2016年 次点

概要

名称太平洋の嵐 ~皇国の興廃ここにあり、1942戦艦大和反攻の號砲~https://store.playstation.com/#!/ja-jp/cid=JP0393-PCSG00945_00-ARASI00DLPACKAGE [外部リンク]
ジャンル超弩級戦略ウォーシミュレーション
対応機種PS Vita、PS Vita TV
発売元システムソフト・アルファー(株)
開発元システムソフト・アルファー(株)
発売日2016年12月22日
価格6,800円 (税抜) / 7,344円 (税込)
対象年齢CERO:A(全年齢対象)

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PV

選評

選評1

PS Vita 「太平洋の嵐 ~皇国の興廃ここにあり、1942戦艦大和反攻の號砲~」選評案

○本作について
システムソフト・アルファーより2016年12月22日に発売された「戦略ウォーシミュレーションゲーム」。
太平洋戦争をモデルとしたターン制の戦略シミュレーション。
シナリオ毎に決められた数の根拠地を占拠した状態で規定ターンを過ぎれば勝ちとなる。
本シリーズの特徴として、資源の管理による兵站維持戦略が重要な要素となっている。
本作において資源は産地から輸送し工場を通すことではじめて使えるものとなり、
兵器はそれらの精製資源を以ってはじめて生産が可能となり、兵士は食料がなければ餓死する。
如何に戦線を維持するかを考えるのが、本作の醍醐味であると言えよう。
PC版「太平洋の嵐5」のリメイクに当たると思われ、システムセーブやカーソルの仕様、3D表示の撤廃など、様々な変更が行われている。

○超絶作業ゲー
筆者が本作に抱いた第一印象は「作業ゲー」である。理由は次に挙げる2つだ。
第一に、本作はとにかくプレイヤーの行うべきことが多い。なぜならプレイヤーは一国の指揮官として、
・各地における作戦の立案と指揮
・各拠点に必要な資源、兵器のマネジメント
・必要な兵器の開発指揮
・戦闘の指揮
といった、現実であれば分担して行われるべき作業を一手に引き受けねばならないからである。
第二に、それら各行動の内容も細かく分けられ、また時間がかかるためだ。
例えば、とある海岸の都市に艦砲射撃を行いたいとする。このときは、
・艦砲射撃および艦隊戦用の戦艦を編成
・敵からの空爆に備え航空艦隊を編成
・必要な燃料を「自力で計算し」タンカーを編成
・都市の占拠のための陸上部隊輸送用の輸送船を編成
・可能であれば敵の根拠地を避けるように航路を設定。
・他の作業を並行しつつターンを進め、無事到着次第気が済むまで(大抵陸上部隊と航空機を滅ぼせば足りる)ぶっ放す。
という工程を必要とする。敵の妨害を想定するとさらに予備の艦隊を控えておく必要すらある。
航空戦については次のとおりだ。
本作においては、航空機は一機単位で扱い、更に各航空機に載せるパイロットも練度別に管理されている。
そして出撃する部隊の編成タイミングは常に「出撃が決まった(or決めた)段階」である。
つまりどういうことかというと、空戦の度に
「出撃する機体と機体ごとの数を選ぶ」→「パイロット数を練度別に決める」を
出撃させたい機体の分だけ繰り返すことになる。
更に艦隊から出撃させる場合には、パイロットの練度が一定である代わりに、出撃機体を母艦毎に決める必要がある。
説明にしてしまうと短いかもしれないが、そもそも頻度の少ない海戦や陸上部隊毎に1ターンに1度の制限がある陸戦と違い、
空戦は飛行機と飛行場とパイロットがいれば根拠地ごとに、
1フェーズごとに行えるため自然頻度が多くなる。
「防衛は根拠地当たり1回まで」というルールを踏まえた上でも、CPUが行動する度に編成をやらされるのは筆者にはかなり苦痛だった。
なお、自動編成機能もあるが、資源ルールや搭乗員ルールを一切考慮しない。
単に上から順に飛ばせるだけ飛ばすよう設定するだけで資源の無駄遣いである。
それどころか戦闘機が多いと、空爆命令なのに空爆能力のない機体だけで平然と編成されることもある。
最後に海上輸送を例に挙げよう。先に述べた通り、ある種本作の肝である要素だ。
海上輸送は定期式であり、決めるのは行きと帰りでどの資源をどれだけ積むかぐらいである。
のだが、「資源が足りない場合輸送が停止する」上に、表示されている「ターン数」とやらが当てにならないため、
実際に輸送量を決める場合、

・根拠地間の距離はどれだけか
・船団の速度と合わせて、往復にかかる期間はどの程度か
・往復中にその根拠地にどれだけの資源を用意できるか

加えて、
・輸送に必要な燃料はどの程度か
を輸送設定毎にいちいち計算しなければならない。
携帯ゲーム機のソフトでありながら手を止めて外部ツールを用いざるを得ないとは恐れ入る。
ちなみにこの設定は基本的に最初の1ターンで行うことである。チュートリアルでも述べられる通り、本作は序盤で手を抜くとそのツケがあとになって回ってくる事が多いからだ。ちなみに筆者は1ターン目が終わらないことが心を折られる決め手になった。
上記のような種々の要素を国家規模、あるいは世界規模で行うと考えれば、本作の作業量が如何に異常であるかは察せるだろう。
加えて、これらの作業の多くは「敵国(や天候)の妨害に晒されながら行う」ため、
キャンペーンシナリオ(太平洋戦争を最後まで戦い抜くシナリオ)のクリアを目指すならば、
様々な計算にさらにバックアップを加味しなければならない。
筆者はプレイング序盤でこの作業量を察しプレイ意欲を大きく削がれる事となった。


○UI、UX
この「作業ゲー」に更に苦痛を上乗せするのがUIおよびそれに関するUXの悪さである。PS3でのカーソルのような露骨な異常は殆どないが、全体的に痒いところに手が届いていない。
細かい部分を挙げていけばキリがないので、筆者が明確に気になり、かつ個人的に影響が大きかったものを選んで紹介する。

・処理遅延
本作では画面の切り替えやウィンドウの増加、CPUの空爆の度に、体感的に明らかな「間」が発生する。っていうかぶっちゃけ全体的に反応が悪い。
多くは1秒にも満たないと思われる長さであり、大した影響はなさそうに思えるだろう。
だが、先に述べた通り、本作はとにかく作業量が多い。したがってこの僅かな「間」も積み重なっていくとかなりの時間になってしまう。
加えて、「画面切り替え」の度、と述べたことからわかるように、自ターンで発生する遅延は大半がボタン操作の後である。
すなわち、「ボタンの入力ミス」と勘違いして連打入力をしてしまい、それが純粋な操作ミスにつながってしまうということがちょくちょくある。
シミュレーションなので取り返しのつかない事になることは殆どないが、イライラする事は想像に難くないだろう。
ちなみに体感でしか無いが、この遅延がとりわけ長いものの一つは「シナリオ終了時」だったりする。
最終ターンを終えた際、「クリア画面がなかなか出ないので○ボタンを押したら、クリア画面のテキストを見る間もなくタイトルに戻った」ということを筆者は何度か経験している。ささやかな喜びも台無しである。

・キャンセル時カーソルリセット
本作の幾つかの項目において(例:艦隊行動選択ウインドウ)、キャンセルボタンを押すとカーソルが初期位置に戻るものがある。
アジノコのような長大なリストでこそ見つかっていないものの、上の処理遅延と合わせて操作ミスを誘発する原因であり地味に苛立たされた。
他に、マップ上で艦隊や根拠地のアイコンが互いに重なっている部分を選ぶと、その重なっているものの選択肢が出るのだが、「カーソルが選択肢に合わさる→選ぶ→キャンセル→選択肢は消えるがカーソルが選択肢のところに戻る」となり、多くの場合元のアイコンから盛大にズレるのでイライラした。

・攻撃命令をキャンセルできない
・移動先選択時に根拠地情報を見られない
これらは基本的にセットで迷惑をかけてくる。
一度出した爆撃、艦砲射撃、陸戦命令はキャンセルも出来ない。爆撃に至ってはどこ向かうように命令を出したかも確認できない。
これだけでもいやらしい仕様であるが、加えて攻撃対象を選択する際、その対象についての情報は参照できない。
したがって、例えば一度に大量に爆撃指示を出す場合、対象をダブらせて無駄足になってしまうことが筆者にはよくあった。
当然ながらこれを避けるためには、命令を確定する前にキャンセルし、攻撃対象の根拠地の情報を調べなおさねばならない。
他にも、艦隊編成時に各艦の搭載物を確認できないなど、必要な情報を参照できない場面が本作には意外と多い。
海上輸送に加えて、筆者が本作に「計算機とメモ帳が必須」であると感じさせた要素である。

・リスト送りの仕様
本作のリストは、表示分の上端または下端までカーソルを動かすと、そこから先は方向キー及びアナログスティックで送ることができなくなる。送るにはタップ操作で直接サイドバーやスライドボタンを操作するか、カーソルをスライドボタンに合わせ直し連打しなければならない。
前者はいちいちタップ操作に切り替える手間であり、いずれも少々小さいため操作性は良くはない。後者はボタンに合わせる操作がリスト毎に違うのが地味に困る。
主に艦隊編成の画面で苦しめられることになる。

・検索性の低さ
PS3版からは幾分改善されたものの、それでも艦隊を探す都合のいい操作は見つけていないし、個人的に「自軍戦力を手っ取り早く把握する手段がない」のは初動を決める上で非情に辛い。
個人的には「根拠地ごとの軍備」をリストアップしたものが欲しいところである。どこにどれだけ陸軍がいるのかさっぱりだったからだ。

・通知について
艦船、航空機の製造完了、根拠地の食糧不足についてはターン毎に通知用のウィンドウが表示されるのだが、1ウィンドウに1報告しかされない。特に輸送船を大量に建造すると自動送りでもウィンドウを閉じるのにかなり時間がかかる。その上輸送船は固有名称がなくナンバリングであるため、通知されてもどこで作られたものかわかりづらく通知の意味がない。設定は自動手動の他には
通知なし」しかない。
また、陸上輸送(非定期)や艦隊の着港、停止、沈没寸前といったものには完了通知が一切ない。
特に艦隊については正確な航行期間が掴みづらい、タンカーがすぐに沈められるといったことも重なり、逐一世界地図を行ったり来たりして確認させられるため面倒くさい。

これらの中には、単体では大した影響のないものもある。だが、これらの要素が互いに影響しあい、そこに先に述べた大量の作業が上乗せされることで、本作はただ操作しているだけでイライラする代物と化しているのだ。

○各種ルールの影響
知っている人は既に気がついていると思うが、先に述べた作業は、各種ルールをONにすることを前提としている。
難易度選択として実装されていることからわかるように、この設定はいわば上級編である。
とりわけ影響が大きいのは、ONOFF設定が可能な4つの設定「資源」「索敵・偵察」「天候」「パイロット」。
「資源」と「パイロット」については先に述べたとおりであるが、残りの2つについてはどうだろうか。
まず、「索敵・偵察」に関しては至ってシンプルである。攻撃前にこれらの行動が挟まるので、少しばかり手間が増え、更に敵からの攻撃を受けるリスクはかなり増大する。
「天候」については、せっかくの計画の遅延原因となる。これに関してはキャンペーンシナリオより寧ろショートシナリオの影響が大きい。天候は1ターン(6フェーズ)継続するため、天候に恵まれないと空爆や艦砲射撃のチャンスが実質6回も失われるのはかなり痛い。また、こちらが飛行機を出しづらい状況でも、敵はかなりバカスカ飛ばしてきたりする。

と、プレイヤー的にはマイナスの要素しかない。当然か。
では、これらのルールをすべてOFFにしてしまえば良いのだろうか、と言われると、筆者としては微妙である。
これらをOFFにしたところで、大きく手間が軽減されるのは資源ルールぐらいである。
さらに実際にプレイしてみると、基本的に爆撃を繰り返すだけのゲームになるため、これはこれで単調な作業感が強かった。

○グラフィック
筆者はグラフィックに一家言あるわけではないし、こだわりもさほど強くない。
加えて兵器マニアでもないため、ディテールどころかパッと見の再現性もわからない。
それを踏まえた上で、初代PSレベルのグラフィックとだけ述べておく。気になる人は公式サイトへGo。数が多いので仕方のないことかもしれないが。
ただ、艦砲射撃は自爆にしか見えなかった。あと、流石にひどいと思ったのか、ホバー歩兵は一度も見ていない。
ちなみにテンポを良くするためにプレイ中はほぼずっと戦闘アニメーションはOFFであった。

以上の項目から、本作がいかに「楽しくないか」がある程度はご理解いただけただろうか。
要は大量の作業にUI、UXの悪さが付随することで、本作はゲーム体験そのものにじわじわとした苦痛を染み込ませて来るのである。
プレイングを再開する度にこの真綿で首を閉められる様を想像して、筆者は次第に気力を奪われていくこととなった。


では、「深さ」はどうだろうか。これだけ多様な要素があるのだから、もしかしたら、苦痛を超えた先に素晴らしいものが待っているのかもしれない、と思う方もいるだろう。
残念ながら筆者は全貌どころか断片も十分に拾えていないが、プレイングを通して見つけた本作の「シミュレータ」としての問題を述べることで、探求の先にあるものの影だけでも知ってもらうこととしたい。
本作の「楽しさ」を奪ったのは主に製作者の「リアリティ」の追求であるが、
シミュレータとしての価値を貶めるのは、種々の「アンリアル」な要素たちだ。

○輸送
輸送設定のせいでゲームが進まないのは先に述べたとおりである。
だが、輸送の問題はそれだけではない。
本作は「積載容量の如何に拘らず、輸送船1隻につき1種類の資源、人員しか載せられない」のである。
輸送設定の手間が増えるのは言うまでもないが、これによる問題は他にもある。
通商破壊のリスク分散のために、そのコストが更に膨れ上がるのである。
この手間を省いた場合弾薬を運んだ船が沈められるだけで部隊が機能停止するため、残りの船で引き返すハメになる。
輸送船の少ない序盤は地獄である。

○索敵
本作に「目視確認」の概念は無いようで、索敵ルールがONの場合、索敵するか先制攻撃を受けない限り敵の艦隊は一切知覚出来ない模様。飛行機についてもどこから来たのかわからないがこれは普通のことか?

○戦闘について
本作の戦闘は艦隊VS艦隊、航空隊VS航空隊、陸上部隊VS陸上部隊、航空隊→艦隊、艦隊→根拠地、航空隊→根拠地の6種類となる。矢印のものは矢印の先の対象に攻撃を仕掛けるという形になる。
これらの戦闘の仕様ははっきり言って基本的に謎である。少なくとも筆者には何も解明できなかった。
艦船と航空機は種類ごとに詳細なデータが設定されているが、それらのパラメータが戦闘においてどのように作用するのかさっぱりわからない。そもそも400種類もあるのに1つ1つ内容を押さえるとか無茶な話である。先に「自動編成は適当に選ぶだけだから問題」と書いたが、量やパイロットの質はともかく、航空機の質は筆者はまるで理解していなかったりする。
(余談だが、艦船の詳細画面における燃費の単位が間違っている。トン表記だが実際はキログラム。PC版も同じミスをしていた)

各戦闘について筆者の体験を述べる……が、基本的にはすべて「よくわからない」だ。
艦隊は戦隊、支援隊、航空戦隊、輸送隊、補給隊に分かれており、こちらが艦隊側として攻撃を受ける場合、各隊それぞれにどう動くかの指示を出すことになる。攻撃能力がない船だけでも攻撃命令を出せたりする。輸送隊と補給隊だけ退避させたはずなのに輸送船と補給船だけ沈められたり、逆に輸送隊だけ突っ込ませたら全艦生き残ったりすることがあった。
航空隊同士の戦いは、空母からの発進と根拠地からの発進で仕様が違う。根拠地からの場合は航空機1種につき1部隊として扱われ、空母からの場合はさらに空母別に別れる。たとえば、空母Aからaとbの航空機を、空母Bからaとbの航空機を出撃させた場合、aが2部隊、bが2部隊の4部隊となる。
と、ここまで解説したは良いが、筆者はこの使用の違いによる明確な影響を体験したことがなかったりする。
というか、真後ろの機体を撃ち落としたりする時点で意味不明。

艦隊→根拠地、であるが、体感的に艦隊がかなり強い。というのも、まず根拠地側から艦隊に抵抗する手段は前もって空爆で沈めるよりほかなく、陸軍は抵抗の手段がない。
さらに、地形の要素が存在しないのもポイントである。例えば、現実において真珠湾の要塞は非情に入り組んだ地形をしており、敵の艦隊が入り込もうものならもたもたしてるうちに砲弾の餌食となる。だが、本作にはそんな要素はない(あったらあったでまた面倒になるだけという気がするが)。
したがってコスト的な面から考えると、本作で真珠湾を奇襲する場合は空爆よりも南雲艦隊を特攻させて艦砲射撃で吹き飛ばすのが有効だったりする。空爆だとわざわざ特別なムービーが用意されてるのに最大140機ぐらい迎撃が飛んで来るからなおさらである。

航空機→根拠地もまた不可解な点がある。
本作において、根拠地の立地等に関係なく、根拠地の対空火力は陸兵数×10という非常にシンプルな式で表される。
したがって、前線の陸兵が大量に集められた根拠地に空爆をかけた場合、史実ではありえないレベルで航空機が落とされることになる。特に艦載機のパイロットになれるのは貴重な練度4(最大)のパイロットだけであり、下手を打つとあっという間にパイロットがいなくなる。この点で空爆が非情にリスキーであることがわかる。
なお、救済措置のつもりなのだろうか、体感でしか無いが、空対空及び根拠地への攻撃では、なぜか爆撃機より戦闘機の方が優先して狙われる傾向がある。

航空機→艦隊、であるが、これは寧ろリアルと言うべきか。
艦隊からの攻撃は基本的に命中率が低く、敵機を落とすことは珍しかったりする。
OPムービーでは大和が盛大に敵を撃ち落としているが、
本作で大和の名を含む「大和、沖縄に出撃ス」のシナリオでは、事前に丁寧に敵の艦載機を落として置かないと大和は寧ろカモとして出撃後即海の藻屑と化す。船VS船でも結構負けたが。
体感的に艦船の被弾率が高すぎる気がする。米爆撃機「TBM-3」30機の爆撃4回程度で大和、武蔵擁する艦隊が壊滅するのはどうなのだろう。

最後に陸兵VS陸兵だが……。これに関しては特に語ることがない。前進と後退しか出来ないので戦術もへったくれもない。
結果は戦闘前の段階でほぼ決まっている。基本的に空爆などで空いた根拠地を占領するために仕掛けるものである。
……と思ったが1つ問題があった。
・相手の規模にかかわらず消費する弾薬が常に一定
・弾薬がなくなるとその陸軍は負ける
という仕様があるため、少人数で自爆特攻を繰り返すことで圧倒的戦力差を覆すことが出来たりする。
某嵐プロも使った立派な戦術である。

○敵について
まず、「艦隊戦は少ない」と書いたところがあるが、これは単に艦隊自体が少ないというだけではない。
相手側に資源の輸送船団らしきものが見当たらないからである。
こちらが必死になって資源をやりくりしている一方で、CPUが同様のことをしている痕跡が一切ないのである。
加えて、相手根拠地の保有資源は偵察しても見ることが出来ないマスクデータとなっているのだが、後述の艦隊操作バグを用いることでそれらしきデータを見ることが出来た。
それにより、敵根拠地にはガソリンが999999tストックされていることを確認した。
また、「硫黄島の戦い」のシナリオにおいて、根拠地保有数が勝利条件を満たした次のフェーズで、直前のフェーズまで一切船舶が存在しなかったはずの東京から2つのそれなりの規模の艦隊が出港するのを確認した。
更に、それらの艦隊はおもむろにがら空きのウルシーに近づいたと思ったら、なにもせずに離れていきそのままシナリオ終了までなにもしなかった。
他に、それまで積極的に攻めていたはずの根拠地が一転して攻撃をしなくなったりするということもあった。

以上の体験から、断言は出来ないが敵CPUは適当に組まれている代わりにチートを使っているという疑惑がある。

※追記(08/06)
シナリオ「太平洋奪還作戦」にて、敵艦隊のワープを確認した。据え置き選評2で述べられたものとまったく同様と思われるので、以下引用。

<ここから>
米側シナリオ「太平洋奪還作戦」にて。ゲーム開始後、まず日本軍はパールハーバー沖の2艦隊とダッチハーバー沖の2艦隊をそれぞれ寄港させ艦隊を解散する。
しばらく音沙汰なくなるが、290ターン1フェイズ目にパールハーバー、ダッチハーバー双方の艦船が一時的に消滅する。
290ターン2フェイズ目にパールハーバーから上記2拠点に停泊していた艦船すべてを使用した感じの機動部隊3、戦艦部隊1が出現。
ダッチハーバーに停泊していた艦船がパールハーバーに移動した模様。全艦隊でパナマを攻めてくる。
<ここまで>


○総括
筆者が感じた本作の苦痛のモデルは次のとおりである。
基本的なゲームデザインが「そこかしこからの妨害がついた作業ゲー」であり、序盤の時点で先のことが思いやられやる気を失うが、それでも我慢して先に進んでも、出てくるのは手抜きの痕跡と更なる謎ばかり。やがて深みを知る気も失せてしまうと言った具合だ。
「楽しさ」を徹底的に阻もうとする種々の要素と、深みに潜るとすぐに見える手抜きに、「深み」にたどり着こうとする気すら消し去ってしまう。娯楽作品として完全に失格モノである本作はまさに純粋なクソゲーなのではなかろうか。
メーカーの改善の意思は確かに感じ取ることが出来たが、根っこの問題を放置してはどうにもならないということなのだろう。


○その他不可解な点
筆者の疑問点のリスト

・「硫黄島の戦い」のシナリオはタイトル通り硫黄島決戦をモデルとしているが、守りの手薄な東南アジア方面を攻めたほうが遥かに楽にクリアできる。
この際、硫黄島に一切上陸せずとも「米軍は硫黄島の戦いに勝利した」的なことがクリア画面で述べられる。

・工場のある根拠地には「工場能力」と「生産能力」のパラメータがある。両者はデフォルトで同じ値であり、工場を爆撃すると工場能力の値が低下する。
で、生産能力については、取説で一切触れられていない。一体何の値なのか。

・航空機の整備状態を示す表の各項目が何を表現しているのか。

・資源精製の仕様は全体的に謎。特にルール設定によって消費資源と精製物の比率が変わるのだが、どのルールが影響しているのか


○バグについて
実はこれと言って深刻なバグには遭遇していない。以下に述べるのは殆どネタの類である。
と、思っていたのだが……。

・敵の根拠地に停泊中の艦船の積載物を操作することができる。艦載機を降ろしたり資源を全部船に載せたりやりたい放題。
※(08/06修正)
このバグによって艦載機を下ろされた空母は、出航できなくなるらしいことを「太平洋奪還作戦」にて確認(空母以外はそのまま出航)。
ダッチハーバーに停泊している艦船は、ある程度こちらの船が接近すると「第九艦隊」として輸送船以外が出航するのだが、
その際、艦載機をすべて降ろされた空母はダッチハーバーに残ったままであった。
なお、290ターンのワープについては、ダッチハーバーに残った船だけで発生する。
この際、艦載機は新たに積みなおされる。


・「硫黄島の戦い」において、390ターンくらいに合衆国からの指示が発令されるのだが、その直前になぜか航空機開発ラインの設定画面が開かれる。必然性も関連性も特に無いためバグと思われる。

○チュートリアル
これといって特筆すべき事はない。取説のスクショ不足や本当に基礎的な方針を理解するのには役に立つ。
なお筆者のプレイ時においては、攻撃目標選択画面でタップミスするとかなりの確率でエラー落ちする。