このページは、2013年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。
2012年は2011年度の平和から一変、
度重なるクソゲー続出による情報の交差により
プレイヤーやスレ住民を谷底へと突き落としていった。
その中で海外から糞フルプライスで颯爽と登場し、
劣悪な操作でありながら理不尽な難易度を見せつけた『ヘビーファイヤー・ザ・チョーズン・フュー(重火)』は
2012年度KOTY大賞の名に恥じないクソゲーであったといえよう。
そんな混沌から解放されたスレ住民達に襲いかかったのは、
春に訪れたクソゲーの竜巻であった…
1年半に渡る5回の延期を重ねついに激しいエンジン音を鳴り響かせ登場した1本目のソフトは、
3月7日発売、3DS専用ソフト『みんなでオートレース3D』(開発:インターグロー、通称:オート)
競輪・オートレースを管轄する公益財団法人JKAが監修した史上初のオートレースを題材にしたゲームであり、
全国6箇所のオートレース場とオートレースモールでの通販でのみの限定販売と
"オートレース初心者お断り"と男らしい販売方法でスレ住民に挑戦状を叩きつけた。
画面の大部分を灰色のアスファルトを占め、レース状況を間違える実況ボイスを聞きながら、
コーナーで「L」と「A」ボタンを交互に押すだけのレーサーモードは
コーナー以外での場所はアクセル・ブレーキ等の操作ができない自動操作であり、
プレイヤーから「レースゲームじゃなくて音ゲーではないか」と言われる始末。
カスタマイズ機能は「高いパーツ買ってレースに勝てばいい」の一言で済むのだが
肝心のパーツの性能が高ければ高いほど使える回数が少ないので使い勝手が非常に悪い。
このように単純な作業で終わるのだが、真の目的である"スーパースター王座決定戦"は
その年の優秀な選手しか出場することができず
出場するためには該当する月に開催される大会で優勝していくか、自らのランクを上げておかなければならない。
この努力を積み重ねて出場するのだが、電源消すだけでリタイア扱いになるので失敗は許されない。
優勝できないと全てのレースをやり直ししなければならない理不尽仕様。
頑張って優勝したとしても特別なものはなく、
優勝賞金に"優勝おめでとう"の文字が添えられるだけのしょぼいグラフィックが表示されるだけ。
これを見たプレイヤーは「今まで何のために競ってきたのか…」と頭を抱えることだろう。
実際に行われているレースデータを受信して予想してくれる予想師モードは
同じ開発会社からでている競馬の予想ソフトのノウハウがありそこそこいい出来ではあるが、
その競馬の予想ソフトは1000円であり、言ってしまえば1000円分しか元が取れていない。
さらに、"ネット接続"と"レースの出走時間直前での予想"の2つが満たされていないと使えない。
これだけの為にゲームを買うのであれば、実際のオートレースでお金を懸けた方がまだ有意義である。
少ない作業でセカンドインパクト並の苦痛を味あわされるこの作品は、
まさに"ゲー無の究極形態"であろう…
このオートに対抗するかのように、2本目のソフトがKOTY会場に歌声を響かせた。
3月28日発売、PSP専用ソフト『Megpoid the music♯』(開発:Para Phray、通称:GIMI)
"VOCALOID"の中の一つ"Megpoid(GUMI)"を題材に無料動画サイト等で人気の曲を収録した音楽ゲームとして出された本作は、
GUMIや収録された曲のファンなど多くの人が楽しみに待っていた。
…しかし、このゲームを開発した"Para Phray"は
2010年度据え置き版次点『ラブルートゼロ Kisskiss☆ラビリンス』の販売メーカーであり、
それを知っている人達の不安の声が広がる。
その不安の声を裏切らないかのように、それは現実のものとなった。
このゲームには"調整"や"作りこみ"の跡が感じられないのだ。
差分抜いて全7種類のしょぼいステージで画面酔いしやすいカメラワークの中、
GUMIが音楽に合わせて踊っているのを見つつ、画面に表示される譜面をリズムに合わせて押す…のだが、
その肝心のBGMと譜面がズレていて楽しめないのだ。
ズレは千差万別であり、プレイヤーは疑心暗鬼になってしまう。
これを回避するには"BGMに耳を傾けないようにする"と音ゲーそのものを否定しないといけない。
その中で頑張ってクリアーしても発生原因不明のフリーズにより、
唯一のセーブ手段である手動セーブすらさせてもらえず、苦労が水の泡となったプレイヤーは涙目であろう。
では、キャラクターゲームとしてはどうだろうか?
ゲーム内容が酷くても、キャラクターがかわいく引き立っていればまだ救いがあるはず…
そもそもGUMIのような"VOCALOID"はキャラクターと同等(もしくはそれ以上)に"曲"が要となってくる。
しかしその肝心の曲が"どんなに長い原曲でも90秒に雑編集"であり、
突然打ち切られたかの様に終わるとなれば作詞・作曲者の気持ちを踏みにじること間違いないだろう。
GUMIに用意された衣装も誰が作ったのかわからずほめられたものではなく、
唯一の救いだったかもしれない"踊ってみたで有名のダンサーによるGUMIのダンス"は
酔いやすいカメラワークで台無しにしてしまって元も子もない。
おまけ的存在である"GUMIルーム"も、
GUMIの反応が非常に少なく会話が成立しているかも怪しいレベル。
プレゼント渡しても中身は見てもらえず、日記も「音楽大好き!」程度。
これを見たプレイヤーは(♯^ω^)ビキビキと血管が浮き出てくるのではないだろうか…
ニコニコ生放送で行った公式放送がゲーム画面を全く見せない上に問題だらけだった事や、
公式ブログでGUMIをGIMIと誤記していたことから、
開発側のGUMIに対する愛がなく、
ただファンからお金を巻き上げる為に売りたかったのだろうか…
開発側からもファンからも見放された"GIMI"は
加害者でもあり被害者であったのかもしれない。
こうして2本のクソゲーはそれぞれのクソをスレ住民に見せつけた。
そのあまりのクソゆえに次々と候補に上がったゲームが姿を消していった。
スレ住民から「これらに対抗できるクソゲーは存在するのか…?」と不安に感じている中、
とうとう"年末の魔物"が長い眠りから目を覚まし、スレ住民の前に店を開く。
12月12日発売、3DS専用ソフト『ホームタウンストーリー』(開発:トイボックス、通称:ホーム)
人気シリーズ"牧場物語"の生みの親である和田康宏氏が手掛けたハートフルアドベンチャーであり、
店を経営しながら住民と過ごしていくスタイルに、多くの期待が寄せられた
しかし、蓋をあけたプレイヤーに待ち受けていたのはとんでもないものであった。
まず移動面から見てみよう。
上画面が3Dマップ、下画面が上空視点の簡易マップなのだが、
マップが大してやれることがないのに無駄に広く、ワープ機能が使えるようになるまで移動するのに時間がかかる。
その中で移動するとカメラがしょっちゅう切り替わる為3D酔いが発生する。
その上さらに遠くにいる住民に話しかけようとすると住民の足が主人公の走る速さと同じくらいの速さで歩いている為
話しかける為に道を覚えて回り込まなければいけない。
スティックをそのままにしているとカメラが切り替わる際に変な方向に向かってしまう場所もあるので
否が応でも慣れないといけない。
次にお店経営はどうだろうか?
当初はお店経営がメインなのかと思われていたのだが、
実際メインなのは"ハートフルなストーリー"であり、お店経営はイベントのきっかけにしかすぎないのだ。
経営してイベントを起こそうにも、
レクチャーしてくれるキャラがあまりにも不親切な為肝心なところを何一つ教えてくれない。
ならお店経営自体は楽なのではないか?…という考えはホームではバッサリ切り捨てられる。
店では1つの(テーブルにしか見えない)棚に一つの商品しか置けず、
商品が買われると一々補充をしなければならない。
店を拡張して棚を増やしていくと、それと共に補充する手間も増える為素直に喜べない。
一定時間内に商品を売る事で儲けを期待できる"コンボシステム"もフリーズバグがありやり直しを食らう。
コンボや儲けはイベント発生条件でもある為、手抜き経営は決して許されない。
お店から「俺達は過酷なお店経営を強いられているんだ!」とプレイヤーの嘆きの声が今にも聞こえてきそうである。
そこを乗り越え、さぁイベントを発生させよう!
イベントの9割がキーアイテム所持によって発生するのだが入手可能場所が不明な上に全てランダムである為、
いつ村で拾えるのか、店で売ってるのか、どこに落ちているのかわからないので探す為に無意味に彷徨うことになる。
プレイヤーが迷わない為にヒント等の救済策があるのだが、ホームには一切ない。
やっと見つけたキーアイテムも、次の日には何故か消えているバグがその喜びを打ち消す。
さらに見ていないイベントが本来見たいイベントの前にある場合発生しない為、
運頼りに目的のイベントにつながるイベントの為のキーアイテムを探さななければならない。
イベントの中には、とあるキーアイテムを目的の人物が買う前に別の人物が買うものがあり、
これにより1部イベントが発生しない事態に陥る。
これを知らずにセーブするとクリア不能になり、最初からやり直しを食らう。
そうやってやっとイベントを発生させて見たものはどこまでも"あっさり"とした内容で、
期待して頑張って努力をしたプレイヤーの心を根こそぎ奪っていく。
他にも、和田康宏氏が"自分のお店に親しみを持ってもらうために採用"した耳障りで変えられない店内BGMや、
とあるイベントを起こすと、
いつも竹馬に乗っている少年が"ひとりで夜中に竹馬で登山して死んでしまう"と言う常識人からしたら意味不明な出来事等、
開発側は"Heartful Story(心温まる物語)"を
"Hurtful Story(心傷つける物語)"と間違えたのではないだろうか…
こうして2013年度は3つの候補が上がった。
どの作品もそれぞれの糞候補を持っており、プレイヤーに地獄を見せた作品である。
そんな中、2013年度KOTY携帯機版大賞を発表したい。
それは、『ホームタウンストーリー』である
前に記した通り、候補にあがった3本のクソゲーはそれぞれの糞要素を持ち合わせている。
オートの"苦行ゲー無"、GIMIの"作りかけから生まれた何か"、ホームの"アイテム入手運ゲー"
これらはどれも許されるものではない。
では、何故ホームが大賞に選ばれたのか…
それは他の2作と比べ"運だけ"が頼りというところだ。
オートは重要なレースは高いパーツ買ってレースに挑めばある程度見込みはあるし、
GIMIは音そのものに耳を傾けなければ遊べる。
つまり、2作は頑張れば"自力"でクリアーはできるのだ。
しかし、"ハートフルなストーリー"を見る為の重要なイベントの発生が運な上に、
出現場所がランダムでヒントも何もないとなれば"自力"で解決しようがないのだ。
もしこれらをすぐに解決できる人物がいたのならば、その人はもう"人"ではなく"神"であろう。
そこに追い打ちをかけるかのようにバグが存在し、"最初からやり直し"とゲーム内で対処法がないものもある。
バグがいつ来るかわからない恐怖の中、救済のない世界で運を頼りにキーアイテムを探し、
全てを乗り越えた瞬間に味わう"あっさりとしたストーリー"に対する絶望感
何処までも続くこの疲労感と苦痛は今までにあっただろうか…
「古き良きゲームの手探り感を表現した」とコメントを残した和田康宏氏に
小一時間問い詰めたいものである。
2013年の携帯機版KOTYはある意味恐ろしい年であった。
"仕様通りに作ったらできたものが虚無"であるオート
高級食材を手に手抜きをした結果劇薬物へと化したGIMI
そして、"運"という人ではどうしようもないものを叩きつけたホームは
誰がどう見ても最悪で最高のクソゲーであったといえよう。
そして大賞を取ったホームは"年末の魔物"として携帯機版KOTYでは久々の勝利を取得した事も記しておく。
最後にホームの開発スタッフに向け、
とある偉人の言葉を拝借しこの2013年度KOTYを占めたいと思う。
「運は我々から富を奪うことはできても、 勇気を奪うことはできない。」
2012年の携帯ゲーム版KOTY(クソゲーオブザイヤー)を制したのは、
海の向こうからの刺客『ヘビーファイア・ザ・チョーズン・フュー』であった。
1曲しかないBGM、チープな紙芝居にしょぼいグラフィック、劣悪な操作性に理不尽な難易度と、
彼の者もやはり、大賞の座に相応しいソルジャーであった。
世界にはまだまだクソゲーが跋扈している。その苦い事実を噛み締めながら、
それでも「今年こそクソゲーの無い年になりますように」と、ささやかな祈りを捧げずにはいられない。
だがしかし、その願いも春の息吹と共に呆気なく吹き飛ばされる事となった。
それでは、2013年携帯ゲーム版KOTYの先鋒を務めたそのソフトを紹介しよう。
3月7日発売、3DS専用ソフト『みんなでオートレース3D』(発売:インターグロー、通称:オート)
このソフトは、競輪・オートレースを管轄する公益財団法人「JKA」が監修している
史上初のオートレースを題材にしたゲームであり、発売当初は
全国6箇所のオートレース場とオートレースモールの通販でのみの限定販売であった。
ゲーム内容は、プレイヤーがレーサーとなり"SGスーパースター王座決定戦"の優勝を目指すレーサーモードと、
実際に行われているレースにゲーム内通貨を賭けて予想する、予想士モードの二つに分けられる。
メインとなるのはレーサーモードなのだが、この肝心のレーサーモードが大問題だった。
レース中の操作は、コーナーで「L」と「A」ボタンを交互に押す。
これによりコーナリングでの「突っ込み」と「立ち直り」をコントロールする……ただこれだけである。
コーナー以外の場所では自動操縦なので、プレイヤーは何もできない。
カメラの視点が斜め下を向いているため、画面の大半を灰色のアスファルトが占め、
天候も昼夜もレース場の様子もロクに判別できない。
アスファルトの上を走るバイクのグラフィックも、タイヤすら回らない非常に質素なものとなっている。
レース中にボイス付きの実況が流れるものの、パターンが少なくすぐに枯渇する。
たまにレース状況を間違えるおまけ付きだ。
ではレース中以外だとどうなのか?
レース前にマシンのカスタマイズができるのだが、パーツの種類は少ない上に
ポイントとなるのは「値段の高いパーツほど強い」「高いパーツは壊れやすい」の二つだけであり、
普段は安めのパーツで頑張って重要なレースでは高いパーツを使う、ぐらいしか考える事が無い。
一応タイヤだけは種類が多いのだが、天候や季節に合わせてタイヤを変える必要があるためで、
レース前の表示を見ればどのタイヤにすれば良いかはハッキリしており、
種類が多いといってもプレイヤーが自由なカスタマイズを楽しめるという代物では無い。
もう一つの予想師モードは、レースの出走時間の少し前にレースのデータを受信し、
ゲーム中の予想師キャラがレースの予想してくれるというもの。
発売元のインターグローはこれと似たような競馬の予想ソフトをDSiウェアで出しており、
そちらのノウハウがあるおかげか、こちらの方は目立った荒は無い。
だがしかし、予想ができるのはレースの出走時間の少し前だけなので、
レースの無い日はレースの日程を確認するぐらいしかやる事が無い。
一応、レーサーやコースを自由にエディットして予想が出来る"ドリームエディット予想"という
遊び方もあるのだが、肝心のレースシーンが上述の通りなので、ドリーム感を味わう事は難しい。
かくして、強力な門番の登場によりKOTYスレのボルテージも上昇したが、息つく暇も無く
新たなる刺客がスレにその旋律を響かせる。
3月28日発売、PSP専用ソフト『Megpoid the music♯』(発売:Para Phray、通称:GIMI)
キャラクター設定付きの音声合成ソフト"VOCALOID"の中の一つ"Megpoid(GUMI)"が主役を務めるゲームで、
ボーカロイドファンからの注目度は高かったのだが、実際に発売されたそれは
ファン感涙……ではなくファン血涙の1本であった。
BGMに乗りながら、譜面に合わせてボタンを押すというよくあるタイプの音ゲーなのだが、
ここに最大の問題点がある。曲と譜面がズレているのだ。
音楽を主題とした音ゲーにとって、致命的な問題である。しかもズレ方が一定では無く、
最初からずっとズレているのもあれば、最初だけ合っていたり、部分的にズレていたりと、ズレ方もバラバラ。
仕舞いには、ズレていない譜面までズレているような気になってしまう始末。
このランダム音ズレに対処する最善の方法は「ミュートにしてプレイする」という事。
まさかの音ゲー全否定である。
この他にも、全ての曲が90秒に編集されているせいで曲によってはぶつ切りに感じられたり、
譜面が妙に見辛かったりと、音ゲーとしては落第点の出来であった。
キャラゲーとして見た場合も、褒められた出来では無い。
GUMIにプレゼントを送っても中身は確認せず、反応パターンも乏しい。
GUMIとの会話もやはりパターンに乏しく、会話として成立しているのかも微妙。
音量調節のミスなのか、殆ど聞き取れない台詞もある。
トドメとばかりにシステム面でもローディングの長さが目立ち、
セーブするためには一旦メイン画面に戻らないといけないのだが、その際にもロードが発生するなど、
ここでも作りの粗さが見て取れる。
なお、公式サイトや公式ブログで名前を"GIMI"と誤記されていたため、
「これはGUMIではなくGIMIというキャラのゲームだ」「GIMIなら仕方ないな」と揶揄される有様だった。
かくして3月に2本の大賞候補が出揃い、この2作がKOTY2013の門番として立ちはだかる時期が続いた。
「今年は門番が強すぎる」「今年はオートかGIMIのどちらかだろう」という空気がスレを支配していたが、
遂にその均衡を破るソフトが現れた。
携帯版では2010年の"どんスポ"と"プーペ"以来となる"年末の魔物"の襲来である。
12月12日発売、3DS専用ソフト『ホームタウンストーリー』(発売:トイボックス、通称:ホーム)
マーベラスの人気シリーズ"牧場物語"の生みの親である和田康宏氏が手掛けた作品であり、
発売元からは"ハートフルアドベンチャー"と銘打たれている。
ゲームの内容は「お店の経営を行いつつ村の住人達と交流する」というものであり、
牧場物語のファンやこの手の箱庭ゲーが好きな層からは期待されていた。
だがその先に待ち構えていたのは、「ハートフル」の意味を考えさせられるゲーム内容であった。
まず画面だが、上画面が3Dのフィールド、下画面が上空視点の簡易マップで構成されている。
上画面では移動中頻繁に視点が切り替わり、そのたびにスティックを倒す方向を調節しないといけない。
移動し辛い上に人によっては3D酔いを誘発する。
下画面を見ながら移動しようにも、簡易マップだと何も無い場所なのに、
3Dフィールドに目を移すとそこには建物があったりと、イマイチ当てにならない。
次にお店経営はどうか?
プレイヤーはまず棚を設置してその上に商品を置くのだが、商品は一つの棚に一つしか置けない。
そのため、一つ商品が売られる度にまた一つ商品を補充しなければならない。
商品の価格を設定できるのだが、前に設定した時の額を記憶してくれないので、
希望の価格で売りたければ毎回設定し直す必要がある。
初期設定のままだと利益が殆ど出ない価格なので非常に困った仕様である。
そしてメインとなる住民との交流、イベントだがこれが輪をかけて面倒な仕様である。
イベントの9割がキーアイテムという特定のアイテムをを所持していることで発生し、
入手方法としては、行商人から買う、村の中で拾う、住民から貰うという3つの方法があるが、
行商人の品揃えはランダム、村に落ちているかどうかもランダム、住民から貰えるかどうかもランダム、
キーアイテムの入手場所についてはノーヒントで、リストも無い。
おかげでプレイヤーは、不毛のランダム砂漠を独り彷徨う事となる。
和田氏によれば「古き良きゲームの手探り感を表現した」との事だが、
残念ながらそれがゲームとしての面白さに繋がっているとは言い難い。
最後にドラとして、このゲームには再現性の高いバグがあるので紹介しておく。
キラキラ石バグと呼ばれるもので、キラキラ石というキーアイテムを店に並べた後、
カノンというキャラに買わせればイベントが進行するのだが、
カノンが買う前にハービーというキャラが買ってしまうと一部のイベントが発生しなくなり、
クリア不能になってしまう。この状態でセーブすると詰みである。
これらの面倒な仕様でプレイヤーの気力をガリガリと削っていく事から、
「Heartful(心温まる)ではなくHurtful(苦痛をもたらす)」という声も挙がるほどであった。
以上の3作が2013年度の大賞候補である。
いずれも例年の大賞に引けを取らぬ強豪揃いであった。
それでは2013年携帯ゲーム版KOTY大賞を発表しよう。
『みんなでオートレース3D』である。
このゲームはこれまでのKOTYにも幾つか存在した、所謂「ゲー無」と呼ばれるタイプのクソゲーである。
コーナーでLとAを交互に押すだけというゲーム性の欠片も無いその内容は、
「虚無度」で言えばダントツのNo.1である。
だがしかし、決してそれだけでオートが大賞になった訳では無い。
虚無と並ぶオートのもう一つの問題点、それは「虚無の筈なのに苦痛」であるという事だ。
コーナーでLとAを交互に押すだけというのは、一見簡単そうに思えるかもしれないが、実はそうでもない。
コーナリング中に表示されているメーターとカウントを目安にLとAを交互に押すのだが、
レースのランクが上がるとメーターの表示が無くなり、フェードアウトするカウントだけを頼りに
タイミングを計らなければならなくなる。ハッキリ言って勘に近い。タイミングもかなりシビアである。
メーター無しではどのくらい早すぎたり遅すぎたりしたのかが判断できず、
一度外しだすと挽回が非常に難しいため、レースの最後まで息が抜けない。
この操作が1レース中に30回縲鰀40回ほどあり、プレイヤーの神経を摩耗させていく。
カスタマイズでも、メニューを開く度に車体名の変更画面が毎回開くため、地味に億劫である。
しかし、勝つためには上述したタイヤの変更などが必要なので、やらない訳にはいかない。
楽しくも何とも無いカスタマイズのために、ここでもプレイヤーの神経は摩耗していく。
SGスーパースター王座決定戦に出場するためには、各レース(G2、G1)で好成績を出しランクを上げるか、
あるいは該当する月の各レースで優勝し続け、最終的にSGに出場する事が条件となる。
そして王座決定戦で優勝すればエンディングを迎えるのだが、このゲームは強制オートセーブなので
王座決定戦の出場を逃すか王座決定戦での優勝を逃すと、
次の機会が来るまでまた神経を摩耗させる耐久レースが続いていく。
ちなみにレース中に本体の電源を切るとリタイア扱いとなる。
これらの苦痛を乗り越えた先に待つ感動のエンディング、それは
優勝賞金と「優勝おめでとう」という文字が表示された画像1枚、その後スタッフロールが流れて終了。
高橋貢や森且行ら実在のレーサー達から祝福されるとか、そういったご褒美は一切無し。
このゲームに救いは無い。
これまでにも"ふしぎ発見"や"縁日"など、ゲーム性の薄さで大賞の座を争ったソフトは存在した。
だがしかし、それらのゲームは確かに薄味でつまらないものではあったが、
裏を返せば「ただそれだけ」と言えなくも無かった。
だがオートの場合、ただ薄いだけならまだしも申し訳程度にとってつけた要素が
ゲームとしての面白さに繋がってないばかりか、むしろ苦痛という有様であり、
最小限の内容で大きな苦痛をもたらす、ある意味コストパフォーマンスの高いクソゲーと言える。
前年度覇者"ヘビーファイア"があらゆる所にクソ要素をちりばめた絨毯爆撃のようなクソゲーだとすれば、
オートは的確にプレイヤーにダメージを与えてくる、宛らピンポイント爆撃のようなクソゲーであった。
コーナーでLとAを交互に押すだけという操作方法でレースゲームというジャンルを破壊し、
ピンポイント爆撃でゲー無の壁すらも破壊したオートは、
我々に「ゲー無の究極形態」というものを知らしめてくれた。
よって、みんなでオートレース3Dを2013年携帯ゲーム版KOTYの大賞とする。
2013年の携帯KOTYは、門番VS年末の魔物というレアケースとも言える展開であった。
「もうこれに並ぶクソゲーなんて無いだろう」と緩みきっていたところに襲来した魔物の存在は、
「ゆめゆめ油断するなかれ」という、戒めのようにも感じられた。
だがそれすらも跳ね除け、見事先行逃げ切りを果たしたオートは、
最強の門番と呼ぶに相応しいゲームであっただろう。
最後に、フランスの小説家サン=テグジュペリの名言を拝借して、
2013年携帯ゲーム版KOTY総評の結びとさせて頂く。
「オートにゲーム性なんて無い。ただ前に進んでいく作業があるばかりだ」