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*2010年総評案1(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!) [#r2a80839]
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昨年は今年の据え置き機クソゲートレンドを先取りしたかのごとく薄いゲームが乱立する中、
PCゲーム界からのバグだらけ凶悪作品、「戦極姫」が据え置き携帯ともに大賞に輝いた。
今年はいったい、どんなジャンルのクソゲーが出てくるのだろうか・・・。
そんな期待混じりの不安は、3月の初めあたりから不安が現実となっていく。


3月11日、1本目は思わぬところからやってきた。
DS「RPGツクールDS」である。
このゲームは誰でも手軽に自分オリジナルのRPGを作れる、というのが人気のシリーズである。
実にコンシューマー機では6年ぶりの登場となった。
しかしその6年の間、何があったのだろうか、帰ってきたツクールは散々な出来となっていた。

まず仕様。
魔法に属性という概念が存在しなかったり、敵に状態異常に対しての耐性を作れなかったり、
更には魔法攻撃力、防御力すらない。効く、効かないも当然使えない。
ステータスが上下するイベント、アイテムも作れない。
この段階でRPGの基礎中の基礎が失われているような気もするが、問題は容量にもある。
6年前に発売されたGBA版の実質半分の容量しか使えない。
ダウンロードプレイ用のRPGを作るなら、町1個、ダンジョン1個で容量は枯渇する。
こんな時代にスーファミレベルにも満たない容量のゲームを作らされるハメとなる。
素材のクオリティは非常に高いのだが、全く生かせない容量では、それも意味を成さない。

バグも多い。
とにかく数あり、説明しづらいものもあるので詳しくは割愛するが、中には再現性100%のものや危険なものまである。

これでは思い通りのRPGが作れない、期待はずれかつタイトルに反するゲームであった。

そこから3ヶ月後の6月24日、昨年の覇者、システムソフト・アルファーがまたしてもクソゲーを放り込んでくる。
PSP「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」である。
このゲーム、キーレスポンスが悪い、敵の思考が長い、グラフィックが重い、システムが全体的に不親切など、
この段階でパーフェクトにクソな要素しか存在していないわけだが、バグの多さもパーフェクトであった。

マイ部隊というオリジナル部隊を編成して使用できるのだが、敵として出てきたり、ほぼ使えない状態となっている。
また、あらゆるタイミングでフリーズするため、キャンペーンはほぼクリア不可能となってしまっている。
極めつけは、謎の名無し部隊が出現し、それを調べるとPSP自体の電源が落ちてしまう、恐怖のバグ。
まさにパーフェクトなバグの山と言ってもいいだろう。

このゲームを機に、もうひとつの大戦略が日の目を浴びる。
2月25日発売のDS「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」である。
発売当初も話題となっていたが、7月以降になりもう一度話題となった。
名のとおり一触即発・ゲームバランス崩壊のバグだらけで、相変わらず操作性やシステムも最悪である。
当然のごとく相手の思考時間はPSP以上である。

フリーズやバグも当然のように完備しており、ストレスしかたまらないゲーム仕様だ。

更に、ルート分岐判定が分岐後にもう一度行われるため、無限ループに突入してしまい、クリアできなくなってしまう。
このエンドレスエイト状態を抜け出すには、降伏(通称土下座外交)を行い友好度を調節することが事実上必要不可欠なものになってしまっている。
そこまで現代を再現する必要があったのだろうか。

この2本は、システムソフトアルファーが何ら改善されてないことを知らしめる2本であった。
なお、昨年KOTY大賞戦極姫の続編戦極姫2PSP版は、バグが殆ど治っており、足掛け3年でようやく遊べる普通のゲームになったことを追記しておく。


このあたりで選評が届き、注目を浴びたのがもう一つの2月25日発売DS「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」。
こちらはトレーディングカードが元になっており、これがゲーム化されたものだ。
もともとゲームブック自体前2作が非常に不評だったのだが、3作目となる今作はそれ以上に酷い出来となっていた。

そもそもこのゲーム、もはやゲームブックではない。文章を読み進めていく、ノベルゲーのようなものだ。
しかもそのノベルゲー部分のシステムですら10年前のレベルと評される始末。
バグも酷く、いないはずのキャラの立ち絵が表示されたり、立ち絵同士干渉して表示がおかしくなったりする。
ヒロイン6人中3人には、声と文章の同期が取れていない、いわゆる音ズレが発生する。
しかも最後まで直らない。

最終的にプロモーションカードのオマケ扱いされる始末だったが、そのカードも一般販売されることになり、
完全におまけですら無くなってしまった作品であった。


7月15日。
携帯機KOTYは夏にもクソゲーの登場が多いが、今年はとてつもないものがやってくることとなる。
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
いわゆるブロック崩しでバグもなく、ロードも速くシステム面は完ぺきだ。
ただこのゲームのクソな点、それは「理不尽さ」に凝縮されていた。

まずブロック崩しとしての挙動がおかしい。
パドルの端に当たると下に跳ね返っていくボール、ブロックに斜めにぶつかると真下に下りてくるボール。
またパドル移動によるボールの方向調整は困難を極める。
これらの点は絶妙なパドルの遅さと慣性に相まって、非道なまでに理不尽さを醸し出している。

そしてこのゲーム、ステージがとにかく理不尽なのだ。
前半はまだ普通のブロック崩し。後半は気が狂ったブロック崩し(なのかどうかも甚だ疑問だが)になっている。
ブロック崩しなのに砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から大量の弾が降ってきたり、動きまわるターゲット(球を撃つ)に50発ボールを当てたり、
暗闇の中砲台(破壊不能なブロックに守られてる)から弾が降ってきたり。
極めつけは当たると方向が変わる矢印ブロック6つをすべて一定の方向に揃える、というもの。
先述の破壊不能砲台も完備されており、挙動と相まって理不尽さは極限値に。
「完全に運ゲー」と言われることもあるが、運だけではない。
最高のテクニックと完璧なまでの運、これが揃わないとクリア出来ないのだ。
果てには有用アイテムが出るまでリセットというブロック崩しに似つかわしくない乱数調整まがいのことをさせられることも。
なお、当然アイテムにはマイナスアイテムも含まれており、取ってしまうとほぼ1ミス確定である。
ちなみに先述の矢印ブロックを揃えるステージではアイテムは一切出現しない。

この地獄を抜けたものに対するご褒美、すなわちスタッフロールなど存在しない。
イラストも全部発表済みのものであるので、楽しみもない。キャラゲーとしての価値は殆ど無いと言ってもいい。

ここに来て、まさかの「超難易度理不尽ゲー」が名乗りをあげた今年のKOTY。
ここからスレは一時的に休戦状態にはいる。

3ヶ月たち10月になり、にわかに話題となったのは10月7日発売、DS「天下一★戦国LOVERS DS」である。
こちらは携帯ゲームからの移植であるが、なんとこのソフトは5040円のフルプライスでありながら携帯版の体験版とも言える内容であったのだ。

話がラストまで収録されているのは9人中2人のみ。他は携帯で一から課金しなければならない。
恋愛ADVなのに、ロードという概念が存在しない、スキップが遅い、オートセーブというADVのシステムを覆しかねないシステム。
シナリオも微妙であり、いつ主人公を好きになったかが殆ど語られなかったり、寝取られたり、ボイスが少なかったり。

まさに続きはWebでならぬ続きは携帯版で、であり、それなのに5040円というフルプライス価格はもはや薄いを通り越し悪質であった。

12月。
今年は据え置き機に年末の魔物は襲来しなかった。
しかし、携帯機には年末の魔物がさも当然のごとく今年も襲来してきたのである。

12月16日に2本のゲームが発売された。
まずはDS「どんだけスポーツ101」である。
これはDSで101種類のスポーツが楽しめるという、なんだかテーマだけでにわかに地雷臭を漂わせる作品であった。
ファミ通レビューも18点、しかもレビュアーの一人が3点をつけた。

まず101種類のスポーツだが、どマイナーな種目も多数ある。そりゃあ101種目もあるのだから当然といえば当然だが。
しかしそのマイナースポーツの数々に説明が殆ど無い。説明になっていない説明もある。
操作方法も被りが多数生じており、やりごたえもない。
ルールや物理法則無視まである始末だ。そもそもの競技内容が違うものまである。

101個ものスポーツ、全てがつまらないゲームであり、0を101個合わせても所詮は0であることを証明してくれた。

もうひとつはDS「プーペガールDS2」である。
こちらは昨年1作目が発売されたが、こちらはただの作業ゲーであった。
しかし今作は作業にバグを引っさげて登場してきたのである。
なお、こちらは2種類のバージョン違いがあり、入手アイテムに違いがあるのだが、両方買っても入手できるのはどちらか一方なのであしからず。

まず地味にロードが長く、画像も頻繁に乱れる。地味に操作性も悪い。
きせかえ画面で顔が潰れてホラーゲームもびっくりのグロ画像になることも。

このゲームはお金=リボンを集めて、服を買ってコーディネートするゲームなのだが、
リボンがもらえるはずのファッションショーに出てもリボンがもらえない。その後は開催すらされない。
このせいで後半は上昇し続ける物価に対して収入が見合わず、ひもじい生活を強いられることになる。


極めつけはプレイ22時間後に起こる。
ある日突然、リボンが減っているのだ。減るリボン数は15536リボン。
マイナスになるとゲームが進行不可能になってしまう。
発動率100%、まさに恐怖のバグである。
解決策として公式からリボンがもらえるコードが配布されているが、使えないという報告もある。


このゲームは発売時期と相まって、何も悪くないお子様や女の子を巻き込んだ。


今年はノミネート8作品という、昨年よりも多い大波乱となった携帯機KOTY。
しかも「バグ」「仕様」「理不尽」「薄い」といった、様々なジャンルのクソゲーが登場する、荒れたものとなった。

それでは今年の大賞を発表しよう。
大賞は、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」である。
受賞理由としては、高難易度かつ理不尽という、悪意しか感じない構成の1点に凝縮される。
人智を逸したテクニックと運が合わさらないとクリア出来ない、それほどまでに。
他高難易度ゲームと違い、バランスがなっておらず、理不尽さによる高難易度であることも大きい。
バグだらけや不親切システムといったような他作品と違い、このゲームはシステムもバグの無さも非常に良好である。
しかしこの「理不尽的高難易度」という一点のみでクソゲーの頂点に君臨する、それほどまでに理不尽なのだ。
他にも2本の大戦略、プーペガールDS2による四つ巴の戦いが繰り広げられたが、
どれもベクトルが違う最大限のクソという中、バグもないのに難易度という1点のみでプレイヤーの意欲を完全に削ぎ落とす姿勢が評価された。
無論、次点7本も今年最高峰のクソゲーであることは言うまでもない。

今年は、夏の魔物と年末の魔物両方が襲来した年となった。
来年こそは、魔物及びクソゲーが登場しないことを祈りたい。
また、2月にはニンテンドー3DS、年末にはNGPが発売される。
こちらから、新機軸のクソゲーが登場しないことをこれもまた祈りたい。

最後に、発売元のドラスに、言葉を添えて、今年のKOTYを締めくくることとする。

「ブロックの前に、プレイヤーのハートをクラッシュさせて、どうするんですか?」
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*2010年総評案2(プーペガールDS2) [#b238912d]
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2009年に訪れたエロゲーからの黒船「戦極姫(システムソフト・アルファー)」によって
持たされた混乱も冷めやまぬ2010年はまさに幕末の様相を呈していた。

まず、2009年大賞決定の直後現れたのは「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜
(システムソフト・アルファー)」である。

またSSαかと、突っ込みが入りまくった本作だが、UI及びシステムが不親切極まりなく検証は困難を極めた。
揚陸艦から港以外の陸地に部隊を揚陸させる方法が分かるまで、数カ月もの時間を要したという事実一つとっても、どれだけ不親切か分かるだろう。
そのほか、同じマスに入っている部隊は必ず一番上の部隊のみ表示されるため、カーソルを合わせないと下にどんな部隊がいるのか分からない。
マップ上で見ることができる簡易ユニットデータでは、武装の射程・弾数・タイプしか分からずどれに何が効くか丸暗記するしかなく、そのタイプすら「全E」等意味不明で、軍事関係に詳しい人間でも意味が分からず首をひねるありさまだった。
また、空母から艦載機を出撃させるには港に止まっていなければならなかったり、ソートした後に選択するとソート前にそこにあった部隊が選択されたり、特定条件の補充でフリーズしたりという超展開が続く。
そうでなくてもAIが遅すぎスタート直後では1陣営1分前後かかり、最大5陣営5分間もプレイヤーは何も出来ない。

加えて「崩壊しているのは、軍事バランスではなくて、作った奴の精神だ」と言いたくなるシステムは、シナリオまで浸食していた。
シナリオ中いくつかの箇所に分岐チェックがあり、その分岐条件を満たすと、分岐シナリオに突入する。
問題なのは、分岐シナリオ開始後にも分岐チェックがあり、ちゃんとシナリオをこなしていると再びチェックで分岐シナリオの頭に戻り、延々同じシナリオを繰り返させられる点だ。
それを回避するには、分岐後にすべてのフラグを回避するために友好度を下げるしかない。
つまりそれは戦闘開始した直後に降伏して負けまくることである。
「土下座外交」と呼ばれたこの戦略でしかクリアできない。戦略シミュレーションをやっているのに戦ったらクリアできないなんてバカな話があるだろうか。

このほか、一部の勢力はほうっておいても勝てる。ゲームとしての根本から成立していないとしか言いようがない。

そして間髪入れず6月に「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜(システムソフト・アルファー)」が投入される。
もう、いい加減にしてくれという叫びも届かず、再びSSαの大戦略である。

カーソルの移動にすらローディングが入り、小窓で確認するのも億劫という、情報の多いシミュレーションゲームでは致命的なUI。いつでもどこでも起こるフリーズ。
1勢力数分という思考時間の遅さ完備というSSα仕様をパーフェクトに進化させた作品だ。
戦闘機などの大きなカテゴライズで一緒ならアイコンも一緒という仕様は敵味方入り混じると状況判断すら困難になる。
また、大量のバグも完備。
特に本作の特徴である好きなユニットを集めてを編成し、オリジナル部隊として各マップを転戦して鍛えていける「マイ部隊」は、自軍として設置したはずなのに敵として出てくる時がある。
もしそれが首都で、マイ部隊が占領可能だったら、戦闘フェイズはもう終了しているので次の瞬間に首都が陥落してしまい負けてしまうこともあり得る。
突然現れる謎の部隊は敵化したマイ部隊だけではない。味方の生産施設に名無しの部隊が配置されることもある。
これもトラップで、何だろうと確認した瞬間にゲームが落ちる地雷部隊なのだ。選択したら落ちるので、攻撃して排除することもできず指をくわえてみているしかない。

また、クリア時一部隊内の残ユニット数が次のユニット上限になるというバグも存在する。
つまり、最初最大ユニット数が10の部隊が残ユニット数1の状態でクリアすると、次のマップの最大ユニット数は1になってしまうのだ。このため敵首都目前で回復タイムに入るというよくわからない戦略を要求される。

回復して、首都を落としても安心はできない。
ステージクリア時に持ち越せる部隊は100部隊までなのだ。しかも、ソート機能などというものは搭載されていないうえ、一度選ぶとキャンセルできない。間違った部隊を選択したら最後、苦労して育てた精鋭部隊を捨てなければならないわけだ。
ゲームとしては基本的に高難易度だが、マップモードでは兵器カスタムでゲームバランス無視の超兵器を生産でき、キャンペーンモードではプレイヤー変更という機能を使うと、プレイヤーは敵側の操作も可能だ。
これらのシステムのおかげで、プライドさえ捨てれば、比較的簡単にゲームを進める事はできるが、もはや敵と戦ってるのか仕様と戦っているのか己と戦っているのか分からなくなる怪作である。

以上の二つは、シミュレーションというカテゴリと説明不足もあり、実際の兵器を知ってないと分からないところなどバグか仕様か分からないところも多く現時点でも問題を洗い出せたとは言えない。
また、SSαにクソゲー界は席巻されるのか。
そんな流れに反発するように、7月にシンプル方向に特化したゲームが発売される。
「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!(ドラス)」だ。

ハローキティと聞いて女児向けかと思いきや、大きなお友達向きなイラストレーターにキティラーを描かせたという、どちらかといえばオタク向けな作品で、ゲームジャンルとしてはブロック崩しに分類される。

このゲームにはバグらしいバグは現時点では見つかっていない。
一部、バーやブロック、そして敵に当たった球がとんでもない角度で落ちてくることがあるが、角に当たった時の挙動としては許せないわけではない。

しかし、それらが許せなくなるほど難易度が高いとしたらどうだろう。
バーの移動速度が遅く慣性がついているために、これらのイレギュラーに対処できないのだ。
そして、悪意に満ちた面構成。前半はそうでもないが、後半は作者の悪意が見えてくる。ひたすら小さなブロックが敷き詰められていたり、硬いブロックをバーの目の前に並んでいるなんて当たり前。
砲弾が飛び交う中、動き回る敵に50発当てろとか、砲弾の間隔が自機のサイズより狭い面、一度当たると回転するブロック6個を指定された向きに揃える面、暗闇の中で弾幕をよけながらブロック崩し(もちろん敵弾は暗闇の中では光らない)等の鬼畜ステージが待っている。
この鬼畜さゆえに、スレ内では「覇王鬼帝」や「HELL o' 鬼帝」等と呼ばれ、AAが作られた今では携帯KOTYスレのマスコットの座を手に入れている。

しかし、クリアできないわけではない。
このゲームではアイテムがよく出てくる。そのアイテムの出方次第では難易度がぐっと下がるときがある。
たとえば貫通弾や1upがうまく出まくってくれれば、だいぶ楽になる。
それでも、「ここでわざと死んで、球の位置を調整する」などというテクニックを多用しなければならないあたり、鬼畜としか言えないが、それでもクリアできる。
逆にマイナスアイテムも多く、それらに当たってしまえば移動がさらに遅くなったり、バーが信じられないほど短くなりワンミスがほぼ確定する。
早い話、運ゲーである。
先ほどの回転するブロックを並べる面など、リセットを繰り返してある程度揃えなくてはクリアできない。
普通は「運の要素があってもテクニックがあればクリアできるようになっている」のがゲームのはずだが、これは「運とテクニックの両方がないとクリアできないようになっている」のである。

そんな理不尽な難易度。それがこのハローキティといっしょであり、そういう意味では昔ファミコンでよくあった従来の意味でのクソゲーに近いかもしれない。
しかし、このハローキティといっしょにはもう一つ罠がある。
苦労してクリアしてもあまりうれしくないのである。
大きなお友達向けなのだからクリアしたらムフフな絵が拝めると思うかもしれない。しかし、このゲームで使用されている絵はすべて既出であり、ホームページで公開されている(もちろんムフフではない)。
エンディングはおろかスタッフロールすらない。そして、PSP用のテーマもPSNストアにて各50円で売られている。
このゲームをやって得られるものは何もないといっても過言ではないのだ。

また前記の大戦略とは違い、手軽にクソゲーを楽しめるということもあって一部で妙な流行があったことも特筆すべきだろう。
そうしてプレイした誰もがクソゲーと確認しているのに、なぜか他人に薦め、薦められたほうも何故か購入していく様は、一種のカルト宗教のようであり、まさに帝王の名にふさわしいとしか言いようがない。

そして、8月に入るとスレにひと時の平和が訪れる。
もちろんスレ内では何人もの人間がハローキティの魔力に吸い込まれていったり、大戦略DSで揚陸艦の使い方がやっと判明したりというトピックがなかったわけではないが、新しいKOTY級のクソゲーが現れることはなく、有力視されていた前回二冠王覇者「戦極姫2〜百華、戦乱辰風の如く〜(システムソフト・アルファ)」も「致命的なバグはなくSSαにしてはまとも」という評価で選評が上がることはなかった。
そして、12月も半分が過ぎ、もうノミネートはないだろうと思い始めたころ、やはり魔物は現れた。
「どんだけスポーツ101(スターフィッシュ・エスディ)」と「プーペガールDS2(アルヴィオン)」である。

まず、タイトルからして嫌な予感しかしない「どんだけスポーツ101」だが、一言で言うと
一本の低予算ゲームを101倍に薄めたミニゲーム集である。
何故こんなに入れなければならなかったのか疑問に残る。
まず、起動直後。スポーツ選択画面では左右にスライドさせて選ぶのだが、3つまでしか表示できない。
この時点でクソゲーをつかまされたと分かるシステムも珍しい。

そしてゲーム内容はすべて微妙でどうしてそうなったのか分からないものばかりだ。
難易度調整がおかしいものが多く、「操作性が悪いのに相手が弱くて勝てた」という間違った方向でゲームバランスがとられていて、やりがいとか面白さとは無縁の存在になっている。

更に、ゲームも対象のスポーツを理解しているのか謎なものも多く、敵も味方もいない孤独な「カーリング」や、トスだけで成立する「バレーボール」。コースのひび割れを避ける「スケルトン」などミニゲームに落とし込むにしてももう少しやりようがあっただろうと思うものばかりである。
中には、サーブをクロスに打たなくてもいい「テニス」等、ルールを知っていると逆に戸惑うものまであり、ユーザーは現実世界とのかい離に悩むことになる。
またGoogle先生に聞かないと存在するかどうかも分からない超マイナースポーツも多く、そんなものまで超ルールを適用されると元のスポーツがどんなものかも分からなくなる。

101個もゲームがあるので「次こそは遊べるゲームかもしれない」とついやってしまうが、そのすべては裏切られる。
アカギという麻雀漫画で「焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」というセリフがあるが、このゲームはまさにそれで、プレイした人間は次もたぶんダメだろうと思いながらも、「もしかしたら」という希望で身を焼き続けた。

もちろん、101種のゲームをクリアしたところで、このゲームに希望なんてない。


大トリとなったプーペガールは、ゲームジャンルとしては女の子から大人の女性まで幅広く遊べる着せ替えゲームで、可愛い服さえ着せることができて、その衣装で自己主張できれば一定の評価が得られるはずのジャンルである。

しかし、このゲームはデバッグをしたとかしていないかというより、まだプログラミング中だったのではないかと思わせる出来で、着替え画面で拡大するとフリーズ、拡大しなくてもポリゴンが崩れたり、付けたはずのアクセサリーが付かなかったりする。
UIが不親切で着せ替えるのも一苦労。さらにレシピ保存機能を兼ねたスナップショットは最新30個までしか保存されず、収入のためにスナップショットを撮るとレシピが消えてしまい、友人に見せるには再びこの不親切なUIと格闘することになる。
それだけならまだしも、ROMカートリッジにもかかわらずロードが多発する。

一定期間ごとに開催されるはずのファッションショーが一度きりで以後開催されなかったり、報酬が0リボン(リボンというのは、このゲームでの仮想通貨)になってしまったりする。

このファッションショー問題は後日仕様だったことがメーカーからメールで告知されるが、仕様だとすると意図的に行ったということであるが、その意図は全く分からない。
序盤に一度しか行われない報酬0のファッションショーに何の意味があるというのだろうか。
また同時に沢山の人からファッションショー開催のお知らせが来る意味も分からない。

ともかく、この報酬0の自称仕様からも分かるように、この作品の報酬は全体にわたって非常に少ない。
スナップショットで一回25リボン(一日5回)。一週間に一度のコンテストに優勝できれば200リボン。着替えた状態で街を歩いてステキと言ってもらえると一回5リボン(週末清算)。
これで、後半1つ5000リボンもするアイテムを購入していかなければならない。
早い話、千人近い人にステキと言ってもらえないと、後半はアイテム一つ買えないのだ。
いくらみんなにステキと言って欲しいオシャレ好きでも、これには耐えられず、本スレでは「ステキ集めの苦行」と呼ばれ、修行僧が托鉢の行でもやっているかのような扱いになった。

こんな酷い収支バランスだが、さらに追い打ちがかかる。
なんと22時間プレイ報酬で、何を間違ったのか-15536リボンもらえるのだ。
その時がくると、まるで小学生が「マイナス一個あーげた」と言うような勢いで15536リボンも奪われてしまうのだ。
その結果、所有リボン数がマイナスになった状態で外に出るとフリーズする。
これはプレイ報酬なので100%発生するだけでなく、画面にも「-15536リボン」と表示されているので22時間プレイしなくても分かる。
明らかにデバッグしていない。
このバグは只でさえ資金難気味の、このゲームを更に酷いものにする。

メーカーはバグの対策として「おとしだま」等の明らかに後日公開してユーザーサービスするつもりだったコードを大量に公開して金銭難対策を行ったが、問題の根本はリボンの収支バランスが崩壊していることであり、それらの問題の解決できない以上、リボン不足は解消されるわけがなく、焼け石に水としか言いようがない。
また、コード認識部分にも問題があるらしく、コードを受け付けないという報告も多数されている。

この金銭難に対応するには、プレイヤーはひたすら自分のスナップショットを撮り、ステキを集めてわずかなリボンを稼ぎ続けるしかないのだが、スナップショットは着替えなくてもいいし、大量のステキを集めなくてはならないため、着替えを楽しむ余裕などなく、ひたすら同じ服の写真を撮り、着替えフラグのためアクセサリー一つ付け替えて街を歩きまくるという、もはやお着替えソフトでもなんでもない別の何かと化してしまっている。

その他、確実に発生するわけではないが、家か出る事が出来なくなるバグも報告されていて、気づかずにセーブした場合、データを初期化してやり直すしかないという地雷すら完備している。
もちろん、集めたアイテムもリボンもステキも全部パーだ。
諸行無常にもほどがある。

以上が本年の流れである。
本年は例年以上にハイレベルで、バグゲー、高難易度ゲー、超うす味ゲーと幅広く、選考は難しかった。
正直、どれが大賞をとっても皆が納得するであろうほど、ひどいものが揃っている。
非常に難しい選考を重ねた結果、見事2010年のクソゲーオブザイヤーに輝いた作品は、「プーペガールDS2」である。

このゲームが選ばれた最大の理由は、ゲームをつまらなくする問題の数々である。

お着替えが目的のソフトがお着替えで多くの問題を抱えている。いつバグるかわからないので、着替えを楽しむことができないし、着替える意味もない。
ひたすらスナップショットをとって、アクセサリー一つ取り替えて街を歩けばいい。
これでファッションを楽しめというのはかなりの無茶振りだ。

報酬と支出のバランスが崩れているうえに、数々の問題は収支バランスを悪い方向にしか傾けない。
その為、着替えを楽しめないばかりでなく、それを延々続けさせられる。
つまり、ゲームバランスが非常に悪いのだ。

同じようにゲームバランスが悪いものにキティが存在するが、両者には決定的な違いがある。
それは、キティは「運とテクニックの両方が無いとクリアできない」であり、プーぺガールは「着替えすら無視して、ひたすら作業を続けなければいけない」ということである。
両者ともプレイヤーのプレイ回数を増やし、薄いゲーム内容を間延びさせる効果があるが、キティは完全な運ゲーではなく、テクニックも必要だ。
つまり、ゲームを進めれば賞賛されるのだ。
キティに突撃する人間が多いのはまさにこれで、クソゲーをクリアしたという賞賛が期待できる点でワクワク感があり、手軽さも手伝って、そこに突撃したと分析出来る。
対して、プーぺガールは誰でも出来る作業であり、賞賛されたとしても暇人であることを称えられるにすぎない。
本来は、友達に見せて、その服装センスの良さを讃えてもらうということを期待できたのだが、過去スナップショットは問答無用消去というその仕様からそれも難しい。 
そういう点で「どちらがより楽しめないか」という点で見るとプーぺガールが一歩先を行っていると 評価された。

同じようにどんだけスポーツも「次のゲームは楽しいかも」というワクワク感があり、 そのことごとく裏切られるにせよ、プレイ中に希望を持てるが、ショップでどんなアイテムがあるかが見えているプーぺガールにはそれがなく、着替える暇も惜しんで延々資金稼ぎに明け暮れなければならない。
どちらもゲーム後につまらないと思うなら、ゲーム中にワクワク感がなかった方を選ぶのは 仕方ないと言える。 

続いて両大戦略との比較だが、実は大戦略もかなり酷い。
 無限ループや育てたマイ部隊が敵になるなど、心を折ってくるバグが襲う。しかし、大量のバグを作ったSSαも「画面を開いただけで、どうミスしたのか分かる」バグを 放置するようなことはやらなかった。 
プーペガールより大量のデータを使うにも関わらず、である。 
また、大戦略はボリュームが大きく、それゆえ攻略が大変なのだが、土下座外交やプレイヤー変更、 超兵器という具合に抜け道があり、それらがいいか悪いかは別にして救済措置になっている。
だが、プーペガールにはそのような救済措置はなく、ひたすらプレイ時間を伸ばすためだけが目的の低賃金体制が続く。 
本来過度な救済措置はゲームの面白さを減少させるのだが、クソゲーの場合はクソさを減少させる 方向へと働く。
やはり、同じ程度のクソならば救済措置がないほうが酷いと考えるのが妥当だと判断した。 

以上が選定理由である。

もちろん、今年のノミネート作はどれも大賞を推したくなるような出来栄えで、正直、他の候補作を切るのは断腸の思いだった。
しかし、この5つの中で唯一このゲームだけ、ゲームとしての体裁が破たんし楽しめる根本の部分が壊れていることが、他のゲームに対し一歩リードさせる結果となった。

振り返ってみれば、2010年は激動の一年だった。
新年の時点で前年の覇者SSαが発売ラッシュを仕掛けてくることが予定表に組み込まれていて、 例年だったら「去年ほどのクソゲーは生まれないのではないか」という不安から始まるKOTYが年初から「今年もSSαに取られるのか」という危惧で始まるという異常事態からスタートした。 

しかし、ふたを開けてみれば実際にSSαから強力なソフトが複数出たものの、ハローキティ、どんだけスポーツ、そしてプーペガールという勝るとも劣らない強力なソフトたちが駆け付け、互角以上の戦いを見せてくれた。 
これらを見ると、世の中にクソゲーの種は尽きることがないのだと悪い方向で胸が熱くなるのを感じさせた。

最後に、今回受賞したプーペガールDS2に次の言葉を送り、締めくくりたい。
「残念。PoupeegirlはPoopgirlになってしまった」
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*2010年総評案2.5(プーペガールDS2) [#z6a9286e]
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2009年に訪れたエロゲーからの黒船「戦極姫(システムソフト・アルファー)」によって持たされた混乱も冷めやまぬ2010年はまさに幕末の様相を呈していた。

まず、2009年大賞決定直後現れたのは「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜(システムソフト・アルファー)」である。

またSSαかと、突っ込みが入りまくった本作だが、UI及びシステムが不親切極まりなく検証は困難を極めた。
揚陸艦から部隊を揚陸させる方法が分かるまで数カ月もの時間を要したという事実一つとっても、どれだけ不親切か分かるだろう。
UI周りでは同じマスに入っている部隊は一番上の部隊のみ表示されるため、カーソルを合わせないと下にどんな部隊がいるのか分からず、マップ上で見ることができる簡易ユニットデータでは、どれに何が効くか不明で相性を丸暗記するしかない。
更に、空母から艦載機を出撃させるには港に止まっていなければならず、ソートした後に選択するとソート前にそこにあった部隊が選択されたり、特定条件の補充でフリーズしたりという超展開が続く。
そうでなくてもAIが遅すぎ最大5分近くプレイヤーは放置される。

シナリオもおかしい。
シナリオ中いくつかの箇所に分岐チェックがあり、その分岐条件を満たすと、分岐シナリオに突入するのだが、何故か分岐後にもチェックがあるため、それに引っかかると再び分岐シナリオの頭に戻り、延々同じシナリオを繰り返させられる。
回避するには、分岐後に全てのフラグを破棄するため、降伏して負け続ける「土下座外交」しかない。
戦略シミュレーションをやっているのに戦ったらクリアできないなんてバカな話があるだろうか。

そして6月。再びSSαから「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜(システムソフト・アルファー)」が投入される。

カーソル移動にすらローディングが入り、小窓で確認するのも億劫という致命的なUI。どこでも起こるフリーズ。1勢力数分の思考時間というSSα仕様をパーフェクトに進化させた作品だ。
バグも多く、ユニットを編成し、各マップを転戦して鍛えていける「マイ部隊」は自軍として設置したはずなのに敵として出てくる時がある。
もしそれが首都で、マイ部隊が占領可能だったら、戦闘フェイズはもう終了しているため次の瞬間に首都が落され負けてしまうこともあり得る。
他にも味方の生産施設に名無しの部隊が配置されることもある。これもトラップで、確認した瞬間に電源が落ちる地雷部隊なのだ。選択できないので、攻撃して排除することもできない。

また、クリア時一部隊内の残ユニット数が次のユニット上限になるというバグも存在する。
つまり、最大ユニット数10の部隊が残ユニット数1の状態でクリアすると、次のマップの最大ユニット数が1になってしまうのだ。このため敵首都目前で回復タイムに入らなければならない。
回復して、首都を落としても安心できない。
ステージクリア時に持ち越せる部隊は100部隊までで、ソート機能などというものは搭載されていないうえ、一度選ぶとキャンセルできない。間違った部隊を選択したら最後、苦労して育てた部隊を捨てなければならない。
ゲームは基本的に高難易度だが、ミニマップでは兵器カスタムでゲームバランス無視の超兵器を生産でき、キャンペーンではプレイヤー変更という機能を使うと敵側の操作も可能。
これらのおかげで、プライドさえ捨てれば、比較的簡単にゲームを進める事はできるが、もはや敵と戦っているのか仕様と戦っているのか己と戦っているのか分からなくなる作品だ。

そんな大物二体が暴れまわる中、7月に一本のゲームが発売される。
「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!(ドラス)」だ。

キティと聞いて女児向けかと思いきや、大きなお友達向けのイラストレーターにキティラーを描かせたという、どちらかといえばオタク向け作品で、ジャンルとしてはブロック崩しに分類される。

このゲームにはバグらしいバグはない。
バーやブロック、そして敵に当たった球がとんでもない角度で落ちてくることがあるが、角に当たった時の挙動としては許せないわけではない。
しかし、それらが許せなくなるほど難易度が高いとしたらどうだろう。
バーが滑る上に遅いので、これらのイレギュラーに対処できないのだ。
そして、悪意に満ちた面構成。前半はそうでもないが、後半は作者の悪意が見えてくる。
砲弾が飛び交う中、動き回る敵に50発当てる面、砲弾の間隔が自機のサイズより狭い面、一度当たると回転するブロック6個を指定された向きに揃える面、暗闇の中で見えない弾幕をよけなければならない面等の鬼畜ステージが待っている。
この鬼畜さゆえに、スレ内では「覇王鬼帝」や「HELL o' 鬼帝」と呼ばれ、今ではAAが携帯KOTYスレのマスコットの座を手に入れている。
しかし、クリアできないわけではない。
このゲームではアイテムがよく出てきて、その出方次第では難易度が驚くほど下がるときがある。
早い話、運ゲーである。
運がいい時にテクニックを総動員してやっとクリア出来る。
普通は「運の要素があってもテクニックがあればクリアできるようになっている」のがゲームのはずだが、これは「運とテクニックの両方がないとクリアできないようになっている」のである。

また、このゲームにはもう一つ罠がある。
大きなお友達向けなのだからクリアしたらムフフな絵が拝めると思うかもしれない。しかし、このゲームで使用されている絵は全て既出であり、ホームページで公開されている上、ムフフではない。
エンディングはおろかスタッフロールすらなく、PSP用のテーマもPSNストアにて各50円で売られている。
このゲームをやって得られるものは何もないといっても過言ではない。

また手軽にクソゲーを楽しめるということもあって一部で妙な流行があったことも特筆すべきだろう。
プレイした誰もがクソゲーと認識しているのに、なぜか購入していく様は、一種のカルト宗教のようであり、まさに帝王の名にふさわしいとしか言いようがない。

そして、8月に入るとスレにひと時の平穏が訪れる。
もちろんスレ内では何人もの人間がキティの魔力に吸い込まれていったり、大戦略DSで揚陸艦の使い方がやっと判明したりとトピックがなかったわけではないが、新しいクソゲーが現れることはなく、スレは平和を満喫する。
だが、12月も半分が過ぎ、もうノミネートはないだろうと思い始めたころ、やはり魔物は現れた。
「どんだけスポーツ101(スターフィッシュ・エスディ)」と「プーペガールDS2(アルヴィオン)」である。

タイトルからして嫌な予感しかしないどんだけスポーツだが、一言で言うと一本の低予算ゲームを101倍に薄めたミニゲーム集である。
まず起動直後のスポーツ選択画面では左右にスライドさせて選ぶのだが、3つまでしか表示されない。この時点でクソゲーをつかまされたと分かるシステムも珍しい。

そしてゲーム内容は全て微妙。
難易度調整がおかしいものが多く、「操作性が悪いのに相手が弱くて勝てた」という間違った方向でゲームバランスがとられていて、やりがいとは無縁の存在になっている。
ゲームも対象のスポーツを理解しているのか謎なものも多く、敵も味方もいない孤独な「カーリング」や、トスだけで成立する「バレーボール」、コースのひび割れを避ける「スケルトン」等ミニゲームに落とし込むにしてももう少しやりようがあっただろうと思うものばかりである。
中には、サーブをクロスに打たなくてもいい「テニス」等、ルールを知っていると逆に戸惑うものまであり、ユーザーは現実世界との乖離に悩むことになる。
またGoogle先生に聞かないと存在するかどうかも分からないマイナースポーツも多く、そんなものにまで超ルールを適用されると元のスポーツがどんなものかも分からなくなる。

101個もゲームがあるので「次こそは遊べるゲームかもしれない」とついやってしまうが、その全ては裏切られる。
アカギという漫画で「焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」という台詞があるが、このゲームはまさにそれで、プレイした人間は次もたぶんダメだろうと思いながらも、「もしかしたら」という希望で身を焼き続けた。
もちろん、全てのゲームをクリアしたところで、このゲームに希望なんてない。

大トリとなったプーペガールは、女の子から大人の女性まで幅広く遊べる着せ替えゲームで、可愛い服さえ着せられ、その衣装で自己主張できれば一定の評価が得られるはずのゲームである。

しかし、その内容は、まだプログラミング中だったのではないかと思わせる出来で、着替え画面で拡大するとフリーズ。拡大しなくてもキャラが崩れ、付けたはずのアクセサリーが付かなかったりする。
UIが不親切で着せ替えるのも一苦労。さらにレシピ保存機能を兼ねたスナップショットは30個までしか保存されず、新しいスナップショットを撮ると古いものから消えてしまい、友人に見せるには再びこの不親切なUIと格闘することになる。

一定期間ごとに開催されるはずのファッションショーが一度きりしか開催されなかったり、報酬であるリボンが0になってしまったりする。
この問題は後日仕様だったことがメーカーからメールで告知されるが、序盤に一度しか行われない報酬0のファッションショーに一体何の意味があるのか不明だ。

とにかく、この作品の報酬は非常に少ない。
一日5回できるスナップショットは一回25リボン。一週間ごとのコンテストに優勝できれば200リボン。着替えた状態で街を歩いてステキと言ってもらえると一回5リボン。
ちなみに後半のアイテムは1つ5000リボンもする。
早い話、千人近い人にステキと言ってもらえないと、後半はアイテム一つ買えないのだ。
しかも、このソフトはROMカートリッジにもかかわらずロードが多発する。
いくらみんなにステキと言って欲しいオシャレ好きでも、これには耐えられず、本スレでは「ステキ集めの苦行」と呼ばれ、托鉢の行に耐える修行僧のような扱いとなった。

さらにこの金銭難に追い打ちをかけるように22時間プレイ報酬で-15536リボンもらえる。
まるで小学生が「マイナス一個あーげた」と言うような勢いで15536リボン奪われてしまい、所有リボン数がマイナスになった状態で外に出るとフリーズする。
これは100%発生するだけでなく、画面にも「-15536リボン」と表示されているので22時間プレイしなくても分かる。
明らかにデバッグしていない。

メーカーは対策として「おとしだま」等の明らかに後日公開するつもりだったコードを大量に公開したが、コード認識部分にも問題があるらしくコードを受け付けないという報告が相次いだ。

その他、発生率は低いが、約束を実行しないと進まないのに友達が約束をすっぽかすバグも報告されていて、気づかずにセーブした場合、初期化してやり直すしかない。
諸行無常にもほどがある。

以上が本年の流れである。
本年は例年以上にハイレベルで、選考は難しかった。
正直、どれが大賞をとっても皆が納得するくらい、ひどいものが揃っている。
非常に難しい選考を重ねた結果、見事2010年クソゲーオブザイヤーに輝いた作品は、「プーペガールDS2」である。

このゲームが選ばれた最大の理由は、その製品レベルの低さである。

本作はお着替えシールに出来ることがではできてない。
本来お着替えゲームというのは、シールのように画像の重ね合わせさえ出来れば、一定の評価が得られるジャンルなのだが、それすらできていないというのは驚愕に値する。

数々の問題は、α版というより試作段階のような挙動で、大事な部分を全部後回しにしてとりあえず動くようにしたようにしか見えない。

また、ゲームバランスも基本コンセプトの時点で大きく間違っていて、ひたすら同じ服の写真を撮り、アクセサリー一つ付け替えては街を歩きまくることを要求するそれは、本作をお着替えソフトではない別の何かへと変貌させてしまっている。

以上の点が評価され、他の候補作品よりわずかに押し上げる結果となった。

もちろん、今年のノミネート作はどれも大賞に推したくなるような出来で、正直、他の候補作を切るのは断腸の思いだった。
しかし、SSαは悪く見積もってもα版クラスの製品レベルには達しており、ゲームバランスが酷いキティも別の何かになってしまうほどではなく、どんだけスポーツもステキを集めるため街を徘徊し続けるよりはゲームを楽しめる。

以上の点で、非常に僅差ではあるがプーペガールが2010年のクソゲーオブザイヤーにふさわしいと判断した。

振り返ってみれば、2010年は激動の一年だった。
新年の時点で前年の覇者SSαが発売ラッシュを仕掛けてくることがわかっていて、例年なら「去年ほどのクソゲーは生まれないのではないか」という不安から始まるKOTYが「今年もSSαに取られるのか」という危惧で始まるという異常事態からスタートした。

しかし、蓋を開けてみれば実際にSSαから強力なソフトが複数出たものの、ハローキティ、どんだけスポーツ、そしてプーペガールという強力なソフトたちが駆け付け、互角以上の戦いを見せてくれた。
これらを見ると、世の中にクソゲーの種は尽きることがないのだと悪い意味で胸が熱くなるのを感じた。

最後に、今回受賞したプーペガールDS2に次の言葉を送り、締めくくりたい。
「残念。PoupeegirlはPoopgirlになってしまった」
}}

*2010年総評案3(ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!) [#m3083f6f]
以下の文章はどう扱おうと自由です。
ただし、ここへの上書きはご遠慮下さい。
#aapro{{
2010年ワールドカップ南アフリカ大会で日本代表チームの奮闘により、列島が熱狂に包まれた。
だが光あるところに闇もまたある。クソゲーのチャンピオンを決定する戦いが、ひっそりと世間の片隅で行われていた。
携帯ゲーム板クソゲーオブザイヤー2010の開幕である。

それでは早速、厳しい選考を勝ち残ってきた代表達を紹介しよう。
まず選評が届き候補に名乗り出たのは、ドラスが販売した「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。
一見女児向けのゲームかと勘違いしてしまいそうだが、
キティちゃんを愛する超キティラーと呼ばれる女性キャラクターを人気イラストレーター達に描いてもらう、
「ハローキティといっしょ!」という企画の一環で、
どちらかと言えば大きいお友達向けのブロック崩しゲームである。
萌え絵を見てもらうだけで良かったはずだったこのゲーム、予想外にぶっ飛んでいた。

ボールがブロックに斜めに当たったのに垂直に落下してくる、
パドルの端でボールを拾ったはずなのに下へ落っこちてミスになる、
という物理法則的には正解だが、ブロック崩し的には不正解の斬新な仕様である。
ボールの挙動が予測しづらいのに加え、パドルの移動速度が遅い上に慣性が付き難易度がやたらと高い。

ステージ構成もかなり力が入っていて、
常人では反応できない速度でボールを跳ね返す反射ブロックが配置される、
その反射ブロックがパドルの真上に配置される、
弾幕を張る砲台ブロックが存在して最早シューティングゲーム、
ボールとパドル周辺以外が暗闇で隠される、
もちろん敵弾も隠される、
という風に色々と間違った仕掛けでプレイヤーを殺す気満々である。
最難関ステージに至っては「乱数調整をしてようやく一筋の光が見えてくる」と報告されるほどの鬼畜難易度で、
どうやらこのキティさん手加減というものを全く知らないらしい。
ちなみに、大きいお友達が求めるメインのイラストは全て既出な上に、
PSストアにて1枚50円でダウンロードも可能であると付記しておく。

続いて選評が届いたのは、昨年の王者システムソフト・アルファーが放つ「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊」である。
発売自体はハローキティよりも半年近く早かったのだが、
バグによりシナリオが無限ループしてクリア不能となり
選評が遅れたという曰く付きの作品であった。
上級プレイヤーがなんとか突破方法を発見してこうしてノミネートに漕ぎ着けた。
これだけでも充分な要素であるが、インターフェースの劣悪さやバグの多さも酷い。
敵側思考時間も最大5分と、セガサターン時代を彷彿させる。
ユニットを全く動かさなくてもクリアが可能なステージも存在し、
崩壊しているのは軍事バランスではなく、ゲームそのものだったのではないかと声を大にして言いたい。

そして、SSαの連撃「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者」の選評が届く。
インターフェースや敵思考時間はDS版と同じく劣悪。
そしてこちらもバグが多い。突然発生するフリーズは当たり前。
マイ部隊というプレイヤーオリジナル部隊が敵として登場したり、
脈絡も無く自国生産施設に謎の部隊が出現したり、
それを確認しようとするとPSPの電源が落ちたり、
とにかく進行に関わるバグが盛り沢山である。
再びKOTYの覇者になるべく、パーフェクトなクソゲーを送り込んで来たということなのだろうか。

クソゲーオブザイヤーでは年末に魔物が潜む。
使い古された言い回しではあるが、今年もやはり魔物が我々を待ち構えていた。それも2匹も。
1匹目はファミ通クロスレビューにて5・6・4・3計18点という素晴らしい低得点を見事に叩き出した、
スターフィッシュ・エスディ販売の「どんだけスポーツ101」である。

海外ゲームのローカライズ版であるこの作品、
世界のスポーツ101種類を1本のソフトに集めたゲームだ。
101種類もあるという事で、メジャーなものから、
Google先生に聞かないと分からないマイナースポーツ、
これがスポーツなのかと小一時間問い詰めたくなるようなものまで幅広く網羅している。
問題は101種類どれもが携帯アプリゲームの出来損ないレベルで、
どれもが果てしなく面白くないという事であった。
その上、スポーツのルール無視や物理法則の無視も割と平然と行われる。
種目を選ぶインターフェースも悪く、ゲームルールの説明もいい加減な場合がありイライラが増幅される。
兎にも角にもつまらない、それが101個も揃ってまさに数の暴力。
小さいクソをどんだけ積み重ねても、結局は大きいクソの塊にしかならないという好例であろう。

もう1匹の魔物はアルヴィオンが開発販売の「プーペガールDS2」であった。
女性向けファッション着せ替えSNS「プーペガール」のDS版の第二弾。
前作はスレで名前すら出なかったが、残念ながらこうしてノミネート作として名を連ねた。
ゲーム内通貨のリボンを貰えるはずのファッションショーに出場しても全く貰えない、
一定期間ごとに開催されるはずのファッションショーが1回しか行われない、
22時間プレイしたご褒美が何故かリボン-15536、
それでリボンのトータルがマイナスになってしまったら事実上進行不能。
その他にも数えきれない程のバグが発覚し、作品本スレでは怨嗟の声が鳴り響いた。
その他にも数えきれない程のバグが発覚し、作品本スレでは怨嗟の声が響き渡った。
メーカー側も流石に上記22時間バグには機敏に対応。リボンを大量に貰えるパスワードを公開した。
しかし、一部ユーザーは正しく入力してもエラーとなってリボンを全て獲得しきれず、残念ながら完璧な救済措置とはならなかった。
早急な対応は良かったものの、何ともお粗末な顛末を披露してくれた。

以上5本のソフトがクソゲー頂上決戦へ出場する代表選手に選ばれた。
どの作品もそれぞれが違うベクトルに突出していて丙丁付け難く、大賞選出は非常に困難を極めた。
度重なる議論の末に大賞へ選ばれたのは、「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」である。
このゲームはボールとパドルがフリーウェアのブロック崩しゲームよりも動きが悪く、
それなのに高難度と理不尽を履き違えたステージを設計してしまい、
従来のブロック崩しとは一線を画する独自規格のせいでボールとパドルの扱いに、より細心の注意が必須となる。
それだけでも難易度が高いのに加えて、高難度と理不尽を履き違えたステージに設計されていて、
「最高のテクニック」と「最高の幸運」を同時に要求される凶悪無比なものに仕上がっている。
ビデオゲーム黎明期から既に確立されている定番ジャンルでありながら、見事にクソゲーへ転落してしまった事が大きく評価された。
また、ゲームクリアのご褒美であるイラストが廉価で購入可能という事で、キャラゲーとしても崩壊しているのも見逃せない。
また、大きいお友達が求めるメインのイラストは全て既出な上に、
ゲーム内で貰える絵よりも汎用性が高いものをPSストアにて1枚50円で購入可能であり、
キャラゲーとしても崩壊しているのも見逃せない。
そして、他の候補作と比較してみてもステージセレクトやリトライ時のロード時間等のシステム周りが作り込まれていて、大きなバグがほとんど見当たらない。
これが揃っていない他候補作品は、乱暴な言い方をすれば製品として未完成状態であり、
きちんと完成させて一段高いレベルに達しているのにも関わらず、他作品に勝るとも劣らない腐臭を放っていたハローキティが頭一つ抜けていると判断された。
「定番ジャンルのクソ化」「ご褒美要素が皆無」「ゲームとして完成しているのにクソ」という様々な要素の合わせ技が、大賞決定の決め手となった。
これが揃っていない他作品は、どうしても制作側へ憤怒や恨み節が出てしまい、暗く陰惨な空気となってしまった。
対して最低限をきちんと完成させているハローキティはそのような空気をあまり出さず、
早い時期から明るく笑い飛ばせるクソゲーとして愛されるようになって、
スレ内でもマスコットの地位を築きつつある。
「クソゲーを踏んだ怒りや悲しみを笑いに昇華させる」というKOTYスレの原点を思い起こすと、ハローキティこそ大賞に相応しいと判断された。
もちろん他の候補も時の流れが笑いに昇華してくれるはずだが、現時点では残念ながらあと一歩及ばなかった。
以上、定番ジャンルのクソ化、キャラゲーとしてもクソ、明るいクソゲー、という様々な要素の合わせ技が大賞決定の決め手となった。

振り返ってみれば、実力伯仲でハイレベルであった本年のクソゲーオブザイヤー。
狂った難易度の「ハローキティ」、相も変わらずSSαクオリティ炸裂の「両大戦略」、
小さいクソをこれでもかと詰め込んだ「どんだけスポーツ」、テストプレイをしたのかも疑わしい「プーペガール」、
ゲーム市場の主流が携帯ゲーム機に移ったと言われるようになって久しいが、それを象徴するような百花繚乱の様相を呈した。

最後に、長く続くブロック崩しゲームの歴史に「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!」という腐った金字塔を打ち立てたドラスへこの言葉を贈って、クソゲーオブイヤー2010を締め括りたい。

Hello!KOTY!

}}

*2010年総評案4(プーペガールDS2) [#i4b436ba]
#aapro{{


今となっては考えづらいことだが、2010年のクソゲーは不作となるのではないかと
予測されていた時期があった。その結果がどうであったか。驚愕すべき死屍累々たる地獄絵図を見よ。
詳細は選評に譲るとして、ここでは大まかな流れのみを記述することとしたい。

昨年のW受賞の衝撃も未だ覚めぬ2月25日、思えばこの時点で波乱の一端が既に始まっていたのだった。
その昨年の覇者たるSSαは早くも第二の刺客を放っていたのだ
(1月21日に発売された先の刺客「真・戦国天下統一〜群雄たちの争乱〜」は駄作どまりであり、
ここではとりあげない)。
DS「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」(システムソフト・アルファー)である。
なるほど適切なサブタイトルであると言わねばならぬ。番狂わせの余地はもはやなく、プレイヤーの
介在すら必要とせず決着が着くまでにこの世界における軍事バランスは崩壊しきっているのだから。
だが崩壊していたのはそれだけではなかった。
何が、と仔細にリストアップする必要があるだろうか?たった一言で済む。すなわち”全て”と。
とはいえ、そのブラックホールがごとき闇の深さははいかばかりか。報告の断片は届けども、
この深淵を覗いた生還者の具体的な証言が得られるのはしばらく後のこととなり、結果として
久しくなかった平穏の予感がスレを覆うのである。
むろんそのような甘い幻想はいずれ無残に打ち殺されることとなるのではあるが。

同日には、同じくDSの
「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」(ブロッコリー)もまた姿を現していた。
往年の人気TCGシリーズに材をとった(とは、実のところ正確な表現とは言いがたい。
理由は後述の通り)メディアミックス作品であるがやはりというか連綿と連なる
黒歴史に新たな頁を記す結果に終わった。
ゲームブックを標榜しつつ中身はノベルゲーム、その大きな構成要素であるところの
立ち絵、声をバグが彩る。タイトルを冠したメインテーマからしてクラシック曲の引用と
きては力の入れようが知れるというものだ。
とはいえ、購入者の関心は主に同梱カードに向けられており、”ゲーム”それ自体は
付属品に過ぎないのである。むしろゲームとしてというより、かの邪神モッコスの系譜に
連なるものとして解釈されるべきなのかもしれぬ。当初通常版が存在せず、のちにひっ
そりと発売と言う点では異なるのだが(すなわち、”存在しないほうが喜ばれる”と
いうわけだ。本年のクソゲーシーンにおいてこの要素は、こののちもさまざまの形で幾度も現れることとなる)
さて、本作もまた見出されるまでしばらくの時間を要することとなった。


そんな水面下の嵐とは裏腹な空気の中、3月11日にはDS「RPGツクールDS」(エンターブレイン)が発売される。
インターフェイスとグラフィック・音楽こそ良好なもののその他全てにおいて
SFCで発売されたコンシュマー版第一作に劣るという代物であり、
主要なクソゲーの構成要素――仕様時点での問題、多数のバグ、プロモーション詐欺――を一通り備え、
さらにジャンル特有の要素すなわち容量についても大いなる問題を孕んだ逸材であった。
本作には通常モードであるところのFULLモードと、ソフトを持っていない相手への
配信を想定したDPモードとの二つのモードが存在する。
当然ながら後者においてはソフトにプリセットされた画像や音楽の使用量にも
制限がかかる。しかしそこで終わらないのが本作である。
複数の画像素材がセットとして扱われており必要のない素材の容量を
強制的に使わされるのである。作成領域の燃費も前作比4倍となっており、潤沢とは
言いがたい容量資源を節約する気もなければさせる気すらないことが伺える。
内部ではそれぞれ別個に計算されている、素材使用量と作成データ量がなぜか合算されて
表示されており、表示から正確な空き容量が把握できないことも付け加えておく。
さて、類似作品の少ない(つまり代替品がないことをも意味する)ジャンルということも
あって本作は、平和を満喫していたスレに大きな議論を巻き起こした。
はたしてこれはゲームなのか?ツールではないのか?
とはいえ今なおパズルゲームにステージエディット機能が搭載されることは珍しくない。
またツクールシリーズ以外にも古くは「デザエモン」、近年なら「メイドイン俺」等
作成ツール主体のゲームはいくつも発売されている。
”創る”楽しみは確かにゲームたりえ、またその需要も決して小さくないとの判断の元
本作をここに取り上げる次第である。
さて、そもそもが使いたいのに使えないという状況のため出来の良さすらクソ要素と化した
グラフィック・音楽であるが、Amazon限定で販売された初回限定版にはPC版向けの同素材が付属している。
終わってみれば、本作もまた特典のおまけだったのかもしれない。


6月24にはSSαが新たな刺客を繰り出した。
PSP「大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜(システムソフト・アルファー)」である。
彼らの目指す戦場がどこか、言わねばわからぬスレ民がいようか?総じて劣悪な
システム周りに鬼ロード・思考時間、バグは当然の如く完備。売りとされた新要素は
仕様とバグの両面で使い物にならないとくる。
さらには現実とも違えばゲーム的な嘘としてもおかしい各兵器の仕様。
歴戦の勇士たちでさえ一部操作法の解明に数ヶ月を要したというから相当なものだ。
もちろん別売り説明書など出るわけもないし、仮に出たからと言って少しも奥深くない
本作にとってそれがどうしたというのだ。
加えて異常なまでの読み込み回数がドライブの寿命を容赦なく削り、強制終了バグがハードに止めを刺す。
覇王に先んじて覇者を名乗ったのは冗談でもなんでもないと知らしめる恐怖の一本と呼ばねばならかった。


そして来るべき地獄の使者がやって来る。これを機に平穏な時代は一気に終焉を告げたのだった。


7月15日、今年も恐怖の帝王が降臨された。すなわち覇王鬼帝、地獄王鬼帝の異名をとる
PSP「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123!!」(ドラス)陛下……いや、ここは時流に乗って閣下とお呼びしよう。
ハローキティとあるからには女児向けかと思われる向きもあるだろう。だがここで題材となっているのはキティそのものではなく、
キティファンである”大きなお友達”の女性――キティラーであることをお断りしておく。
人気イラストレーターたちの手になる美少女キャラを擁する企画「ハローキティといっしょ!」の
第一作として放たれたかの君は、だが明らかにゲームを超越したネオ生命体であらせられたのだった。
ブロック崩しという、古典的なゲームでありながら基本的な挙動がまず異様な振る舞いをお見せであった。
不可解なボールの反射と亀の歩みよりも遅いパドルの化学反応に不快指数は最初からクライマックス、
普通に遊べる前半はまだしも終盤に至って、丸い地球の住人のロースペックで対処できる領域を
逸脱した超難度ステージの数々がプレイヤーを待ち受ける。詳しくは選評を見ていただきたいが、
その難度の上げ方たるや、”〇〇ブロックをひたすら敷き詰める”といった稚拙な物ばかり。
諸氏の中にステージエディット機能のあるゲームで自分の作ったステージを友人に遊ばせた経験が
おありの方はいるだろうか。どんなステージを作ったか覚えておいでか?閣下が提示されたのはまさにそれなのだ。
ゲームはハード。よくも言ったものだ。よもや「ぼくのかんがえたむずかしいすてーじ」に
まともな解法があるとは読者諸氏もお思いではないだろう。高確率で発生する詰みシチュエーションの前に
頼るものは運のほかなく、また無間地獄を楽しめと言わんばかりにリトライ等のシステム周りばかりは快適であった。
ようやくクリアした末に下賜されるご褒美CGはといえば、既に公開済みのものが各キャラに一枚づつ。
さらには同じものが一枚50円の良心価格でPSP用の壁紙として販売されている。
ご褒美単体のほうが桁違いに安いものを褒美と呼べるのか?その深遠なる根源的問いかけがスレ民の心に突き刺さった。
スタッフロールもなく、あとはただエンドレスモードだけが待つこのゲームに終わりはない。
FC時代にはよくあったことだが、ただ絶望だけが臣下のゴールなのだ。
だが狂気とは時に人を強くひきつけるもの。多くのスレ民が憑かれたように
何の見返りもないことを十分に知りながら自ら閣下に膝を折ったことを付記しておく。


そしてかの有名な予言においても、大王が前兆に過ぎなかったことを思い出していただきたい。
11年を経た2010年のクソゲー界においても、火星の王子は容赦なく牙をむくのである。

鬼帝閣下の話題に沸くスレに、新たなクソゲーの報がもたらされたのは10月7日。
DS「天下一★戦国LOVERS DS」(ロケットカンパニー)である。
修羅の国・乙女の国に続いて携帯電話の国からの尖兵がついに来襲した瞬間であり、
ゲーム機作品とは次元の違うそのクオリティを存分に見せつけることとなった。
携帯電話用恋愛ゲームの「忠実な」移植――とはいうものの9人の攻略キャラのうち最終シナリオまで
収録されているのが二人だけということもあり、事実上の体験版である。
ちなみに価格は5,040円(税込)、7,140円(税込)の限定版も存在する。
シナリオが完全でないのなら、では何が忠実なのか?いうまでもなくシステム周りである。
携帯ゲーム本編へ誘導する意図がある都合、変に快適にするわけにはいかなかったのであろうことは推察できるが、
わざわざDSで携帯電話並みのインターフェイスを体験する苦痛はいかばかりか。
完全オートセーブの選択肢ありノベルゲーというだけでもその凶悪さはご理解いただけるだろう。
だがシステムの劣悪さ、シナリオの出来がよくないのはかえって評価点といえるかもしれない。
プレイ済みの部分をも二重課金されながら、本編をやってみようという気になることはまずないだろうから。


12月16日……この日こそを運命の日と言わねばならぬ。
恐怖の帝王の存在が予言した年末の魔物がとうとうやってきたのだ。それも二体。

まずDS「どんだけスポーツ101」(スターフィッシュ・エスディ)。
改変の必要すらなく蔑称として機能するタイトルもどうかと思うが、実に的確なのだから仕方ない。
具体的な内容について言及する必要はあるまい。想像を少しも外れるものではないその内容は、
塵も積もればとはよくも言ったもの、101本のクソゲーで苦痛も百倍いやそれ以上の新たな無間地獄の
誕生であったとだけ述べるに留める。
なにより恐ろしいのは、本作が既発売海外作品のローカライズであるということである。
いったい発売元は何を思ってクソゲーであるとわかっている(わからないはずがあろうか?)これを輸入したのだ?
売れると思ったのか?そもこの売る気のないタイトルは何なのだ?
よもや洋ゲー信者にかのスタージョンの法則の一端を突きつけるためというわけではあるまい。
永遠に解けない謎がまたひとつ地球に生まれた。

そしてDS「プーペガールDS2」(アルヴィオン)である。
同名のアバター着せ替え機能を売りにしたSNSのDS版第二弾、昨年同時期に発売された前作はせいぜいが駄作どまりであったが、
今年もやってきたそれは遥かに進化を遂げていた。無論、負の方向に。
さて本作は着せ替えゲームである(擬似SNSについては機能していないため割愛する)。貯めたお金で衣装を購入し、コーディネイトに応じて
入ってくるお金でさらに高価くて可愛いお洋服を買う。そうして物欲とおしゃれ欲を満足させるゲームである。
実際序盤は何をしてもお金がもらえる。着替えたといっては25、初めて○○をしたといっては500といった具合に。
そして、子供向けだからというわけでもあるまいが、餓鬼道がここから始まる。そうした初物特典が
尽きてくるのと連動するように服のお値段は急激なインフレを始めるのだ。
さらには主要な収入源かつゲーム要素となるはずであったファッションショーがバグで機能しないため
収入は激減の一途をたどり、内容はただ作業的な着せ替えのみと化す。ワイヤレス通信プレイでは
それなりの収入を確保できるのだが、よもやそれがSNSの再現というわけではあるまい。そうして泥水を啜るような
苦労の末にはプレイ時間ボーナスと称して大金を没収されることとなる。
本来ボーナスであったものがオーバーフローバグで大幅なマイナスに変貌した結果であり、またこれは
フリーズのトリガーともなった。果ては着せ替えアバターそのものさえバグりホラーゲームさながらとなる始末だ。

ところで、2バージョン発売された本作であるが、初回特典および連動特典として
配布される原作用衣装が異なるとされている。そして、ここへきて本体ともいえる特典にも問題が発生した。
初回特典の入手については問題ない。だが作中でコードを入手できる連動特典についてはそうでなかった。
なにしろ入手条件自体が不明確である。加えてそれが五つ。それらを満たすための労力についてはもはや記述する必要を感じない。
そうしてようやく入手したコードを使用すると同時に、購入したバージョンの記入を要求される。
そう、発行されるコードは完全に本体のみに依存しており、すなわちバージョンの情報を含んでいないのだ。
意味するところについても言及の必要はあるまい。
この事態を受けて、メーカーサイドはプレゼントコードの配布に踏み切ったのだが
これを救済と取るか唾する行為と取るか各人にお任せする。
さて、ここでこれまでのクソゲーたちを思い出していただきたい。
前作までの実績から疑問符をつけざるを得ない大戦略二作にアクエリアンエイジ、
題材の時点で期待を喚起しない鬼帝閣下にどんだけスポーツ戦国LOVERS。
ツクールDSは当初こそ期待されていたものの発売が近づくにつれて不穏な噂が流れ出し、
早めのフラゲッターの報告で購入予定者が次々と予約を取り消し、難を逃れた。
そう、数多くの悪鬼たちの中で、本作のみが”見えない地雷”であったのだ。
さらには、原作が男子禁制を謳っていることからもわかるとおり、本作のメインターゲットは女性層である。
クリスマスという時期もあって本作は今年のクソゲー最大とも言える被害を出した。
あの鬼帝閣下でさえ差し控えた女児層へのテロがとうとう行われたのだ。成長した彼女たちが
ゲームの狂アンチペアレントとならないことを切に祈るものである。


以上が今年の候補作となる。
ノベルゲーム、さらに遡ってブロック崩しといわば枯れたジャンルにもかかわらず
システムレヴェルで破綻を見せるアクエリアンエイジ、鬼帝閣下、戦国LOVERS。
バグこそないもののひたすら物量と内容そのものの稚拙さで押すどんだけスポーツ。
バグの乱れ撃ちがコンセプトの中心を見事に射抜くプーペ。
あれは容量が足りないこれはバグでつかえないそれは実装していない、と、台所の包丁の喩えを
具現化したが如きツクール。
お馴染みと化してインパクトこそは薄いが、覚悟完了した人間さえあっさりと下す両大戦略も見逃せない。
”例年なら文句なく大賞”とはここ数年毎年のようにいくつものクソゲーに対して言われることではあるが、
やはり今年も――いや、今年こそはと言わねばならぬ。素人裸足の完成度を誇るクソゲーが熾烈な底辺争いを
繰り広げ、選考は困難を極めたのである。

まず注目が集まったのは鬼帝閣下であった。バグは特になく、インターフェイス面も良好と言っていい。
にもかかわらずあの完成度である。悪意ある調整といった評価も多く見られたがそうではないだろう。
敷き詰め、弾幕、暗闇その他もろもろ、難度の上げ方の発想自体が素人のそれなのだ。
調整の壊れようではプーペも負けてはいない。ソロプレイで収入がほとんど得られないのはメーカー発表に
よると”仕様”とのことだがどう見ても(一部については原因まで推測できるのだから)バグとしか
思われないためここでは一旦除外しよう。だがそれでもなお収支バランスは崩壊しきっているという
ほかないのである。件のマイナスボーナスにしてもそもそもは、一律ボーナスで物価高騰に対処しようと
いう安易な姿勢ゆえのものだ。
豊富なバグが主にとりただされるプーペであるが、バグ抜きでも十分鬼帝閣下と戦える素材であると
判定して差し支えあるまい。
そこへ先程は保留したバグが加点される。数少ない収入源をことごとく潰し、
ようやく買った衣装を着れば立ち絵が崩壊。収集・着せ替えというメインコンセプト二点を見事に
破壊せしめているのだ。良作ならざるもの、商品ならざるものであったプーペは今こそ言われ
以上の理由を以て、「プーペガールDS2」を2010年の大賞としたい。

最後にプーペ――”人形”にちなんだ一首を添えて2010年のクソゲーオブザイヤーを締め括ることとしよう。

『蝋人形砕けてのちも薔薇色の踊りやむこと知らない踵』


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*2010年総評案5(プーペガールDS2)[#n1s89636e]
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2009年の携帯版KOTYは修羅の国からの侵攻により決着を迎えた。
だがそれは這い寄る混沌の始まりを告げる幕開けでしかなかった…。

2010年でまず大きな話題となったのはまさかのツクールシリーズから、最新作「RPGツクールDS」である。
技の属性がない、状態異常に対しての耐性が設定できない、変数が使えない、転職ができないなど、
発売前から不安要素の塊であったが実際は想像以上の代物だった。
魔法攻撃力、魔法防御力を設定できない、レベルと特技習得が不可逆、加えてバグの山…しかしそれらより大きな問題があった。
とにかく制作に使えるデータ容量が不足しているのだ。フルで作ればGBA版の半分程度の密度にはできるのだが、
近作の目玉であるダウンロードプレイ用に作ろうとすればあっという間に容量が埋まっていき、街やダンジョンをひとつ作るだけで限界になってしまう。
数々の設定不可の仕様と合わせて、ソードマスターヤマトでも量産しろと言わんばかりの内容にシリーズ愛好者らはあきれ果てた。

春が過ぎ、魔物の季節である夏の頭、6月にそれは現れた。昨年の王者SSαより送り込まれた戦略SLG「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」。
その中身はKOTYという戦場の覇者たらんとする意気込みに溢れるパーフェクトな出来映えであった。
まず編に全編に渡って最悪のキーレスポンスと長く且つ頻発するロード時間、敵ターンの長考、
ユニット情報を見るのにも一苦労するシステム設計といった部分でプレイヤーの時間と精神をゴリゴリ削ってくる。
SSαお得意のバグも勿論大量に存在し、ありとあらゆる場面でフリーズが発生。
ボタンを押しっぱなしにしたり連打しているとフリーズの確率が上がるという、先述のイラつかせる仕様とのしたたかなコンビネーションとなっている。
プレイヤーが好きに編成できる「マイ部隊」が敵陣にいることなどよくある光景。
極めつけは突如出現する謎の味方部隊を調べようとするとPSP本体の電源が強制的に落ちてしまうという恐怖のブービートラップ。
戦意喪失を促す精神攻撃、圧倒的バグの物量戦、心臓部を直接狙う内部工作、とまさに完璧な戦術を見せつけた。

それにつられるかのようにクソの全貌が明らかになった「現代大戦略DS〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」も見逃せない。またSSαである。
戦闘の前にプレイヤーの心が一触即発な出来であることは、選評がまとまるまで半年近くを要した事実でも明らかだろう。
不親切な説明書やシステム、操作性の悪さなどは当たり前と言わんばかりに網羅しており敵ターンの長考とフリーズも完備。
戦闘画面が意味不明だがそれ以前にユニット情報が理解不能、空母や揚陸艦からは港からでしか出撃できないなどいろいろおかしいので些細なこと。
自信があると公言しているシナリオもお粗末なものばかりで軍事どころかゲームそのものが崩壊している有様だった。

さらに真夏の中、陽炎の如く出現した不気味な影がひとつ。覇王鬼帝こと「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」がドラスより発売された。
タイトルにキティとあるがこのゲームにでてくるキャラは「キティラー」と呼ばれる女の子のことで、著名な萌え絵師が多数参加しデザインしている。
サンリオの企画でこのゲームもそのうちの一つなのだが、「見た目はキュートだけどゲームはハード!?」という煽り以上の鬼畜っぷりを発揮してしまった。
ジャンルは所謂ブロック崩しなのだが難易度が想像を絶する理不尽さだったのだ。
異常にパドルの動作スピードが遅く、ボールに追いつけないことなど序の口。おそらく一番プレイヤーを苦しませるのがボールの挙動で、
斜めにブロックに当てたのに直下方向に反射したりパドルの側面にぶつかって下に落ちたり散々である。
ステージ構成も陰湿。当たるとミスになる弾を発射する砲台ブロック、プレイヤーの反応を超える速度をボールに与える加速ブロックが特に厄介。
また、ステージが暗闇だったりパドルが円形になったり特殊な状況での操作も余儀なくされる。時にはこれらが複数組み合わさってプレイヤーを殺そうとしてくる。
一番難易度が高いといわれているステージにいたっては乱数調整も視野に入れなくてはならないほど運ゲーであるが、
そもそもテクニックがなければそこまでもたどり着くこともできない。崩したのはブロックではなく「ブロック崩し」というジャンルそのものだったのだ。
やっとの思いでクリアしても得られるのは使いまわしのイラスト。スタッフロールは存在しないのでこのゲームを作ったのが誰かもわからない。


後に選評が届き評価されたTCG原作の版権モノゲームブック、「アクエリアンエイジ」はゲームブックですらないまさかのジャンル詐欺。
ただのADVなのだがこれまた酷くスチールの表示が狂ったり、音ズレしたり、再現性の高いデータ消失バグがあったりと至れり尽くせり。
デバックなどろくにしていない体制がみえみえである。当然シナリオはお察し。
秋に発売された乙女ゲー「天下一★戦国LOVERS DS」も詐欺のテイストを醸し出していた。
携帯アプリからの移植ADVなのだが、凄まじく遅いスキップ速度、オートセーブという極悪仕様の上にキングクリムゾンなシナリオ、
あげく登場人物の9人中2人しか攻略できず、残りは携帯アプリで課金しろというまさかの有料体験版。
両ソフトとも開発費を回収できればいいという昨今のゲーム開発にありがちな志向を極端に顕した例だろう。

そんな腐った考えを究極にまで体現しようという猛者が年末の魔物として降臨した。その名は「プーペガールDS2」。
所謂「着せ替えゲーム」で、アバターに服を着せたり街に出て服を買ったりするのが基本のゲームだが、
そんなもの楽しませてなるものかとばかりにバグとフリーズのファッションショーが待ち受けていた。
特に酷いのが22時間バグ。服の購入にはお金の代わりにリボンというものを使うのだがゲーム開始から22時間が経過すると
問答無用で-15536される再現100%の凶悪さ。所持リボン数がマイナスの状態で外出するとフリーズという進行不能状態に陥る。
抜け出す方法や公式HPでのフォローもあるが完全ではなく、ネットをやらないお子様には敷居が高い。
着せ替え中にグラフィックがグロ画像のさながらに変容するという冗談抜きで女児涙目のバグもある。細かいバグを挙げていけばキリがない。
続編であること、クリスマスシーズンに投入されたことから被害者の数は相当数だと思われる。
メインターゲットである女性や幼い子供を狙い撃ちにした悪質さにスレ住人も心を痛めた。

同じ日に発売された「どんだけスポーツ101 」も無視できない一品だ。
そのタイトルとファミ通で3点を取る前評判から既に地雷臭が漂ってくる。
内容は世界の101のスポーツが一つのソフトで遊べるという触れ込みだがどれも無料ゲーム以下のレベルで一様につまらない。
操作も単調、操作方法が判り難かったり操作しなくてもクリアできたりやる気が感じられないものばかり。
中にはルールが間違っていたり明らかに物理法則を無視しているものまであるので資料としての価値もないだろう。
クソがいくら集まろうがクソでしかないということを再確認させてくれた。

今年の携帯KOTYは多種多様なベクトルを持つクソゲーがこぞって競い、2008年据え置きの混戦に勝るとも劣らない情勢であった。
大賞選考は難儀を極めスレは紛糾した。どれが大賞にふさわしく、そしてふさわしくないのか…。

それでは大賞を発表しよう。この激戦を制したのは…「プーペガールDS2」である。
他に大賞候補として特に有力だったのは「ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!」と「大戦略PERFECT〜戦場の覇者〜」。
大戦略は間違いなく純度の高いクソではあるのだが戦略SLGの取っ付きづらさ、なによりゲーム進行の難しさが逆に評価の幅を狭めてしまった。
鬼帝は往年のクソゲーを思い出させるような理不尽ゲーというスタイルが人気を博したが、
バグもロード時間もないシステムの快適さがここにきてマイナスポイントとなってしまった。
一方プーペは基本設計自体から既にゲーム性が破綻気味である点が、最終的な決め手となった。
前作で批判されていた単調な作業ゲーの部分は改善されておらず、リボンのやりくりに四苦八苦。
説明書には4週間に1度あると書かれているファッションショーが実は一度きりという「仕様」。
売りである特典やパスワード関連の混乱でユーザーは翻弄され、前述のバグと合わせてとても着せ替えを楽しむどころではなかった。

振り返れば2010年携帯板KOTYは大賞級の作品がズラリとならぶ盛況、競争に敗れた者達も普段なら即受賞でおかしくない逸材ばかりであった。
クソゲーが少なかった同年の据え置き板と比べると、主戦場が携帯機に移りつつあるゲーム市場を体言していると言えるだろう。
ゲームある所クソゲーあり…来年からはさらなる激戦が展開されることを暗示しているのかもしれない。
最後に、プーペガールDS2をこの世に産み堕としたアルヴィオンに次の言葉を送って2010年を締めくくりたい。

『ファッションの前にゲームのデザインセンスをどうにかしろ』

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*参考:総評案1の大賞差し替え案(大戦略PERFECT 〜戦場の覇者〜) [#ea937efc]
[[2010年総評案小ネタ]]参照