2014年 次点

概要

名称禁忌のマグナ
ジャンルシミュレーションRPG
対応機種ニンテンドー3DS
発売元マーベラス
開発元マーベラス
発売日2014年10月02日
価格パッケージ版:5980円(税別)、ダウンロード版:5980円(税別)
対象年齢CERO:C(15歳以上対象)

関連動画

PV

選評

選評案その1

―――あなたにはその(ゲームに耐えられる)力と資格がありますか?

2014年10月2日、禁忌のマグナというゲームが発売された。
ルーンファクトリースタッフが送るや様々な特典やゲーム内容でネバーランドカンパニー倒産のショックで落ち込んでいた農奴や萌えゲーマーはこのゲームに多大な期待を寄せていた。
しかし実際に出されたものは…

まず拠点となる宿屋についてだが、経営するイベントなどは一切なし。
一応設定で島の掟で余所者は長居させない、主人公の宿は人がよらず経営難とあるがそれならばなぜ宿屋にした…
メイドンインシステムというヒロイン加入時に住む代わりに働かせることになるシステムがあるが当然客は来ないので身内でイベントが進むのみ。
一応街もあるがイベントで行くだけで売買や合成要素はすべて自宅の自販機で行う。

次にヒロインについて
序盤からどんどん参加するわけではなく1章一人な加入頻度な上、ストーリーを半分まで進めても3人しか仲間にならないスローっぷり。
仲間にはならないけど登場するならまだ救いはあるが仲間と登場が同時なので当然それまでイベントはなし。
お陰で好みのキャラが後半に仲間になる人は泣きを見る羽目に…
公式サイトでチラっと水着が紹介されているが、海水浴イベントなどはなく下記で説明するETRシステムで最後までやったキャラがいる状態でお風呂に入るとチラっと見れるだけ。それだけ。

そしてそのヒロインとイベントを起こし交流を深めるETRシステムについてだが、各キャラ3回までしかない。
それ以外はストーリー会話とフリー移動時に会話出来る程度。

次にサブキャラについて
頻繁に登場するキャラは同居人の男友達と幼馴染の女の子と町長のみ
他のキャラは何故立ち絵が用意された?レベルの登場頻度である。
シュガーというキャラに至ってはすれ違い要素のガイドキャラでしか出番がない。

次にバトルシステムについて
基本を簡単に説明すると一回しか行動の出来ないサクラ大戦3の様なSLG。
独自要素として一撃で死ぬ雑魚を吹き飛ばし、それを巻き込んで大量撃破するシステムがあるのだが、敵が真後ろにしか飛ばないので微調整が必須。
そして微調整して吹き飛ばしても敵の接触判定が小さく、思ったように当たらないことが多々。
もっとボウリングみたいに派手に当たるものかと思っていたらドミノ倒しだったというオチに。
追撃(10体同時撃破でもう一回行動可になるシステム)は1軍団10体程しかいないので上の要素と相まって普通に進めると中々発動しない。
そして雑魚を撃ち漏らすと当然ちまちま各個撃破するはめに。
そしてジェネレーター(敵リーダーを生産するユニット)のHPが無駄に高い。
一応ユニット生産時にHPが減るが4ターンに1回ほどしかしないのでどちらにせよ時間がかかる。しかも遠くに配置されてる状況が多々。
戦闘アイテムでは衰弱ボトルというアイテム(当てた相手へHP減少効果)の減少効果が凄まじく、本スレでは「レベルを上げて衰弱ボトルを投げろ」という攻略法が生まれた。
ちなみにボスにも効くのでこの戦法は最後まで通用する。

次に公式で紹介されている周回要素について
引き継げるのはアイテム5種と2キャラのステータスのみ
このゲームのイベントシーンは感情アイコンが合間合間に入ったりなどして非常にテンポが悪く、またスキップもオートもないので周回するに非常に不便。

その他について
ルーンファクトリーシリーズなどにあったCGギャラリーやアニメ回想などはなし。
何度も見たいなら直前でセーブデータを取っておきましょう。3つまでしかできないけど。
また、筆者は遭遇してないが本スレではボス倒したらフリーズしたなどの報告があり。

ルーンファクトリースタッフとは何だったのか?
ルーンファクトリーなどで培ったノウハウはどこへ消えたのか?
ルーンファクトリースタッフってはしもとの事を言ってるのか?
果たしてどこで禁忌を犯したのか疑問に尽きない…

選評案その2

『禁忌のマグナ』は、宣伝と実際の落差がひどいゲームだ。
本作のゲーム性は、公式サイトから読み取れるそれの10%あればいいほうだろう。
・宿屋が舞台のシミュレーションRPGです→しかし宿屋経営はできない
・爽快さを売りにしています→スキップ機能がなく、全体的なゲームのテンポが遅い
・有名声優を多数起用→重要なシーンもパートボイス(部分的にしか喋らない)
などなど、あげればきりがない。

だが本作のクソゲー性を際立たせているのは、
・2時間以上プレイしているとフリーズしやすい。
という1点につきる。

体験したものだけを書かせてもらうと
・ボスが硬すぎて戦闘に時間がかかると思っていたらフリーズした。
・ボス戦にどうにか勝利し、イベントをみていたらフリーズした。
・長時間プレイしたので念のため、一旦ソフトを終了しゲームを立ち上げたらフリーズした。
といった具合だ。

一旦フリーズしてしまうと、先述したようにスキップ機能がないため
長いイベントを再び鑑賞しなければならず苦痛だ。
そしてボス戦では、再びフリーズするかもしれないスリルを味わうことになる。
報告数が少ないようだが、購入3日目、20時間程プレイして5回はフリーズに遭遇した。

『―――あなたにはその力と資格がありますか? 』
作中で、何度も表示されるこの台詞が印象深い。
苦難の道を進もうとするプレイヤー。それを文字通り止めようとするゲームプログラム。
プレイヤー個人の心の力が問われるクソゲー。
それが『禁忌のマグナ』である。

選評案その3

その発売は罪だったのか―――


「宿屋から始まるシミュレーションRPG」と銘打ったマーベラスの新規タイトル「禁忌のマグナ」。
主人公の宿でメイドとして働くヒロインの精霊たちと親睦を深め、会話やイベントを楽しむ宿屋パートと
アクションゲームのような操作性と爽快感を重視したシミュレーションパートの2つを主軸としたゲームである。
人気シリーズ(初期はバグゲーだが…)の「ルーンファクトリー」シリーズのスタッフが中心となって開発されたという触れ込みや
ラジオ放送をはじめとした精力的な宣伝も行われた本作だったが、残念ながらそれに見合うだけの出来には到底達していない内容であった。

まずゲームを始めて最初に気になるのが、イベントのテンポの悪さ。
可愛らしいSDキャラのやり取りでイベントは進んでいくのだが「キャラが動く→台詞を喋る→キャラが動く→…」という流れをひたすら繰り返す。
キャラの動作と台詞が同時に行われないのでぶつ切り感があり、無駄に時間がかかってしまう。
キャラの動きは短いと2秒程度なのだが、リアクションを取ったり移動したりすると5秒程度かかり冗長に感じてしまう。
それを何度も何度も繰り返すのだから、いつまでたってもイベントが進まず、まるで順番待ちの列を少しずつ前進しているようなイライラが募ってくる。
しかもこのゲームには、イベントのスキップ機能も自動送り機能もなく、台詞が完了するたびにいちいちボタンを押して進めないといけない。
このゲームにおけるイベントが占める割合は決して少なくないため、そのイベントのテンポが悪いのはとにかくストレスが貯まる。

次に気になるのが、売り文句にしている爽快感とは程遠い戦闘のテンポの悪さ。
敵はリーダー+複数の雑魚から成るユニットで形成されている。
雑魚は攻撃されると吹っ飛び、その吹っ飛びに巻き込まれた雑魚も倒されるので雑魚を上手く巻き込むように倒すことが重要になってくる。
しかし味方の攻撃範囲は全体的に狭く、障害物も貫通しない。吹っ飛ばされた雑魚の当たり判定も小さいので思ったように雑魚を巻き込んで倒すのは案外難しい。
一度に10体以上倒せば再行動のボーナスがつくのだが、後述の敵のタフさのせいでその恩恵もあまり感じられず、楽しく爽快なシステムとは言い難いものがある。
そして、コンボのつながりにくさ以上に問題になってくるのが敵リーダーとジェネレーターのHPの高さだ。
味方の通常攻撃のダメージが1000にも到達しないような段階で、平気でHPが1万を超えている敵リーダーが登場してくる。
一度に出撃できる味方が最大4人なのも相まって、何ターンもかけて総攻撃しないとリーダーを倒せないのでとにかく面倒で、そして退屈である。
ジェネレーターとは一定ターンが経過するごとに新たに敵リーダーを生み出す装置なのだが、敵リーダーと同等、あるいはそれ以上にHPが高い。
ジェネレーターを無視していると敵リーダーが生み出されてしまうが、かといってジェネレーターを壊そうにもHPが多すぎて時間がかかる。
倒すにしても無視するにしても厄介で、プレイヤーにとってはイライラを生み出す存在でしかない。
正直なところ、敵のHPの多さは素人目に見ても明らかにおかしいバランスになっている。

しかしこのようなバランスにおいても、ありがたいことに抜け道は存在する。それは状態異常だ。
敵を「衰弱(ターン終了時に一定ダメージ。要するに毒)」状態にする「衰弱ボトル」というアイテムがあるのだが
これがリーダーだろうがジェネレーターだろうがほぼ確実に効く。挙句の果てにはラスボスにまで効いてしまう。
敵のHPが多いぶん衰弱状態にした時のダメージもすさまじく、毎ターン1000〜2000ほどのダメージを与え続けてくれるので非常に頼りになる。
特に終盤のボスはHPがとてつもなく高いので、衰弱状態にするか否かで戦闘にかかる時間が激変する。
更に敵を「恐怖(特殊なスキルが使えなくなる)」状態にする「恐怖ボトル」なるものもあるが、これもほぼ必中。
これを使えば敵は通常攻撃しかできなくなるので、両方のボトルを投げてから回復に徹していれば敵は勝手に体力が減っていく。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」ならぬ「レベルを上げてボトルを投げればいい」ゲームバランスだ。

戦闘パートと並ぶ柱となる宿屋パートだが、これがパートと呼べるほどの代物ではない。
宿ではヒロインたちと会話ができるのだが、台詞は1,2パターンしかなく、会話しても立ち絵すら表示されない。
しかもすぐにメインストーリーが再開するので、実質的には宿屋は戦闘の合間で装備を整えるインターミッション程度の存在でしかない。
公式サイトでは「メイドインシステム」なる単語もあるが、ぶっちゃけ宿屋ではヒロインがメイド服を着ているだけでシステムでも何でもない。
ヒロインと親密になることで必殺技を習得できる「ETRシステム」なるものも、要するにただの会話イベント。しかも一人につき3種類しかない。
そのうえイベントの途中で必ず戦闘が挟まり、主人公とヒロインの2人だけで戦わないといけないので面倒。
また、同じキャラのイベントを見るたびに段階が進んでいくのではなく、発生時期によって見られる内容が固定されているため
1回目のイベントを飛ばして2,3回目を見ることが普通にできたりする。
イベントの内容は続き物になっていることが多いので、いきなり2,3回目を見ると経緯が分からず混乱してしまうこともあり得る。

そもそも宿屋パートのみならず、イベントに関しては明らかにボリューム不足である。
プレイヤーが任意で行けるのは戦闘を行うフリーマップだけで、街にすら自由に行くことができない。
というか街はイベント中に強制的に行くだけなので、数あるマップのひとつとしての存在でしかない。
公式サイトにはサブキャラが数多く掲載されているが、まともに出番があるのは悪友のバートと幼馴染のアメリアくらいだ。
あとはヒロイン関連のイベントで一度か二度登場する程度で、イベントの進行次第では一度も出会わないキャラすら存在する。
ヒロインの衣装は普段着とメイド服以外に水着もあるのだが、海水浴イベントなんてものも当然ない。
お風呂に入ろうとした時に、特定のイベントを見ているヒロインの立ち絵が普段着から水着に変化するだけ。
しかも真っ黒の背景で台詞を二言三言交わすだけなので何の感慨も沸かない。

以上のことから、今作はキャラごとの細かいイベントよりもストーリーを重視しているのだろうが、そのストーリーもあまり出来が良いとは言えない。
ストーリーは章仕立てであり、章はイベントと数回の戦闘で構成されているが、戦闘回数を無意味に水増しするような展開が多い。
例えば「敵に囲まれている味方の元へ駆けつけるために戦闘」→「駆けつけたらまた敵が出てきたのでそこから退避するために戦闘」
といった具合に、ひとつの戦闘にまとめられそうな内容のものを無理矢理複数に分けているケースが結構ある。
前述の通りイベントはテンポが悪いうえにスキップ機能もなく、戦闘は敵のHPが非常に高いので、ストーリーを進めたくても時間ばかりかかりなかなか思うように進められない。
ストーリーの内容は、基本的にシリアスで暗い展開がひたすら続くことになるので「宿屋でヒロインと交流を楽しむ」といった明るくのどかなコンセプトと食い合わせが非常に悪い。
また、大きな問題として、ヒロインが全員揃うのが中盤以降で、全員が揃ったと思ったら次の章ではもう宿を離れて敵との総力戦に入ってしまう。
そのせいで仲間になるのが遅いヒロインは、ただでさえ少ないキャラ描写が更に少なくなってしまっている。
ストーリーの出来自体というよりは、シリアス一辺倒なストーリーをやってしまったことが一番の問題だろう。
…これはゲームの評価とはあまり関係のない余談だが、章の合間で謎の女性による独白(ご丁寧にフルボイス&スキップ不可)がある。
この独白は頻繁に挿入されるうえ、最後に必ず「――あなたには、その力と資格がありますか?」と語りかけてくるせいでプレイヤーの記憶には嫌でも残るため
スレではゲームを楽しめないや攻略を断念している人に対して「お前には力と資格がないようだな」と言った感じでネタ台詞としてよく使われている。

前述したETRシステムのイベントは一度のプレイで見られる回数に限りがあり、コンプリートするには周回が必須なのだが周回要素も不十分だ。
所持金とETRシステムの達成状況はそのまま引き継げるのだが、全部で8人いる操作キャラのうちレベルを引き継げるのは周回回数と同じ人数だけ(例えば2周目では2人)。
アイテムは周回回数に関わらず5種類しか引き継げない。
しかも相変わらずイベントは一切スキップできないし敵のHPは無駄に多い。
クリアまでにかかる時間は大体15時間程度だが、二周目以降でもかかる時間は大幅には短縮できず
しかもプレイ時間の大半をスキップできないイベントが占めるので周回プレイが退屈で苦痛ですらある。

また、販売戦略にも問題点があると思われる。自由度の高いゲーム性やキャラクターとの交流などで評価の高い
「ルーンファクトリー」シリーズのスタッフが中心となり開発していることを大きく取り上げ、更に予約特典や店舗別特典なども充実させ
特典のドラマCDの内容も宿屋での日常を重視したものとなっている。
このような宣伝方法だと「ルーンファクトリー」に近い内容とボリュームだと期待してしまうユーザーもいたことだろう。
もちろん全てのユーザーがそう判断するわけではないし、勝手に勘違いした責任を企業に押し付ける姿勢も良くないとは思うが
結果的にはそう思わせるだけの素養がある宣伝を行った上で、肝心の内容が期待からは程遠いものになっていた事実は重く受け止めるべきだろう。

数少ない長所として、合間で挿入されるCGやアニメの出来は良い。軽度ながらちゃんと立体視にも対応している。
しかし、残念ながらこのゲームにはCGやアニメを任意で見られるアルバムのような機能がなく、一度本編で見たらそれっきりなのである。
また、宿屋の小物や設置物を調べると主人公が軽いコメントをするのだが、このコメントは章が進むごとに内容が細かく変わる。
これ自体はこだわりが感じられる良い点ではあるのだが、今までに述べてきたように全体的なボリューム不足やシステムの不備から
「こんなことに力を入れるくらいならもっと他の部分を何とかしてくれよ」という気持ちはどうしても拭えない。
せっかくの長所も、それを素直に楽しめるだけの内容が整っていないのも残念な点と言えるだろう。

総括すると、ボリューム不足なのに無駄に時間だけがかかるゲームである。
宣伝の巧妙さから前評判と実際の内容の落差したプレイヤーも少なくない人数いるとは思うが
それを抜きにしてもまともに楽しめるレベルのゲームとは言い難いだろう。
このゲームを買うこと自体が「禁忌」なのかもしれない…


――あなたには、このゲームを楽しむ力と資格がありますか?

最後に、これは単なる私の主観であり私怨であるが、どうしても言いたいので言わせてもらいたい。
私はこのゲームのヒロインに見惚れており、彼女たちが登場し活躍するであろうゲームの発売を楽しみにしていた。
しかしいざ発売してみればこの様な出来で、せっかくの魅力的なキャラがこんな空っぽで杜撰なゲームで使い捨てのように消費されてしまったことがとても辛いのだ。
たかがゲームのキャラに入れ込みすぎるのを気持ち悪く思う人もいるだろうし、正直なところ自分でも気持ち悪いと思う。
しかし、彼女達のことを思うと悲しさと無念さのあまり、このような文章を書かずにはいられなかった。
駄目すぎて笑えたりネタにできるわけでもなく、ゲームとして破綻しているレベルの酷さで気兼ねなく手持ちと記憶から消去できるわけでもない。
世の中にはプレイヤーに大きな悲しみを植えつけるクソゲーがあるのだと、私は学んだ。
勝手な願いではあるが、この文章を読んだ人が一人でも、少しでもいいから私の悲しみを理解してくれれば幸いだ。
そして、プレイヤーに悲しみをもたらすクソゲーと、クソゲーで悲しむプレイヤーが少しでも減るように祈る。