2012年 次点

概要

名称NEWラブプラス
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ジャンル恋愛シミュレーション
対応機種ニンテンドー3DS
発売元コナミ
開発元コナミ
発売日2012年2月14日
価格パッケージ版:6,980円
ダウンロード版:4,800円
対象年齢CERO:C(15才以上対象)

ニンテンドーDSで一大ブームを起こしたラブプラス。

本作はその三作目に当たるが、基本的には機種変更に伴うグラフィック向上と仕様変更や機能追加、イベント追加を施したもの。

『NEWラブプラス』は、3人の女の子のうちの1人と仲良くなり、
デートや季節イベントなどの恋人生活を
体験するコミュニケーションゲームです。
現実時間とリンクしてゲーム内時間が変化していく、
RTC(リアルタイムクロック)を搭載しているため、
カノジョとのコミュニケーションがリアルタイムで楽しめます。
ゲームの進めかた次第で、女の子の髪型や服装、
性格などが変化していくので、
プレイヤーによって異なる遊びかたができます。

要点

選評

選評案その1

2012年2月14日。
恋人たちが愛を囁きあうこの日に、KONAMIはクリスマスから待ち侘びていたカレシ達のもとへカノジョを送り出した。
「NEWラブプラス」(通称NLP、バグプラス)の発売である。
発売日の延長。「3DSにできることが見つかる度に新しい機能を追加」などといった発言。撮影会しかない体験版。
今振り返ってみれば、確かにそれは探知できた地雷だったのかもしれない。
しかし、その地雷がここまでの破壊力であることなど、誰が予測出来ただろうか。
全く予測できていなかった筆者は、グラフィックが前に店頭で見た前作より随分綺麗になったのをきっかけに初ラブプラスとして本作を発売日に購入した。
いわゆる恋愛シミュレーションゲームというよりコミュニケーションを主体としたゲームのはずだが、
「下画面に出てくるタッチペンの軌跡の線の色が、暖色系であればgood、寒色系であればbadのはずなのに上画面のカノジョの反応と全くかみ合っていない」
「少しミスをしただけでカノジョから本気の拒否反応をされる、上手くいっててもあるポイントで必ず罵声が飛ぶがモーション的には喜んでいる」
「一番効率の良いキスゲージの上げ方は、人目を気にしつつ彼女の顔に痙攣連打を食らわせること、縦持ちの場合は股間をまさぐること」
「明らかにカノジョが乗り気なのに、即座にタッチしないだけで(今はやめておこう…)といってスキンシップを諦める主人公」
「一緒にゲーム中、突然話しかけてきて、即座に返答をしないと無視したと言って拗ねる」
などと、まともな恋人同士のコミュニケーションをさせる気はさらさらない。
だからといってシミュレーション部分が優れているかといえば、
「友達パートで朝が弱いと言っていたはずのカノジョがほぼ毎朝5時に留守電かメールをいれてくる」
「その留守電の内容も、特に用事はないがかけてみた、と毎回同じ言い回しで言われる」
「デートの予約を入れると毎日髪についてのメールが届く」
「キムチ鍋を二口で平らげる」
「素手で虚空をすくって腕に謎の物体を貼り付けながら飲物を「あーん」しようとする」
「鉄板の上にソースにしては明らかに大きすぎる水色の円筒形のものが乗っている(通称『鉄板お冷』)」
「ファストフード店で席に座って店員を呼んで注文する」
「人目がカノジョの部屋だろうが一人暮らしの自分の部屋だろうがある」
……このゲームはどこの世界のどんな人間をシミュレートしようとしているのだろうか。
ゲームの長所となるべきジャンルに関する要素がこれだけクソなのだから、それ以外の部分はもうダメダメである。
すれ違い通信のための名刺編集画面でフリーズ、寝るコマンドが出現しない、カノジョと一緒にゲーム中にカノジョがリセットボタンを押す。
季節イベントでは、バレンタインデーではカノジョが延々と誤解による嫉妬をし、ホワイトデーでは主人公が延々カノジョから逃げ回り、ホワイトデー当日の夜に「明日はホワイトデーだね」といった内容のメールが届く。

ここまででは、グラフィックが向上しさらに(外見は)綺麗になったカノジョの可愛さで相殺できる、と言い切れる猛者もいるだろう。
しかし、これまでのバグ/仕様群は、新規組かつプレイ初日からスレ及びwikiを読み、バグをなるべく回避していた筆者が踏んだ地雷群でしかない。
そう。このゲームの名を借りた地雷原には、前作までをやっていた熟練のカレシのみに発動する地雷と、不具合情報を集めないでプレイする者への地雷が多く埋められているのである。
これより先は、新参のカレシ達や歴戦のカレシ達の証言により判明した地雷群である。
5時を跨いでプレイするとスケジュールを入力できない。
7-9時台のデートで食事に誘うと移動でブラックアウトしフリーズ。勉強会のあとのご褒美でフリーズ。
カノジョが同じ内容の話題を繰り返す。ホワイトデーイベントが発生しない上にカノジョが音信不通になる。
プロフィール登録画面でフリーズ。ミニゲームのリセット後にフリーズ。
夢イベントが発生しない上に謎のメニューボタンを押すとフリーズ。
いつのまにか「カノジョへの気持ち」というアイテムが手元にあり所持しているとプレゼントを買えない。
回想すると実際やった行動と全く違う行動をしだす。
メールで同じ文面を三回繰り返す。カノジョがかまいたちの夜の登場人物の如く黒くなる。
彼女と一緒に読書するという講談社とのコラボイベントで、コラボ本と同じ表紙のグラフィックなのにカノジョは全く違う訳の本を読んでいる。
表紙は同じなのにやたら薄い本を読み、ことあるごとに読みにくいだの感情移入できないだのと本の内容を否定する。
フリーズに異常動作、イラつく行動の山。シリーズを愛顧してきたユーザにこそ愛の鞭という名のただの手痛い仕打ちをするとは、全くもってお見事である。
バグゲーに付き物なのは「バグさえなければ良ゲーなのでは」という意見だが、その点も万全だ。なぜなら、ほとんどのバグについて、KONAMIは「仕様」と言い張っているのだから。
「3DS本体を一回転(させれば直る)」「お気にされませんよう」などの迷言は、スレ住民を大いに盛り上げた。
3/13にようやくKONAMIが不具合を認めたが、仮に回収されバグらしいバグがあらかた直ったとしても、
そこにいるのは愛するカノジョではなく、すぐに不満を漏らし毎日電話攻めにしてストレスをカレシで発散するような悪女と、
口が悪く臆病者で勝手な行動ばかりするような感情移入のできない、ただプレイヤーと同姓同名なだけのチャラい主人公である。
リアルタイム連動イベントとともに日々発見されるバグは、一日一バグとも呼ばれ、wikiの不具合ページを埋めつくしていく。
元々地雷原であるのに加えイベント毎に爆弾が投下されゆく様は、まさしく戦場である。
本スレでは未だ変わり果てたカノジョを捨てきれぬ者たちが愛の行軍を続けているようだが、愚痴スレや不具合スレといった避難所で、被害者達が呻き声をあげているのも事実である。

選評案その2

2012年2月14日
全国のカレシ達を絶望の渦中に陥れ、KOTYスレに旋風を巻き起こした「怪物」NEWラブプラス(以下NLP)の発売日である。
発売から間もなく、現在にいたるまでKOTYスレにはNLPに対する議論が絶えない。
現時点で文句無く最強の門番として君臨するNLPだが、その話題の多くが100を超えるバグによるものである。
それ故に対抗意見として寄せられる「バグさえなければ良ゲー」というバグゲーには付き物の見解。
本稿ではNLPは本当にバグさえなければ良ゲーなのかという部分を「仕様」の観点から考察していきたい。

バグの次に最も話題に上がる要素といえば「モッサリ」である。
モッサリの種類は大きく分けて3つ。

モッサリ1:彼女の動きがモッサリ
これは画面を縦、横と表示を切り替えた際に、横表示での彼女の動きが縦に比べて明らかにモッサリするというものだ。
特に背景の描写がポリゴンになる登下校、彼女の部屋では顕著で、セリフの音声に彼女の動きが遅れるほどである。
まず視界に訴えるギャルゲーにおいてこれは致命的で、特に「現実感」にこだわるラブプラスにおいてはカレシを「現実に引き戻す」という皮肉な効果を生み出している。
これらの原因については諸説あり、曰く横画面はキャラクターを2キャラ表示(下画面に彼女のシルエット)のため処理が重い。曰くNLPは本来機能しないはずのスリープ機能(万歩計)が働いているため処理が重い。曰く単にバグ。
バグかどうかについては、この現象はなにかトリガーが存在するわけでなく、すべてのユーザーが起動と同時に体感できるもので、やはり仕様ととらえるべきであろう。

モッサリ2:ユーザーインターフェースがモッサリ
その名の通りで全ての操作にモッサリがつきまとうのである。
メニューアイコンを選んで画面の動きがモッサリ。操作可能になるまでモッサリ。
そして無駄にクリック回数を求められるモッサリ。
いくつかの代表例としてリッチを手に入れる操作に9クリック(もちろん操作にはモッサリがつきまとう)
メールの返信内容を「決定」してから3クリック。彼女からの返信を見るために一度メイン画面に戻ってから受信画面を開き直す必要がある等、ユーザビリティの欠片も見受けられない仕様の数々がカレシたちの疲労感を高めるのに一役買っているのである。

モッサリ3:ロードがモッサリ
ロード長く頻繁に発生することもプレイ環境を悪化させる要因となっている。。
ニンテンドーHOMEから起動、操作可能になるまで30秒以上を要する。毎回画面が切り替わる度に5秒前後のロード、これは絵を表示するだけのギャルゲーにおいては異例といえる。
画面が切り替わっても彼女が話し出すまでにもロードが存在する。「間」を演出しているという考えもあるが、読み込みによるカクつきが確認できるので、やはりロードと考えるのが自然といえる。

これらのモッサリ仕様は、日常パートだけでなく、デートやイベントといった全ての要素に関る、最も重要な仕様の弊害であるといえる。

・上がらないカレシゲージ
デートをより良いものに演出するためにはカレシゲージを貯める作業が必須である。
これは普段のカレシたちの行動により増加していくもので、1日4コマあるスケジュールを入力していく仕組みだ。
しかし仕様変更で前作に比べゲージが貯まりにくく現実の時間と連動しているリアルタイムモードだけでは週末のデートで彼女を満足させる事は難しい。
更に前作でデートに必要な最大ハート(ゲージ一本分)数は8。対してNLPは20であり、難易度上昇に拍車をかけている。
その上NLPはリアルタイムイベントが豊富に起こってしまうのである。
ギャルゲーにおいてはご褒美となるイベントだがNLPではそうとも言えない。イベントが発生したコマはゲージが上昇しないのだ。
これにより輪をかけてゲージ獲得が困難となり、泣く泣く現実時間とリンクしないスキップモードでゲージ獲得に奔走するカレシが多く存在するのである。

・鬼畜仕様のリッチ制度
今作から加わったリッチというゲーム内通貨。これはカメラパーツ購入や彼女へのプレゼント、またはデートでの食事の際に必要になってくる。
これらアイテムの単価は様々で、数リッチ単位のものから高価なものでは500リッチといったものまである。
アイテムの数は非情に豊富で数百点に及び、1つ100リッチを超えるアイテムがゴロゴロするカメラパーツだけでも50点以上が存在する。
問題なのはこのリッチの収入源である。
リッチを手に入れる方法は3つ
・毎日1リッチ=5ゲームコインを2リッチ分
・毎週日曜日に親からの仕送り約20〜50リッチ
・現実の世界で購入するコラボグッズの付いてくるパスワードを入力する(各グッズ「1種類」につき100リッチ)
ご覧のとおり、リッチの収入源が必要支出に対して少なすぎるのである。
500リッチするアイテムを購入するのに毎日のリッチ収入だけで単純計算すると250日、しかも買うべきアイテムは他にも多数存在するのだ。

リッチ収入のめんどくささも捨ておけない。
毎日のリッチ収入は手動で行う必要がある。これはメイン画面からマイページを開いて行うのだが、毎回警告文や確認文をクリックさせられ、たった2リッチ手に入れるために9クリックをもっさり動作の元強制される。
コラボグッズは言わずもがな。
ちなみにバグの範疇になるので余談になるが、日曜の仕送りをもらうためには、社会人学生ともに最も夜ふかしのできる人口の多い土曜深夜12時以降はゲームをプレイしてはならず、その事実が明らかになるまでは、最大の収入源である仕送りを貰えないカレシが続出していた。
リッチをもらうためにはカレシの生活習慣も変える必要があるのだ。

・終わらないToDo
NLPにおけるミニクエスト的要素のToDo。
これは何かしらの条件で発生するイベントの「お使い」をクリアすることでTodoポイント(イラストや名刺アイテム開放に関わる)を得るというものだ。
例えば「噂のドーナツ買ってきて」「テスト勉強頑張るぞ」といった具合である。
しかしこれらの達成条件が絶妙である。
「〇〇してきて」系のイベントは
・街のスポット
・時間帯(現実の時間帯と連動したスケジュールコマ)
・天候
が完全に一致しないと達成できないのだ。しかも天候に関しては完全にランダムである。
その上マップを開くと吹き出しが出て街の人たちのヒントが表示されるのだがこれが全くのデタラメで、結局カレシたちは総当りで目的の場所を見つける必要がある。
「頑張るぞ」系は恐らくクリア不可能のクエストである。
クリア条件が不明のため仕様なのかバグなのか判断が難しいが、今のところ達成したカレシからの報告は上がっていない。

更に問題がある。
これらToDoは同時に複数発生するのだがそれらのどのTodoをこなすかを彼氏側が選べないのである。
Todoの中には彼女へのプレゼントの購入といった重要なものも含まれており、あるTodoを達成するために他のTodoが邪魔をするといったことも発生する。

・立ちふさがるデートスポット
NLPには多くのデートスポット(一人で行くためのスポットも含む)が存在する。
70以上あるスポットを解放するためには、そこに訪れることで上がっていくスポットレベルを上げていく必要がある。
スポットの中にはアイテムを販売する重要な施設もあり、これらの開放には複数のスポットレベルを上げる必要があるものも存在する。
しかしこれも一筋縄ではいかない。1つレベルを上げるのに、ランダム要素はあるが5回以上通う必要がある。
しかもスポットに出かけられるタイミングは平日で2回、休日で4回。しかしその回数を全て外出に使ってしまうのも考えものである。
なぜなら仕送りのリッチの収入を増加するためにはバイトや委員会活動を多くこなす必要があるのだ。それらには外出枠を潰して実行する必要がある。
更に休日にはNLPのメイン要素であるデートもある。
これらをこなしていくと必然的にスポットの開放には途方もない時間が必要となり、カレシの気持ちを挫く要因となっている。


以上が本稿におけるNLPの仕様の考察である。
もちろんその他にも多岐にわたり仕様の弊害は存在するが、それら細かいものも含めて考察していくと途方もない文字数が必要になるので、今回はメイン要素に関る部分に焦点を当てて取り上げてみた。
更に言うと公式でのアナウンスにおける「不具合」や「進行不能のバグ」として修正される可能性の低い部分であるとも思う。
今回の考察がKOTY選考の参考になれば幸いである。