2010年 次点

概要

名称大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00375MTVS/ [外部リンク]
ジャンル戦略シミュレーションゲーム
対応機種プレイステーション・ポータブル
発売元システムソフト・アルファー
開発元システムソフト・アルファー
発売日2010年6月24日
価格6,090円(税込)
対象年齢CERO:B(12歳以上対象)

参考動画

要点

SSαおなじみのバグの山、あと操作性が悪い。

選評

選評案その1

2010年6月。
誰が言ったかクソゲーオブザイヤーの夏は荒れる。
全国的な豪雨の中、前年度の二冠の王者システムソフト・アルファ(以下SSα)が現代大戦略DSに続いてクソゲー界に放った二発目の轟雷。
それが「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜」である。

元はPCで発売された大戦略パーフェクト系の移植版であり、
最近の大戦略の特色であった連続するステージをクリアしていくキャンペーンが主体ではなく、色々なマップを集めたシングルマップ集であるのが特徴。
通常のキャンペーンもあるが、シャッフルキャンペーンという特殊なものを除けば数は2つと飽くまでもオマケである。
また、好きなユニットを集めて「マイ部隊」を編成し、オリジナル部隊として各マップを転戦して鍛えていったり、
細かいパラメータまで変えられるユニットエディタや、マップエディタなどの付属ツールも充実している。
どうせまともなゲームバランスにできた事など一度もないSSαである。調整はユーザーにやらせてしまおうと言うのは、ある意味英断であると言えるかもしれない。
例によって例のごとく宇宙マップやファンタジーマップなど、誰が喜ぶのか疑わしい妙なマップが数多く収録されている。
登場生産タイプも日米など主要国に加えてイラクやヨルダン、果ては北朝鮮など20カ国に及ぶ。

と、ここまで聞けば、育成好きのユーザーはなかなか心惹かれるものがあるかもしれない。
長いキャンペーンがメインではないので、ちょっとした空き時間にも出来るという携帯ゲームの長所を活かせるのも嬉しい。
かつて大戦略2などであったマップコンテストなど思い出す往年のプレイヤーもいるだろう。
「面倒なフラグ管理もない単純なゲームだ。しかも移植だし、いくらSSαでもそう悪い出来にはならないだろう…」
そう思った御仁、甘い。そこはクソゲー界の雄、SSα。
「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜」はクソゲーとしてもまさにパーフェクトであり、覇者として相応しいものだったのだ…

まずこのゲーム、お互いの仕様がお互いの長所を打ち消しあうという謎のバランスになっている。
恐らく本作最大の特徴である「ユニットエディタ」で作った兵器は、マイ部隊に登録が出来ないのだ。
自分の部隊で戦いたい人はユニットエディタを使う機会はないし、ユニットエディタで調整した兵器で戦いたい人には、マイ部隊機能はあまり意味のあるものとは言えない。
あちらを立てればこちらが立たずである。いったいどうしろというのだろう。

またこのゲーム、とにかくキーレスポンスが悪い上に読み込みが非常に多い。
ユニットデータの参照はもちろんの事、地形の確認やユニット名の確認、果てはカーソルの移動や文字の入力まで
ありとあらゆる事に1秒ほどローディングが入る。
あっちを押してはジーコージーコー…こっちを押してはジーコージーコー…。プレイヤーの忍耐とPSPの耐久性が試される。
敵フェイズの1勢力辺り数分にも及ぶ長考と併せて、携帯機の利点が全くなくなっている。もはや空き時間に出来るものではない。
今作頑張ったであろう戦闘画面は、案の定一回ごとにロードが4秒程度入る上に、PSレベルの出来の悪いCGを小さな画面に映すため潰れて何が起こってるのかよく分からない。
しかし、戦闘に入る前に結果が表示されてしまうために、そもそも見る必要性が無い。
ある機能で遊びたい人は別の機能では遊べない、遊んでもらえないというのは、クリエーターとして気持ちの良いものなのだろうか?

システム関連も不親切この上ない。
例えば戦闘機なら戦闘機、爆撃機なら爆撃機で全てユニットアイコンが共通である。
大きな戦闘ともなれば陸で空で敵味方が入り乱れるわけだが、そこに表示されるのは全部同じ戦闘機。向きも同じなら当然形だって瓜二つ。
自軍のユニットならまだ覚えているから良いものの、敵軍の部隊でどれが脅威になるか一目で判断が付かないのは非常に辛い。
ユニットアイコンの端に表示される機数表示は、行動終了のEマークに隠れてしまいがちでどちらかの表示を消すほかない。
また、PC版であった階層システムを取り入れているので、1マスに地上、低空、高空など複数のユニットが存在できるが、
3Dで立体表示されていたPC版とは違い、見下ろし形の平面マップなので、
一番上のユニットのアイコンに申し訳程度に付いた数ドット程度の色分けされたマーカーでしか区別出来ない。分かり難い事この上ない。

もちろん、敵も構わず自軍航空機の真下に入り込んでくるので、よく注意しておかないと知らない間に歩兵が戦車に襲われていたなんてことになりかねない。
しかも前作に比べれば改善されたものの、やはりユニットの情報を得るのが面倒。航空機の燃料を調べるのも結構な手間なんである。
当然、ターン開始に自軍敵軍あわせてユニットの情報を確認するのだが、ここであの細かいロードの嵐が襲う。

そろそろ不安になってくるが遊べないものではない、変な訓練の行き届いたプレイヤーであれば我慢の範疇になるだろうし、
最近の審査が厳しくなっているクソゲーオブザイヤーにはノミネートも難しいだろう。
実際、筆者も当初はやや不満はあるものの、まあこれくらいなら遊べないこともないかなぁと思っていた。1ゲーム目だけは…

問題はここからである。
最初に言っておかなくてはならない。
上で「ある機能で遊びたい人は別の機能では遊べない」と書いたが嘘である。そもそも全く遊べないのだ。

このゲームの特筆すべき点は重大なバグの多さである。
ユニットに敵の攻撃を指示しても何もせずに終了するのはまだかわいいほうで、
ステージクリア時、敵ターン終了時、戦闘終了時、ありとあらゆるタイミングでフリーズするので油断ならない。

さらに、多くの致命的な誤作動によってマイ部隊はほぼ使用不可能である。
マイ部隊を配置すると、なぜか敵としてマップ上に出現することがよくある。かなりの頻度で。
それだけでも問題だが、敵の状態のまま自国の生産施設に配置されてしまった場合、その分出撃枠が制限されてしまう。
恐らく全ての生産施設が敵に埋め尽くされた場合、新規ユニットが一切出せない事態に陥る。
最悪の場合、自国首都に配置した歩兵が敵になる可能性もある。
ゲームのシステム上、自軍の行動ターン終了後にユニット配置ターンとなるので歩兵の排除も出来ず、こうなった以上何も打つ手が無い。
状況にもよるが、次の敵ターンで首都占領敗北も十分に考えられる。

マイ部隊はシステムデータを使って出撃の都度保存されるため、バグで敵になったら回収する術はない。
ゲームが続行不能に陥った場合はもし途中セーブしていなければ、出撃中の全ユニット破棄となる。
また、ステージクリア時のユニット数がそのまま1ユニットの上限数となり、それ以上補充されないバグがある。
もし、敵との交戦で1ユニット辺り最大10機編成の部隊が損害を負って、2機になっている状態でクリアした場合
本来であれば10機まで回復できるものがどんなに補充しても2機までしか補充できない事態になる。
詳しいバグ発生条件は不明だが、クリア時に補充分の費用が足りない場合に適切に処理がされない可能性があるため、
大変面倒ではあるが、クリア前には持越しが必要な部隊を全て全回復しておく必要がある。
恐るべき事に、新規生産部隊でも一度減ったら補充できない事がある、という報告が挙がっている。
また、バグではないものの、ステージクリア時に持ち越しできるユニット数に100部隊までと制限がある上に、一度選ぶとキャンセルできない
持ち越し枠が全部埋まった後に精鋭部隊を選び忘れた事に気が付いても遅いのである。
当然パーフェクトと言うだけあって、ソート機能などという軟弱なもの存在しない。
微妙に効き難いキーレスポンスの中、お目当ての部隊を最大250部隊の中から探し当てなければならないのは大変な事である。

そして極めつけは自国生産施設に突然名無しのユニットが配備されるバグである。
当然邪魔なのでどうにかしたくなるが、現れても絶対に触ってはいけない。謎の部隊を確認すればそのままPSPを巻き込んで電源ごと落ちる。
動作中の機械の電源を抜くのがどれほど恐ろしいか、PCユーザーならお分かりいただけるだろう。

これら多発するバグによって、部隊の持越しが基本となるキャンペーンは事実上クリア不可能である。
短期で決着の付く小さなシングルマップで、マイ部隊を持ち出さずに遊べば遊べない事もないかもしれない。
それでもフリーズの恐怖は付きまとうが。

どれもこれも一度でもテストしたら分かるだろうという欠点や誤作動だらけで、これぞ王者の貫禄といったところだろう。
ユニット間のバランス調整すらユーザーに一任するという荒業に打って出ても、根本的に製品未満であればどうする事も出来ない。
このメーカーの御多分に漏れず、公式からの説明は一切なく、サイト上にも一切不具合に関する記述はない。
最早誰からも見放され、一体どこを向いて何に向かって突っ走っているのか分からないSSα。
結局、大戦略パーフェクトの何がパーフェクトだったのだろうか。

選評案その2

2010年6月24日にシステムソフト・アルファーより発売された「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」
2010年度KOTY携帯板では大賞争いを演じた戦略シミレーションゲームである。

ドキドキしながら電源を入れるとOPムービーが流れ期待が膨らむ。が、違和感も同時に襲ってくる
リズムを無視してムービー中に別の音楽に突然切り替わるのだ。これは香ばしい…

そして次に現れるファミコンのジャケットを写真に撮ったようなタイトル画面。あぁ…すぐ始めるのは勿体ない…

ホームページを一度見てみようと思い確認すると
「これまでほぼ真上の視点から描いていた戦場の建物や森などを斜め視点に。より立体的になりました。」と書かれている。
なるほど。そりゃアピールポイントだ。しかしプレイする限り立体的というよりむしろ平面的で
地形と兵器は迷彩服のように馴染み、ユニットが何処にあるのか分からなくなる。
この原因はファミコンの様なグラフィックにも一因があるのだろう。

このゲームにはストーリーモードは存在せず
1ステージ単位でマップと敵が用意されているだけのシンプルなものである。

マップの一番上の説明文を確認すると「初心者用のマップ」と文字が出る
↑を押してスクロールし別のマップを次々と確認しても「初心者用のマップ」と出る。

マップ難易度が違うのに何故だろう?そう首をかしげながらもう一度説明文を見ると違う説明が現れた。
そう、バグによりマップの説明文が交錯してしまうのだ。

難易度☆5の連合軍VSドイツのステージ説明にはこう書かれている「アメリカ軍をUSERにして2軍操作するのも面白いかも…」
開発者にとって難易度とは一体なんだったのだろうか?

しかしこのゲームには評価できる点も沢山ある。
兵器と地形等の細かな設定。自分で好き放題にエディットできるルール・兵器・マップ。
イマジネーション全開で膨大な自由度を楽しもうと思えば、味のあるゲームとして楽しめる。

しかし、あまりにも不親切であるため、味と割り切るのも難しいだろう。
兵器の数は565種。ルールは48種。地形は57種。有りとあらゆる部分が細かい。
しかしその細かさに対応した説明や操作性は存在しない。

戦闘手順は兵器生産→行動の順であるのに対し
ターン進行が行動→生産であるため、最初に行動終了から始めなければならない。

ちょっとした操作も面倒でマップを俯瞰視点にするのにも
△ボタン→ツール→表示設定→ヘックスサイズ。この手間

どれだけ操作を把握すれば普通に遊べるのだろうか?仮に全操作をマスターした猛者をジェネラルと呼ぶとして
そのジェネラルすら対応不能なのがフリーズだ。マップ作製時にも戦闘マップクリア時にもフリーズする事があるし困ったものである。

膨大、煩雑、不親切、バグ。他にも読み込みのダルさ、グラフィック、非常に多いユニット数が原因の勢力思考待ち時間、
楽しもうにも邪魔する要素だらけと、SSαらしさがパーフェクトに詰まったゲームであった。