[[2015年 次点]] #contents *概要 [#i73e4a4a] |名称|ラングリッサー リインカーネーション−転生−|~| |ジャンル|戦術シミュレーションRPG|~| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|株式会社エクストリーム(メサイヤゲームス)|~| |開発元|~|~| |発売日|2015年7月23日|~| |価格|限定版:9241円(税抜)通常版:5537円(税抜)|~| |対象年齢|CERO:C(15歳以上対象)|~| -[[公式サイト>http://www.langrisser.jp/index.html]] *関連動画 [#if4e631a] PV #youtube(m0TMgtIdMLY) #youtube(ILyxJ3x05ps) *選評 [#r42fa9f1] **選評案その1 [#n265c318] #aapro{{ ◆ラングリッサーとは? NCSのメサイヤが製作したSRPGのゲームシリーズ。 うるし原智志の手がける魅力的なキャラクターと、「3すくみ」の概念を本格的に取り入れた戦闘システムが有名。 ナンバリングシリーズの『5』で一応の完結をしたものの、その後も新スタッフによって次回作が作られたり ソシャゲ化したりしたが、どれも高い評価を得られたとは言えなかった。 ◆システム説明(旧作から引き継いでるもの) ◇ユニットについて 旧来同様、1人の指揮官ユニットと複数人の傭兵ユニットによって1部隊が成り立つ。 傭兵はシナリオごとに雇う使い捨てのユニットで、雇える傭兵の種類や上限数は指揮官のクラスによって変動する。 指揮官が死亡すると傭兵も全滅する。 なお死亡してもステータスやアイテムが減るわけでなく次のシナリオでも使用可能だが、 ユニットに撤退数が付いてしまう。撤退数に関しては後述。 指揮官・傭兵共にHPの上限は10で、傭兵は自身のHP以上のダメージを敵に与えることはできない。 指揮官のみ特殊で、「自分のHP÷2+5」がダメージ上限となる。(小数点切り捨て。今作でも確認済み) 減少したHPを回復するには、指揮官の「スキル」で回復魔法を使うか(回復数値は魔法の種類によりけり)、 指揮官の場合は「治療」コマンドを使えばHPとMPを3回復できる。 傭兵の場合は「スキル」も「治療」も使えず、指揮官に隣接することでターン開始時にHPを3回復できる。 指揮官にはそれぞれ「指揮範囲」が設定されており、範囲内の傭兵は指揮効果を受けてステータスが強化される。 指揮範囲の広さや指揮効果の内容は、指揮官のクラスや所持アイテムによって変動する。 指揮官・傭兵共に「属性」が設けられており、それによってユニット間の強弱関係が生まれている。 歩兵は槍兵に強く、槍兵は騎兵に強く、騎兵は歩兵に強い…といった感じ。 後は弓兵や銃兵は飛兵に対して特攻を持ち、僧侶は魔物系ユニットに対して特攻を持っている。 指揮官にはレベルが設定されており(厳密に言えば傭兵にもレベルの概念があるが後述)、 敵を倒したり魔法を使ったりすると経験値を取得でき、レベルが10になるとその場でクラスチェンジ。 2つのクラスチェンジ先のクラスを提示されるので、どちらか1つを選ぶ。 (ユニットによっては隠しクラスも存在し、その場合は1択になる) クラスによって自身の属性や使える魔法、雇える傭兵が全く違ってくるため、クラスチェンジは慎重に判断すべきなのだが… 指揮官は武器・防具・アクセサリを装備可能。 武器や防具は指揮官本人のステータスを上昇する効果があり、 アクセサリは指揮官を強化する他にも、物によっては指揮範囲や傭兵にも効果を及ぼすことがある。 (ちなみに旧作では武器・防具&アクサセリという2枠だけで、防具とアクセサリが独立枠になったのは『3』を除くと今作が初めて) ◇撤退数とエンディングについて エンディングには各ユニットの後日談が記されるが、敵の撃破数と撤退数によって内容が変動する。 基本的に撃破数が少ないと内容がショボくなり、撤退数が1でもあると内容がバッドエンド臭くなる。 ・例:高撃破数&撤退無…歴戦の英雄と認められ、その名を歴史に刻む 高撃破数&撤退有…歴戦の英雄と認められるも、その後大きな戦いで命を落とす 少撃破数&撤退無…故郷に戻り、慎ましくも穏やかな日々を過ごす 少撃破数&撤退無…故郷に戻るも、その後病気にかかって死亡する 御覧のように、より理想的な後日談にしたければ敵を多く撃破して1度も撤退しないのがベスト。 最低でも撤退数は0に留めておいた方が後味は悪くなくなる。 ◆システム説明(今作のみの特徴) 戦闘時に近くに味方指揮官がいると、アシスト効果を受けてステータスが一時的に強化される。 アシストを受けられる範囲は不明。わりと距離が離れててもアシストできたりする。 出撃準備画面から会話コマンドを選択すると、軍内のユニット3人と会話ができる。(それぞれ1回ずつ) 会話の度に3択の選択肢が出され、正しいものを選べば親密度が上昇。 親密度が上がれば上がるほどアシスト効果が高くなる模様。 特定のシナリオまで向かうと告白タイムとなり、好きなユニットに告白ができる。 親密度が高ければ成功(他にも数値が関係してるらしいが不明)し、主人公とお相手の指揮官が特別なスキルを習得するほか、 エンティングにも多少影響がある様子。 「消費アイテム」なるものが登場。出撃準備画面で使用ができる。ショップでは購入できない。 ◆問題点のまとめ ◇グラフィックについて 全てにおいて低クオリティ。 マップ上の2Dユニットアイコンは、元々のデザインを無理矢理縮小したような感じで非常に見栄えが悪い。 対照的にフィールドは3Dグラで表現されている為、2Dユニットアイコンとの違和感がバリバリ。3Dグラ自体もチープ。 明らかに壁だったり崖だったり、クレバスのような割れ目だったりする場所もヒョイヒョイ移動できたりする。 SLG特有の「特定のユニットのみ通行可能」な地形もある為、非常に分かり辛い。 また、今作では敵の移動範囲は数値でしか確認できないため、行動範囲を目視して「この敵ユニットは地形を通過してくるぞ!」みたいな判断ができない。 (ちなみに旧作までは敵の行動範囲はマップ上でも確認できた。) ◇UIについて(出撃準備画面) マップを見て敵配置を確認することができない。全体マップであれば敵配置だけを確認することができるが、 何故か自軍ユニットも敵軍も同じ色のアイコンで表示されている為分かり辛い。 また、敵ユニットの種類を判別することはできない。 (ちなみに旧作ではPS2版『3』以外、敵配置の確認が可能) 傭兵は「傭兵ギルド」のコマンドから雇うのだが、 確認できるのは傭兵の名前だけで、属性やステータスを確認することはできない。 ちなみに「会話」というコマンドも選べるが、 「ユニットには相性があるが、お前との相性は最悪」とかマジでどうでもいいどころか腹の立つ台詞が聞ける。誰得。 (ちなみに旧作では傭兵のステータスや属性は全て確認可能) 「ショップ」コマンドでは武器や防具を購入して装備することができるのだが、 実際に買うまで武器や防具の性能を知ることができない。(一応価格が高いほど優秀な性能というルールはあるが) こちらでも傭兵ギルド同様「会話」コマンドがあるのだが、 「武器や防具は装備しないと意味がないよ」とか相変わらずどうでもいい情報が聞ける。誰得。 (ちなみに旧作では武器を買う前に性能を知ることが可能) ◇UIについて(SLGパート) 常に動きがカクカクしており、ゲームスピードは妙に遅い。 それでいてマップは無駄に広大。端っこだけで戦ってシナリオクリアになることもあれば、 わざわざ広いマップの端から端まで移動させられるようなシナリオもある。 ユニットの移動力も大して高くない(初期は4〜5マスしか動けない)のでイライラは必至。 どの傭兵が誰の指揮下に就いているのか分かり辛い。 一応傭兵にカーソルを合わせれば指揮官の指揮範囲が表示されるので区別がつかないことはないが、 時代的なことを考えれば解決法としてあまりにお粗末。 (ちなみに旧作では傭兵にカーソルを合わせると、部隊のユニットのみアイコンが付くなどの工夫がされていた) 敵ユニットを倒すと経験値を入手するのだが、経験値の清算は専用画面に切り替わって行う。 その時経験値ゲージが溜まって経験値を得たことを確認できるのだが、そのゲージが溜まる速度が遅い。 最初のうちは許容できるが、クラスチェンジを重ねるとレベルアップに必要に経験値数も多くなり、 ゲージの増え方が遅くなる。それなのにスキップもできない。 (旧作では敵を倒しても専用画面には切り替わらず、経験値ゲージの溜まる速度はほぼ一瞬だった) レベル10になればクラスチェンジできることは先述したが、 2択ある選択肢を1度決定してしまうとそのクラスに強制的にクラスチェンジしてしまう。 2択の選択画面で確認できるのはステータスの上がり幅だけ。雇える傭兵と習得するスキルは決定後に確認することになる。 (旧作ではクラスチェンジ前に全ての項目が確認できた) ◇ターンの進行 旧作の『4』と『5』では指揮官ごとに「判断力」という数値が設けられ、数値の高いユニットから順に行動を開始できた。 この場合、「ターン数」はあくまでも時間の概念として成り立っていて、ユニットによっては1ターンに複数回行動できたりする。 判断力の数値は基本的に移動力の低い歩兵が高く、逆に移動力の高い騎兵や飛兵は少ない。後者に至っては3ターンに2回ぐらいの行動頻度しかなかったりする。 また、順番が回ってきた際に何も行動しなかったりすると次に順番が回ってくるのが早くなる他、移動力が増えるなどのボーナスも得られた。 今作でも判断力(名前は出てこないが便宜上そう呼称する)によって行動順が決まるのだが、 1ターンに全員1回ずつ必ず行動するようになっているので、「行動をパスして次の順番を早める」なんてことはできない。当然移動力ボーナスもない。 また判断力はクラスによって固定され、数値を確認することは不可能。(行動順は確認できる) そのため「順番が回ってきたけどHPが減ってるから、今はパスして回復してもらってから行動する」なんて戦法がとれない。 むしろ行動が完全固定のおかげでスキルの使用が間に合わず進軍のテンポが遅くなることがある。 要するに今作のターン制は、単に戦略の幅を狭めていることに他ならない。 ローテーションのテンポも遅く、いちいち「○○部隊の行動です」と表示されるので鬱陶しい。 (旧作ではそういった表示を一部省略できる機能がついていた) ◇途中セーブの有無に関して 旧作では途中セーブの存在が非常に大きかった。 ラングでは動かすユニットの数が多いのでリセットの度に一々再現するのが面倒…というのももちろんあるが、 1番重要なのがユニットの育成や戦闘面に大きく関わってくるということ。 ラングの戦闘というのはランダム性が高く、 セーブ&ロードを繰り返して同じ敵と同じステータスで戦っても戦闘結果が必ずしも同じになるとは限らない。(よほどステータスに差がある場合は別) この仕様を利用し、納得のいく戦闘結果になるまでロードを繰り返すのは旧作をプレイする上でよく見る光景。 ユニットを育成する際も、まずは強いユニットで敵ユニットを攻撃し、倒すことなく瀕死の状態になるまでロードを繰り返し、 育てたいユニットでトドメを刺す…といった光景が見られるのも旧作ではよくある話。 面倒だと思うかもしれないが、慣れてくるとこういったチマチマした稼ぎによる育成が楽しくなってくる。 つまり旧作においては途中セーブの存在がプレイングに大きなウェイトを占めていたのだが… 今作では途中セーブができない。つまり旧作でのプレイスタイルは根底から崩壊する。 弱小ユニットの育成も、戦闘結果の吟味も全てぶっつけ本番でやらざるを得なくなる。 もっとも後述する戦闘面のバランスを鑑みるに、最初から育成環境が整っているかと聞かれると微妙。 ◇戦闘について 指揮官を倒すと取り巻きの傭兵が全滅してしまうため、 コンスタントに経験値を稼ぐには「傭兵を先に全滅させて、指揮官は最後に倒す」ことがセオリーとなる。 当然弱いユニットを前線に出せばすぐにやられてしまう為、まずは強いユニットを前線に出して敵をおびき寄せ、 弱いユニットでトドメを刺す…というのがユニットを育てる上での基本なのは先述した通り。 なのだが、今作での敵指揮官は攻撃範囲に入ると相手が誰だろうがほぼ例外なく突っ込んできて、(玉座に座ってるボスも突っ込んでくる) 大抵の場合返り討ちにあって自滅する。当然敵指揮官の傭兵も全滅する。 こうなると弱いユニットが育たないだけでなく、前線のユニットばかり経験値が集中してますます能力差が広がってしまう。 前線のユニットが強くなれば当然敵を「倒す」のではなくギリギリの状態まで「削る」ことが難しくなるので猶更。 加えて先述したように途中セーブ機能もないので、シナリオが進めば進むほどユニット間の能力差は酷くなる。 よって今作における弱小ユニットの育成環境は全く整えられていないと言っていい。 (ちなみに旧作においては、大きく戦力が離れている場合敵指揮官は直接攻撃をしてこなかった) あと旧作では敵指揮官のHPが7以下になると絶対に治療もしくは回復魔法を使ってHPの回復に勤しんでいたのだが、 今作だと構わず突っ込んでくることがある。(回復する時もあるっちゃある) 序盤こそ意識すべき3すくみ要素だが、 先述の通り前線ユニットは敵指揮官の特攻の洗礼を浴びてムキムキ育つ為、シナリオが進むにつれて3すくみは意識することがなくなる。 というか序盤だと入りたてのユニットに対して3すくみ有利な敵が突っ込んでくることがあったが、 普通にこちらは無傷、相手は10ダメージ喰らって例の如く自滅したので3すくみ補正そのものが薄いと思われる。 それよりもレベルアップやクラスチェンジ、装備品によるステータス強化の方が影響が大きい。 加入タイミングの都合上、序盤から自軍にいる自警団メンバーが前線に出やすく、当然敵の洗礼も受けてバンバン強化される。 主人公のアレス、飛兵のトワ、騎兵のアンセルは前線で戦いやすく、最初から最後まで一軍で活躍することになる。 魔術師のマイヤと僧侶のエルマは前線向きではない為、後半からはお荷物になりやすい。(それでもそこそこ強いが) その他のメンバーは入って少しだけの期間は活躍できるが、進めれば進めるほど先述した一軍メンバーとの戦力差が酷くなり最終的に出番がなくなる。 結局自軍ユニットは最終的に「極端に強化された一軍メンバー」と「比較にならないくらいザコ二軍メンバー」に二部される。 敵はシナリオを進めるごとにコンスタントに強化されていくため、必然的に一軍メンバーを使わざるを得なくなる。 しかしシナリオにはそれぞれ配置ユニット数(大体8)が設けられており、最大数いっぱいまでユニットを配置せざるを得ない。 そのためどうしても二軍メンバーを配置せざるを得なくなり、後半では二軍メンバーは初期配置から一歩も動かないこともザラ。 まあ不意の増援とかはないため、放置できるだけマシなのだが… しかしこのゲームには(少なくとも光輝ルートには)特定ユニットの強制出撃シナリオが存在し、 そのシナリオでは出撃はもちろん、配置場所まで固定されてしまう。 あるシナリオでは前線から遥か離れた場所に二軍ユニットが敵軍に囲まれた状態でスタートするのだが、 いくらその二軍ユニットを真っ直ぐ逃がそうにも敵ユニットに追いつかれて一撃で死ぬことしかできなかった。 先述したように、このゲームでの死亡=撤退数増加はバッドエンドに直結するため、 「全ユニットを撤退させずにクリアする」とか目標立ててるプレイヤーにとっては迷惑この上ない。 これらは全て難易度ノーマルでの経験だが、 公式が狙っていた「新規層」は恐らく難易度ノーマルで初回プレイすると思うので、作りこみが甘くていい理由にはならない。 ◇スキル(魔法)について ラングにおける魔法というのは「離れた敵に固定ダメージを与える」というようなもの。 「HPが10固定」&「現在のHPが攻撃力に直結する」というシステムである以上、ラングではたった1のダメージも無視できない。 HP9の状態ではどう足掻いてもHP10の敵を倒すことができないからだ。 その為いくら防御力が高かろうと強制的にダメージを与えてくる魔法は非常に厄介かつ強力な存在。 (一応、魔法攻撃を無効化するユニットもわずかに存在する) また、指揮官が装備する武器の中には魔法の効果範囲や威力を上げる杖やアクセサリが存在するため、 魔導士系指揮官は基本的に杖やアクセサリを装備して遠距離から魔法をぶちこんでいくのが旧作においての戦法。 今作でも魔法は固定ダメージ性で厄介な存在であることに変わりはないが、 攻撃範囲が異様に狭い(周囲4〜5マス程度)なので、近づかなければまず魔法を受けることはない。 飛兵のように移動力のあるユニットであれば魔法の攻撃範囲外から間合いを詰めて攻撃を仕掛けることも可能。 そもそも先述した通り、今作では前線ユニットがガチガチに強化されやすい環境にあるため、 わざわざ魔法を使わずとも素殴りすれば10ダメージ与えられるのでぶっちゃけいらない。 先述したように魔導士系&僧侶系ユニットは前線に立ち辛く、飛兵は前線に立ちやすいので猶更。 あと自分が見た限りでは、「杖系武器」の性能は魔法ダメージを上げるだけで範囲アップ効果はなかった。 結論として、こちらが使う分には魔法は無用の長物。「レベルを上げて物理で殴る」のが1番有効な戦法。 あと攻撃魔法以外にも能力アップ系魔法とか周囲の敵を攻撃するスキルとかも存在するが、 前者は前線ユニットがバリバリに強化されてるので使用機会ほぼなし。(移動力アップ系は使える) 攻撃系スキルは使わずとも敵が勝手に突っ込んできて自爆してくれるので、やはり使用機会がない。 ◇ストーリーについて ゲーム開始時の前日談みたなものを大まかに説明すると、 「魔剣アルハザードを所持する帝国が、とある街にある聖剣ラングリッサーを求めて軍事介入。 光輝の勢力はラングリッサーや街に潜む同士を守る為に出陣。よく分からないけど闇の勢力も出陣。 で、帝国の攻撃を受けて逃げ延びてきた主人公のアレスが教会にあったラングリッサーをたまたま手に取ったら よく分からないけど使い手に選ばれたので、成り行きで帝国軍と戦うことに。」 …といった感じ。大体合ってると思うが間違ってたらゴメン。 この後は光輝の勢力としばらく行動を共にするが、ある地点で別れるかどうか選択肢が出てきて物語が分岐していく。 進行は非常に淡々としており、全体的に展開の起伏がないためテンションは常に低空飛行。 盛り上がるようなシーンも、悲しみに耽るようなシーンも特にない。延々と味のないガムを噛み続けてる感じ。 また基本的に主人公視点での紙芝居の会話しか見れないため、「異なる勢力が織りなす群像劇」とか期待してたら肩すかしに遭う。 そのため他勢力のキャラクターたちの描写は非常に薄い。 その割に連続したシナリオで登場するも、だいたい「ここは通さん!」→「くっ、退却する!」みたいなのを何度も何度も繰り返されるので、 正直言って登場されるたびにウンザリしてくる。例によって前線ユニットで戦えば無傷でワンパンで倒せるし。 なのでRPGでのお約束である「強敵と戦うワクワク感」というものも薄い。 そして思わせぶりに退却したキャラクターは以降のシナリオで登場しなかったりする。エンディングでもお咎めなし。 かといって自軍キャラクターの描写が濃いかと言われるとそんなことはなく、 シナリオ内でやることをさっさと終えたらすぐに次のシナリオに移る為、キャラ同士の絡みといったものも非常に少ない。 仲間と絡みたければ先述した「会話コマンド」でコミュニケーションをとることになるが、 シナリオ毎に3人しか会話できない他、親密度絡みのイベントにも関わってくるので根本的な解決策とは言えない。 そんな目的だけを粛々とこなすだけのシナリオなので、常に説明不足が付きまとう。 「何故アレスはラングリッサーを使えるのか?」「妹のリコリスは何故闇の勢力にいるのか?」 「何故世界は破滅の危機を迎えているのか?」「カルザス王家滅亡にまつわる裏話とは?」 光輝ルートだけでもこんな伏線らしきものが登場するが、全部投げっぱなしで終わる。 エンディングも「世界が破滅の危機を迎えたけど、アレスを中心にみんなで頑張ったら何とかなった」という投げっぱなしっぷり。 そもそも「聖剣ラングリッサーとは一体何なのか?」という新規層に向けての説明も特にない。 というか旧作の設定から鑑みると、制作スタッフが解釈を間違えてるor無視してると思しき矛盾点も多く目立つ。 まあその辺は指摘してもキリがないので割愛。 ◇BGM・ボイスについて 一応、岩垂氏の手がけるBGMはそれなりに高評価。 ただし殆どが旧作のBGMのアレンジで、数自体も多くないのでエンディングまで何度も同じ曲を聴くはめになる。 キャラボイスに関しては、昨今のゲームらしく豪華声優陣を集めているものの、 「ああ」「いくぞ!」などのパートボイス制なので、ファンの方に勧められるかと聞かれたら凄まじく微妙。 一応、告白シーンやエンディング後の恋人との絡みシーンとかではフルボイスで喋ってくれる。短いけど。 (ちなみに旧作では一部のみのフルボイス。『4』と『5』では殆どの会話文をフルボイスで読み上げてくれた) あと非常に主観的な意見だが、戦闘アニメ時にもボイスが流れるようになっているのだが、 知っての通りただでさえお粗末なアニメなので、ボイスがあると余計に貧相に見える。 ついでに傭兵の掛け声であろう「ウオーオオー」というボイスが物凄くシュール。(複数人の部隊でも明らかに1人だけの声) ◇バグ・不具合について 見つけた限りで何れもゲーム進行に支障をきたすようなものではないが、 ・アイテムをショップで売却していると、アイテムの種類を表すアイコンがたまに変わる ・戦闘アニメオフ時にはそれぞれのユニットアイコンに与えたダメージの数値が浮かぶようになるのだが、 たまに10ダメージ表記が0ダメージ評表記になったりする。(ダメージ自体はきちんと10ダメージ与えてる) …というようなものが見つかった。 ◇その他細かい点など ・ステータス画面でのキャラグラは常に口半開き。アホっぽい。 ・味方ユニットがHP0になって撤退する時は、何も言わずに無言で爆発する。 (旧作では「すまん、引かせてもらう」などのコメントを残して撤退してた) ・マップ上でカーソルを高速移動するときは、下画面の縮尺マップをなぞる必要がある。 しかし途中でユニットにカーソルが合うとその場で止まってしまう。ウザいことこの上ない。 ・シナリオセレクト機能がないので各ルートを遊ぶには別のセーブデータからやり直す必要がある。 ・隠しショップもないっぽい。 ・出撃準備画面で「消費アイテム」を使うことができるが、 光輝ルートを普通に進んだだけでは該当のアイテムを入手することはなかった。 ・会話コマンドで親密度を上げると「知り合い」→「意識しあってる」→「恋仲の関係」といった感じに関係が深まるのだが、 なぜか複数人と「恋仲の関係」になれる。同性同士でも「恋仲の関係」になれる。 ・一部のシナリオには戦う力を持たない民間人ユニットが登場する。 が、別に防衛任務とかはなくただ逃げ惑うだけ。敵も攻撃してこない。 マップが広いので進軍の邪魔にはならないが、「○○の部隊の行動です」の表示の対象なのでテンポ阻害の邪魔にはなる。 ・今作では戦った相手よりもレベルが低かったり、弱い兵種だったりすると敵撃破時の経験値が増える。 そして今作では傭兵にもレベルが設定されているため、いつまでも弱い傭兵を雇い続けて戦わせれば、 後半になればなるほどアホみたいに経験値が荒稼ぎできるようになっている。 傭兵の能力に関しても、前線ユニットであれば指揮効果も相応のものに育っているはずなので全く心配いらない。 ・エフェクトがすんごいショボい。列車にチョロっと火花が出てきただけで「列車が爆発した」扱いになる。 (ちなみに列車自体のグラフィックに変化はない) ・光輝ルートでは「アルハザードを所持している敵」と2人ほど戦うことになるが、 どちらの装備画面を確認してもアルハザードを装備していない。(丸腰状態) 恐らくアイテムドロップを避けるためだと思われるが、丸腰状態でアルハザードがどうのこうの言う姿は実にシュール。 ・電子説明書は内容が少ないためあまりアテにならない。 ◆総評 現代のSLGとしては壊滅的にUIが悪く、快適なプレイなどとは程遠い。 また敵AIやこちらのとれる戦略の狭さにも問題があり、UIを無視したSLGの出来栄えも評価できるとは言えない。 確かに致命的なバグもなくドギツイ難易度ではないが、昨今SLGが有り触れているゲーム業界の中で、 今作のような中身の薄く、取り立てて評価できる点のないゲームを選んで遊ぶ意味は皆無に等しい。 よって新規層にとってこのゲームを惹きつける魅力はほぼないと言っていい。 またラングリッサーシリーズのファンの観点から見ると、 旧作で培われた殆どのシステムが廃止され、経験に基づいたプレイングもできない。 世界観も一新され旧作の面影はなくなり、ストーリーにもラングらしさは見当たらない。 何よりキャラデザがうるし原デザインでないことは、もはや喧嘩を売ってるに等しい。 よって往年のファンにとってもこのゲームを選んで遊ぶ理由が見当たらない。 これらの結論から、公式が狙っていた「新規層と往年のファン層の取り込み」は破綻しており、 どちらの層からも十分に「面白くない」と言わせるだけのクオリティを放っている。 よってラングリッサー リインカネーションはクソゲーと呼ぶに値する代物である。 }}