過程も果てしなくつまらない「作業」でしかないという惨状だ。
この「作業」も、緩慢だからと言ってラフなプレイをすると、空打ちがミス扱いな上に当たり判定が微妙なので、終了(クリア)しない程度にはコンボが切れる。
低レベルからコンボが積もり、ミスしてはいけないという強迫観念に駆られ、たとえ2秒に1つ程度しかターゲットが出なくても長時間集中せざるを得ない。
そんな苦行を延々と続けて、最後は即終了(クリア)となるため、プレイ後は怒りと哀しみと虚無感と開放感が入り乱れた気分になれるだろう。
ここでふと上画面を見ると不快感でとどめを刺されるのだが、これについての説明は後に回す。
・写真機能について
先に述べたように、本作はカメラで写真を撮影することで、それをゲーム画面に反映することが出来る。
しかし元からソフトに内蔵されている男の画像もあるので、先にそれについて説明しよう。
このデフォルトで設定されている男の画像(以下デフォ男)は、公式サイトなどでも見ることが出来るが、これがまた
「完成された福笑い」「嫌な汗が出る」「画面を殴りたくなる」
など、方々で散々な言われようである。
写真を撮らない場合は先述のとおり他に選択肢もないので、このデフォ男の顔が常に表示されたままもぐら叩きをプレイすることになる。
これについては、殴りたくなる顔というものを上手く表現していると取れなくもないが、それにしたって加減というものを考えるべきだろう。
デフォ男の不快な顔は一旦忘れて、次にカメラでの撮影の説明に入る。
先に述べたとおり「カメラで撮影した対象を叩くゲーム」なので、本体側保存の画像を取り込んだりなど出来るわけもない。
また保存枠もデフォ男と共用の一枚のみと不自由。
さらにデフォ男に戻したいときは、タイトル画面からスコアごと初期化しないといけないなど、不親切の徹底に抜かりはない。
写真の撮影自体は簡単で、ゲームのプレイ前の「この写真を使いますか?」という選択肢にいいえと答えるだけ。
デフォ男は写真ではない、などの些細な問題は水に流そう。
さて撮影モードに入って気付くのは、ブーム君のような顔位置のガイドと、なぜか自分の顔が映っている(つまりインカメラが起動している)ことだ。
ブーム君は置いておくにしても、この用途においてインカメラの出番など想像すらできない。
もちろん普通のカメラに切り替えることも出来るが、この設定自体がなんらかの意図を持って為されたように思えてならない。
このメーカーはお金を払ってくれる消費者に対して、何か恨みでもあるのだろうか。
・ユニークな視覚効果
写真を撮ったら(あるいはデフォ男を殴打することにしたら)即ゲーム本編が始まる。
このタイミングでタッチペンを出していなくても待ってはくれないが、どうせ序盤は死ぬほど待たされるので慌てなくても大丈夫だ。
もぐら叩きの実態についてはすでに紹介したが、上画面の「ユニークな視覚効果」は説明がまだだった。
これがどのようなものかというと、単に画像の上に絆創膏や痣などを模したゴミがランダムに貼られていくだけである。
画像を見る余裕のある序盤は「視覚効果」もわずかであり、それこそちょっとしたゴミが付いた程度でしかない。
ただ息つく暇もない後半ともなれば、ゴミも物凄い勢いで画像に付加されるので、終了(クリア)してふと気が付けば気色の悪いゴミの塊が完成している。
それだけで終わればまだ良かったのだが、メニューでは最高記録と共に記録時のゴミの塊が表示されるため、強烈なグロ画像ほど何度も拝む破目になる。
このメーカーはユーザーに対して恨みがあるに違いない。
・システムの問題点
さて、残ったシステムに関する問題点を消化してしまおう。
先ほど「デフォ男に戻す時はスコアを初期化しないといけない」と述べたが、この文章によって「他ではスコアが初期化されない」と誤解を与えたかもしれない。
ところが実はデフォ男に戻す時のみならず、カメラを使って写真撮影を行う時にもそれまでのスコアが初期化されるのだ。
デフォ男に戻す場合はスコアが消える旨確認されるが、撮影を行った場合はそれすらなく無断で初期化されるので、さらにたちが悪い。
バグか仕様かも分からない挙動で、最高記録を残すにはカメラを使えず、カメラを使うなら最高記録に拘れない。
あちらを立てればこちらが立たずという、まさに「クソ要素のもぐら叩き」だ。
いったいどれほどの恨みがあってこんなソフトを創り出したのか、想像も付かない。
・その他
余談だが、現在iTunesストアでは改善版が無料で配信中だ。
メーカー自らDS版の200円の価値を否定しているようにも見えるが、もとよりそれ以前のレベルなのでどうでもいいことだろう。
こちらは開始レベル選択などが可能であり、雰囲気を感じたいだけならDS版でなくこちらを推奨する。
もちろんタダでもプレイしない方が良いのはお察しの通りだ。
・まとめ
まとめるならば、コンセプトがゲスく、もぐら叩きにして最低、カメラを使ったゲームとして落第点、さらにそれらを関連付ける方法も死んでいる。
前年大賞のチンチロに続き、たった200円と安価でありながら、各要素もそれらの相互関係も完全にクソしかないという、高濃度のクソゲーであった。
当作をゲー無とする向きもあるが、美点はともかくクソだけは満ち溢れており、「安価だからクソ」というより「安価なのにクソの山」と評するべきだろう。
これらのソフトを発端として、CP(Cost Poop)に優れる安価DLクソゲー時代の幕開けとならないことを祈りつつ、筆を置かせていただく。