[[2013年 次点]]

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*概要 [#rd1a1283]
|名称|ゲームセンターCX3丁目の有野|~|
|ジャンル|ゲームinゲーム|~|
|対応機種|ニンテンドー3DS|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|グレフ|~|
|発売日|2014年3月20日|~|
|価格|通常版:5480円(税込)(ダウンロード版も同価格)、限定版:7480円(税込)|~|
|対象年齢|CERO:A(全年齢対象)|~|

-[[公式サイト>http://gamecenter.bngames.net/]]

*関連動画 [#d2165e0a]
PV
#youtube(q6S4dpIv0Qg)
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*選評案その1 [#hc6dcf52]
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「ゲームセンターCX 3丁目の有野 選評」 

ゲームセンターCX 
有野課長がレトロゲームに挑戦、クリエイターへのインタビュー、ゲーセンや駄菓子屋訪問を行う、10周年を迎えたCSの人気番組である。 
10周年と言う訳で武道館公演、映画化などをやっており、これまでにも『有野の挑戦状』を二作出しており、そこそこヒットしていた。 

だが、本作は10周年に間に合わせたかったのか、別ゲーの開発をしていたインディーズゼロではなく、グレフ開発のゲームとなっている。 
また、番組内で有野課長の無茶苦茶な要望を社員にぶつけるコーナーもなく、一方的にソフトを見せられるコーナーが続き、遂には1月から3月に延期。 
そして、発売ごろには番組はシーズンの切り替わりと、GCCXファンは不安を隠せなかった。 

そして蓋を開けてみれば、「バグもないし、遊べるのだが、とにかく致命的」と言うべき、有野課長も挑戦したこと無い様なとんでもないゲームとなっていた。 

まずは、操作性について解説したい。 
「ボタン操作とタッチ操作がごちゃごちゃ」。見ていてやる気を削がれる字面だ。 
どういう事かと言えば、「3DS起動→タイトル画面、スタートボタンを押す(ボタン)→メニューを選ぶ(タッチ)→アドベンチャーパートの会話(ボタン)→マップ移動(タッチ)→自宅に入ってメニューやゲームを選択(タッチ)→ゲームをプレイ(ボタン)」 
UIが悪いだけでゲームはクソゲーと言うが、タッチでもボタンでもOK、もしくはどちらかだけと言うゲームが多い中、ゲームとメニューの操作が入り混じってこうなったUIは非常に珍しい部類だろう。 

本作は町を散策し、情報を集めるアドベンチャーパートと、家やゲーセンでノルマに挑戦するゲームパートに分かれている。 
先にアドベンチャーパートを説明するが、たった一つの要素が命取りとなってしまっている。 
それは、「どこでイベントが起きるのかをマークで説明してくれる」。 
実に分かりやすくていい機能だ。だが、裏を返せばただの作業になりかねない。 
そして本作では、案の定その問題点を打破出来ておらず、本当に作業なのである。 
何かイベントが起きれば、適当にマークの付いた所をタッチ+ボタン連打で終了。以上。 
この様な作業は序盤にしか存在せず、後半になるとこんなイベントすら起きはしない。あっても無くても嬉しくはないが。 

ゲームパートでは、8本のオリジナルゲームのノルマをクリアしていき、有野少年を未来に返すのが目的だ。 
下記に紹介する本作のゲーム達は、飛び抜けてクソではないものの、悪い要素が詰まっている。 

ノルマがあるゲーム 
ルーミーと魔法のホウキ→『マリオブラザーズ』が元ネタ。 
・敵の攻撃が激しい割には、倒すのにも「下からブロックを叩く→ブロックが抜ける→抜けたブロックに敵が落ちる→B押しながら上を通過する」と、やや手間がかかる。 
・硬いブロック、滑るブロック、ベルトコンベア、操作反転、飛び道具など、ルーミーの性能がマリオに毛が生えた程度の割には、いやらしい仕掛け・敵も多い。 
・アイテムはランダムで一つ入手できるが、「時止め」「スロー」「全ブロック破壊」はどれもクセが強く、よく出る「スコア」は論外。アテになるのは低確率で出る「無敵」。 

ウィングヒーロー→『スカイキッド』が元ネタ。横シュー。 
・筆者は元ネタを未プレイだが、「本作のみが有する特筆事項は?」と問われたら、誰もが答えられないだろう。 
一応、宙返りと斜め撃ちが不可能になっており、代わりに墜落中にマイクに息を吹きかけると復帰してくれる。が、この「ウイングヒーロー」はマイク機能なんて無いと思われるアーケードゲームだ。 
「元ネタの要素を大きく削って、それをもっと微妙にした時代錯誤な要素をちょっとだけ追加した」と言えば分かりやすいか。 
・家庭用を入手しないと、ゲーセンにあるゲームはフリーモードや自宅で遊べない。特にこれと『BREAKSHOOT』は入手条件が分からない。ってか筆者もまだ持ってない。 

ソーマの秘宝→『ドルアーガ』が元ネタ。 
・主人公の性能が低い割には、強化アイテム(遠距離攻撃、索敵範囲増加、スピードアップなど)を一個しか持てない。 
・Bボタンを押すとハイドモードになり、『無敵状態+かくし通路が見える+面クリアに必須な、見えない宝箱が見える』と、まとめ過ぎな割には時間制限が厳しく、使いたい時に使えない。

 
ザウルスボーイ→『高橋名人』風『ロックマン』みたいなの。 
・着ぐるみ(特殊武器)装備中は攻撃を受けても、着ぐるみを脱ぐだけで死にはしない。だが、食らった後の無敵時間が極端に少ない。結局死ぬ。 
・後半ステージが鬼畜なのに、コンティニューはそのステージの頭から(1-3で死→1-1からスタイル)。 
・ゲーム開始時に、飛ばせない上にちょっと長い演出が入る。『挑戦状』の『課長の名探偵』では、ディスクシステムっぽい動きを飛ばせたと言うのに……。 
・岐部くん曰く、「性能の悪いマシンで制作した」との事だが、どのゲームもレゲーなのに音質・画質良好で、これの性能が悪いかはよく分からない。 
・これと、『ブラドラ』は外注の作品。 

BREAK SHOOT→元ネタは『フライングパワーディスク』。対戦ブロック崩し+PONGみたいな。 
・アーケードモードでは、こちらが不利になる様な前哨戦をやらされる。 
どういう事かと言えば、前哨戦でこちらは点数を取れないのに、相手は点数を取れる。しかも点先取制のスポーツゲーで。 
・ディフェンダー(壁)を容易に復活出来るせいで、試合がダレやすい。 

ゾリアテス→縦版『グラディウス』みたいな感じ。製作者自信アリらしい。 
・特定の装備だと破壊できない物体があったり、それを抜きでも硬い破壊可能物がやたら多く、爽快感が薄い。 
・シューティングだからかどうかは不明だが、コンティニューすると真ED見れません。 
開発者曰く、「少し変化球的スパイス」もあるらしいが、↑みたいなのは嫌がらせの域ではないだろうか。 

ブラッドオブドラゴン→FFっぽいRPG 
・「ルーラ」も「リレミト」もないのに、大陸を駆け巡るお使いが多い。 
・それでいて最初の街付近が、【港町←→迷いの森←→最初の村←→登山道←→城】と、どうもダンジョンを通らせたい構造。ダンジョンの構造も単純ではない。 
・どういう訳か、テキストが読みづらい。 
・中盤頃から雑魚は非常に堅くなり、火力もやたら高い。新しい地に着いたら雑魚に太刀打ちできないレベル。 
・非常に攻撃が外れやすく、魔法すらよく外れる。三体に魔法を撃ったら一体にしか当たらないなんて事も。 
・SFCっぽいゲーム機の、1991年発売ソフトの割に、三、四頭身の歩行グラで、殆どの名ありキャラには会話グラまで用意されている。 

ネジマキングダム→元ネタは『神トラ』 
・HPゲージはあるものの主人公はもろく、死体がフィールドに残るシステム。そのせいか機数を稼ぎやすく、ゴリ押しが効く。 
また、死体が残るのはいいアイデアだが、ゲームデザインがそれを活かしきれていない。 
・謎解き要素が非常に薄い。 
・ノルマ挑戦中にADに助けて貰うと、詰んでしまう可能性アリ(後述)。 

ノルマ関係なしのゲーム 
DEFLINE→『BREAKSHOOT』のマイチェン版。PONGっぽくなっただけで大して変わらない。 
登郎→カセットビジョンとかATARIにありそうなゲーム。 
ジャンケンダーEX→ジャンケンマン。よく見ると、手首のLEDが細かくズレている。呆れるレベル。 
スーパールーラー→ただのルーレット 
チーズトンネル・ソードマン→ゲーム&ウォッチ風の液晶ゲーム。 
10円ゲーム(3種類)→説明不要。弾いてあそぶ。 
コロコロゲーム(4種類)→本体を傾けてあそぶ。 
何故か、特定のゲーム挑戦中に、『ジャンケンダー』『スーパールーラー』でコインを稼がないと貰えない妙な仕様。 

と、ほぼ全てにゲームデザインに微妙な点が存在する。 
だが別に、ややクソ要素が強い程度なら我慢できるものだろう。 
しかし、この五つの問題点がゲームのつまらなさを冗長させている。 

1.「ゲーム周りのUIがひどい」 
本作では『ゲーム内ゲームのリセット』『攻略法確認』『ノルマ確認』その全てが、ゲーム内ゲームプレイ中に不可能である。『挑戦状』では標準装備でした。 
どういう事かと言えば、街を歩いて入手した情報をプレイ中に見たくても、ノルマの内容を確認したくても、いちいち「(ゲームを)おわる」を押してから確認する必要がある。 
『挑戦状』ではリセットや電源OFFが簡単にかかる事について非難が集まっており、今作で改善されたものの、その代わりに失ったものが大きすぎた。 

2.「ゲームにのめりこめない」 
『挑戦状』ではすべてのゲーム内説明書が80年代特有の遊び心に富み、それっぽい事が書いてある。 
また、作中のゲーム雑誌では「スタッフが編集部員に」「裏技記載」「どうでもいい記事」など、それっぽい事が書いてあった。 

だが、本作のゲーム説明は味気ない。説明書はなく、簡素な操作説明で一画面分。ゲーム雑誌は存在すらしない。 
登場人物が増えたのもいいが、その辺をふらついても誰もゲームの話などしてくれない。ゲームの噂で持ちきりなのはアドベンチャーパートの一部だけで、80年代の街の再現にまで至っていない。 
おかげで、レトロゲームの雰囲気再現とは縁がなくなっている。 

3.「友達の家感皆無」 
『挑戦状』では、下画面で口うるさい有野少年と主人公を後ろから眺めながら、「友達」の目線でゲームが出来た。 
だが、本作の視点はテレビ側からであり、ここから気持ち悪いグラの人間二人を見て何を思えと言うのか。 
しかも、有野少年は『電源オン』『ゲームオーバー』の時くらいしか喋らない。喋って存在を思い出すレベル。 
『挑戦状』では、「ありのうるさい!」とスタッフの子供の意見が『2』で反映され、更にヒートアップした有野少年の言動をON/OFFできた。 
一方今作は、「ONにしても全然喋らないし、そもそもOFFにする事もできない」と駄目なところの両取りをしている。 

4.「裏ワザを使わせてください」 
本作では全体的にゲームの難易度が高い割に、裏ワザがあまり存在しない。 
存在する裏ワザで楽に確認できるのは、『初回限定版DVD』での、『ザウルスボーイ』と『登郎』のみである。 
では他の裏ワザはどうやって確認するのかと言うと、『特定のノルマ挑戦中に、ゲームオーバー連発orプレイ時間がかなり進んでいる』。 
これでステージセレクトなどの特殊コマンドが攻略法リストに追加される訳だ。ここまで来ると裏ワザの入手が裏ワザである。 


5.「ノルマ設定が適当」 
『1』のノルマは特殊なプレイを要求され、中辛な難易度。 
『2』はギブアップが出来る様になったが、挑戦もほんの序盤ステージで出来る程に簡単になり過ぎた。 
本作では「一部でギブアップが出来るが、ノルマの設定がひどい」と言った感じ。 

・『ソーマ』では『ステージ30到達』のノルマが存在する。ドラゴンを倒してワープすればいいのだが、狙わないと気付きにくい。 
・『ザウルスボーイ』は、1ステージ3面構成のゲームだが、全てのノルマがステージ1のクリアを要求される。 
ノルマはクリアするたびに、ゲームの電源がOFFになるため、最低でも1-3を四回も突破する必要がある。 
・『ゾリアテス』最後のノルマは、鈴井名人(インディーズゼロの人)との対戦。その内容は、『ステージ2で約140万点以上取る』。 
言うまでも無く、シューティングが下手な人には難しいノルマ。 
ただし、何度も負けると鈴井名人が体調を崩し、「体調を治して再戦」か「体調不良で不戦勝。そして主人公優勝」を選べる。 

他のゲームも大体こんな感じだが、特にイラつくのは上記三つだ。 
一応、面倒なノルマもノルマによっては、ADに頼んで突破する事が出来る。 
ただし、出来るだけ自分でクリアしようと思った自分が、面倒なので頼んだこの二つでの事例を書いておくと…… 
『ブラドラ・レベル13にする』→ADの協力でレベルは13になるが、金は一切入らない。 
『ブラドラ・飛空艇入手』→ADの協力で飛空艇は手に入るが、「頼んだ地点」から「飛空艇入手後」に飛ぶため、一部会話が見れず、中ボスとも戦えない。 
無理だから頼んだ結果、自業自得と言わんばかりに何かしらを失っていく。 
個人的に、後者はルーラやリレミトを習得できるようにしておけば済む問題であり、RPGの根幹であるストーリーを少しでも飛ばせる行為は、ゲームとしてかなり致命傷だと思える。 
また、『ネジマキ』で鍵を持ったままノルマをADに頼んでしまうと、セーブデータが書き換えられる関係上、鍵が消失して詰んでしまう。こんな事、このご時世ではある意味珍しいと思えるほどだ。 
これら五つの問題点が、元から微妙なゲーム達を更につまらなくさせるために頑張ってくれている。 

やりこみ要素も、名言リスト・攻略法リスト収集くらいだが、攻略法リストはゲームオーバーの繰り返しですぐに埋まる。 
問題は名言リストにもあって、番組内の名言を使えるところに押し込んでいる感じだ。 
「ヘビーなCXファン」が脚本を担当したらしいが、出て来る名言はライトなファンでも知ってるのばかり。 
それならまだいいが、ダビスタ回の老人ヘボジョッキー(有「おがわ」をRPGの若い村人役にしていたり、名言もシチュ関係なしに、とりあえず言わせておこうと言う魂胆が見える。 
例えば、周囲の反応にキレてカメラ阿部が吐いた「うるせいよ」が、ただの会話中に使われていたり、「ヒヨコになってんで!」もAD高橋が出れないのに、関係のない適当なところで出している。 
こんなもの、事あるごとにルフィが叫んでいるワンピースの様なもので、どうも原作愛に欠けている。 

『挑戦状』がヒットしたのは、シンプルに良質なレトロゲームを昔の雰囲気の中で遊べるからではないのだろうか。 
それの最新作が、小粒ながらも痛い問題点を抱えまくったゲーム、作業なアドベンチャー、不便なUIや操作性、物足りない当時の再現、喋らない有野、使えない裏ワザ、ひたすらに面倒なノルマ……これらのせいで、無茶苦茶になってしまっている。 
本作の街を巡って情報収集や、AD達の協力などの要素自体は悪くない。だが、それらの作り方を間違えていた。 
番組10周年記念の強引な製作、それに参加できないインディーズゼロ、延期までしたのに、『挑戦状』にとにかく劣っているこれを作ったグレフ……このゲームが生まれたのは、ある意味必然だったのではないだろうか。 
もしも延期されずに発売されていたら、バグも備えて年初の門番となっていた可能性が非常に高く、「遊べるがほとんどクソ」だけで済んでいてある意味幸運だ。 

そして最後に、有野課長の名言を借りてこのゲームの選評を締めくくりたいと思う。 
「俺、これ以上3丁目の有野やったらゲーム嫌いになるよー」 
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