このページは、2009年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。
総評を書いた者より。私が書いていない部分を勝手に編集して加えるのをやめてください。すでにwiki管理人さんにこの事態を伝えて対処をお願いしています。これをもとにした改変などは「総評案2」などのような形で、スレで別に書いて住人さんの指摘などを受けてまとめてください。この総評案1自体ははいじらないでください。去年の家ゲ版の2008年選評案のページを参考にしてください。
今年の携帯機クソゲーオブザイヤーは、有名な元ネタをゲーム化し、多くのそのようなタイプのゲームがそうであるように順当に糞になった、という作品が目立った。その流れのまままま一年の大半が過ぎ、住人達が無意識に今年の大賞の選定に入りはじめたとき、年末の魔物は妖絶な婦人の姿をもってあらわれた。男=ユーザーをたらしこみつつ、すでに気付かれぬようその身におぞましき魔の子を宿しながら・・・。
1月、2009年の一番槍をつとめたのが「北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王」である。ドリームファクトリー。クソゲーの闇の歴史を知る人なら、おそらくこの一言だけで察しはついてしまうだろう。開始から終了まで全ての要素を解禁させても2時間。ダッシュ+弱攻撃で難易度ハードでも楽勝。「ユーザーはショック!」という若干寒いといってはいけない叫びをプレイ者におこさせずにはいられないぬるく、薄いゲームであった。
同時に、またジャンルの違う有名作のゲーム化となる「犬神家の一族」がお目見えした。ほぼボタン連打で進むだけの紙芝居、分岐がでたらほぼゲームオーバー。しかしこのゲームの売りであろう「金田一の頭をタッチペンで10〜20秒かき続ける」ことでヒントがあらわれ、ユーザーのやる気とひきかえに楽々とゲームを進めることができる。年末の原作のテレビドラマでCMを流し、「このテレビドラマを見た人は犯人も動機もわかっているのにいいのか?」というゲーム外のミステリーをも投げかけた。
3月、伝奇アドベンチャーというくくりになる「夢想灯篭」は、プレイしているユーザーの多くがだんだん「物語がつまらなく飛ばし、カードバトルはスキップ可能なのでアホらしくて飛ばす」ようになっていくため、あとに何が残されているのかわからなくなるという奇妙なゲームである。「中学生が寝る前に妄想するようなストーリー」と評された説明不足かつ自己完結したシナリオ。いまどき珍しくキャラの立ち絵がないことで、文章の稚拙さゆえに誰がいて誰が喋っているのかわからなくなるというあえて流行りに背を向けたんに退化する情けなさ。メーカー社長の「グラフィックと音楽は新人なので長い目で見てやって欲しい」という発言も話題になったが、むしろグラフィックと音楽は及第点であり、新人でないであろうシナリオその他の部分こそがやばいことを製作者トップが認識していないことが問題の根の深さを感じさせる。
今年はすぐ終わるゲームしか出なかったのであろうか。4月下旬に発売された「ラストバレット」も3時間程度で終わる狙撃アドベンチャーゲームであり、今年新たなくソゲーメーカーとして名乗りをあげるフリューのクソゲーオブザイヤーへのファーストバレットであった。「携帯アプリ以下」といわれる、どう撃っても照準がずれるのに細かい部位を撃たなければならない糞仕様、なのに難易度は結果的に低い非やり込み性、1週クリアすれば90%を超える「ギャラリー」等々、セーブ&ロード時の動きのよさとヒロインらの日常風景が一番の出来といわれてしまう有様である。
フリューの猛攻は続く。5月末にはこれも他ジャンルの有名作品のゲーム化「超名作推理アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ」をドロップする。ついにクリアに要する時間は1時間になってしまった。原作小説よりも早く読み終わるという小さな不思議を感じさせつつ、原作で麻薬の影響が出てくるシーンがどうやら規制よりカットされ別シーンになるなど、ならその原作使うなといいたくなる愛のなさであった。そしてフルプライス、5040円。504円じゃなくて?といいたくなる者は少なくあるまい。
フリュー三部作と後世によばれるであろうシット三連打の最後を飾るのが8月初旬発売「世界ふしぎ発見DS 〜伝説のヒトシ君人形を探せ〜」である。高年齢層がターゲットなのであろうか、やや微妙な気がしないでもない人気テレビ番組のゲーム化である。クリアに3時間で驚く人などもういないであろう。フリューなのだから頑張ったほうである。アドベンチャーなのだが、元番組の売りである各地の世界遺産の風景や情報が、演出のしょぼさ、CGの少なさなどによりまったく伝わらない。選択肢をまちがっても事実上支障はなく、唐突なミニゲームももちろん投げても話しは進む。「オッスオラジャンヌダルク。マリー・アントワネットの護衛だよ」この台詞で他のもろもろの出来は察してほしい。
誰もがもうキャラゲーはいいよ、と思っているのに性懲りもなく9月半ばに「金田一少年の事件簿 悪魔の殺人航海」はあらわれた。真犯人が「被害者のダイイングメッセージにそのまま名前が書かれて」いたり、「血染めの衣服が隠された部屋の主」である直球勝負な展開、終始不安を訴えてくる人物をスルーし続ける金田一少年、何の脈絡もなく始める爆弾処理ミニゲーム、不安な雰囲気を煽りつづけながら中盤にいつの間にかフェードアウトするタロットカードの「予告」、段位もちの剣持警部との将棋が楽しめるミニゲームでは警部も金田一もニ歩に気づかない有様である。どんなシリアスな場面でも明らかに着替えてなきゃおかしいところでも「バイトの制服」という理由でメイド服を着続けるヒロインの美雪だけで許せるメイドマニアの方にしかキャラゲーとしてもゆるすことはできないかもしれない。
ここまでさまざまな糞ゲーがあらわれた。多くはキャラゲー、原作ありのゲーム化、共通するのは薄く、その元ネタや作品自体への愛がないことであろうか。このような薄い軽い空しいなのにフルプライスなゲームが多くあらわれること自体が昨今の携帯ゲーム業界の問題をわかりやすく示しているのかもしれない。それぞれの作品は単品としては圧倒的なインパクトに欠けるものの、全体を貫く傾向が見えることが今年の意義であるかもしれない、と年も終わりにはいり徐々にスレ住民もまとめの意識に入ってきた11月、ほとんどそれまでのゲームとは関係のない、巨大な異民族侵略のようなメーカー、そしてその指揮をとる女狐が襲来したのであった。
SSα(システムソフトアルファー)の戦国時代の武将を女体化したシュミレーション・アドベンチャー「戦極姫〜戦乱に舞う乙女たち〜」である。主にパソコンゲームのメーカーだったSSα(システムソフトアルファ)のエロゲー製作部門から、PC18禁ゲームとして発売された「戦極姫〜戦乱の世に焔立つ〜」のPSP、PS2に同時移植されたコンシューマ版である。
PC版のときからエロゲ版クソゲーオブザイヤーにノミネートされるなど、話題の多かった「戦極姫」だが、コンシューマ版において誰もが予想しなかった異常劣化をなしとげた。
特筆すべきはバグである。現在ゆうに20を超えるバグが見つかっており、現在でも日をおかず見つかり続けているありさまで、軍資金がマイナスになるといきなり最高額近くにはねあがる、最小の兵士を徴兵しただけで最高に近かった住民感情ですら1になる、敵に大打撃を与え落城させたと思ったら直後敵が完全に兵数復活して、落城させた後ろの城を攻め落として孤立する、仲間にした武将の一族や遺族が突然復活して自国の城をのっとり、操作不能になる、一緒にヒロインや主人公がいた日には存在は確認できるが決して出られない「ブラックホール城」押し込めで詰み、他にもなぜか立ち絵が同じキャラ3人あらわれる、キャラの表情を変える差分の位置がおかしく顔の中から新たな顔が生えたような分裂を起こすなどなどとても書ききれない致命傷から失笑まであらゆるバグが網羅されている。そのためユーザーは毎ターンセーブ必須であり、一般ユーザーが普通にやってクリアすることはほぼ不可能といわれる。しかもそこまで気をつけても気づいたら情を移したお気に入りのキャラがブラックホール城にのみこまれ、そのキャラを動かせないとこの先のイベントも見れないため、それまでの十何時間が無駄になるなど、一見プラス要素である可愛いキャラクターを餌に再起不能まで心を叩き折ろうとする結婚詐欺のような罠がその悪名をなお高くせしめた。他にも戦国物で最も重要な人物の一人木下藤吉郎がただの猿で「ぶち殺すぞヒューマン!」と叫ぶシナリオの出来など語りつくせないが空しいのでやめておこう。PS2版でもほぼ同じバグや問題がでるため、PC界においてすでに悪い意味で有名であったSSαが万を辞して、この「戦極姫」や3月に発売した「戦国天下統一」によってコンシューマ界へ殴り込みをかけてきたのである。
しかし、悪夢はこれだけでは終わらなかった。一見可愛いキャラクターでユーザーを釣り、地獄に叩き込んだ「戦極姫」の、そのコンシューマ版の要素をすべて含んだ続編PC版「戦極姫2」の発売が、なんとコンシューマ版発売二週間で発表されたのである。しかもその発表では、発売日は年明け一月末。
それまであまりのバグと目当てのキャラのイベントでなすぎ、あるいはシナリオ薄すぎ、というユーザーの不満からデータ解析をする者まであらわれた。そこでなぜかエロゲーの効果音や音声、CGはあるがそれに対応する音声がない、等々の不審な点は明らかになっていたのだが、このコンシューマ版発売から、2ヶ月ちょっとでのPC版2発売の発表によって全てが一つの線につながってしまった。
つまり「はじめからエロゲーの2を作り、そこからエロ部分を抜いて、時間なくて未完成の所はなかったことにして出されたのがコンシューマ版の戦極姫なのではないか?」
その疑念はコンシューマ版のデータから2ではじめて実装となるはずの文字画像が発見されたことでほぼ確証されてしまった。
つまりコンシューマ版の戦極姫ユーザーたちはベータ版すらない未完成のアルファ版を売りつけられていたのである。ユーザー達が自虐的に「これ有償デバッグしてるようなもんだよな」といっていたのが、冗談ではなかったのである。クソゲーの多いエロゲで鍛えられた戦極姫本スレ住人たちですらこの発表で憤激した。
このような、一見可憐な容姿で誘い、たらしこみ、だまし、おとしいれ、心を折ったあげく、肉を削ぐような仕打ちを本当にやらかした「戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜」に今年のクソゲーオブザイヤーの大賞をささげたいと思う。
ID:MgjEYOjh0ですがPCは連投規制、携帯も規制。
今出先だけど家に帰っても規制。心優しい人が10以降スレに転載してくだしあ…
1
1月22日。2009年の携帯版KOTYは、
08年には家庭用でもその圧倒的低クオリティでスレを激震させたドリームファクトリーから
格闘ゲーム「北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王」と、
RPGやACT業界の老舗フロム・ソフトウェアから
推理ADV「犬神家の一族」のダブルヘッダーで幕を開けた。
2
第一に「北斗の拳 ラオウ 外伝天の覇王」。
ラオウは「北斗の拳」における第一部の締めを飾る北斗の長兄であり、
「北斗の拳」主人公ケンシロウやトキと熱戦を演じた偉大な敵手である。
そのラオウが主役を飾った同名の漫画を、さらにゲームにした本作であるが、
難易度ハードでもダッシュ弱だけで完封でき、
追加されるエクストラモードでも適当に戦っているだけで勝てる始末。
このご時勢にボイスがないのも問題だが、
それ以上に白湯並みに薄いストーリーやチープな毛筆書体の演出、
片手で数えられる隠し要素のお陰で二時間で対戦以外やることがなくなってしまう点など、
全体的な手抜きと薄さは2009年携帯版KOTYにほぼ共通する要素であり、
開幕投手としての格は十分であった。
なお、原作漫画でもラオウは聖帝サウザーや南斗紅鶴拳伝承者ユダを相手に
圧倒的な力を見せているが、ゲームに求められているのはそちらではなく、
ゲーム性の根本、メリハリのある難易度である。
3
対する「犬神家の一族」は、
横溝正史の有名推理小説をゲーム化したものだが、
ADVとしてのゲーム要素はほぼない。
プレイ時間の4時間はほぼ文章を読んでいるだけで、
たまの選択肢は間違えると即バッドエンド確定。
会話中キーワードを投げて進めるという独自性の肝そうなところに、
原作再現とはいえ主人公金田一の頭をタッチペンでこすると正解が分かるという台無し要素を付け加えるなど、
本当にADVを作ろうとしたのかよく分からないシステムの数々。
本作には全50問になるクロスワードと虫食い算がついており、
「推理小説紙芝居付き『パズルゲーム』」などと揶揄されたことも付記しておこう。
なお08年末に原作小説を基にしたドラマが放送され、
タイアップとしてか本作のCMが流れている。
だが本作は移植の過程でトリックや犯人に工夫があったわけでもないので、
視聴者に何も得るもののないゲームのCMを見せたことになるなど、
広告戦略の迷走振りも特筆に価する。
4
一ヶ月の小康期を挟んで3月19日。
08年家庭用に七英雄の一角を送り込んだ日本一ソフトウェアとブロッコリーのコンビが、
ADVを専門とする株式会社FOGと組んで、ADV「夢想灯籠」を発売した。
1200年の輪廻を描くストーリーは、平安時代から続く恋愛を描いたFOGの名作「久遠の絆」をダブらせ、
大いに期待を沸かせたものの、発売された本作の中身は擁護の仕様もないくらい薄く、
素人同然の計画性のないストーリーが展開されるという逸品で、
キャラに感情移入させる気もないのか日常描写もなければ各キャラのエピソードもない。
温泉シーンもあるが、エロはない。
選択肢も意味不明なうえ繋がりも不明、挙句第8章のある一つの分岐以外はどれを選んでも一緒で、
しかもどちらにせよ展開が小手先で変わるだけでほぼ何もかもが使いまわし、
エンディングも結局ヒロインとの恋愛沙汰は投げっ放しというダメ押しまでついた、
全くのクソといってよい代物であったのだ。
一応コンセプトは恋愛モノではなくバトルがメインのはずなのだが、
その肝心のバトル要素であるカードゲームも最初からスキップ可能。
公開された設定資料集の出来は非常によく、細かな点まで設定されていたため、
適切なシナリオライターを当ててやれば名作として花実を付けただろうにと本スレでは惜しまれた。
それだけではなく新人であるはずのサウンドやキャラデザも及第点、
システム面などは完璧とまで言われたにも関わらず、
ただシナリオライターのお陰で本作はノミネートの憂き目に遭ってしまった。
本作のどんなに材料がよくても料理の仕方一つで「ADVのような何か」が出来てしまう点は、
素材はいいものの何でも煮込みすぎたあまり「食べ物のような何か」を作るイギリス料理によく似ている。
そしてその一週間後、後に家庭用・携帯機の両KOTYを激震させる一本のゲームが、
注目されることはなく、しかし確かに発売されていた…
5
しかし4月23日発売の狙撃ADV「ラストバレット」、
そして5月28日発売、レイモンド・チャンドラー原作のADV「さらば愛しき女よ」の
フリューが放った二作のADVで事態は変わる。
前者は完全クリアに必要な時間が3時間と、「犬神家〜」のレコードを1時間も更新。
中身もハードボイルドを売りにしたはずが、
ほぼ素人の主人公に狙撃させるなどといったシナリオは小学生の学芸会並みなどと揶揄された。
ならばと絵に目を向ければキャラデザ「だけ」は、一つ一つ見れば
有名絵師を起用しただけのことはあるクオリティだが、効果の類が軒並みダメなのと、
そもそも元絵の時点でそんなに描き分けができていないのを
しかも引き気味に使ったせいで区別のしにくさが目立つ仕様となっている。
その他にもヘリポートで飛行機のエンジン音がしたりするSE、
狙撃パートも狙うものが人ではなく物なので小さすぎるのはもちろん、
おまけにぶれまくるので「携帯アプリ以下」と評価された。
「ポスター目当てで買ったら思い残すことはないから売れ」
「堀江由衣の荒い呼吸が聞ける点だけが取り柄」「男性声優って社員?と聞かれた」
「セーブ・ロード周りだけは出来がいい」「『機種ジャンル:狙撃』(正しくはDS)」など、
各選評さまざまな切り口から糞さを紹介しても被ることがない、
ネタの豊富な本格派クソゲーである。
なお余談だが本作は広告を週間ジャンプなどに出していたらしいが、幸いにも売れ行きは悪かった。
6
後者に至ってはなんとクリアタイム1時間。
原作である「Farewell,My Lovely」は、
アメリカの作家レイモンド・チャンドラーの傑作であるが、
よせばいいのにそのまま移植せず改悪。
麻薬シーンなどは規制にひっかかった説が強く、これは大目に見るとしても、
ウェイトレスの死因が移植の過程で変わったのがさらに原作通りに変わり、
麻薬の幻覚だったはずの夕食の質問は看守が実演して実際に持ってくるまでに変わっている。
ADVになったのだから絵がついたのはいいが、
その絵も「中学生がお絵かき掲示板で遊んだレベル」など酷い言われようで、
しかも織田雄二のモノマネ芸人を声優として起用したばっかりに棒読みボイスがついてくる。
システム面も時々出てくるウィンドウがうざい、選択肢の意味が全くない、
二週目で追加要素が全くない、と、どこをとっても隙がない。
原作既読の選者からは
「生粋のチャンドリアンが手にしちまったら憤死しかね」ないと評価された本作、
原作小説は文庫版がハヤカワミステリから798円で出ているので、
そちらを買ったほうが財布にも時間的にもDSの電池にも優しいだろう。何せ5040円もするのだから。
そういえばここまで紹介したノミネート作もすべてフルプライス5040円である。
どいつもこいつも薄さは共通である。一体我々消費者を何だと思っているのであろうか。
7
とどめとばかりに8月6日にフリューが投下したのは、長寿クイズ番組を元にした
「世界ふしぎ発見DS "伝説のヒトシ君人形を探せ"」である。
原作通り世界史における事件と、その舞台となった当地を紹介するのだが
まず演出が酷いので雰囲気が伝わらない。おまけに内容も薄い。
そこで出てくる偉人たちも軒並み絵も台詞も酷く、絵のほうは選評の中で
「一番のクソ要素」
「その辺の絵の上手い学生にでも描かせたほうがマシなレベル」
「実写背景と相まった場違い感はさながら高級食器に添えられた10円駄菓子」
と徹底的に非難され、台詞のほうもジャンヌ・ダルクが
「オッスオラジャンヌ・ダルク!マリー・アントワネットの護衛だよ」
とか言ってるので色々察して欲しい。大体ジャンヌはマリー・アントワネットとは女であることくらいしか共通点がない。
その他マップ移動のシステムを採用しているが、
そもそもの時点で一方通行なのでリズムを悪くするだけで、
そこに無駄なアニメまで入るあたりイライラを増進させるのに役立っている。
ちなみに本作のクリア時間は3時間である。「さらば〜」より改善しているが、
別にフリューが改心したわけではない。改心していれば定価を5040円にしない。
なお、ミニゲームもあるが、失敗してもさしたる問題はない。
この点、肝心要のバトルパートを最初からスキップ可能にする「夢想灯籠」と
どちらが上かは読者の判断を待ちたい。
8
フリュー勢ばかりが目立つ展開に要らぬ危機感でも持ったのか、
9月17日にクリエイティヴ・コアが「金田一少年の事件簿 悪魔の殺人航海」でKOTYに登場した。
有名推理漫画を原作にしたキャラゲーである本作は
なんと犯人の名前がダイイングメッセージにそのまま書いてあり、
しかも血のついたシャツが犯人の部屋で即見つかるという、
ヴァン・ダインもびっくりの分かりやすさを誇る。
一方当の本人はストーリーの本筋にはまるで絡んでこず、
トリックも結局のところ「犯人は特殊な訓練を受けています」という話なのでノックスマジ切れ間違いなしと、
推理モノの部分をフェアに作りたいのかアンフェアにしたいのか、一向に見えてこない。
その他バイト中だからという理由でずっとメイド服の美雪や
金田一の最大のライバル、地獄の傀儡師こと高遠遙一が何故かアホの子になっているなど
クソキャラゲーの原作無視という伝統をこいつも墨守している点も書いておきたい。
なお最近のADVはミニゲームをつけないといけないという強迫観念に駆られているのか
本作にも付いているのだが、妙に唐突で難易度の高い爆弾解体ゲームは
ちゃんと解体ゲーの作製経験のある会社が担当したからまだよいとして、
解読法を説明してから解かせる暗号解読ゲームや、
有段者であるはずの剣持警部とIQ180の天才である金田一をして二歩に気づかない将棋など
今日日その辺のフリーソフトでもやらないようなマネを平然とやってのけている。
キャラゲーだから一定の売り上げはあるだろうが、そのがめつさにシビれたりあこがれはしたくない。
ちなみにこれも5040円である。これも4時間程度で解ける。
そして運命の11月22日を迎える。
9
11月22日にやってきた「それ」は、据置機や携帯機で言う「クソゲー」が、
PCゲー業界ではまだまだ序の口であることを思い知らせるため、
システムソフトアルファーが送り込んだ年末の魔物である。そう、今年も魔物は健在であった。
本作は発売当初から本スレ住人を呆れから悟りにまで一週間足らずでシフトさせたという伝説を持つが、
まずその本題に入る前に、3月26日に発売されておきながらここまで取り扱ってこなかった、
システムソフトアルファーが放つ第一の刺客「戦国天下統一」をご紹介しよう。
本作は11月22日に現れた「それ」が評価されるにつれ、
選者が集まり一挙に「それ」と熾烈なデッドヒートを繰り広げたほどである。
本作「戦国天下統一」は、PCで発売された「天下統一5」を、PS2とPSPに移植し発売したものだが
そもそも元ゲーの評価が低いのに何故移植したのかという疑問や、
いきなり持てる兵力が激減するバグ、勝手に来て勝手に出家していく嫁たちなどなどもあるが、
本作の問題はそんなところではなく、徹底した作りこみの甘さである。
まずグラフィック面の作りこみの甘さである。城によっては固有グラまで用意している点だけ見れば
KOEIの名作「太閤立志伝5」より上だが、そのグラフィックのしょぼさは初代PSの初期を思い出させ、
合戦シーンのグラは小さいサイズで作ったものを何も考えずに拡大したお陰で全く滑らかではない画像を実現し、
さらに輪をかけてしょぼいエフェクトがいつの時代だとプレイヤーに突っ込ませる。
極めつけは顔グラで、公式サイトでは固有グラをかき集めてさも顔グラは豊富だと思わせておきながら
蓋を開けてみれば「顔面天下統一」などと揶揄される、全く同じ、しかも地味にムカつく顔が雁首を並べており
一方で女の顔グラは武将用と姫用で不必要なくらいバラエティ豊かである。
そんなところに手間をかけるくらいなら、せめて今川家家臣団が
義元以外全員同じ顔というのはどうにかしてほしい。
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システム面の作りこみの甘さも半端ではなく、何をするにもロードとは無縁で居られず
2009年発売のゲームなのにCPU大名の思考時間は延々とかかる。
インターフェイスの劣悪さは「素人がWordで作った表のよう」と揶揄されるほどで
それぞれの武将の詳細情報を参照するのにいちいちいちいち同じ長い手順をロード付きで踏まねばならず、
加えて最近では常識になったカーソル位置記憶もついてない。
それだけではなく人の出入りも、俸給が低ければ逃げられるのはもちろんだが
高くても逃げ出す点をはじめ、雇った覚えのないヤツが突如出現したり
どこかに呼びつけようとしても時によっていたりいなかったりするなどはいっそ笑うほかない。
全国マップも同様に酷く、海上の経路の設定を忘れたのか、東北から九州まで一瞬で来れる。
ここまでクソ仕様を連ねておいて、一つだけ褒められる場所がある。なんと城の数は400ある。
が、どんな城でも強襲すれば大概落ちるのと、どんな数的優位も鉄砲と疲労度次第でどうとでも転ぶため
気付くとすさまじい勢いで不仲になっていく外交仕様と相まって四面楚歌が恒常的になり
それに対応するため延々と苦痛に満ちた作業を続けねばならない。それでも国境は寄す波のように揺れ動くが。
以上のような本作の惨状に対しあるプレイ日記からは
「能力値は重要ではない」「どこで楽市楽座をするかはどうでもいい」「合戦も楽勝」などと言われ
説明書の絶望的不備も相まって「プレーしながら仕様を解読する必要がある」「すべてがよく分からない」と、
無間地獄って怖くね?と思わずにはいられない本作の業の深さが伝わってくる有様である。
そして、これらを制したのが、本年度携帯版KOTY受賞作品「戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜」である。
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本作もPCで発売されバグの嵐と評価された同名のエロゲを、やはりPS2とPSPに移植発売したものだが
突っ込みどころ満載とかいった次元を遥かに超え、選評が出るころには「もう携帯版はこれで決定だろう」と
そんな空気が流れるに到ったほどの鬼子である。
ADVとSLGをあわせて女体化された武将とキャッキャウフフしながら天下を統一するという
どこかで聞いたことがあるようなコンセプトの本作。一つ一つ問題点を追っていこう。
元がエロゲなのでまずはADVパートからいくとするが、まず美少女ゲーとしては売りのはずの絵、
背景の遠近法が狂っていて消失点が見当たらない=歪んでいるといったのはまだ小物のうちで
いろんな絵師が各キャラを担当しており、しかも各大名家を集中して担当しているわけではないので
ある場面などPS版桃太郎伝説に出てきそうな絵と普通の美少女ゲーの絵と某永遠がありそうなエロゲ風の絵が並び
一つ一つ見ればやれ中学生並みだ何だといわれることはないのに、一まとまりとしてのの違和感が凄まじい。
シナリオも移植元がエロゲなのでエロシーンは抜かして移植され、その結果元から褒められたものでないのが
つながりもよく分からない薄っぺらい按配に仕上がっているが、
何故かそのエロシーンで使ったはずのボイスは消さずに残しておいていることが判明している。
だがSLGパートはこれらがどうでもよくなるくらい酷く、まず第一にガンガン人が消えていく。
これは一つの城に居れる人数が決まっているため、戦闘で敗北し撤退する際、撤退先に入れずやむなく死と
辛うじて理解できる理由のものもあるが、それ以上に死んだはずの武将の一門のキャラが何故か沸き、
そうなるとそのいないはずのキャラが沸いた城が、キャラを吸い込み脱出不能にする
通称ブラックホールバグの影響が大きい。なおこのバグには安定した回避法はない。
その他さまざまな理由で発生する武将操作不能バグも完備し、ヒロイン格である大名すら平然と飲み込まれる。
以上のように武将が再起不能になることはザラであり、イベントをまともに起こすにも一苦労。
何故か敵からお手紙が届くのは日常茶飯事、死んだはずの武将がイベントに登場することもあり
ADVとSLGを合わせることの難しさを教えてくれる。
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それだけではない。徴兵すれば民心が離れるのは戦国SLGの常だが、変数の管理がお粗末なため
一定の石高のときに徴兵すると、民心が一気に激減する徴兵バグや
システムのフローチャートがお粗末なため発生すると見られる遠隔地の城攻め現象(仕様)など取り揃え、
その上CPUはこれらバグの影響を受けないらしく、平然と攻め入ってくる。
これに対し本スレのプレイヤーもさるもの、
資金がマイナスになるといきなり65536に激増する資金バグや、鉄砲が史実を遥かに上回って強く、
さらに何故か兵数<鉄砲配備数にすると超強化されることを利用した鉄砲バグなどを駆使し
バグとCPUの連合軍をバグでもって制するというすさまじい情景が展開されている。
しかし回避不能のバグにはバグでは対応できないため、「何か一行動する度に」セーブが必要となり
しかもそれではセーブ枠が足りないという。まぁ両手の指に余る数しかないのだが。
要するにCPUとバグに対しバグと人力TASで対抗するゲームであり、前述のあるプレイ日記からは
「バグで出来ていると言っても過言ではありません」
「バグが多すぎてプレイそのものがあるべき姿とは違います」
と、この姿を簡潔明瞭に描写する言葉を頂ける。
この有様では変わるはずのところで絵が変わらなかったり、変わらないはずのところで変わらなかったり、
台詞が文字化けしていたり、一揆がやたら強い上にどこでも発生したり、
登場するハズのキャラがフラグ管理ミスで出てこなかったり、新キャラなのにイベントボイスがなかったり、
操作性がもっさりしていたり、そんな程度は些細なことに見えてくる。
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本年は手抜きに次ぐ手抜き、そしてそれによって生まれたクソゲーが、
家庭用のみならず携帯機にも、しかもこれだけの数が沸く結果となった。
本年度ノミネートされた全てのADV(と「天の覇王」)は明らかに作りこみが足りずノミネートされるハメにあい、
戦国天下統一は作りこみのなさが化石並みのグラと史上最低のユーザーインターフェイスを生み、
そして戦国姫は、誰も彼もが好き勝手に仕事をし、為すべきことを何一つしなかった結果
ありとあらゆるものが組みさって地獄の不協和音を奏でる拷問装置を生み出した。
どれもこれもテストプレイすれば一目瞭然の糞さであり、デバッグ費用をケチったことが伺える。
だがその中でも白眉…というより眉を顰めたくなるのは、システムソフトアルファー勢であり
最後の決着はこの二者で付けることとなった。
両方ともどこを切っても半端なレベルではないクソだったのは確かだが、
スレ住民に「どういうことなの…」と思わず口走らせた顔面天下統一のインパクトに対して
一応は美少女ゲーの体裁をとっているため不利かと思われた「戦国姫」も、
表情差分のずれやグラと台詞の不一致などで美少女ゲーの部分は釣りであったと判明したことや
壊れバランスやイライラを発生させることに余念のないインターフェイスながらも
むしろその壊れバランスゆえに理屈は分からないがとりあえずプレイは続行できる「戦国天下統一」に対し
バグが多すぎてプレイの限度にバグ回避の枷が付く「戦国姫」に劣後するのは已むを得なかった。
「戦国天下統一」が、ロードと同じ顔と低レベル画像とクソバランスが延々続く無間地獄なら、
こちらは美少女の絵に釣られやってきたプレイヤー多種多様で理不尽なバグでもって
作業化することすら許されない苦行を強いる。その姿はまるでダンテの「神曲」の地獄のようである。
作中、ダンテは偽善者が地獄で見栄えばかりは黄金に見える鉛の衣を着、延々と歩かされる姿を見るが
願わくばシステムソフトアルファーの中の人もそうなって欲しい。
幸いにしてダンテは他にもさまざまな責め苦をさまざまな罪人に与える地獄の姿を描写しているので、
これに限らずさまざまな苦しみを味わい、悔い改めてほしい。いや悔い改めなくてもいいから二度とゲームを作らないで欲しい。
が、不幸なお知らせとして、2010年にも同社は据置機・携帯機ともに複数のゲームを発売予定である。
そもそも戦国姫も続編が出るが、解析により続編に追加予定のはずのシステムに関連するデータが
戦国姫に入っていることが明らかになっており、本作を指して有償デバッグと呼ぶ人も多い。
それらを購入せんとするハンター諸賢にはこの言葉を捧げたい。「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」
そして本作の如きクソゲーを生産したシステムソフトアルファーにも、同じく地獄篇から一言送りたい。
「ああ、システムソフトアルファーよ、一切の美風をはなれ一切の邪悪を満たす人々よ、
汝等の世より散りうせざるは何故ぞ!」