話題に上がっている作品

1月発売

選外その他

選評

夢想灯籠。日本一ソフトウェアからPSPで発売された伝奇アドベンチャーである。
  
製作会社フォグの人気作に雰囲気を似せて同社のファン層を狙ったが、本編に関連性は一切なく、
新人スタッフを中心に製作がされたのだが、そのために、シナリオの出来が中学生が妄想した自由帳の走り書きレベルとなっている。
以下、その具体的な例をあげていくと、
ろくな日常描写すらなく物語はいきなり展開されていく、
人物像や物語を構成していくためのエピソードもないどころか、ろくな台詞すら用意されていない。
アドベンチャーゲームの肝である分岐も選択することの意味がないものがほとんどで、展開の変化を想像して悩むようなこともない。
ギャルゲーとしても体を成しておらず、いつか発展するだろうと期待した恋愛も、どうなったのかの説明がなく淡白なエンディングを迎えるといった具合だ。
カードバトルの出来は悪いがカットすることが可能だ。しかし、物語のつまらなさから、
物語のスキップとバトルの省略を行うといったプレイスタイルが確立されるのだが、もはやその行為自体が本作に楽しめるものが皆無であることを示している。

スーパーファミコン時代のノベルゲームを彷彿とさせる画面もクソゲーに一役買っている。
キャラクターの立ち絵をすべて排除し、一枚の絵と文字が表示されるのだが、文章の稚拙さも手伝って、誰が喋っている台詞かわからなくなる。
プレイヤーは、なんだか良くわからない文章の羅列を眺めている状態にしばし陥ることだろう。

「製作者は新人なので温かい目で見てやってください」とは、製作会社の社長の弁だ。
購入者は、価格:5,040円(税込)、限定版7,140円(税込) という金額を支払い、社員研修に付き合わされたということだろう。

久々の笑えないクソゲーの登場は、あるいは先行きの見えない不景気が導いた結果かもしれない。
不景気の波はクソゲー界にも暗い影を落としているのだ。景気回復を願わずにはいられない。

スレに出たレビュー

日本一、フォグ、ブロッコリーの三社協業プロジェクト。開発がフォグと、久遠の絆の再来を予感させる布陣だった。

しかしADVゲームとして根幹を成す、一番重要なシナリオが
誰がどう見ても薄くて軽く、テスト版を間違えて入れたのかと勘ぐるほどである。
まず全体で9章構成。序盤でモブの生首が出てくるが、これは久遠へのオマージュだとディレクターの弁。
ただし表現が稚拙なので久遠へのオマージュどころかライターの適当加減がちらほら見受けられてしまう。
全体を通して場面表現や人物の心理などもあまり掘り下げる文章がなく、ノベルというよりは「ナレーションを文字に書き起こしたもの」を読んでいる印象。
それでも細かいところを突かずに言えば、5章までは比較的平凡で一般的なADVの域を出ない出来である。
だが6章以降、急に息切れでもしたのか、描写がまるで火星の大気のような薄さになり、なぜ人物がその行動をしたのかなど動機も全く判らず、感情移入どころかキャラクターの行動自体が理解できない。
選択肢もほぼ意味がなく、その後の文章が少し変わるだけで全体の流れは一直線。特にフラグもなく、8章の行動選択で全てが決まる。
何のための選択肢なのかと小一時間問い詰めたい。
終盤の各ルートへの分岐後もほぼコピペで、各所々々に少々の違いが見られる程度。つまり、使用される絵もほとんど同じ。
これはADVとしては致命的で、やり込み要素以前に普通にプレイするだけとしても何ら魅力を発揮しないし、つまらない。
また終盤にかけての盛り上がりに欠け、平坦な道を歩いていたらいきなりラスボスと遭遇しました、的な何の起伏もない構成に唖然とした。

設定資料集を見るとキャラクターの設定は、作中に出てこない部分まで細かく書かれており、全体設定も少なからずいい素材が転がっている。
ただのやられ役に過ぎない鬼の設定が非常に細かく書かれていたり、舞台となる村の略図も異常に書き込まれているなど、世界観の構築の余念のなさには驚かされた。
すなわち、5章までの段階が、序盤の世界観を固める役目を果たし、そのままのベクトルで充分に肉付けを行なった上で(全体の
ボリュームとして)15章ほどまで行っていれば間違いなく良作になれるものだったのに、と感じた。

絵に関しては、特に破綻した作画の絵はなく、せいぜい塗りが粗雑(影の処理など)なものがちらほらと見受けられる程度で全体的にはほぼ問題ない。
ただ、紙芝居的手法で表現するという挑戦のためにシナリオのボリュームが少なくなったのでは、とうがった見方もできる。
とはいえ、絵自体のクォリティは問題ないレベルである。
音楽に関しても問題ない。問題ないどころか、むしろ絵と文章を補佐するものとして、いいバランスで作られているのが好感触。
社長の弁を拝借すると、この絵と音の二人が新人なのであるなら充分に奮闘したと言える。
それだけに(新人ではないはずの)シナリオの雑さが非常に残念でならない。

システムは快適そのもの。むしろこの夢想灯籠の中で一番完成されているのはシステム面ではないかとすら思える。
そのシステムや絵、音のいい面を全てぶち壊して台無しにしたシナリオは第一級の戦犯であると言えよう。