2009年 総評

ご案内

このページは、2009年度KOTY総評の案を集めるページです。総評の審議に役立てば幸いです。
書き方テンプレートは編集ページにコメントアウトで掲載します。

総評案1戦極姫大賞ver

今年の携帯機クソゲーオブザイヤーは、有名な元ネタをゲーム化し、多くのそのようなタイプのゲームがそうであるように順当に糞になった、という作品が目立った。その流れのまままま一年の大半が過ぎ、住人達が無意識に今年の大賞の選定に入りはじめたとき、年末の魔物は妖絶な婦人の姿をもってあらわれた。男=ユーザーをたらしこみつつ、すでに気付かれぬようその身におぞましき魔の子を宿しながら・・・。

1月、2009年の一番槍をつとめたのが「北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王」である。ドリームファクトリー。クソゲーの闇の歴史を知る人なら、おそらくこの一言だけで察しはついてしまうだろう。開始から終了まで全ての要素を解禁させても2時間。ダッシュ+弱攻撃で難易度ハードでも楽勝。「ユーザーはショック!」という若干寒いといってはいけない叫びをプレイ者におこさせずにはいられないぬるく、薄いゲームであった。

同時に、またジャンルの違う有名作のゲーム化となる「犬神家の一族」がお目見えした。ほぼボタン連打で進むだけの紙芝居、分岐がでたらほぼゲームオーバー。しかしこのゲームの売りであろう「金田一の頭をタッチペンで10〜20秒かき続ける」ことでヒントがあらわれ、ユーザーのやる気とひきかえに楽々とゲームを進めることができる。年末の原作のテレビドラマでCMを流し、「このテレビドラマを見た人は犯人も動機もわかっているのにいいのか?」というゲーム外のミステリーをも投げかけた。

3月、伝奇アドベンチャーというくくりになる「夢想灯篭」は、プレイしているユーザーの多くがだんだん「物語がつまらなく飛ばし、カードバトルはスキップ可能なのでアホらしくて飛ばす」ようになっていくため、あとに何が残されているのかわからなくなるという奇妙なゲームである。「中学生が寝る前に妄想するようなストーリー」と評された説明不足かつ自己完結したシナリオ。いまどき珍しくキャラの立ち絵がないことで、文章の稚拙さゆえに誰がいて誰が喋っているのかわからなくなるというあえて流行りに背を向けたんに退化する情けなさ。メーカー社長の「グラフィックと音楽は新人なので長い目で見てやって欲しい」という発言も話題になったが、むしろグラフィックと音楽は及第点であり、新人でないであろうシナリオその他の部分こそがやばいことを製作者トップが認識していないことが問題の根の深さを感じさせる。

今年はすぐ終わるゲームしか出なかったのであろうか。4月下旬に発売された「ラストバレット」も3時間程度で終わる狙撃アドベンチャーゲームであり、今年新たなくソゲーメーカーとして名乗りをあげるフリューのクソゲーオブザイヤーへのファーストバレットであった。「携帯アプリ以下」といわれる、どう撃っても照準がずれるのに細かい部位を撃たなければならない糞仕様、なのに難易度は結果的に低い非やり込み性、1週クリアすれば90%を超える「ギャラリー」等々、セーブ&ロード時の動きのよさとヒロインらの日常風景が一番の出来といわれてしまう有様である。

フリューの猛攻は続く。5月末にはこれも他ジャンルの有名作品のゲーム化「超名作推理アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ」をドロップする。ついにクリアに要する時間は1時間になってしまった。原作小説よりも早く読み終わるという小さな不思議を感じさせつつ、原作で麻薬の影響が出てくるシーンがどうやら規制よりカットされ別シーンになるなど、ならその原作使うなといいたくなる愛のなさであった。そしてフルプライス、5040円。504円じゃなくて?といいたくなる者は少なくあるまい。

フリュー三部作と後世によばれるであろうシット三連打の最後を飾るのが8月初旬発売「世界ふしぎ発見DS 〜伝説のヒトシ君人形を探せ〜」である。高年齢層がターゲットなのであろうか、やや微妙な気がしないでもない人気テレビ番組のゲーム化である。クリアに3時間で驚く人などもういないであろう。フリューなのだから頑張ったほうである。アドベンチャーなのだが、元番組の売りである各地の世界遺産の風景や情報が、演出のしょぼさ、CGの少なさなどによりまったく伝わらない。選択肢をまちがっても事実上支障はなく、唐突なミニゲームももちろん投げても話しは進む。「オッスオラジャンヌダルク。マリー・アントワネットの護衛だよ」この台詞で他のもろもろの出来は察してほしい。

誰もがもうキャラゲーはいいよ、と思っているのに性懲りもなく9月半ばに「金田一少年の事件簿 悪魔の殺人航海」はあらわれた。真犯人が「被害者のダイイングメッセージにそのまま名前が書かれて」いたり、「血染めの衣服が隠された部屋の主」である直球勝負な展開、終始不安を訴えてくる人物をスルーし続ける金田一少年、何の脈絡もなく始める爆弾処理ミニゲーム、不安な雰囲気を煽りつづけながら中盤にいつの間にかフェードアウトするタロットカードの「予告」、段位もちの剣持警部との将棋が楽しめるミニゲームでは警部も金田一もニ歩に気づかない有様である。どんなシリアスな場面でも明らかに着替えてなきゃおかしいところでも「バイトの制服」という理由でメイド服を着続けるヒロインの美雪だけで許せるメイドマニアの方にしかキャラゲーとしてもゆるすことはできないかもしれない。

ここまでさまざまな糞ゲーがあらわれた。多くはキャラゲー、原作ありのゲーム化、共通するのは薄く、その元ネタや作品自体への愛がないことであろうか。このような薄い軽い空しいなのにフルプライスなゲームが多くあらわれること自体が昨今の携帯ゲーム業界の問題をわかりやすく示しているのかもしれない。それぞれの作品は単品としては圧倒的なインパクトに欠けるものの、全体を貫く傾向が見えることが今年の意義であるかもしれない、と年も終わりにはいり徐々にスレ住民もまとめの意識に入ってきた11月、ほとんどそれまでのゲームとは関係のない、巨大な異民族侵略のようなメーカー、そしてその指揮をとる女狐が襲来したのであった。

SSα(システムソフトアルファー)の戦国時代の武将を女体化したシュミレーション・アドベンチャー「戦極姫〜戦乱に舞う乙女たち〜」である。主にパソコンゲームのメーカーだったSSα(システムソフトアルファ)のエロゲー製作部門から、PC18禁ゲームとして発売された「戦極姫〜戦乱の世に焔立つ〜」のPSP、PS2に同時移植されたコンシューマ版である。
PC版のときからエロゲ版クソゲーオブザイヤーにノミネートされるなど、話題の多かった「戦極姫」だが、コンシューマ版において誰もが予想しなかった異常劣化をなしとげた。
特筆すべきはバグである。現在ゆうに20を超えるバグが見つかっており、現在でも日をおかず見つかり続けているありさまで、軍資金がマイナスになるといきなり最高額近くにはねあがる、最小の兵士を徴兵しただけで最高に近かった住民感情ですら1になる、敵に大打撃を与え落城させたと思ったら直後敵が完全に兵数復活して、落城させた後ろの城を攻め落として孤立する、仲間にした武将の一族や遺族が突然復活して自国の城をのっとり、操作不能になる、一緒にヒロインや主人公がいた日には存在は確認できるが決して出られない「ブラックホール城」押し込めで詰み、他にもなぜか立ち絵が同じキャラ3人あらわれる、キャラの表情を変える差分の位置がおかしく顔の中から新たな顔が生えたような分裂を起こすなどなどとても書ききれない致命傷から失笑まであらゆるバグが網羅されている。そのためユーザーは毎ターンセーブ必須であり、一般ユーザーが普通にやってクリアすることはほぼ不可能といわれる。しかもそこまで気をつけても気づいたら情を移したお気に入りのキャラがブラックホール城にのみこまれ、そのキャラを動かせないとこの先のイベントも見れないため、それまでの十何時間が無駄になるなど、一見プラス要素である可愛いキャラクターを餌に再起不能まで心を叩き折ろうとする結婚詐欺のような罠がその悪名をなお高くせしめた。他にも戦国物で最も重要な人物の一人木下藤吉郎がただの猿で「ぶち殺すぞヒューマン!」と叫ぶシナリオの出来など語りつくせないが空しいのでやめておこう。PS2版でもほぼ同じバグや問題がでるため、PC界においてすでに悪い意味で有名であったSSαが万を辞して、この「戦極姫」や3月に発売した「戦国天下統一」によってコンシューマ界へ殴り込みをかけてきたのである。

しかし、悪夢はこれだけでは終わらなかった。一見可愛いキャラクターでユーザーを釣り、地獄に叩き込んだ「戦極姫」の、そのコンシューマ版の要素をすべて含んだ続編PC版「戦極姫2」の発売が、なんとコンシューマ版発売二週間で発表されたのである。しかもその発表では、発売日は年明け一月末。
それまであまりのバグと目当てのキャラのイベントでなすぎ、あるいはシナリオ薄すぎ、というユーザーの不満からデータ解析をする者まであらわれた。そこでなぜかエロゲーの効果音や音声、CGはあるがそれに対応する音声がない、等々の不審な点は明らかになっていたのだが、このコンシューマ版発売から、2ヶ月ちょっとでのPC版2発売の発表によって全てが一つの線につながってしまった。
つまり「はじめからエロゲーの2を作り、そこからエロ部分を抜いて、時間なくて未完成の所はなかったことにして出されたのがコンシューマ版の戦極姫なのではないか?」
その疑念はコンシューマ版のデータから2ではじめて実装となるはずの文字画像が発見されたことでほぼ確証されてしまった。
つまりコンシューマ版の戦極姫ユーザーたちはベータ版すらない未完成のアルファ版を売りつけられていたのである。ユーザー達が自虐的に「これ有償デバッグしてるようなもんだよな」といっていたのが、冗談ではなかったのである。クソゲーの多いエロゲで鍛えられた戦極姫本スレ住人たちですらこの発表で憤激した。

このような、一見可憐な容姿で誘い、たらしこみ、だまし、おとしいれ、心を折ったあげく、肉を削ぐような仕打ちを本当にやらかした「戦極姫〜戦乱に舞う乙女達〜」に今年のクソゲーオブザイヤーの大賞をささげたいと思う。