2010年 次点

概要

名称現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜
ジャンル戦略シミュレーションゲーム
対応機種ニンテンドーDS
発売元システムソフト・アルファー
開発元システムソフト・アルファー
発売日2010年2月25日
価格6,090円(税込)
対象年齢CERO:B(12歳以上対象)

参考動画

要点


選評

選評案その1

2010年初頭、あのシステムソフトアルファーがKOTYに新たな尖兵を送り込んできた。
その名も「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」
PCゲームでシリーズ化されているSLG、「現代大戦略」のPS2/PSP版をさらに移植した作品だ。

このゲームをプレイしてまず気になる点は、カーソルの動きだろう。
遅い。何かに引っかかったかのようにカクカクと動く様子はそれだけでストレスを貯めてくれる。
またタッチペンを使えば高速でカーソルが移動するので大きく動かしたい時にはそれを使うことになる。
が、何故かタッチペンを離す時にメニュー画面が暴発する。
一応、十字キーを連打すれば快適な速度でカーソルは動く。メニューに関してもタッチペンを画面中央寄りにずらしてから離せば暴発しない。
しかし逆に言えば、カーソルを動かすだけでこのような工夫が必要になるのだ。

また、情報の検索性も良いとは言えない。
マップから直接ユニットデータに飛ぶことはできない。
マップ上でも見られる簡易データでは部隊の所持している武装の射程、弾数、タイプしかわからない為、武装の名前もわからなければ、有効な相手もわからない。
つまり軍事知識のある人間でさえ、その武装が対空兵器なのか、対戦車用なのか、対潜水艦なのかは並び順で覚えるしか無い。
航空機の下にヘリや陸上部隊が入り込むと、カーソルを重ねないと一切見えないため、最悪敵戦車に気付かずに奇襲される事もある。
数種類ある兵器の一覧表はソート順を変えることが出来るが、何の順になっているのか表示されないためわからない。
特に部隊を出撃させる時のリストは、ソート順を変えてもユニットデータを見ようとすると元の位置のユニットのものが表示される、
ソート順を変えた後一つユニットを出撃させるとソート順が勝手に変わる、とソートを事実上禁止される。

そもそもユニットデータを見ても、説明書に全く説明のない数値が多々ある。
回避の数値などはまあ高ければいいのだろうと予測できるが、武装のタイプ「全E」や「攻」の意味を見ただけで理解できる人間はいるのだろうか。
ユニットの配置方法などもまともに説明されていない上にチュートリアルでもユニットの配置には全く触れていない。
初めに出ているユニットを動かす「行動フェイズ」があり、それを終了した後「配置フェイズ」で新しいユニットを配置するのだが
説明書に書いてあるのはフェイズ名と順番だけである。またチュートリアルでは配置フェイズが存在しない。

ここまでの不親切な仕様を我慢すればまともなゲームになるかといえばそんな事はない。
まず敵の思考。各陣営一分程度の思考時間を使う為、CPUが最大の5陣営いる場合は待ち時間はかなりのものになる。
それだけ考えた挙句に補給さえろくにせず、ピンポイント爆撃を無防備に喰らう様はむしろ悲しくなる。

戦闘画面が酷いという話もあるが、
CPUの手番が余計に長くなるのを嫌い、殆どの人は非表示にすると思われるため大した問題ではないだろう。

空母や揚陸艦を使いたいという人は他のゲームを買おう。
どちらも大量のユニットを輸送して、様々な場所で部隊を展開できる近代戦の花形ユニットの筈なのだが
何故かどちらも味方の港の中でしかユニットを出すことができない。完全に高いだけの鉄屑である。

今作の目玉要素の一つである内政だが、
これも部隊の整備工場は強化してもセーブロードで元に戻る、一周クリアすると集めた人材が無駄になるなど問題点は多い。

エンディングまでの流れは、数回ミッションクリア&特定国との友好度を上げる→国の個別ルートに分岐→個別ルートのミッションを最後までクリア→エンディング
なのだが、個別ルートに分岐後また分岐の判定が行われることがある。
分岐した場合はその国の一番最初のミッションからやり直すことになってしまい、しかも何故か今と同じ国のルートに分岐することさえある。
これを回避するには分岐後、全ての国の友好度を分岐が発生しないレベルまで下げる作業が必要になる。

もちろん、システムソフトアルファーおなじみのフリーズも完備されている。
頻度はそれ程高くないが、マップ開始時、敵ターン開始時、敵ターン途中にAを押した時などパターンはバリエーション豊かである。
また敵の巡航ミサイルを迎撃した時には不自然なメッセージが出た上で操作不能になるが、
これは恐らくフリーズではなく操作を一切受け付けないだけだろう。

長々と書き連ねてきたが、一言で纏めるとこうなるだろう。
「バグと不親切さがひたすら詰め込まれたゲーム」
ゲーム進行に支障のあるバグは確率の低いか回避可能な物しか無いが、あらゆる要素がプレイする人間の気力を奪いに来る。
タイトルの「大戦略」というのは、購入者を撃破するための戦略なのではないか……このゲームをプレイしていると、そんな考えさえ浮かんできてしまう。