2015年 次点

概要

名称ラングリッサー リインカーネーション−転生−http://www.amazon.co.jp/dp/B00UL0YSAM/ [外部リンク]
ジャンル戦術シミュレーションRPG
対応機種ニンテンドー3DS
発売元株式会社エクストリーム(メサイヤゲームス)
開発元
発売日2015年7月23日
価格限定版:9241円(税抜)通常版:5537円(税抜)
対象年齢CERO:C(15歳以上対象)

関連動画

PV

要点

1991年の初作発売以降、高い戦略性とキャラクター性のあるシステム、キャラクターデザインやBGMの質の良さなどで90年代に人気を博したシミュレーションRPG『ラングリッサー』シリーズの新作。

事実上の最終作である『5』からは実に17年が経過しており、とうにシリーズ自体が過去の名作扱いになっていた中、新作の発売が発表され話題となる。

しかし、ブランド移譲により製作・開発会社はこれまでとまるっきり別物であり、おまけに初報でキャラクターデザインの変更という致命的な情報が飛び込む。

その後ゲームの情報はろくなものが出ず、ファミ通レビューでも低得点を付けられたとあって、多くのシリーズファンがその出来を発売前から察していく。

そして発売後、僅かに残った期待にとどめを刺すような内容にファンは悲しみの溜息を漏らすのであった。

グラフィック・演出

システム

バランス

選評

選評案その1

◆前書き
ラングリッサーとは、NCSのメサイヤが製作したSRPGのゲームシリーズ。
うるし原智志の手がける魅力的なキャラクターと、「3すくみ」の概念を本格的に取り入れた戦闘システムが有名。
ナンバリングシリーズの『5』で一応の完結をしたものの、その後も新スタッフによって次回作が作られたり
ソシャゲ化したりしたが、どれも高い評価を得られたとは言えなかった。

あくまでも「名作SRPGシリーズ」として歴史に埋もれていた中、
2015年2月にエクストリームから「ラングリッサーシリーズの最新作」が発売されることが予告され話題に。
しかし初っ端から告知された「キャラデザ変更」という情報から旧作ファンの反感を呼び、
その後もキャラクター以外殆ど告知されないゲーム情報、胡散臭い開発会社の経歴、
更には発売前のファミ通クロスレビューでの低得点っぷりから発売前のムードは最早葬式状態。
そして迎えた発売日。全ての不安は現実のものとなってしまう…

以下、ゲームの概要についてです。


◆グラフィックについて
◇マップ内のグラフィック
・全てにおいて低クオリティ。
マップ上の2Dユニットアイコンは、元々のデザインを無理矢理縮小したような感じで非常に見栄えが悪い。
また、自軍・敵軍共に色合いが地味で判別がしにくく、マップ内のユニットは全て左を向いているため、
とにかく敵味方の区別がつきにくい。敵も味方も同種の傭兵を雇っていた場合、全く一緒のデザインなのでますます分かり辛くなる。
ちなみに下画面のマップ全体図だと、マップ内のユニットは全て赤丸アイコンで示されてるだけで役に立たない。

・対照的にフィールドは3Dグラで表現されている為、2Dユニットアイコンとの違和感がバリバリ。3Dグラ自体もチープ。
シリーズの伝統としてマップ内には隠しアイテムが落ちており、特定のマスを踏めば入手できるのだが、
見た目的に怪しい地形とは思えないので見つけるのが非常に困難。

・あとフィールドが3Dのせいなのか、丘や家の屋根などの地形は普通の地形よりも上方向に盛り上がっており、
下の地形と比べるとどこが隣り合っているのかが分かり辛い。
コンフィグからグリッド線を表示することもできるが、そうすると線がカブったりしてますます分かり辛くなる。

このように、今作ではひたすらグラフィックが判別しにくく作られており、ゲームを円滑に進めるうえで小さくない問題を生み出している。

◇戦闘アニメ
発売直後にまとめブログなどでも取り上げられた、本作を象徴する分かりやすいダメ要素。
「ビー玉」と蔑称された頭でっかちなヘボいデフォルメキャラがお互いへろへろと近づき、
その場で揺れたり飛び跳ねたりして攻撃を行う。時代錯誤も甚だしい出来栄えである。
これは指揮官も傭兵も同じで、大勢の傭兵が敵に向かって密集する有様はシュール通り越してキモい。
公式も出来の悪さを認識していたのか、発売日直前まで徹底して隠していた。
というか今でも公式サイトでも戦闘アニメの情報は公開されていない。
一応、コンフィグで戦闘アニメ自体はオフにすることが可能。オン状態でもスキップができる。


◆UIについて
◇出撃準備画面
・マップを見て敵配置を確認できない。戦闘が傭兵の雇用と3すくみで成り立つ今作において、
「敵の配置に応じて雇う傭兵を切り替える」というのは戦略の1つ。それが台無しになってしまっている。
かといって「敵配置を予想する」という方向で楽しもうとしても、ゲーム開始時に敵配置は丸見えになるのでそういった楽しみもない。
一応下画面の全体マップで配置そのものを確認することはできるが、
先述したとおり、ユニットのアイコンは全て赤丸で示されている為に種類の判別までは不可能。

・傭兵は「傭兵ギルド」のコマンドから雇うのだが、
確認できるのは傭兵の名前だけで、属性やステータスを確認することはできない。
ちなみに「会話」というコマンドも選べるが、
「ユニットには相性があるが、お前との相性は最悪」とか至極どうでもいい話が聞けるだけ。

・「ショップ」コマンドでは武器や防具を購入して装備することができるのだが、
実際に買うまで武器や防具の性能を知ることができない。(一応価格が高いほど優秀な性能というルールはあるが)
こちらでも傭兵ギルド同様「会話」コマンドがあるのだが、
「武器や防具は装備しないと意味がないよ」とか、やはり至極どうでもいい話が聞けるだけである。

こんなどうでもいい話を聞くためにわざわざ「会話」コマンドを導入した理由が謎である。

・ショップで買った武器や防具は「装備」コマンドで装着ができる。
が、何故か「装備を外す」といったことができない為、ユニットにアイテムを外してやりたい場合は、
別のアイテムを用意して装備させるという方法をやらざるを得ない。
武器や防具ならともかく、店売りされていない入手の難しいアクセサリとかだった場合は悲惨なことに。

◇SLGパート
・常に動きがカクカクしており、ゲームスピードは全体的に遅い。
マップは無駄に広大だが、地形が入り組んでいるとかではなく基本野っ原のような障害物に乏しいマップが殆どで、
SLG特有の「マップの地の利を生かして優位に戦う」とかもできず、戦略性は実に乏しい。
プレイヤーのやれることは、ただユニットを敵のいる方向へてくてく動かすだけなのである。
しかも初期は移動範囲が4〜5マスなので、進軍速度自体も遅い。
ただ前述のカクつき具合故かカーソルの移動速度は遅い。
下画面の全体マップをなぞることで高速移動は可能だが、カーソルがユニットに触れると止まってしまうため厄介。
ユニットの移動速度も遅く、こちらは高速化する方法が一切ない。
そんなノロノロ移動のおかげで、シナリオ攻略の半分くらいはひたすらユニットを動かしてるだけだったりする。
ちなみに指揮官の移動後に「行動終了」ボタンを押せば傭兵が指揮官の後を追って移動してくれるのだが、
たまに移動してくれず棒立ちのままターンが終わってしまうこともあるため信頼性が低い。原因は不明。

・マップの地形判断もかなり曖昧。
明らかに壁だったり崖だったり、クレバスのような割れ目だったりする場所もヒョイヒョイ移動できたりする。
SLG特有の「特定のユニットのみ通行可能」な地形もある為、非常に分かり辛い。
また、今作では敵の移動範囲は数値でしか確認できないため、行動範囲を目視して「この敵ユニットは地形を通過してくるぞ!」みたいな判断ができない。

・また今作には途中セーブ機能が存在しない。
そのためSLGなのにマップ攻略中にゲームをやめる方法が存在しないのはもちろん、
何かの要因でゲームをやり直すはめになったら、またカーソルとユニットのノロノロ移動を繰り返さざるを得なくなる。

・どの傭兵が誰の指揮下に就いているのか分かり辛い。
一応傭兵にカーソルを合わせれば指揮官の指揮範囲が表示されるので区別がつかないことはないが、
時代的なことを考えれば解決法としてあまりにお粗末。

・敵ユニットを倒すと経験値を入手するのだが、経験値の清算は専用画面に切り替わって行う。
その時経験値ゲージが溜まって経験値を得たことを確認できるのだが、そのゲージが溜まる速度が異様に遅い。
最初のうちは許容できるが、クラスチェンジを重ねるとレベルアップに必要に経験値数も多くなり、
ゲージの増え方が遅くなる。それなのにスキップもできない。

・シナリオ攻略中に指揮官のレベルが10になればその場でクラスチェンジとなり、2択ある後継クラスから1つを選ぶ。
クラスによってステータス・雇える傭兵・習得するスキルが大きく変わってくるのでかなり重要な選択なりだが、
2択ある選択肢を1度決定してしまうとそのクラスに強制的にクラスチェンジしてしまう。
2択の選択画面で確認できるのはステータスの上がり幅だけ。雇える傭兵と習得するスキルは決定後に確認することになる。
このため2種類のクラスの性能の詳細を見比べて決めるには1度クラスチェンジして 性能を覚えたうえでロードしてやり直すしかないが、
クラスチェンジはレベルが10になった時点で強制的に行われるためタイミングを吟味するのが難しく、
先述した通り途中セーブ機能もない為、クラスを吟味したければマップ攻略もやり直しするはめになる。


◆SLGパートにおいてのゲーム進行について
・ターン制ではあるものの、特定の数値に従って行動順が完全固定されている。
クラスによって数値が異なるのだが、その数値は所謂マスクデータで、ゲーム内で確認する方法が存在しない。
(分かる人に向けて言うと「シャイニング・フォース」方式)
プレイヤーが確認できるのはユニットの行動順だけである。
そのため「順番が回ってきたけどHPが減ってるから、今はパスして回復してもらってから行動する」なんて戦法がとれない。
むしろ行動が完全固定のおかげでスキルの使用が間に合わず進軍のテンポが遅くなることが多々ある。
要するに今作のターン制は、テンポと戦略の幅を同時に狭めていることになる。

・ローテーションのテンポも遅く、いちいち「○○部隊の行動です」と表示されるので鬱陶しい。
(旧作ではそういった表示を一部省略できる機能がついていた)


◆ゲームバランスについて
◇傭兵システムと敵AI
・今作のSLGパートでは、1体の指揮官と複数人の傭兵で構成された部隊を駆使して戦う。
指揮官も傭兵も倒せば倒すだけ経験値がもらえるが、指揮官を先に倒すと取り巻きの傭兵は全て全滅してしまうため、
効率的に経験値を稼ぎたいのならば「傭兵を先に全滅し、最後に指揮官を倒す」ことがセオリーとなる。
殊更に今作ではフリーバトルのようなシステムがなく、シナリオ中でしか経験値が稼げない為ある程度の計画性も必要。
尤も経験値稼ぎばかり気にしてチマチマ傭兵ばかり倒していると、敵指揮官の攻撃などで思わぬ痛手を食らう可能性もあるので、
状況に応じて指揮官を集中狙いしてさっさと戦況を打破する必要もでてくる。

こういった状況判断による駆け引きが傭兵システムの醍醐味といっても過言ではないのだが、
今作での敵指揮官はほぼ例外なく自軍に突っ込んできて、大抵の場合自滅してくる。
そうなるともちろん敵傭兵は全滅してしまうので、先述した駆け引きを楽しむことはできない。
索敵基準もおかしく、明らかに消耗しているユニットを無視して無傷のユニットを攻撃することもある。
待機型の敵部隊に関しても、攻撃範囲に入ってしまえばあちらから突撃してきて自滅を図る。
あろうことか玉座に待機してるようなボスも攻撃範囲に入れば突撃してくる。
こちらを待ってると思しき様子で、いざ近づいてみたら猪突猛進してくる有様は見ていて唖然とするしかない。

HPが減って、どう考えても不利な状況でも敵は構わず突撃して自滅していくのは日常茶飯事。
また、自軍に向かってまっすぐ突撃するあまりに壁にハマって動けなくなる様子もよく見られる。
とにかく「誰彼かまわず突撃を試みる」のが敵AIの要なのだ。

◇自軍ユニットの育成環境
・今作の経験値取得には限界があり、ユニット育成においてある程度の計画性が求められるのは先述した通り。
前線に立つことすらままならない弱小ユニットを育てるには、別のユニットで敵を弱らせてから弱小ユニットで叩く…といった工夫が必要になる。
なのだが、先述したように敵ユニットは勝手に突撃して自滅を図る傾向があるので、
後続の弱小ユニットが育たないだけでなく、前線のユニットばかり経験値が集中してますます能力差が広がってしまう。
前線のユニットが強くなれば当然敵を「倒す」のではなくギリギリの状態まで「削る」ことが難しくなるので猶更。
加えて先述したように途中セーブ機能もないので、シナリオが進めば進むほどユニット間の能力差は酷くなる。
後述するが、自軍ユニット数に対して出撃枠が多くない為、「育てたくても出撃枠上限に引っかかって出せない」という事態もしばしば。
よって今作における弱小ユニットの育成環境は全く整えられていないと言っていい。

・序盤から揃う自警団メンバーのうち、主人公のアレス、飛兵のトワ、騎兵のアンセルはステータスが高いので前線で使いやすく、
恐らく敵ユニットの自滅行為を一身に受けるのはこの3体がメインになりやすい。
魔術士のマイヤと僧侶のエルマは前線向きのユニットではないため、終盤ではお荷物になりやすい。(それでも強いが)
それ以外の後期加入ユニットは入って少しだけの期間は活躍できるが、進めれば進めるほど先述した一軍メンバーとの戦力差が酷くなり最終的に出番がなくなる。
結局自軍ユニットは最終的に「極端に強化された一軍メンバー」と「比較にならないくらいザコ二軍メンバー」に二分される。
敵はシナリオを進めるごとにコンスタントに強化されていくため、必然的に一軍メンバーを使わざるを得なくなる。
そのため、全てのユニットを均等に育ててシナリオによって使い分ける… といったようなプレイングも難しくなる。

◇3すくみとステータス
・今作ではユニット間の強弱をつけるべく、歩兵は槍兵に強く、槍兵は騎兵に強く、騎兵は歩兵に強い…といった3すくみが設定されている。
他にも弓兵・銃兵は飛兵に対して特効をもち、僧侶は魔物系ユニットに特攻を持っている。
この3すくみを使いこなせば多少能力差があっても有利に戦え、戦況を優位に持ってくることができる…はずなのだが、
シナリオ序盤で入りたてのユニットに対して3すくみ有利な敵が突っ込んでくることがあったのだが、
普通にこちらは無傷、相手は10ダメージ喰らって例の如く自滅したので3すくみ補正そのものが薄いと思われる。
そもそも先述したように前線ユニットは敵ユニットの自爆洗礼を受けてムキムキに育つため、
シナリオが進めば進むほど3すくみを意識する必要はなくなる。
それよりもレベルアップやクラスチェンジ、装備品によるステータス強化の方が影響が大きい。
3すくみの力で能力差を覆せないとなると、ますます弱小ユニットが育てづらくなる。

ちなみに光輝ルートにおいて、主人公のアレスは初期装備であるラングリッサーを変える必要がないため、
マジで「レベルを上げて物理で殴ればいい」を体現することになる。

◇スキル(魔法)
・魔法は種類が少なく、攻撃範囲が異様に狭い(周囲4〜5マス程度)ので、よほど近づかない限り使えない。
そもそも先述した通り、今作では前線ユニットがガチガチに強化されやすい環境にあるため、
わざわざ魔法を使わずとも素殴りすれば敵を倒せるのでぶっちゃけいらない。
先述したように魔導士系&僧侶系ユニットは前線に立ち辛いので猶更。
あと自分が見た限りでは、「杖系武器」の性能は魔法ダメージを上げるだけで範囲アップ効果はなかった。
結論として、こちらが使う分には魔法は無用の長物。「レベルを上げて物理で殴る」のが1番有効な戦法。

・あと攻撃魔法以外にも能力アップ系魔法とか周囲の敵を攻撃するスキルとかも存在するが、
前者は前線ユニットがバリバリに強化されてるので使用機会ほぼなし。(移動力アップ系は使える)
攻撃系スキルは使わずとも敵が勝手に突っ込んできて自滅してくれるので、やはり使用機会がない。

◇配置の問題
・基本的に、シナリオごとのユニットの配置数は8。初期配置は必ず埋める必要がある。
先述したように、シナリオが進めば進むほど数少ない前線ユニット(だいたい3〜4体)しか戦わなくなるので、
それ以外のメンバーは完全にお荷物となる。終盤では初期配置から1歩も動かさないことも珍しくない。
一応背後から襲ってくる増援とかが無いぶん、放置できるだけマシと考えることもできるが、
問題はシナリオによっては特定ユニットの強制配置面があるということ。
そうなるとそのユニットの出撃はもちろん、配置場所まで固定されてしまう。
あるシナリオでは前線から遥か離れた場所に二軍ユニットが敵軍に囲まれた状態でスタートするのだが、
いくらその二軍ユニットを真っ直ぐ逃がそうにも敵ユニットに追いつかれて一撃で死ぬことしかできなかった。
このゲームでの死亡=撤退数増加はエンディングでのバッドエンドに直結するため、
「全ユニットを撤退させずにクリアする」とか目標立ててるプレイヤーにとっては迷惑この上ない。

◇敵増援
・今作における敵の増援は、「初期配置の敵を倒したら最奥に新しい敵が出現する」というシチュエーションが殆ど。
プレイヤーの隙をつくような増援はなく、例よって敵AIは突撃自滅バカ。
なので結局増援が来ようがやることは一緒で、「敵増援によって戦略を柔軟に切り替える」とかの必要は薄く、
ユニットを敵部隊へのこのこ移動させるだけという単調作業を増やしただけとなる。


◆告白・アルバム機能について
◇告白シーン
・出撃準備画面の「TALKコマンド」を選択すると、シナリオ1章につき自軍ユニット3人とそれぞれ1回ずつ会話ができる。
会話の際、3択の選択肢が表示され、正しものを選べば親密度がアップし、
「知り合い」→「意識しあっている」→「恋仲の関係」といったように関係が進展する。
シナリオをある地点まで進めれば告白イベントが起こり、親密度の高いキャラに告白すれば見事成功。
アレスと告白対象キャラに特別なスキルが習得され、エンディングにも若干変化が起こるようになっている。
(なお告白イベントでの対象キャラの台詞はフルボイス)

問題なのは、どうやら親密度が「恋仲の関係」でもあっさりフラてしまう場合がある様子。
どうやら親密度以外にも別の要素が関わってるらしいのだが、詳細は不明。当然ゲーム中でも何の指摘もない。
(なお「恋仲の関係」が未告白状態での最高ランクっぽい。)

◇アルバム機能
・告白が成功した場合、タイトル画面の「アルバム」に、各キャラの一枚絵とイベントそのものを振り返れる機能が追加される。
要するに今作はこういった告白イベントの収集要素も目玉の1つとして挙げられるのだが、
告白イベントはシナリオ開始時に強制的に発生し、直前でセーブすることもできない。
告白イベントをやり直すには、その前のシナリオデータをあらかじめセーブしておいてクリアし直すしかない。
また、光輝ルート・帝国ルート・闇ルートと勢力によってメンバーも異なる為、
完全にコンプするには3つのルートのセーブデータがそれぞれ必要になる。(ちなみにセーブデータは3枠だけ)
加えて先述した「恋仲の関係でも告白失敗」という事態も発生しかねない為、下手したらもっと遡ってやり直す必要もでてくる。

以上のことから、今作はCGやイベントの回収という観点から見ても環境が整っているとは言い難い。

・余談だが、この「恋仲の関係」というのは複数人と重複できる。
モテモテハーレムなのはまことに結構だが、複数人と「恋仲の関係」なのは流石に問題があるのでは。
なお同性同士でも「恋仲の関係」になれる。アッー!


◆ストーリーについて
・ゲーム開始時の前日談みたなものを大まかに説明すると、
「魔剣アルハザードを所持する帝国が、とある街にある聖剣ラングリッサーを求めて軍事介入。
光輝の勢力はラングリッサーや街に潜む同士を守る為に出陣。よく分からないけど闇の勢力も出陣。
で、帝国の攻撃を受けて逃げ延びてきた主人公のアレスが教会にあったラングリッサーをたまたま手に取ったら
よく分からないけど使い手に選ばれたので、成り行きで帝国軍と戦うことに。」
…といった感じ。大体合ってると思うが間違ってたらゴメン。
この後は光輝の勢力としばらく行動を共にするが、ある地点で別れるかどうか選択肢が出てきて物語が分岐していく。

進行は非常に淡々としており、全体的に展開の起伏がないためテンションは常に低空飛行。
盛り上がるようなシーンも、悲しみに耽るようなシーンも特にない。延々と味のないガムを噛み続けてる感じ。
かといってスローテンポかと聞かれるとそんなことはなく、飛ばし飛ばしで話が進むので違和感バリバリ。
また基本的に主人公視点での紙芝居の会話しか見れないため、「異なる勢力が織りなす群像劇」とか期待してたら肩すかしに遭う。
そのため他勢力のキャラクターたちの描写は非常に薄い。
その割に連続したシナリオで登場するも、だいたい「ここは通さん!」→「くっ、退却する!」みたいなのを何度も何度も繰り返されるので、
正直言って登場されるたびにウンザリしてくる。例によって前線ユニットで戦えば無傷でワンパンで倒せるし。
なのでRPGでのお約束である「強敵と戦うワクワク感」というものも薄い。
そして思わせぶりに退却したキャラクターは以降のシナリオで登場しなかったりする。エンディングでもお咎めなし。

かといって自軍キャラクターの描写が濃いかと言われるとそんなことはなく、
シナリオ内でやることをさっさと終えたらすぐに次のシナリオに移る為、キャラ同士の絡みといったものも非常に少ない。
仲間と絡みたければ先述した「会話コマンド」でコミュニケーションをとることになるが、
シナリオ毎に3人しか会話できない他、親密度絡みのイベントにも関わってくるので根本的な解決策とは言えない。

そんな目的だけを粛々とこなすだけのシナリオなので、常に説明不足が付きまとう。
「何故アレスはラングリッサーを使えるのか?」「妹のリコリスは何故闇の勢力にいるのか?」
「何故世界は破滅の危機を迎えているのか?」「カルザス王家滅亡にまつわる裏話とは?」
光輝ルートだけでもこんな伏線らしきものが登場するが、全部投げっぱなしで終わる。
エンディングも「世界が破滅の危機を迎えたけど、アレスを中心にみんなで頑張ったら何とかなった」という投げっぱなしっぷり。
そもそも「聖剣ラングリッサーとは一体何なのか?」という新規層に向けての説明も特にない。
というか旧作の設定から鑑みると、制作スタッフが解釈を間違えてるor無視してると思しき矛盾点も多く目立つ。
まあその辺は指摘してもキリがないので割愛。


◆サウンドについて
◇BGM
・旧作のBGMも担当していた岩垂徳行氏の手がけるBGMはそれなりに高評価。
ただし殆どが旧作のBGMのアレンジで、数自体も多くないのでエンディングまで何度も同じ曲を聴くはめになる。

◇キャラボイス
・昨今のゲームらしく豪華声優陣を集めているものの、
「ああ」「いくぞ!」などのパートボイス制なので、ファンの方に勧められるかと聞かれたら凄まじく微妙。
バリエーションも少なく、表示されてる文章と全く違うボイスが流れることもしばしば…というか殆ど。
またほぼ全ての文章でパートボイスが流れ、1人のキャラの長台詞でもウインドウが分かれるとその度にボイスが流れるので、
正直聞いてて鬱陶しく感じる。

・また、明らかに音声が流れるのが早い場面がおり、文章のウインドウが出る前に音声が鳴ってしまう。
(基本的にカーソル移動などウインドウ表示に間隔が空く場合に多い現象)
上記の仕様と相まって耳に触ること請け合いである。一応コンフィグ画面から音量を切ることは可能。


◆バグ・不具合について
見つけた限りで何れもゲーム進行に支障をきたすようなものではないが、
「アイテムをショップで売却していると、アイテムの種類を表すアイコンがたまに変わる」
「戦闘アニメオフ時にはそれぞれのユニットアイコンに与えたダメージの数値が浮かぶようになるのだが、
たまに10ダメージ表記が0ダメージ評表記になったりする。(ダメージ自体はきちんと10ダメージ与えてる)」
…というようなものが見つかった。

また筆者は未確認だが、何のアナウンスもなくステータスアップ系の消費アイテムが大量に手に入り、
それらをつぎ込むことでステータスを強化してゲームバランスの崩壊に拍車をかけている…という現象もあるとのこと。


◆その他細かい点など
・ステータス画面でのキャラグラは常に口半開き。アホっぽい。

・味方ユニットがHP0になって撤退する時は、何も言わずに無言で爆発する。
一部の名有り敵指揮官を撃破した際も同じく無言で爆発することがある。

・一部の名有り敵指揮官と戦うと会話が発生することがあるが、
内容が固定されているせいか、マップ上に出撃されていないユニットも会話に参加することになる。
「覚悟しろ!」…ってお前さん出撃してすらおらんがな。

・一部のシナリオには戦う力を持たない民間人ユニットが登場する。
が、別に防衛任務とかはなくただ逃げ惑うだけで敵も攻撃してこない。
存在理由が甚だ不明であり、今作のシナリオ攻略の単調さに拍車をかけている。
「○○部隊の行動です」という表示の対象ではあるので、テンポ阻害の原因にはなっている。ますます意味不明。

・今作では戦った相手よりもレベルが低かったり、弱い兵種だったりすると敵撃破時の経験値が増える。
そして今作では傭兵にもレベルが設定されているため、いつまでも弱い傭兵を雇い続けて戦わせれば、
後半になればなるほどアホみたいに経験値が荒稼ぎできるようになっている。
傭兵の能力に関しても、前線ユニットであれば指揮効果も相応のものに育っているはずなので全く心配いらない。

・エフェクトがすんごいショボい。列車にチョロっと火花が出てきただけで「列車が爆発した」扱いになる。
(ちなみに列車自体のグラフィックに変化はない)

・光輝ルートでは「アルハザードを所持している敵」と2人ほど戦うことになるが、
どちらの装備画面を確認してもアルハザードを装備していない。(丸腰状態)
恐らくアイテムドロップを避けるためだと思われるが、丸腰状態でアルハザードがどうのこうの言う姿は実にシュール。

・公式サイトの「システム」説明の「?」の部分が未だに明かされていない。

・電子説明書は内容が少ないためあまりアテにならない。


◆総評
元々SLGというのは駒を動かしたり各種数値と睨めっこしたりと単調な作業がメインであり、
だからこそそういったゲームにはプレイヤーのストレスを溜めぬよう快適なUI設計が求められるのだが、
今作はそういった配慮を放棄しており、全てにおいて「手抜き」という表現が当てはまる。
FC時代のような技術力が低い頃ならまだしも、現代の技術力から考慮したら考えられないくらい酷い出来栄えである。
肝心のゲームバランスも単調で作りこみが浅く、劣悪なUIも相まってまともに遊ぼうとするプレイヤーにとっては苦行となる。
確かにゲームに支障をきたすような重大にバグはなく、ドギツイ難易度でもないが、わざわざ入れ込んで遊ぶ理由もない。

とにかく「手抜き」と「妥協」で塗りつぶされたようなこのゲームはこの上なく(この下なく?)低品質であり、
クソゲーと呼ぶに相応しいクオリティを放っていると結論づけた。

よってラングリッサーリインカーネーション-転生-はクソゲーである。