名称 | ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に捕まってはいけないガースー黒光りランド |
ジャンル | 絶対に捕まってはいけない対戦逃走アクション |
対応機種 | ニンテンドー3DS |
発売元 | アルケミスト |
開発元 | プラネットG |
発売日 | 2015年12月17日 |
価格 | 通常版:4800円(税別) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
PV
ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 絶対に捕まってはいけないガースー黒光りランド
■要点
人気番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」を題材にした、
マップ内を徘徊する黒鬼から逃げつつ、ミッションをこなす逃走中のようなゲーム。
絶えない処理落ち、操作性の悪いカメラ、やたら判定の大きい見えない壁、
黒鬼の存在、常に煽ってくるナレーション等多くのストレス要因を抱えた結果、
なんとも言えないクソゲーを生み出すことになってしまった。
3DSソフトなのに立体視非対応な点や、スマホの無料アプリのような内容にも関わらず4,800円(税別)と高額な点も見逃せない。
スレ内での通称は「ガキ使」。
なお、この選評で羅列されていることは特筆がない限り、発売と同時に配布されたパッチ適応後のver.1.1.0環境下のものとし、
雑誌などで公開されている(らしい)パスワード関係のものは一切調査していない点を予め御了承願いたい。
■多彩なストレス要因
ゲームの解説に入る前に、前提として特にゲームに影響を与えるストレス要因について説明していく。
これらを踏まえた上で、後述の項目を参照してほしい。
・処理落ち
妙に多いのではなく、「常に処理落ちしている」のがこのゲーム。
2世代ほど前のグラフィックで、視野もとても狭い作品にもかかわらず、
カメラが動く度にカクカクと細かく処理落ちが発生し、とても目が疲れる。
・見えない壁
目に見える壁や設置された雑貨、樹木等に対して、当たり判定が妙に大きくまるで見えない壁のようになっている。
狭い通路を通らざるを得ない状況も多く、後述のカメラワークや黒鬼と合わさり極めて厄介な存在となる。
このゲームは下画面に自分の周囲の状況が表示されていて、それを見ながら操作すれば壁やある程度大きい障害物は避けやすくはなるが、
街灯や花壇といった小さい障害物は点程度の表示しかされていないためこちらに対しては効果が薄く、上画面で視認しつつ避けるしかない。
アクションゲームでよくある要素ではあるが、
わざわざ特筆しなければいけないほど「見えない壁」が深くゲームが与えるストレスの要因と化していることを理解して頂ければ幸いである。
・カメラワーク
とにかく劣悪の一言に尽きる。
カメラとプレイヤーの間に壁が挟まると、プレイヤーにカメラが急接近して視界が遮られてしまうことが多々ある。
これは前述の「見えない壁」と合わさり、非常に遊びにくい要因を担っている。
カメラの操作性もこれまた酷い。
カメラ操作はR,Lボタンで左右に回転、Bボタンでプレイヤーの真後ろに移動のみで、自力で上下に動かすことはできない。
追尾性能も極めて悪く、常にカメラを「見えない壁」に引っ掛けないよう細かく操作しなければ、
先ほど述べたように急接近するカメラに視界が潰される。
■ゲームの基本ルール
黒鬼から逃げつつ、3つのミッションで1位を目指す単純なルールなのだが……
・宝探し
マップに点在する玉を固定の台座まで運ぶモード。
玉の判定が妙に小さく、接近しつつ連打していないと持ち上げることができない上、
持ち上げるモーションがとても短いためうっかりそのまま投げてしまうこともあり慣れが必要。
玉の位置は足元の矢印アイコンで表示されるため探し出すこと自体は難しくないが、
他メンバーが運送中のものも示すことがありこれが意外と厄介である。
一応、運送中の他メンバーを持ち上げて玉を奪う事も可能だが、
例によって掴み判定が小さく、連打しながら接近すると玉と同様に持ち上げてすぐ投げてしまい、
玉と他メンバーに挟まり動けなくなることが多く、大変危険である。
無論、CPUもこの現象を引き起こすことがあるので、玉の運送中は他のメンバーに絶対に近づいてはいけない。
・レース
チェックポイントを指定された順にめぐり、ゴールを目指すモード。
チェックポイントの判定が(比較的)派手なグラフィックに対し小さいため、しっかりと踏むことを意識する必要がある。
アイテムの存在が他のモードよりも重要になってくるため、黒鬼に捕まるとかなりのロスになる。
特に、後述のタイキックをしてくる黒鬼に捕まると負けは確実だろう。
アバターを剥がされた際も更衣室の多くがルートから外れた位置にあるため、諦めた方が良いことも。
・サバイバル
黒鬼に捕まるとその場で失格になるモード。
前述のカメラワーク、見えない壁と言った要素を含んでいるため、
下手に動き回るよりも下画面を注視しながらその場で待機して、CPUが勝手に自爆してくれるのを待つのが賢明。
・ラスボス
ラスボスであるガースー魔王との戦いだけは特殊で、定期的にPOPする青い石像や岩を中央にいる大王にぶつけるだけ。
大王は一応攻撃してくるものの、被弾してもしばらく怯む程度で基本不死身。
黒鬼も相変わらず徘徊するものの、すぐ消えてくれるため割と邪魔にはならない。
基本的にマップの隅っこ以外は攻撃が届くので、魔王の攻撃モーションを見たら隅に避難するとストレスにならない。
■黒鬼
マップに固定配置されているドクロマークが描かれた直立する黒いロッカーから出現する、全身が真っ黒なお邪魔キャラ。
3種類、固有グラフィックを有するものがいる。
マップ内を徒歩で徘徊しつつ、時折キョロキョロと付近を見渡すモーションを取るのだが、
この付近を見渡すモーションが非常に高性能で、このモーション中に下画面に黒鬼のアイコンがある状態だと、
黒鬼の向きに関わらずほぼ確実に補足され、即追い掛け回される事態になる。
黒鬼の移動性能も優秀であり、速度は通常時のプレイヤーと同じほどで、
一部のマップを除いて狙いを定めたメンバーに対して常に最適なルート選びをしてくるのが実に厄介。
捕まると数秒間拘束される罰ゲームに移行し、解放後もしばらく移動速度低下等の後遺症を患い
更に着ているアバターを剥がされ点在する更衣室で着替えなおすまでアイテムが使えなくなる。
特に「タイキック」をしてくる固有グラフィックを持つ黒鬼が凶悪である。
異様に長い拘束時間に加え、勢いよく蹴り上げられた拍子にマップのどこかへランダムで移動させられ、
更に短時間ではあるが移動速度低下のペナルティまで付いている。
他にも視界の下半分近くが潰され実質なにも見えなくなる「パイ投げ」、
長い間移動速度が低下する「江頭2:50ガス」あたりも極めて厄介な存在である。
一応、マップに点在するアイテムボックスからランダムで入手できるアイテムのうち、幾つかでやり過ごせたり撃退可能ではある。
また、一部のマップに存在するワープを使用すると黒鬼の追尾から逃れることできたり、
下着状態で追い掛け回されている途中、運よく更衣室に逃げ込めば黒鬼が諦めて他のメンバーを探し始めることもある……と言っても大抵は更衣室前で出待ちされるのだが。
■その他の細かいクソゲー要因
・CPU
オフラインモードの対戦相手になるCPUの挙動なのだが、積極的に1位を目指すように設定はされてはいるものの、
宝の位置の捕捉、プレイヤーに宝を取られた、チェックポイントの通過、黒鬼に捕捉された等特定の場面に遭遇するたびに、
いちいち完全停止して、頭上に感情アイコンを表示するようになっている。
そのため、何もしていない時間が非常に長く、ゲームに慣れ始める頃には対戦相手としては物足りない存在になってくる。
ちなみに強さの設定は一切なく、プレイヤー側には感情アイコンを表示するコマンドは存在しない。
・ナレーション
元ネタの番組と同じく山田真一氏が担当している。
メニュー画面では「はよえらびぃや」「またこりもせず黒光りモードで遊ぶんか」「さっきもコレクション見とったやろ」
キャラメイク画面では「地蔵のようやな」「相変わらず男前やな」「お前みたいなもんでも、服を買うのか」「それはあかんやろ、まあええわ」
勝利画面では「格下は、この程度で大喜びやねんなぁ」「なに本気でやっとんねん」「ズルや、ズルしてるやろ」「またひとつ、夢が叶ったな」
と、番組内と同じ常に煽ってくるかのようなローテンションな関西弁で話しかけてくる。
TV越しに見る分には問題ないが、実際自分に向けられると不快でしかない良い例である。
また、BGMや効果音に対しナレーションのボイスが若干小さめで、
ボソボソとしか聞えないことも多くこれまたイラっとくる作りになっている。
・充実のオプション
効果音、BGM、ナレーション全て一括で調整するしかない「音量調整」
4つのタイプからお好みのものを選べる「キータイプ」
以上の2つだけである。
ちなみに、このオプションこと各種設定を表示できるのは、「試合中のスタートメニュー」からだけであり、メインメニューからは選べない。
・アバター
やりこみ要素のひとつとしてアバターの収集があるのだが、収支に対して出費が高すぎてアバターの収集が絶望的である。
ゲーム内コインの収集方法は、2015年12月31日の時点で試合中マップに落ちているコインを拾うのみであるが、
黒鬼に捕まったら集めたコインを失ってしまう仕様なため非常に回収率が悪い。
1位になることを捨てて回収しても、精々10枚ほど集まればいい方である。
一方アバターの値段は、安いものは50や100と良心的ではあるものの、後半になるにつれて2000枚3000枚と鬼畜な価格になっていく。
また、ショップやキャラメイク画面でパーツを選択するたびに2,3秒の読み込みが発生する点も見逃せない。
この読み込み中にキー操作を行うと先行入力扱いになる事があり、カーソルがポンポンと勝手に進んでは読み込み勝手に進んでは読み込みといった現象が起こることが多々ある。
・ストーリー
新規セーブデータ作成時に「黒光りランドに悪のガースー大魔王が攻め込んできた、手下の黒鬼に捕まるときっついお仕置きが待ってるで!」と説明され、それ以降は皆無。
黒光りモードで5つのマップを制覇すると、ラスボスのガースー大魔王と戦えるステージが解禁されるのだが、
魔王を倒してもそのままスタッフロールへ移行するだけ。
ちなみにだが、パッチ適応前は炎のエフェクトが発生するたびにいつもの処理落ちに加えさらに強烈な処理落ちに襲われ、動く事すら困難になる有様だった。
・浜田ばみゅばみゅについて
番組内で妙にプッシュされていた「浜田ばみゅばみゅ」だが、このゲームでは一切出てこない。
後述の評価点のナレーションの名前を呼ぶ機能にも引っかからない。
これはネット上で「寒い」「ゴリ押し」等酷評を食らったことを考慮してなのかは不明だが、
ファンアイテムであるこのゲームでばみゅばみゅに関する要素を入れないのは如何なものだろうか?
・通信プレイ
3DSの機能のダウンロードプレイを使って1本のソフトで4台までの3DSで遊ぶことが可能なのだが、
この通信プレイ中はいつも以上に処理落ちが酷く、同期を取るためか操作も数テンポ遅れるラグが生じるためとても楽しめるものではない。
■評価点
ナレーションが「さつき」なら「さっちゃん」、「ななこ」なら「なな」、「たろう」なら「たっくん」、「ちんたろう」なら「ちん」など多彩な略し方で呼んでくれたり、
番組に縁のある名前はそのまま呼んでくれたりと名前に関する努力はかなりのものである。
アバターの顔だけは元ネタを忠実に再現しており、表情も豊かで専用の観察モードもある。
■総評
常に画面が処理落ちしてはいるものの、フリーズや深刻なバグの存在は見受けられなかったが、
とても昨今発売された4,800円の3DS専用ゲームとは思えない稚拙なグラフィックや薄い内容にも関わらず、
所々に散りばめられた細かいクソ要素が歯車のように綺麗にかみ合い、プレイヤーをイラつかせる要因となるクソゲー無。
対戦ツールとしてもCPUに手を抜かれていると思える挙動を取られたり、対戦プレイも劣悪な処理落ちと操作ラグで苦しめられ、
ファンアイテムとしての価値も、ナレーション以外の音声は一切皆無で番組キャラクターの顔をしたmiiが全員同じモーションで動き回るグラフィックなので薄いと言わざるを得ない。
おわり